大臣による男女共同参画研修講演会

日曜日の朝なのに、8時起きして(涙)友人Kさんと仙山線に乗って山形まで。
表記タイトルの講演会に参加した。
講演者は猪口邦子大臣と、内閣府男女共同参画局推進課長、定塚由美子氏。

山形駅に降りたら、目つきの鋭いSPが点在している。
ナルホド、大臣はJRで来るのね、と思って会場の「山形テルサ」へ(このネーミングの由来が何なのか、調べ損ねました)。
友人曰く「駅からこの距離、歩かないのかな?」
「たぶん、アブナイから車だと思うよ。ホラ、あの黒塗りの車はお迎えじゃない?」
「えー、無駄なんじゃない?」
「でも、一応、大臣だからね。何かあるとマズイし・・・」

山形テルサは比較的新しい、コンサートなども開ける施設。
事前申し込みのみの講演会で、報道関係も来ていた。
「撮影はPowerPointの講演の始まる前までにお願いします」というアナウンスが入る。

仙山線の中で「今日は猪口さん、何色来てくると思う?」と友人に聞いたが、興味なさそうな反応。
「まあ、任命式みたいなことはないんじゃない?」
実際には、淡いピンクのスーツであった(計算済み、後述)。

内容は、第二次男女共同参画基本計画の骨子の説明と、「社会的性別(ジェンダー)」についての理解を求める、というところに主眼があり、「ジェンダーフリー」という言葉から生じている誤解を解くために時間を割いておられた。
「ジェンダーとは社会的性別を意味し、それは”差別”を意味するものではない」というのが、現時点での政府の見解だと明言された。
「男女共同参画推進にならない”ジェンダーフリー”」として「男女別の服装、トイレの男女色別表示、雛祭りや鯉のぼりなどの伝統的行事を撤廃すること」などを挙げ、「例えば、今日私はこのようなピンクの洋服ですが、女性だからピンクと押しつけられている訳ではない」と言っておられた。
そのために、フェミニンな印象のスタイルは計算されていたと思う。

11:20から12:00まで40分の講演の後、1つだけ、ということで質問を受け付けたが、山形県会議員とかいう男性から、イチャモン(表向きは「男女共同参画の思想的背景についての説明を求める」)が出た。
これは十分予測されていたことだが、元々は「法の下の平等」という民主主義の原点に基づく、と説明され、それ以上ツッコミはされていなかった。
気に入らなくてイチャモンつけるなら、もっと勉強してこないとね。
「元々はフーコーが・・・。また、東大のO先生とかU先生とかが、いろいろ言うておりますが・・・」なんて、本当に話も聞いてない、本も読んでないような受け売りじゃあ、議論になりません。

大臣は即行で「次のご予定」に向けてご退席。
その後、基本計画についてのもう少し詳しい説明が定塚課長から為された。
内閣府の前は(旧)労働省とのことだが、ソフトな声の方で、きっとアンチフェミニズム派の方々を前にするには、こういう印象の方が適任なのだろう。

こちらのお話の後、いくつか質疑応答が為された。
まず最初は、どこかの町長という男性だったが、「男女共同参画が進むと離婚も増えて家庭が崩壊するのでは?」という内容。
「政府が推進しようとしている共同参画は、家庭を大切にすることを謳っています」との答え。
で、この答えの後に、「拍手」が沸き起こった(!)。
こういうのは、この手の講演会ならではなんでしょうね・・・
その他、3つ4つあったが、もっと、アンチフェミニストが噛みつくのかと期待(?)していたら、東北ブロックは大人しかったです。
というか、アンチの方達ははっきり言って勉強不足。
どのくらいの方が「お仕事」で参加していたのか分からないが、「女性の労働率と出生率」が、現在、欧米の”先進国”では「比例」している、というデータをだめ押しのように定塚さんが見せたのは、それなりの啓蒙効果があったのかな、という印象だった。

とにかく、全国10ブロックを行脚して大臣自ら講演会をしている熱意と努力と体力には、心から敬意を払いたいと思う。

*****
その後、友人とさらにもう一人、東北大学の男女共同参画委員会の男性と3名で、板蕎麦をお昼に頂き、「女性研究者支援モデル事業」の作戦会議。
でもWork & Life Balanceとか謳いながら、土日にもこうして働いている私たちって、何?
by osumi1128 | 2006-04-09 23:05

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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