帝王学&女王学

ミツバチやアリやハダカデバネズミは「女王」を頂点とする階級社会を構成している。
ミツバチでは「ロイヤル・ゼリー」で育てられた雌が女王になるというから、氏より育ちなのだろうか。

人間の場合に、いわゆる「帝王学」と呼ばれる後天的介入がリーダーを育てるために必要であることは古今東西、いろいろな事例がある。
「鞄持ち」やら「私設秘書」やら、いろいろな言い方もあるが、要はon the job training(OJT)をするときに「コイツは磨けばもっと輝くだろう」と思う部下には、さらに一段上の教えを授ける訳だ。
アカデミアの世界でもそれは同様。
良いラボの出身者が良い業績を挙げるというだけでなく、研究費申請書の書き方や、面接での受け答えの仕方なども、下書きや陪席をさせることによって身につけさせることができる。




そういう際に、女性の弟子が「帝王学」ならぬ「女王学」を教えてもらえるかどうかが、これからの社会で女性のリーダーを育てる上で大事なことだろう。
旅館の「女将」は、大女将から若女将へ「女将としてのあり方」の伝授があると聞く。
科学はユニセックスな世界だと思うので、別に「帝王学」でも「女王学」でも構わないし、同性相伝ではなく、男性→女性でも女性→男性でも構わないはずだが、男性の先生は女子学生の扱いに困ることがあるという。
たしかに昨今、「セクハラと思われたら困る!」という風潮が高まっているので、「君ね、あういうときは、こういう風にしなきゃだめだよ」なんてことを、一対一で諭すことに臆病な男性PIが増えているかもしれない。
そういうときは、うまく女性の同僚を使うことだと思う。
女子学生さんも、自ら他の研究室の女性の先生のところに出向いてアドバイスをもらえばよい。

ちなみに、幸い、今のところ?女性PIが男子学生と一対一で対応しても、さほど問題は無いと思うので、女性PIの方が得かもしれない。

こんなことを書いておこうと思ったのは、先日、東京大学医科学研究所のキャリアパス関係のフォーラムで、「申請書や業績の書き方で女性の方がいい加減だったりすることがあるようだ」と話をしたら、企業の人事部の参加者の方が「その通りだ!」と言っておられたので、もしかすると、ちゃんとした書き方や、コツを伝授してもらっていないのかもしれないと気づいたからだ。
ビジネスメールの書き方にしろ、論文リストのまとめ方にしろ、「こういう書き方は、こう変えた方がよい」という、些細なレベルのことであっても、その積み重ねが大事。

よくあるケースだが、「時間切れ」で文章をブラッシュアップする時間が取れず、結果として負のスパイラルに入ってしまう人は、ちょっとだけプライドを捨てて、自分よりも経験のある方に見てもらった方が絶対良いということを理解していない。
たとえそれが自分のスタイルと違ったとしても、なぜ直されたのかを考えることは、自分が後輩を育てるときにも、きっと役立つ。
「書面」で人はまず判断されるということは肝に銘じた方がよい。
さらに、話し方、受け答えの仕方などについては、先輩のやり方を見て盗むことも必要。
すべて手取り足取り教えてもらえる訳ではない。

*****
ところで余談だが、医科研の講堂は自分が大学院生の頃に、潜りで大学院生向けのセミナーを聴きに行ったところだ。
竹市雅俊先生のカドヘリンの話など、本当にわくわくしながら聴いたものだ。
なので、その同じ演壇に立って階段上の座席を見上げたときは、ちょっと感慨深かった。
当時、御茶ノ水から白金台は交通機関がめちゃくちゃ不便だったが、今は地下鉄南北線の駅が最寄り。
が、駅を降りて、スタスタと反対側に歩いてしまって延々迷ったのは生得的に方向音痴のせいである(苦笑)。
Googleマップさんにお伺いすべきだった……。
by osumi1128 | 2012-11-08 18:27 | 若い方々へ | Comments(0)

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