多能性幹細胞をつくる簡便な方法:幹細胞は実はストレスで誘導される

d0028322_2225529.jpg註:本記事はSTAP細胞の最初の報道が為された直後に書かれました。その後、Nature誌に掲載された論文2本についての疑義が出され、最終的に12月26日付の調査委員会報告により、STAP細胞とされたものは、実はES細胞であったことがわかっています。

本日はサイエンスの話題でもう一つ。
理化学研究所の小保方晴子チームリーダーの研究成果が今週のNatureに掲載されました。
(右の画像は産経ニュースからの借用です)
これは、リンパ球を酸性の溶液に晒すと多能性幹細胞が誘導されるという内容で、いわゆる「山中カクテル」という4つの遺伝子導入でiPS細胞をつくるよりもはるかに簡便なやり方で済むのです!
iPS細胞誘導に関しては、その後、4つの因子を3つで済ませるとか、「2つの阻害因子」を入れて培養することで誘導できるなど、いろいろな方法がありましたが、今回の方法はさらに簡単。
しかも、iPS細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」という、「胎児のからだのどんな細胞にもなれるポテンシャルのある細胞」を誘導したのですが、今回誘導されたSTAP細胞(stimulus triggered acquisition of pluripotent cells)は、さらに「胎盤」という、胎児のからだ以外の細胞にも分化することが可能ということで、細胞運命の範囲が広いことになります。

この話を聞いて最初に思ったのは、幹細胞的なキャラクターを持つ細胞というのは実はストレスによって誘導されるのではないか、ということです。
なぜなら、数年前に東北大学の出澤真里先生らが発表されたMUSE細胞も、元々、界面活性剤を入れっぱなしにしたら多能性幹細胞が誘導された、というのが発見の経緯だったので、高ストレスという意味では今回の論文との類似性を感じました。
(データの解釈が若干異なるのですが……)

ともあれ、まだ30歳のユニット・リーダーのこれからの活躍に期待します!

【リンク先】
Natureに発表された論文:
Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency
Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency
理化学研究所:体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見
-細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導-

産経ニュース:酸の刺激だけで万能細胞作製 新型「STAP」理研が成功
毎日新聞:新万能細胞:作製に成功 早く簡単、がん化せず 理研など
朝日新聞:泣き明かした夜も STAP細胞作製の30歳女性研究者
日経新聞:理研、万能細胞を短期で作製 iPS細胞より簡単に
読売新聞:
第3の万能細胞、STAP作製…iPSより容易
論文一時は却下…かっぽう着の「リケジョ」快挙(拙コメント付き)
小保方研のweb page

by osumi1128 | 2014-01-29 22:34 | サイエンス | Comments(0)
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