荒木飛呂彦先生が東北大学ホームカミングデーに来たッ

荒木飛呂彦先生が東北大学ホームカミングデーに来たッ_d0028322_22144925.jpg
1年ほど前から立てていた企画ですが、ついに当日を迎え、会場は大入り満員のうちに無事に終えることができました。

東北大学106周年ホームカミングデーの中で、「仙台セミナー」というイベントの企画を依頼された元々の理由は、今年が東北大学女子学生入学百周年記念であったからなのですが、次の百年を考えたときには、男女関係ないよね(そういう世界であってほしい)と思い、脳科学をまずベースにコンセプトを立てたいと思いました。
そこで浮かんだのが「ジョジョの世界」でした。
もちろん、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者は仙台ご出身の荒木飛呂彦先生ということもあり、さらに魅力的なキャラクターとそれらの「スタンド」が現実の世界を超えて活躍していることは、脳科学の観点からも面白いと思いました。
荒木飛呂彦先生が東北大学ホームカミングデーに来たッ_d0028322_21484441.jpg
ジョジョを知ったのは、1987年に少年ジャンプに掲載が始まってからという訳ではなく、瀬藤光利先生(現浜松医大)のCellの論文の表紙が荒木先生によって描かれて、それがweb掲載されたとたんに、それまでCell誌を読んだことも無い読者(ジョジョファン?)がそのScrapperというキャラクターを見ようとしてアクセスし、Cell Pressのサーバがダウンしたというエピソードからです。
でも、ジョジョの世界を知れば知るほど、その想像力と描き方の天才性に驚きました。
擬音語の使い方も独特ですが、それよりも私は、「漫画」という制限の中で、コマ割りのユニークさや、アーティティックな表現技法に心を奪われました。

さて、念願かなって荒木先生のご講演に加えて、もしかすると「スタンド」をリアル化できるのでは、という科学技術としての拡張現実や代替現実の世界でご活躍の、藤井直敬さん、川田十夢さんにもご参画頂いて、本日の企画となりました。
「バーチャルリアリティー研究者の奇妙な冒険」というタイトルで、サイバーサイエンス研究所の吉澤誠先生から、ARやSRとは何か?というイントロをお話頂きました。
続いて、皆様お待ちかねの荒木先生のご講演となりました。
子どもの頃のエピソードから、どのようにして漫画家となったか、そしてスタンド誕生までのお話は、あっという間に予定の時間を過ぎてしまいました。
小学生の頃から描き始めた漫画が、級友からも高く評価されたことが、荒木先生のモチベーションを高めたようです。
荒木先生のご講演では、実際に当時、どんな漫画を描いていたのかを書画カメラを用いてリアルに投影し、その間、会場が息を呑んで見守る、という体験を皆で共有しました。
あっという間に、サラサラと描いていくのは、やっぱりプロなんだなぁと実感。
デビューしてからも「自分の画風」を求めて模索していたことは、初期の作品と現在のものの違いを見れば歴然としています。
そして、ジョジョが始まって「見えないエネルギーを可視化する」というアイディアから「波紋」が生まれ、さらに担当者が「飽きた」というので(笑い)、さらにそのエネルギーや能力のようなものを「擬人化」することで「スタンド」となった、という(コアなファンならご存知かと思いますが)エピソードは、やはり「生(なま)荒木さん」から伺うとリアリティーがありました。
予定の時間を過ぎてもお話が続くので、そのまま合40分以上にわたって楽しませて頂きました。
本当に、漫画を描くのが心底お好きなのだなぁ、という印象を持ちました。
(あと、噂以上に、見た目が若い、こともすごい♫)

休憩時間に配置換えをし、続いて、AR三兄弟長男の川田十夢氏から、クールなAR(格調現実)のパフォーマンスをご披露頂きました。
川田さんは「情熱大陸」などにも出演されており、『AR三兄弟企画書』などの著書も出されています。
川田さんは「ARとユーモアでどこまで荒木飛呂彦の世界に迫れるかッ」というテーマで、リアルな画像にバーチャルな画像をオンデマンドに重ねていくクールな技術の最先端のパフォーマンスを見せて下さいました。

