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サントリー美術館で曜変天目茶碗を観て

d0028322_22173122.jpg過日、東京出張の用務と用務の隙間でサントリー美術館の『藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美』を駆け足で観てきました。さすがに国宝。釉薬の美しさは鳥肌モノでした。個人的には、下さるというなら(←いつもの仮定のお楽しみ♬)、重文の大井戸茶碗「銘 蓬莱」よりも、小井戸茶碗の「銘 面影」が、ちょっと小ぶりで好きですね。繕ってある(金継)というのも、完璧でないモノにも美を見出す日本文化ならではの面白さがありますし。画像はこちらのサイトの33番めのものを御覧ください。

昔の掛け軸や屏風などを眺めながら、そういえば同じモチーフだったり、同じような構図だったりするものは多数あるなぁと思いました。琳派の「風神雷神図」は俵屋宗達→尾形光琳→酒井抱一と写されていますが、もっとマイナーなレベルで似ているものは多数あります。これは西洋美術でも同様ですね。キリスト教の宗教画で繰り返し描かれてきたエピソードは、受胎告知にせよ、聖母子像にせよ、どうしたって似てはいますが、それでもダ・ヴィンチはダ・ヴィンチだし、ボッティチェッリはボッティチェッリだし。

日本美術の「写し」という伝統で言えば、屏風絵を焼き物に写したり、あるいは着物にも写しがあります。もはや着るアートですね。たまたま見つけたこちらのHPのトップページに置いてある動画で、着物というフレームにどのように絵を描き、繕いや金泥などを施すのかが出ていたのでご参考まで。

ちなみに、サントリー美術館と同じフロアの雑貨屋さんというか、和デザインのお店は、日本通の外国人の方のお土産にお勧めです♬
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さすがミッドタウン、歩いているだけで素敵なディスプレイにインスパイアされます🎶
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by osumi1128 | 2015-09-21 22:20 | アート | Comments(0)

映画「Woman in Gold」を観ました

羽田発JL45便の機中で「Women in Gold」という新作映画を観ました。クリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」を巡る実話に基づいた作品です。アデーレの夫フェルディナンドの依頼によりクリムトが描いたこの肖像画は、ナチスによって不当に押収された後、オーストリアの美術館に半世紀以上。飾られていたのですが、アデーレ・ブロッホ=バウワーの姪にあたる女性が自分が遺品の正当な受け取り手であるとして、母国オーストラリアを相手に訴訟を起こすというストーリー。(画像はWikipediaより拝借しました)

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グスタフ・クリムトは大好きなアーティストで、「アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像」は彼がお得意とする、金箔をふんだんに使った装飾的な女性のポートレイトですが、この逸話は不学にして知りませんでした。マリア・アルトマンというアデーレの姪と、同じくオーストリアにルーツのある、シェーンベルクの曾孫にあたるかけ出し弁護士ランディ・シェーンベルクが、絶対に勝ち目はないだろうという裁判に挑むというチャレンジを軸としつつ、ナチの時代にどのように家族が引き裂かれ、不当に財産が没収されたのかという歴史的な振り返りが随所に挟み込まれていました。


訴訟が行われたのはマリアがすでに80歳の頃とのことでしたが、オーストラリアの国や美術館として、すでに国の宝として公開されているアデーレその他のクリムト作品を手放すことはしたくないという思惑もあり、本当に複雑でデリケートな事件だったのだと想像します。作品は現在、ニューヨークのノイエ・ギャラリーに展示されているとのこと。リアルに観に行かなくっちゃ!


ちなみに、このブログ投稿は機中より。これから羽田のラウンジ以降に届いた40件のメールを処理します……。


【追記】

日本公開は11月27日(金)からとのことです♬

映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』クリムトの名画をめぐる、奇跡の実話 - 主演ヘレン・ミレン



by osumi1128 | 2015-08-31 15:40 | アート | Comments(0)

心の復興を祈って:仙台市博物館で薬師寺のお宝を見てきた

仙台市博物館で開催されている「吉祥天女が舞い降りた! ー奈良 薬師寺 未来への祈りー」を見てきました。(画像はWikipediaより拝借)

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薬師寺でもごく限られた時期にのみ公開される国宝吉祥天女が、期間中、ずっと展示されているというのは、たいへんに有り難いことです。そのほかにも、国宝聖観世音菩薩立像、重文の四天王像、地蔵菩薩立像、弥勒菩薩坐像等、20数点が展示されていました。

吉祥天女は、思ったよりも小さく、館内の照明も暗くされているので、ヴィデオ解説を見てから、再度見なおした方が良いかもしれません。

聖観世音菩薩は銅造鍍金で艶があり、優しいお顔と若々しい体躯が印象的。普段は見られないであろう後面にも各種の飾りが施されているのが見られるのも、こういう博物館展示の有り難いところです。


