ホリデイ・リード2017/2018冬

2018年はもう少し読書量を増やすことを目標にします。長い休暇の読み物を英語でholiday readsと称して、新聞社だったり大手の本屋さんだったり、あるいはビル・ゲイツのような個人でもお勧めの本を紹介されますが、こちらには読み終わった備忘録兼、未読のものについても自分を追い込む(?)ために載せておくことにします。それにしても、以前と違ってノンフィクションが多くなりましたね……。

ジョナサン ワイナー
2017年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象は「時計遺伝子の発見」でしたが、その3人の受賞者に入らなかった研究者がシーモア・ベンザ―。遺伝子は「体の設計図」ということは了解済みだった頃に、「行動を規定する遺伝子はあるのか?」ということにチャレンジされた一人がベンザー博士。絶版なのが残念です。ぜひ復刻版を!

カズオ・イシグロ, 土屋 政雄
こちらも2017年のノーベル賞絡み。文学賞のカズオ・イシグロの著書の中で今のところこちらが一番好きで読み直し。科学技術の進歩がもたらす生命倫理的な問題と「記憶」とは何か、自分の生きた証とは何かを考えさせられる。

シッダールタ・ムカージー, 田中 文
シッダールタ・ムカージー, 田中 文
しばらく前に読んでいたのですが、昨年11月の北米神経科学大会のDialogue in Neuroscienceというパブリックトークで講演されたのがムカージー博士。頭の良い人は本当に違うと改めて感動したので、Kindle版を再購入。人類とがんとの戦いの壮大な科学史であり、その戦いに挑んだ医師や研究者、研究資金援助者などの思惑の交錯という人間ドラマでもあり。

寿木けい
レシピ本を読むのが好き。作るかどうかは別として(苦笑)。学生さんにはよく「料理を作るのは好きですか?」と聞くのだが、最近は作らない方が多い。料理の段取りを考えて作るのは科学実験と似ているところがあるのだけど。こちらの本は、「きょうの140文字ごはん」というTwitterアカウントでお料理や献立をツイートされているものをまとめたもの。ツイッターでのつぶやきがそのまま本になるという営みは、日々是精進的で尊敬する。

塩野七生
歴史エッセイ『ギリシア人の物語』シリーズ完結編。塩野さん曰く「若いヒーローのアレキサンダー大王を最後に書きたかった」とのことで、アレクサンドロスを書くために、その前のギリシアの歴史から含めて書いたとのこと。歴史書を読み、調べ、考えてそれを書物にするという営みは、科学論文を作成するプロセスに似ている。それにしても、弱冠20歳そこそこでマケドニアの王となり、32歳で病に倒れ没するまでほとんど戦争に明け暮れていたアレクサンドロスの人生とは「未完」という言葉がもっとも相応しい。もう少し長い書評はいずれどこかに書くとして、この冬の傑作として記しておく。
d0028322_08365354.jpg

出口治明
『ギリシア人の物語』を再度、考えるために読まなきゃ、ということでKindle版をダウンロード(その方が休暇が明けて出張先でも読めるというメリットもあり)。拙著近刊と同じ月に上梓されたので、同級生的な感覚もあり(笑)。いえ、こちらの本の方がずっとずっと売れているのですが……。思えば歴史について書かれた本は好きでジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』なども自分の中に根を下ろしているのだけど、そういえば日本人の著者のものはあまり読んでいない。これからのお楽しみ。
そういえば、同じちくま新書で同時期に出た『集中講義! ギリシアとローマ』も読みたいのですが、これってKindle版は無いのでしょうか?

ノーム・チョムスキー
「言葉」が好きで、大学生の頃からチョムスキーやらソシュールやらの言語学についての本をそれなりに読み散らかしてきた。ピンカーの思想はちょっと合わないところがあるのどだけど、チョムスキー先生は別格ということもあり、久しぶりの新刊を1-Clickしてしまった。言語の進化というテーマは、新学術領域の岡ノ谷先生たちのグループが今年度から取り組むのですが、うちの領域「個性」創発脳も大いに関係すると思っています。

神戸 金史
年末年始のお休みの間には読めそうにないけど、読んでおかなければいけない本を思い出した。2016年7月に起きた「相模原事件」の後に出版された自閉症の息子さんをもつ方の書籍。YouTubeに上がった動画「障害を持つ息子へ」はこちら



by osumi1128 | 2018-01-02 08:33 | 書評 | Comments(0)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


by osumi1128
カレンダー