さらに、今回の企画を詰めるにあたって大変にお世話になった藤井直敬氏によるSR(代替現実)のプレゼンがありました。
藤井さんは本学医学部の卒業生でもあり、これまでも「脳カフェ」などでお世話になっていましたが、今回は研究室の方々にも大変お世話になり、荒木先生にSR体験をして頂くという事前の準備もして頂き、プレゼンでは、まさに直前に撮影した「荒木先生SR初体験」映像をスクリーンに映しながら、脳はリアルとバーチャルをうまく区別できないことも多い、というお話をされました。
(興味のある方は藤井先生の近著『拡張する脳』をご笑覧下さい)

プレゼン終わってのパネル討論では、科学者や技術者がどれほど「スタンド」などの荒木ワールドに影響を受けているかという側面や、ARやSRなどの新しい科学技術は、さらに作品着想のネタに繋がるかもしれないというお話で盛り上がりました。
現在はARもSRも視覚と聴覚の情報を利用・操作していますが、もし「嗅覚」なども加わったらどんな世界になるのか、楽しみですね。
二階の桟敷席に詰めてもらっていた東北大学サイエンス・エンジェルさん13名も、この機会を使ってご紹介させて頂きました。
荒木さんのこれからの作品に、リケジョ的な女性キャラクターが登場してくれるのを期待したいと思います。

荒木さん、川田さん、藤井さん、ご登壇ありがとうございました。
広報課はじめ関係者の皆様、種々のご準備等、本当にご苦労様でした!
今回、萩ホールに集まった若い方々が、さらに素敵な未来を作って下さることを心から期待しています!!!
いつか、東北大学縁の方が荒木先生に「わたしにも表紙の絵を描いて下さい!」なんてリクエストをされたら素敵ですね。

*****
今回のホームカミングデー、さらにサプライズがありました!
なんと、東北大学卒業生の小田和正さんが、東北大学のために自作の歌をプレゼント♫
東北大学校友歌「緑の丘」

【ちょっとだけ追記】
萩友会幹事の長谷川先生から司会を引き継いだ冒頭の挨拶で、「ご紹介にあずかりました大隅です。本日は、手持ちの衣装の中から、もっともジョジョ的なものを選んでみました。」というフレーズで会場から拍手を頂けたので、心の中でガッツポーズをしました♫
シルバーのIMプリーツ系セットアップで、衝動買いしたものの(たぶん)、こんな(ユニーク過ぎる)もの、いったいどんなシチュエーションで着られるのか?とお蔵入りになっていたのでした。
ちなみに、荒木先生にCellの表紙を描いてもらったら最高に素敵ですが、単行本の巻末にあるような、サラサラと描かれたファッション画のようなスケッチも、頂けたら額に入れて家宝にします。

あと、再選された仙台市長の奥山様(本学卒業生)もご来場だったので、パネルのときに質問コメントなど振ればよかったと反省……。

【リンク】
荒木飛呂彦公式サイト
JOJOVELLER完全限定版 (マルチメディア)
TORQUE with AR三兄弟
CINRA net:『情熱大陸』がAR三兄弟・川田十夢に密着、番組内で見たいAKB48を選べるアプリを開発
藤井先生の『拡張する脳』
拙ブログ:はじめての代替現実(SR)体験!
熊山准さんのブログ:荒木飛呂彦氏に会いに仙台に行く
河北新報:脳科学を紹介する仙台セミナー 漫画家の荒木さんが講演
(この中で「小説やアートは科学者にとってアイデアの宝庫」というのは、私の台詞なんですが……ww 取り上げて頂いたということはインパクトがあったということですね♫)
by osumi1128 | 2013-10-12 22:15 | 東北大学

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


by osumi1128
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31