言語機能と小脳

皆さん、この二日、ブログ更新ができなかったのは、夜にDVDを見ていたからです。ごめんなさい。
(なにせ、テレビを付けたくないモードなので……笑)
一昨日は「ティファニーで朝食を」、昨日は「モーツァルトとクジラ」でした。
日曜日に突然「オードリーが観たい」モードになって、TSUTAYAで探したら「ローマの休日」と「ティファニー」があって、こちらにしました。
「モーツァルトとクジラ」は、たまたま題名から中身がまったく想像できなかったので借りてみた次第。

実は、このTSUTAYAに行くのは初めてで、会員の手続きをしたり、なんやらかんやらで時間がかかっている間に、路上駐車していた車のフロントガラスには「駐車違反」の黄色の張り紙が……。
うーん、魔が差したというべきか、途中でちょっと気にはなったのですが、まあ、お盆の最後の空いた道で、取締のオジサンは来ないかな、などと甘く考えたのが運の尽き。
初めて切符を切られまして、さっそく昨日、違反金15000円也を銀行で支払ってきました(涙……それにゴールド免許が……涙涙)。
Amazonで探した方が、ずっと安く付きましたね。
でも、そうしていたら「モーツァルトとクジラ」を観ることは一生無かったかもしれません。

この映画は、「レインマン」を書いたのと同じ方が脚本を書いていて、アスペルガー症候群の男性(ジョシュ・ハーネット)と、やはり高機能な自閉症の女性(ラダ・ミッチェル)のラブストーリーです。
ちょうど今、自閉症について勉強中なので、天のお告げだったかもしれません。
そういう意味では、路駐の違反金も無駄ではなかったかも(←ポジティブ思考)。

*****
さて、自閉症の特徴は、社会性の低下、コミュニケーションの障害、常同行動とされることが多く、これらについては動物モデルも成り立つと見なされています。
「コミュニケーションって、人間の言語機能のようなものを、どうやってネズミごときで調べられるの?」というご意見ももっともなのですが、最近では、超音波領域である程度のコミュニケーションをしていることが分かったりしています。

高校時代に心理学や言語学に興味がありましたが、よもや、そういう<文系>と扱われていた分野にも細胞や遺伝子の情報が入り込んでくるとは思っていませんでした。
自分が研究に携われる間に、これだけ脳科学が進歩したことを有り難く思っています。
「言語の遺伝子」として知られるFOXP2が見つかったのが2005年。
面白い時代になったものです。
「言語」は人間の特徴として象徴的であり、非常に興味深いものだと思うので、どのようにして成立したのか、赤ちゃんはどんな風に言語を習得していくのか、などについて、とても興味があります。

で、最近読んだ総説なのですが、「言語機能には小脳が深く関わる」というテーマです。
Ackermann H.: Cerebellar contributions to speech production and speech perception: psycholinguistic and neurobiological perspectives. Trends Neurosci 31(6), 265-272, 2008
「え? 小脳って、関係するのは<運動>とかではないの?」
はい、そうです。
言語機能のうち、出力系には運動機能が深く関わるのはもちろんですね。
小脳だけが関わるのではありませんが、発話するためには、口の周り、舌、声帯などを動かす筋肉を使わないといけません。
(うちのラボの「大隅英語塾」でも、「喋れるためには<筋トレ>しないと!」と、発音してもらうことを大事にしています。)

発話における小脳の重要性は、この総説によれば、「<音節>を素早くリズミカルな発話の単位にオーガナイズするのに小脳が働いている」という側面と、それだけでなく、「頭の中で発話(internal speech)する際にも言葉のコードを時間的に制御するのに働いている」という側面があるそうです。
これらは、脳イメージングの研究から分かってきたことです。

総説の最後の部分はFOXP2遺伝子産物の働きや、進化における意義などについて書かれていて、このあたりは、『言語科学の百科事典』の中にも同様のことを書かせて頂いた通りです(つまり、この著者のオリジナリティーのある部分ではありません)。
関連ブログはこちら
いつも思うのですが、突然変異によってアミノ酸が変わって、タンパク質の働き方が変わるかもしれない、ということは確かだと思いますが、遺伝子発現の制御領域での変異の方が、その効果はずっと大きなものになりうる、という観点に欠けているのは残念です。
発生生物学者が考えたら当たり前のことなのですが。

*****
さて、やや関連情報として、脳科学関係のシンポジウムのお知らせです。
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」主催シンポジウム:エンハンスメントの哲学と倫理—脳神経科学と人類の未来のあり方を問う−
詳しくはこちら

もう一つ、1週間以上前に電話で取材を受けていたのですが、本日の脳科学委員会に合わせて発表されたようなタイミングの毎日新聞の記事です。
ちょっと、タイトルがなあ・・・。

明日はいよいよ東北大学脳科学グローバルCOEのサマーリトリートin松島です。
理研脳科学総合研究センターとのジョイントになっています。
若い方の口頭発表も楽しみです。

*****
先日頂いたディナーのお皿より。
ガゼ雲丹の中に人参のムースとコンソメゼリーが入った前菜。
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こちらはお魚料理。ソースが二種類敷いてあり美味。
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若いシェフとマダムが頑張ってます。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
レストラン 拓
宮城県仙台市青葉区一番町2-10-1 グランディS 1階
022-211-5775

by osumi1128 | 2008-08-19 22:58 | サイエンス | Comments(0)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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