Mini Twitter Lecture:発生生物学の歴史と変遷

連休ですがラボは営業中(笑)。
向かいのオランジェリーというお菓子屋さんでシュークリームを買って来て、ちょうどラボにいた助教のTさん、ポスドクのYさんと、コーヒー淹れて頂きました。
いろいろ四方山話する間に、発生生物学のことを語ることになったので、その後、Twitterでつぶやいてみました。

ヘビーついったらー(というのだろうか?)の@HironaoAshidaさんが言っていましたが、「Twitterは微分、ブログは積分」という機能があるとのこと。
Twitterは限りなく今を時間的にも空間的にも切り分けることによって、人々の関係もフラットになりますね。
例えば鳩山首相からre-tweetされたりする訳です。

<以下Twilogまとめ>




*****
●発生生物学の権威ある雑誌Developmentのチーフ・エディターが替わり、HPも刷新された。エディターのインタビューなども載っている。幹細胞生物学を増やすというのは時代の流れ。http://dev.biologists.org/
posted at 14:02:55

●学会の出す雑誌の在り方、学会そのものの情報発信・広報・社会とのコミュニケーションも変わらなければならないと言い続けているのだが、なかなかこれが……。
posted at 14:06:01

●実験発生学とはシュペーマンに代表されるような、両生類胚の組織を移植するなどの手法で発生機構を知ろうとする学問。シュペーマンは(ヒルデ・マンゴールドとともに行った実験による)オーガナイザーの発見により1935年にノーベル生理学医学賞受賞。
posted at 14:14:19

●実験発生学にさらに生化学、発生遺伝学(モーガンの流れ)、分子生物学などの研究手法が取りこまれて発生生物学になった。「発生の仕組みを分子で語る」時代の到来。ちょうど自分が大学院生の頃で、この時期の盛り上がりは本当にエキサイティングだった。
posted at 14:17:37

●つまり、一時代前の「実験発生学」で仮想されたアイディアを、新しい手法(とくにショウジョウバエの遺伝学、分子生物学)で解くことにより「発生の仕組みを分子で語る」ことを目指してきた。
posted at 14:19:22

●少し遅れて、遺伝子改変したマウスを作れるようになったことが、さらに発生生物学のアクセルを踏んだ。発生生物学の主要な材料(研究対象)が、ウニから両生類、鳥類を経て哺乳類に移っていった。
posted at 14:21:28

●発生生物学の一つの到達点としては、ソニックヘッジホッグの同定が挙げられる。この分子により、形を作る仕組みの一つとして提唱されてきた「濃度勾配」が実証されたからだ。これが1996年のこと。業界ではSHHショックと呼ばれている。 http://ow.ly/UGXn
posted at 14:26:31

●発生生物学は十分成熟したので、その流れは主に3つに分かれつつある。一つは「進化発生学」で、Evolutionary Developmental Biology、エボデボとも言われる。とくに形態の進化を「想像」ではなく、分子・遺伝子レベル「実証」することを目指す。
posted at 14:29:09

●二つ目で、もっとも主流と考えられるのは「細胞生物学」的な方向。「ある遺伝子はこの形態形成に関わる=風が吹けば桶屋が儲かる」仕組みを、細胞のレベルに落とし込むことを目指す。分子・細胞イメージングの手法なども多用される学問領域。
posted at 14:31:35

●三つ目は出口(応用)を視野に入れた「幹細胞生物学」的な方向。再生医療の基礎でもあるが、今後はもっと広い応用面があると考える。癌生物学とも関係するし、我々のように精神疾患との関連を考えることもできる。おそらく、いろいろな成人病にも関係するだろう。
posted at 14:33:50

●つまり、学問自体も環境の変化によっていろいろと変遷する。そんなダイナミックは変化の中に身を置いて研究することが楽しい。
posted at 14:35:44

●以上、ミニミニTwitter Lecture「発生生物学の歴史と変遷」でした(^o^) ちなみに、翻訳した『エッセンシャル発生生物学改訂第2版』(ジョナサン・スラッグ著、羊土社)はコンサイスな教科書でお勧めです。 http://ow.ly/UH44
posted at 14:38:40

●個人的には「スピード・変化・自由」が好きなので、研究キャリアの最初を発生生物学でスタートできたことは幸せだった。人生は一回性なので、他の人生と比べることは不可能だが、より古い歴史のある学問分野よりも若手や女性が活躍しやすかったと思う。
posted at 14:43:39

●ついったの使い方は人によって様々だと思うけど、自分の場合には知らない方々相手へのつぶやきの方が多い。研究のアウトリーチのためのトレーニングにも、少しは役立つかも。
posted at 14:46:25
Commented by Sammmy at 2010-12-29 07:59 x
Hi. This is Sammy as a professor of biology and have lecture of life science. In particular, Sammy is explaining about evolutionary developmental biology by using sea urchin, because the Sammy's origin is that.

So if you can, please attend to my class and be my student by clicking the banner in What is Life?.

Happiness with you.

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by osumi1128 | 2010-01-10 22:14 | サイエンス | Comments(1)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


by osumi1128
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