ひらめきはどうやって生まれるのか?

d0028322_021033.jpg先日、「ハーバード大学留学・独立日記」で有名な、現三重大学医学部教授の島岡要さんと対談をしたときのこと。
島岡さんから「<ひらめき>ってどんな風にしたら浮かびやすいでしょうか?」というようなご質問を頂いて、つねづね考えていることをお話した。

「アハ!体験」などとも呼ばれる「ひらめき」は、クリエイティブな職業には欠かせない。
アルキメデスが「ηὕρηκα!」と叫んだのはお風呂の中だったと伝承されているが、個人的には明け方、眠りが浅くなったときがもっとも多い気がする。
半分寝ながら「あ! そうか!☆♪」と思いつくことを、本当に覚醒するまで覚えていられるかが問題なのだが。




「ひらめき」という脳内現象が(←脳内現象だとして)どのようなプロセスなのかは解明されてはいないが、コンピュータとのアナロジーで言うとすれば、脳の中では、いくつもの画面上でリアル・タイムに検索エンジンが動いていて、一番上の画面が意識に上っているのだけど、裏画面でも何かの「タグ」での検索が常に為されていて、急にヒットした項目が浮かび上がってくる……そんな感じのような気がしている。
だから、ストックされている情報量が多いほど、検索エンジンの速度が早いほど「ヒットする(=ひらめく)」可能性は高くなるように思う。
でも、さらに「オリジナルなことをひらめく」のには、独自の「タグの付け方」だったり、検索のアルゴリズムがポイントだったりするのかもしれない。

なぜ「明け方に多い」のかを考察するとすれば、横になって目を閉じていることにより、リアルタイムで入ってくる入力とそれに応じた処理に負荷がかかっていないので、検索エンジンのパワーが増大している可能性や、夢を見ながら記憶の断片が繋ぎ合わされるときにタグがひっかかりやすくなるのではないか?

まぁ、だからもし「ノウハウ」的にまとめるとすれば、「なるべくたくさん多様な経験をして、個々にいろいろなタグを付けて記憶しておくこと」が「ひらめき」に繋がるんじゃないかな?
「記憶」はもはや、自分の脳内だけではなくて、クラウド化されたサーバにも存在する訳だけど、検索の速さという意味では、近いところにあった方が有利な面もあるかも。

そういう意味において、オトナの間で話題になるのが「最近の若い人達って、メモ取らないよね?」ということ。
この現象がいつ頃からなのか不明なのだが、セミナーでもジャーナルクラブでもメモ取らない人が多いですね……さいきん。
「自分の研究と関係ないから」なのか、「後でウェブで調べるから」良いと思っているのか、メモを手書き(iPad上でも)したり、PCでタイピングすることは、運動系も駆使することによって、タグを増やしているんじゃないかな、と個人的には思っている。
(視覚、聴覚という感覚系に加えて、能動的な運動系の活動性を上げることによって記憶が増強される、っていうような論文があったら、どなたか教えてください)

冒頭の島岡さんとの対談は、現在、島岡さんがご執筆中の「創造性」に関するご著書に含まれる予定。
乞うご期待!
by osumi1128 | 2012-10-26 00:24 | 若い方々へ | Comments(0)

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