Stowers Institute訪問

研究者にとって、カンザス・シティーのような中西部(とある方に言わせるとin the middle of nowhere)を訪問する機会はさほど多いとは言えないのですが、ここStowers Institute for Medical Researchを訪問するのは今回で3回目。
この地方の大金持ちによって8年前に設立されたときから、ゴージャスな研究所だと思いましたが、改めてその設備の豊かさを感じました。
(HPから研究所内の様子が見られるstreaming videoにアクセスできます。)
建物の随所に木が使われていて暖かい感じがしますし、土地も建物も広くて伸び伸びとした気持ちになります。
調度品も一定以上の良い趣味で整えられていて。
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朝の9時から30分ずつの時間設定で話をする人が割り振られるというのは、Salk Instituteなどでもそうですが、結構タフではあります。
でも、最新のunpublished dataを聞かせていただくのは有り難いことですし、良い刺激になります。
自分の研究室のプロジェクトにとって参考になることも多いですし。

さて、今回面白かったのは、研究所のfacilityについてです。
「昔、ここに来たときに、マウスのケージを洗浄するロボットがあったけど」
「あ、それは今はほとんど使われていないのですが、代わりにケージがディスポーザブルになりました」
「え? ディスポーザブルのケージ???」
「はい、床敷きも給水瓶も餌も、まとめて捨ててしまいます」
うーん、それって、採算の面からはいいのだろうけど、ちょっと地球に優しくない気がするのですが……。
「あ、一応、リサイクルされるらしいです」とのことでしたけど。
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さらに、「試薬はヴェンダーで購入するシステムになっています」
「ヴェンダー・マシーンで購入???」
自分のIDを打ち入れて、指紋の認証を受けてから、モニタにリストアップされるPBSやら、0.1M NaClやら、大腸菌のLB培地やらを選んでクリックすると、ストックが入っている棚の扉の鍵が開いて、取り出せるようになる、という仕組みです。
「便利なようで、不便なときもありますよ。購入しに行ったら、目的の試薬が無かったりして。でも、自分で作ったりできないシステムになっているので、どうしようもないんです」
訪問先のPIの方に訊いたら、「やっぱり研究所全体で購入したり、共通試薬を調整することによって、コストは大幅に下がります」ということでした。
確かにそうなのでしょうが、私たち大学の研究室はそれぞれが独立しすぎているので、こういうシステムはなかなか導入できないでしょうね……。
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今回は、元ラボメンバーのSさんに、ホテルへのお迎え等も含め、本当にお世話になりました。
Sさんのボスが気を遣ってくださって、「(日本人で)Norikoと話したい人でディナーに行ったら?」ということで、母校の大学院の後輩にあたるAさんにも久しぶりに会える機会となりました。
さらに、九大N研出身のTさんや、またまたなんと、母校の大学院の後輩のSさんが夕食会に加わり、Seafoodのお店でとても楽しい時間を過ごさせていただきました。
画像はデザートのChocolate bagです(暗くてすみません)。

いよいよ明日、帰国の途に就きます。
by osumi1128 | 2008-05-22 12:28 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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