仲野せんせいのセミナー&仕事のスキル:ファイルの「リスト・時系列管理」のススメ

d0028322_823241.jpg昨日、阪大の仲野徹先生のキャリアパスセミナーがあって、大入り満員、立ち見まで出る大盛況でした。
「研究する人生 研究の進め方から論文の書き方・通し方まで」というタイトルで、なかなか聴き応えがありました。
参加できなかった方のため、自分自身の備忘録としてFacebookに書き込みしていたものを転載しておきますね。
まずは何より確実なデータ。トップダウンよりボトムアップ。納得いくまで同じ実験を繰り返す。図表の作成には手間と時間を惜しまない。描きながら考えるのが大事。結果を短いセンテンスで言えるところまで高める。

解釈と展開。新しいデータが出たらそれを元に考えるので、次の実験が変わることがよくある。できるだけ厳しく解釈する。一度に一つのことを考える。同時に、出来るだけ甘く考えて、妄想を膨らませてみる。そのバランスが大事。ベストの結果とワーストの結果の両方考えておく。その対処法も含めて。欲しいデータと出来る実験のバランスも、大事。ロバストな研究と夢のような研究とのバランス。仲野せんせいは8:2くらいとのこと。

上手なデータの組合せ方。引き合うデータをクラスタリング。似たもの同士をあつめる。実験を実際に行った順序は無視。結果を説明しやすいクラスタリングを。おお、懐かしのKJ法のご紹介。組合せたカードの内容を言語化するのは、確かに大事。組合せを変えてみることも。孤立データをどうするか。不要なデータは捨てる。孤立させないために追加実験という場合も。データには軽重がある。

オッカムの剃刀で削ぎ落とす。単純化すること。仮定は少なく。より単純な説明が可能なら、その方がベター。研究の世界は、いわばアブダクションである、というお話も。データを元にストーリーを組立てて、納得させられるか。データを出しながら書くこと。

目指すは一本の矢。主張はするが言い過ぎない。論理に破綻は無いか。論理的構築が決まればタイトルは自ずと決まる。論理の飛躍はないか。論理の糸が細くないか。不足のデータは補足する。傍証の蓄積、反論の棄却。小学校の高学年程度に理解できる理屈でないと通用しない。論理がひっくり返るような結果が出るかもしれない実験は先に行う。

親切な心で論文を書く。アブストラクトとイントロダクションを魅力的に。最初が駄目なら読んでもらえない。査読者は必ずしも専門家では無い。親切な心と感謝の心。素人とエキスパートの両方が納得できるように。読後感をさわやかに。最後のセンテンスも大事。大事なデータをどこに配するか。弱気なコメントで終わってはダメ。

いざ投稿、そして改訂。エディターのレビューワーも人の子。どの雑誌に投稿するか。カバーレターを丁寧に。本文よりも膨らまし気味に。レビューワーの忌避は有効。指名の効果は不明。レビューワーにはできるだけ素直に従う。親切なリバイスを。

というあたりが重要なメモです。
このブログに載っけてシェアします♫

最後の方のスライドからのメモはこちら。
生命科学研究、受難の時代? 一つの論文に必要なデータの膨大化。研究のスピードと研究内容の変化。テニュアポジション獲得の困難性。いかに生き抜くか。オリジナリティのある研究を。勝てるテーマを選ぶ。やりたいこととできることを意識。足下を確かめつつ星を眺める。単位時間あたりの研究成果を最大限に。ムダな実験をしない。常に上手くいかなかったときのことを考える。いろいろな相場感を身につける。引いて考えること。自分のデータだけで考えてもダメ。ラボメイトのデータから考える。

これに触発されて、本日のテーマは「仕事のスキル」として、PC上でどのようにファイルを管理するかという話をします。

その前に、仲野せんせいのご著書のご紹介。
『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』
拙ブログの書評:『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』【ちょこっと加筆】

