第2回生命科学系GCOEネットワークフォーラム@京都

うーん、明らかに土日の仕事が増えていますね……。
お茶のお稽古に全然いけない。
先にそちらの予定をカレンダーに書き込まなければ駄目なのでしょうね…。

さて、本日は第2回生命科学系GCOEネットワークフォーラムが開催されました。
昨年の第一回は、東大の宮下先生のお声がけだったのですが、今回の幹事は京大、阪大、奈良先端大でした。
全国13拠点の拠点リーダーと若手研究者(学生さん、博士研究員、特任助教等)が集まって、活動の報告や意見交換を行いました。
文科省からも担当行政官やプログラム委員会の方が参加。
前半後半に分けて、拠点の活動を順に報告した後、パネル討論が行われ、さらに、拠点関係者と行政サイドの間での会議となりました。




事業仕分けの対象にもなったグローバルCOEは、一言で言えば「世界に通用する若手研究者(博士人材)を育成する」ことを目的としています。
 グローバルCOEプログラムは、平成14年度から文部科学省において開始された「21世紀COEプログラム」の評価・検証を踏まえ、その基本的な考え方を継承しつつ、我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、国際的に卓越した研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とする事業です。(日本学術振興会HPより)

生命科学分野においては13の拠点が採択されています。
詳しくはこちら
今年度が5年プログラムの3年目であり、昨年5月に中間評価が行われました。
中間評価結果はこちら

このプログラムが悩ましいのは、最先端研究支援なのか、高等教育・人材育成支援なのか、仕分けにくい点です。
もっとも、最先端研究を行うことのできる人材育成をするためには、最先端研究の現場でOJT(on the job training)をしなければならないので、切り離せないものでもあるのですが、財務省から見た場合に「どっちなの?」ということになります。

そもそも、国として高等教育を重視するのであれば、現状よりも大学院生への経済的支援が必要です。
それは、高度な知識やスキルを身につけるためのトレーニングの代価として奨学金として支援されるべきであり、就職できなかった人への福祉ではありません。
もちろん、日本として、今後どの分野で何人の大学院生を育成すべきなのか、それを入り口(定員)で測るのか、出口(学位取得人数)でコントロールするのか、そういったグランドデザインがまず議論されるべきであり、その中で直接国費を投じて育てる人数はどれくらいが妥当なのかを考えないといけません。

先日来、あちこちで言っていますが、日本は先進国の中で「低学歴社会」であって、本来もっと博士人材が行政、自治体、企業等でも活躍しなければならず、そういう受け入れ先も奨学金を出すことを考えても良いと思います。
ちなみに、よく米国では皆、奨学金をもらっている、と言われることがありますが、返済しなければならないローンの方もそれなりにあるので、注意が必要です。

で、GCOEですが、大学院生や博士研究員の給与がこのプログラム経費の中の大きな支出項目であることは、どの拠点も同じですが、プログラムで行っている活動の共通項としては、「国際的な人材育成」という観点でなされる「リトリート」や「国際会議」「海外インターンシップ」等が挙げられます。
これも、本来は基盤経費的な扱いになるべきところ、競争的な補助金で行われているというのが悩ましい。
でも、京大の阿形先生が言われたように、大学本体にただお金を渡しても、これだけ実質的な大学院教育改革は為されなかっただろう、ということは大いにありえます。
グローバルCOEに関わるのが研究を頑張っている教員だからこそ「こういう人材を育てたい」という思いで、新しい仕組みを打ち立ててきたのだ、ということに同意します。

パネル討論では「グローバル化をどのように進めるか」「博士人材のキャリアパスをどうするか」「グローバルCOEの今後」という話題もありました。
さまざまな意見が出て、集約するには時間的には足りませんでしたが、いずれまた私見はまとめて書いたり発言していこうと思います。

関連のサイトを引用しておきます。
全国 13 グローバルCOE拠点(生命科学)による 緊急共同アピールについて
全国 140 グローバルCOE拠点による行政刷新会議「事業仕分け」第3WG によるグローバル COE プログラム評価に対する声明 について
by osumi1128 | 2010-02-22 00:14 | 科学技術政策

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