神経科学大会2日目:ヒスの『ヒトの脳の発生』(1904年刊)発見

神経科学大会2日目は、神経科学学会の将来構想委員会主催で「基礎・臨床統合シンポジウムー統合失調症の神経科学」の後、ポスター会場、機器・書籍展示会場を覗いた。
この学会は真面目なのか(笑)、私が参加する学会の中では、もっとも書籍展示が充実している。
書籍はインターネットでも購入することが多くなったが、やはり手にとって中身を見て……というプロセスは安心でもあり、そのこと自体が喜びだと思う。
最新の雑誌や書籍に加えて、古書の展示販売もあった。
たまたま歩いていて、見つけたのが1904年に刊行されたウィルヘルム・ヒスWilhelm Hisの「ヒトの脳の発生』。





ヒスは19世紀のスイスの解剖学者・発生学者で、心臓の刺激伝達に関わる「ヒス束」などにその名前を残しているが、私にとっては発生期に一過性に生じる構造である「神経堤」を最初に記載した方として記憶された。
倉谷滋さん(現理化学研究所・発生再生研究センター)との共著『神経堤細胞 - 脊椎動物のボディプランを支えるもの』(東京大学出版会)を書いた際にも引用している。
見つけた本はヒスの死後にドイツ語で出版されたものだ。
書店が付けたオビには「人の脳の発達」となっていたが、胎児の組織観察なので「発生」の方が適訳だろう。
100年以上経って出会えるとは思ってもいなかった。

その後、来年の第34回神経科学大会の実行委員会。
不肖ながら大会長を仰せつかっており、もう準備が1年を切ったということで、気持ちを新たに。

午後はいくつかのセッションを聞いて廻って、ちょっと移動が大変……。
ラボに残った学生さんと論文のやりとり等もあり、べったりセッションに参加できなかったが。
うちのM1の学生君が初めての、しかも英語での口頭発表ということだったが、普段のラボ内の英語でのプログレス発表等のトレーニングの成果もあり、立派に務めていた。

夜は19:30過ぎから懇親会Neuro Social。
参加人数が600名は超えていたようで超満員。
なのに、お料理が無くならなかったというのは素晴らしい。
しかも、大会長のお一人の川人先生のご趣味?ご尽力により、舞妓さん2名、芸子さん2名、地方2名で踊りが3曲!!!(参考リンクあり)
うーん、とてもじゃないけど、来年はそんな風にはできません……(苦笑)。
……ということを、来年の大会長挨拶で申し述べた。
皆さん、来年は舞妓さん、期待しないで下さいね!

【参考リンク】
Neuro2010懇親会まとめtogetter
第34回神経科学大会HP
神経堤細胞―脊椎動物のボディプランを支えるもの (UP BIOLOGY)(倉谷滋、大隅典子著、東京大学出版会)
by osumi1128 | 2010-09-03 19:28 | サイエンス | Comments(0)

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