都の条例と『図書館戦争』

本好きの友人に「ライトノベル」なるジャンルがあることを教わり、中でもやや大人向けの名著と名高い『図書館戦争』(有川浩著、メディアワークス2006年刊行第28版!)という単行本を読んだ。
不良図書を取り締まる「良化委員会」と、それに対抗して図書館が図書にまつわる自由を確保するために組織された「図書隊」の間での武闘抗争が日常化している、という大胆な設定。
ジャンルとしては笠原郁というヒロインを中心とした青春ラブストーリーらしいのだが、そのあたりはライトノベルらしく、甘酸っぱく読者をやきもきさせるような展開となっている(というか、オトナにはかなり、むず痒い、かも)。




あとがきによれば、著者は地域の図書館で見た「図書館の自由に関する宣言」にヒントを得たという。
1 図書館は資料収集の自由を有する。
2 図書館は資料提供の自由を有する。
3 図書館は利用者の秘密を守る。
4 図書館はすべての不当な検閲に反対する。

ライトノベルはちと子どもっぽいと思う方でも、本を愛してやまない人間なら、本書の根底にある思想にはきっと共感するだろう。
折しも数ヶ月前だったか都の条例が決まって「不良漫画」等を取り締まることになった訳だが、取り締まった方が宜しいのは、某知事自身の施政者として相応しくない発言ではないだろうか。
by osumi1128 | 2011-01-27 13:48 | 書評

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