また、今回、福島の能満寺というところにある虚空蔵菩薩坐像が、薬師寺の文殊菩薩坐像と同じ時期に同じ作者によって作られたのではないか、という可能性があるため、並べて展示されていました。


薬師寺は戦後も写経によって復興を目指すなどの活動をされたとのことで、今回の東日本大震災後も、管長はじめ、何度も被災地訪問もされており、今回の特別展も巡回はせずに仙台のみの開催とのことでした。「私たちは心の復興を祈ることで役に立ちたい」との管長の言葉が印象的でした。

すでに来場者は4万人突破とのこと。会期は6月21日まで。

おまけ画像:
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仙台市博物館には魯迅の碑や、伊達政宗胸像などもあります。新緑が美しい季節です。
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仙台市博物館から川内萩ホールまでは歩いて10分ほど。先日もご紹介した「カフェ・モーツァルト クレーズ・コーヒー」は週末も営業中。この日もほどよくお客さんが入っていました♬ 画像はランチの「ホエー豚とキャベツのパスタ」。
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萩ホール正面に広がる景色。今なら、カフェのベランダも気持ち良いと思います。
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by osumi1128 | 2015-05-31 21:25 | アート | Comments(0)

「アート・イン・ホスピタル」ってイイね!

主治医のいる東京都済生会中央病院を訪れましたら、あれ? これまでよりも飾ってある絵が多い?
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こちらのマティスは複製のリトグラフですが、この他にも多数、患者さんが順番を待っているエリアから見えるところに掛けられています。

ふぅん、と思って、会計を待つ間に、ふと病院の発行する冊子『Tokyo SAISEIKAI Chuo』No. 69(2013秋)を手にとって見ましたら、「”アート・イン・ホスピタル”のご紹介」という記事がありました。平成23年度から「院内に所蔵する絵画をはじめとした美術院を有効活用し、環境面でのホスピタリティーを高めること」(同冊子より)を目的として委員会が発足し、5カ年計画ビジョン2016が進行中とのこと。

『Tokyo SAISEIKAI Chuo』No. 69(2013秋)(PDF):記事は2ページ目に書かれています
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「患者さんのお孫さんが描かれた可愛らしいクレヨン画から著名な作家の作品まで様々な収蔵品」(同冊子より)を、慶応義塾大学(地元の利ですね!)の学生さんの協力も得て整理し、画像をアーカイブ化した後に、種々展示しているそうです。

素敵な試みだなぁと思いました。

東北大学病院も、1階の外来棟から南北に繋がる「ホスピタルモール」というエリアを中心に、寄贈された絵画や、院内学級(正確には木町通小学校の院内分校)の生徒さんたちの作品などが折々に飾られています。通りかかるお見舞いの方々や医療従事者の方々が、ときどき立ち止まって眺めておられるのを目にします。病院広報室が担当されているFacebookでもよく画像がアップされていて和みます(下記も数日前の記事より拝借♬)。
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ちなみに、上記の済生会中央病院の冊子で気づいたのですが、現在、秋篠宮殿下を総裁とする同病院は、2015年に100周年を迎えるとのこと。東北大学病院もちょうど今年が100周年なので、種々の行事が予定されています。不肖ながら私も6月のシンポジウム末席に登壇予定。


まだ一部残っている古い門が記念事業のロゴマークにあしらわれていて素敵。オレンジ色は病院のテーマカラーですね。
あと146日とカウントダウンされています。
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by osumi1128 | 2015-02-17 12:45 | アート | Comments(0)

「医は仁術」に見る和魂洋才

過日、国立科学博物館で開催されている「医は仁術」を観てきました。常設展は高校生まで無料ですが、さすがに特別展は大人1500円、小中高校生が600円。それでも見応え充分の企画だと思います。館内撮影自由(フラッシュや動画は禁止)というのも太っ腹。ちなみに、昨年度の来場者数は237万人に上ったとのこと。

江戸時代の各種の展示から、徳川幕府の築いた安定的時代に、日本の医学・医療のレベルがいかに高かったかが、今日の長寿に繋がっているのだと感じられました。

医学部の学生さんは必ず医の倫理の講義で「ヒポクラテスの誓い」を学ぶはずですが、それよりも日本なら「医は仁術」を伝えた方が良いかもしれません。下記は特別展HPより。
「仁」は、儒教で重視された“他を想う心”である。
古来より“和”を大切にしてきた日本で、「仁」は身分の上下なく、誰もが持つべき思想として人々に受け入れられた。
気配り、気遣い、おもてなしのように、「仁」の心は日本文化の根幹となった。
その「仁」が育んだ日本の医。それは途切れることなく脈々として今に繋がっている。
私自身は、なぜ日本の解剖図はリアルではないのか、という文化的な違いに興味があります。例えば、有名な『ターヘル・アナトミア』という解剖図譜が翻訳されて『解体新書』になった訳ですが、銅版画で描かれた図と、木版で作成された図のタッチはずいぶん違うように思われます。
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上記はオリジナル。
下記は翻訳の挿絵(裏が透けてますが……)。
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ちょっとわかりにくいかもしれませんが、銅版画の方がより細かく線が引けるので、「線で影を表す」のが西洋流。輪郭線を描いてしまうのが和風。西洋流は「光と影」で表すのに対して、和風は「輪郭」が大事。

