Trilingual Preschoolという選択肢

サンフランシスコ湾の東側、いわゆるEast BayのAlamedaの友人夫妻を訪ねた。
最初に知り合ったのは奥さんの方で、中学くらいからサンフランシスコで暮らし、UCSFのDental Schoolに在学中、当時、UCSFにいたJill Helmsという顔面発生の研究者の知り合いを介して「インターンシップで日本の歯学部を見学したい」との希望を受け、母校を紹介したのがきっかけ。
仙台にも寄ってもらって家に泊まってもらったりしたことから、交流が始まった。

当時ボーイフレンドだったのが日系三世のご主人で、すでに歯科医院を開業しつつ、UCSFでも教えていた(米国では大学の治療とprivate clinicの治療のレベルに差がないところが違う。このことはまたいずれ取り上げよう)。
ナパのワイン畑の中にある料理学校を会場にした結婚式&披露宴に出席したのはブログを始める前の2004年の6月(絽の訪問着を持って行ったのが懐かしい)。
その後、ご夫婦で仙台に来てくれたりもして、2005年にはAlamedaに買った古い(300年前という)スペイン風の家に泊まりに行った。
それから、私の方も忙しくなって会う機会が減り、でもクリスマスには必ず子どもの写真付きカードを送って頂いたりしたのだが、上の男の子が今3歳、下の女の子がもうすぐ1歳というから、月日の経つのは早いものだ。

さて「最近、どうしてる?」という話題から、息子さんがTrilingual Preschoolに通っているという話を聞いた。




日本でも、インターナショナルスクールに子どもを入れて、バイリンガル(この場合は日英)に育てたいという方はいると思うが、さすが多様な文化を抱えるアメリカで意識の高い親たちは「English-Japanese-Chinese」の3ヵ国の言語を身につけさせようと、子どもをトリリンガルスクールに入れるらしい。

そもそもプレスクールは「デイケア」よりも教育に力を入れていて、日本の「幼稚園」に相当するが、0歳から受け入れるところもあるので「幼児教室」的というべきか。
友人の恵理さんや、その妹さんの息子さん(2歳)が通っているところでは、モンテッソーリメソッドのプレスクールで、2歳までは、日本語の先生とは日本語のみし、中国語の先生とは中国語のみで会話するようにし、3歳からは「中国語コース」「日本語コース」等に分かれるらしい。
恵理さんの子ども達は、基本的には恵理さんや、そのお母様(つまりおばあちゃま)とは日本語で、お父さんのGrantとは日本語まじりの英語で会話しているとのこと。

語学の習得の中でも、聞き取りや発音に関しては明らかに「臨界期」がある訳で、そういう意味ではトリリンガルを目指すのであれば小さいうちから始める必要がある。
確か、聞き取りに関しては、1歳の乳児ですでに、日本語とその他の言語の発音の違いを聴き分けているという研究結果があったと思う。

こういう教育の成果を挙げるには、もちろん、子どもに十分な量の〈外国語のシャワー〉を浴びせなければならないので、子どもの数に対して通常よりも多数の教師が必要となる。
したがって、当然ながらプレスクールは授業料も高く、年間数十万円以上(というか、100万円近く)かかるらしい。

日本でも2011年度からは小学校での〈英語活動〉が義務化されるというが、さて、その効果はどの程度になるのだろうか……。
英語を聞き取る「耳」は臨界期を過ぎていないだろうか?
週に1時間程度の英語の授業では、帰納的に(つまり、多数の言葉を聞き取りつつ統計処理して)言葉の使い方を習得していくのは無理であろう。
何より、英語を使うことの必要性やメリットや楽しさを、教師も子どもも分かってなければ「辛い授業」になってしまって、教育的効果は薄いと予測される。

*****
Dopoという地元で人気のイタリア料理店にて。
あ、ワインボトルのうち、1本はregular waterが入っていたものです(念のためww)
Trilingual Preschoolという選択肢_d0028322_821838.jpg

by osumi1128 | 2010-11-21 07:35 | 旅の思い出

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