ちょうど昨日、Facebook繋がりの方と話題になったのですが(Macユーザの方)、ファイルの一覧って、デフォルトはたぶん「カラム表示」なのだと思いますが、私には圧倒的に「リスト表示」の方が仕事がしやすいのです。
その理由は以下になります。
1)ファイルやフォルダが保存した時系列に並べられる
2)そうすると、直近に動きのあったファイルやフォルダが上にくる
3)動きの無い下に回ったファイルやフォルダは格納の時期だとわかる

私の場合には、on-goingのファイルやフォルダはすべてDropbox上に置いており、一日に10〜50くらいのフィアルの処理(原稿チェックから日程調整星取表まで)あるので、「時系列処理」が必須です。
それは人の記憶が時系列というタグがつきやすいということに基づいていると思います。
人の名前、その他のタグは、タグそのものを思い出すことが困難だったりしますが(若いうちは大丈夫?)、「たしか昨日か一昨日くらい」「1ヶ月前くらい」という記憶のタグは、かなりロバストです。
時系列整理はもともとは有名な野口悠紀雄先生の本『超整理法』にもとづきます。

また、この管理の仕方では、フォルダの階層を深くすることは避けています。
例えば、せいぜいが下記のようなかんじです。
Dropbox>秘書さんとの共有フォルダ>直近のタスクのフォルダ>ファイル

なので、急いで仕上げるべきフォルダは、つねにモニタ上で上位に位置することになり、アクセスが良いのです。
階層を深くすると、いちいちフォルダ名を付けなければなりませんが、「リスト表示」の場合には、例えば、新しく作ったファイルは、とりあえず「ひとりぼっち」で置いておいてもOK。
何かそのファイルの改訂バージョンなどたまっていけば、それを「クラスター」にして初めて「フォルダ」を作成するのです。
新しくファイルを作る際に、それを入れる階層のフォルダに、いちいち名前を考える手間もありません。
ずっとひとりぼっちのファイルは、時間が経つにつれて自然に下の方に下がっていきますから、一週間ごととか一ヶ月ごとなど、ファイルの整理をする際にメインマシンの「処理済み」フォルダに放り込みます。
最近はメモリの容量が大きいので、滅多なことではファイルは削除しませんね。

また、ファイル名自体には「OsumiCorrespondence130705」のように、少しだけキーワードをタグとして付けておきます。
カラム表示の場合に、例えば「text.ver.1」などのようなファイル名を付ける学生さんが多いようですが、私とのやりとりの間に、ファイル名を変えておきます。
そうでないと、私にとっては「誰のテキスト」なのかわからなくなるからです。
日付を頭に付けると、カラム表示でも日付順にはなりますが、あたまに日付が付いているのは、何のファイルなのか、瞬間的な視覚認知が悪いですね。
ファイル名に付いたタグは、PC内の検索の場合にも効果を発揮します。
というのは、現在の検索エンジンは優秀なので、PowerPointの中のテキストまで検索してくれることは確かですが、それよりも、「ファイル名」でのキーワード検索ができれば、圧倒的に早く結果が表示されます。

上記の仲野先生の御講演にもありましたが、「単位時間あたりの研究成果を最大限に」することはとても大切です。
ファイルの管理ひとつでも、「単位時間の処理速度を上げる」ことが可能なのです。

たぶん、研究を初めて間もない学生さんには「カラム表示」の方が自然なのかもしれませんが、どこかの時点で自分の仕事が複雑になっていくときに、「違うやり方」もあるということを知っておくのは大事だと思います。
また、「異なるやり方に適応する」柔軟性自体も、クリエイティブな発想ができるかどうかに関わると考えられます。

という訳で、「リスト表示・時系列管理」、お勧めです!!!
by osumi1128 | 2013-07-06 09:32 | 若い方々へ | Comments(0)
<< 東北大学縁の女性研究者#4:栗... 「日本版NIH」関連まとめ >>