そのような道具とスキルの違いが、認知機能にどんな影響を与えたのか夢想します。西洋医学に習って腑分けを始め、絵師にスケッチを取らせてなお、それらの絵が「リアル」ではない、でもその向うにリアルなものを見ることができるのが日本特有の認知様式なのでしょうか。漫画MANGAも輪郭中心の作風ですし。
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最後の「パラパラ漫画」のコーナーでは、女医のお母さんが主人公で、ちょっと涙腺が……。次の週末までなので、お時間のある方は是非、上野の科博にGO!

【参考リンク】
東北大学デジタル図書館:解体新書

by osumi1128 | 2014-06-09 23:55 | アート | Comments(0)

村山耕二さんのガラス

d0028322_20584632.jpg過日、仙台市の郊外、秋保に工房を構えるガラス作家の村山耕二さんの作品展を訪ねて来ました。
村山さんのガラスには、サハラ砂漠や地元の広瀬川などの砂が用いられていて、それぞれ独特の色合いを醸しだしています。
数年前にメディアテークの傍のギャラリーに立ち寄ったときに見つけて、それ以来のファンです。

今回の作品展は、ちょうど村山さんが今年のグッドデザイン賞にも選ばれたところなので、なおおめでたいことでした。

実はガラス工房の名前が「海馬」というのですが、それは「記憶に残るような仕事を」という思いを込めてとのことです。

こんど、2月か3月に石巻かどこかだったと思うのですが、地元の皆さんに各自、自宅があった土地の砂を持ってきてもらって、その砂を使ってガラスを溶かして作品を作るイベントを行うというお話だったのですが、webをいろいろと探してもその情報に行き当たりませんでした……。
どなたかご存知の方はぜひ、教えて下さいませ!
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【関連リンク】
以前に行われたワークショップ:【ワークショップ】大崎市立川渡小学校×村山耕二さん(ガラス作家)『目浴』(もくよく)~子どもたちと作る鳴子ガラス~
ガラス工芸家・村山さん(山形出身)、仙台で作品展 広瀬川などの砂を使用(山形新聞)
游BLOG:-砂の雫-村山 耕二硝子展開催のお知らせ
詳しい作品の解説が載っていたブログなのでリンクしておきます。
by osumi1128 | 2013-12-29 21:14 | アート | Comments(0)

日本間とモンドリアン

d0028322_8424252.jpg久しぶり(ほぼ1年ぶり)にお茶のお稽古に行きました。
昨日の設えは、お軸が「時雨洗紅葉(しぐれ こうようをあらう)」、お花が何の椿か伺うのを忘れましたが可愛らしい赤い椿、そして目を引いたのが「徒然棚」(もしくは「兼好棚」)という珍しいお棚です。
上部に小さな引き戸が付いていて、その中にお棗(お薄のお抹茶を入れる器)を仕込んでおけるようになっています。
お薄のお茶碗を持ち込んだときに、客の方からは「いったいどんなお茶器が出てくるのかしら?」とドキドキする(ドパミン放出!)という訳です。
淡々斎のお好みとのことですが、good designですね!
お棗を持ちながら、右手で右の戸を開け、持ち替えて左手で左の戸を開けるのは、お点前をするこちらも緊張しました。
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よく外人の方などに「お茶のお点前は何種類あるのですか?」と訊かれることがありますが、「無限の種類」があると言っても過言ではありません。
究極には「美味しくお茶を味わって頂く<お・も・て・な・し>」な訳ですが、相手が「貴人」である場合の「貴人点て」、お道具がたいそうな「唐物(からもの)」である場合、どなたかから拝領したものなどの伝来がある「飾り物」などのバリエーションがあり、季節によって大きくは「炉」(11月〜4月)と「風炉」(5月〜10月)に分かれて、使うお道具もいろいろと変わったりしますし、昨日の場合のようにいろいろな棚を使うなど、それらの組み合わせが多数あるのです。

