週刊ダイヤモンド連載コラム#90:祝! 大隅良典先生ノーベル賞 単独受賞の快挙の背景は?

週刊ダイヤモンド誌に連載しているコラム「大人のための最先端理科 生命科学」の第90回は、大隅良典先生のノーベル賞関連記事を書きました。今週発売号(10/29日号)なので是非ご覧あれ!
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ウェブ記事はこちらからリンクされます。

実は、昨年すでに予想記事を同コラムに書いていました。

タイミングよく、今日のGoogleの検索デザインはアントニ・ファン・レーウェンフックですね♬
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単眼の顕微鏡を開発して、いろいろな微生物などを観察した方で、ヨハネス・フェルメールの「天文学者」や「地理学者」のモデルとも言われています。

「観る」という行為は科学の基本です。大隅良典先生のオートファジーの研究も、光学顕微鏡で酵母菌を観察して、うごめく粒を見出し「これは何だろう?」と不思議に思ったことが原点です。

その粒が二重膜で包まれた構造であることがわかったのは、光学顕微鏡よりもさらに小さなものまで観ることができる透過電子顕微鏡を用いた観察がなされたからです。実は、その決定的な写真を撮影したのは馬場美鈴博士という方で、日本女子大学の家政学部(当時)の卒業生でした。
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この図で大きな丸(液胞, V)の中のいくつかの小さな丸い構造が、autophacig body(AB)です。オートファジック・ボディはその後、オートファゴソームという名前に落ち着きました。(画像は、フリーで公開されているJ Cell Biol, 1992より転載しています)

その後、走査電子顕微鏡を用いたフリーズ・レプリカ観察という手法により、ちょうどオートファゴソームが液胞に融合する様子も立体的に捉えられています。無数の酵母菌の像の中から、こういう決定的な瞬間を見つけることができるかどうかは、観察者の目に委ねられていると言えるでしょう。(画像は、フリーで公開されているCell Structure and Function, 1995より転載しています)

観ることは信じること。美しい画像には真実が宿る。
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Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction.

Takeshige K, Baba M, Tsuboi S, Noda T, Ohsumi Y.

J Cell Biol. 1992 Oct;119(2):301-11.

この論文はノーベル賞の受賞論文4つのうち一番古いもの。オートファジーの実態を端的に捉えた証拠と考えられたからですね。


Analysis of the membrane structures involved in autophagy in yeast by freeze-replica method.

Baba M, Osumi M, Ohsumi Y.

Cell Struct Funct. 1995 Dec;20(6):465-71.

この雑誌は日本の細胞生物学会のオフィシャル・ジャーナルです。ちなみに著者3人のうちの真ん中がうちの母、大隅正子です。馬場美鈴博士は母の卒業研究生であり、その後も日本女子大学の電子顕微鏡室に所属されていたこともありました。あまり出回っていない情報なので、こっそりアップしておきます♬





by osumi1128 | 2016-10-24 22:18 | サイエンス

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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