なんでそんな複雑なことになっているかというと、そうでないとお稽古に飽きてしまうからなのだと思います。
同じお点前だけを続けていると、向上する前にどうしても飽きてしまう、それを防ぐのには、今月はこのお棚を使ってみましょう、的に目先を変えることによって「難しいね、でも面白いね」と続けることができ、そうやって何年もの間に基本の所作を身体で覚えていくのでしょう。
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ところで、本日のお題の「日本間とモンドリアン」は、お稽古しながら突然思いついたのですが、日本間は畳や障子、襖で構成されていますよね?
「これって、まさにモンドリアンの世界だ!」と閃いたのです。
もちろん、色使いという意味では、日本間はおだやかな天然の色、ベージュ、茶、paper whiteなどがベースですが、ポイント的にお花やお道具(お茶入れを覆うお仕覆(しふく)など)が加わり、さらに言えばお点前に使う袱紗(ふくさ)などが色の要素になります。
何でモンドリアンが好きなのかな、という自分の原点が日本間にあったと気付いた瞬間でした。
※画像は《黄・赤・青と黒のコンポジション》1921年を「アート/ART」というブログから拝借しました。
by osumi1128 | 2013-12-15 08:58 | アート | Comments(0)

ゴッホ展@宮城県美術館に行ってきました

d0028322_18193425.jpg久々のアート系ブログ更新です。
先々週から先週にかけては、学会が2つあって、どっぷりサイエンス漬けであったこともあり、今日は宮城県美術館で開催中の「ゴッホ展:空白のパリを追う」を見てきました。

チケットに使われている作品は「グレーのフエルト帽の自画像」という作品で、パリもしくはアルル時代に描かれたものです。
フィンセント・ファン・ゴッホは30数点の自画像を描いたとされていますが、その心理学的考察はともかく、今回8点の自画像と、1点の弟テオの肖像画が集まりました。
テオの肖像画は、これまでゴッホの自画像と思われていたものが、耳の形や髭の色などから、弟の可能性が強いという分析が為されたものです。
他にも、X線撮影による解析などにより、下に描かれていた絵が明らかになってわかったこと、絵の具の劣化のことなど、ゴッホ研究が一段と進んでいるのだとわかりました。

地元紙の河北新報さんも主催者となっていて、ゴッホ展の号外も配布されていました。
それを読んだところ、パリでゴッホがテオと暮らしていたアパルトマンの部屋が、なんと日本人の所有となっているというのです!
所有者は、鹿児島市の財団法人陽山美術館で評議員を務める会社役員の井後吉秋氏。
10年ほど前に偶然、売りに出されているのを知り、「貴重な文化財として保全したい」として購入を即決(!!!)。
河北美術展の審査員を務める洋画家の大津英敏氏が一昨年にこの部屋を訪れる機会に恵まれたということで、写真が2点、河北新報号外に掲載されていました。
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(河北新報号外より大隅撮影)
この部屋の窓から描かれたパリの風景の作品もいくつか展示されており、過去と現在が繋がったような気持ちになりました。
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新しく県美が手に入れたというルオーの版画集「ミセレーレ」からの作品も展示されており、白黒のルオーというのが新鮮でした。
小企画展:新収蔵 ルオー版画集 『ミセレーレ』

宮城県美術館は常設展として地元の彫刻家、佐藤忠良氏の作品も多数展示しています。
この作品は佐藤忠良館入り口に展示してあるものですが、同じモデルによるこちらの作品の方が有名かもしれません。
帽子・夏(ARTLOGというブログ)

県美の見どころはさらに屋外にもあります。
「アリスの庭」や建物の北側の庭は、いくつかの屋外展示作品もあり、個人的にはなんともユーモラスなフェルナンド・ボテロのものがお気に入り。
6月は仙台でもっとも緑が美しい季節なので、梅雨の合間の休日を楽しむ家族連れの方も多数おられました。
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もう一つ、県美を訪れる楽しみは、カフェ・モーツァルトが入っていること。
本館の方が「カフェ・モーツァルト・フィガロ」、佐藤忠良館の方が「同パパゲーノ」です。
フィガロのランチは1000円くらいから。
画像はキッシュのランチです♫
この季節ならテラス席もお勧め。

ゴッホ展@県美は7月15日まで、あと2週間となりました!
次は広島に巡回のようですね。
by osumi1128 | 2013-06-30 19:08 | アート | Comments(0)

もういちどプライス・コレクションを観に市博へ

今年のGWは前半、後半に分かれていましたが、前半最後の本日、もういちど若冲(その他)に会いに仙台市博物館に行ってきました。
入れ替えがあると聞いていたこともあり、前回、内覧会で駆け足で観たものと違う作品を観ることができて何より。

撮影禁止で展示品の画像は撮っていませんので、雰囲気は下記、フクヘンさんのブログをご参照あれ。
「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―」仙台市博物館

今回の気に入った作品の感想を備忘録として。
子ども向きのタイトルも付けられているのは「子どもたちに観てほしい」と願ったプライスご夫妻の意向が叶ったものです。

【27満開の梅の花/紅白梅図屏風】
作者不詳のこの六曲一双の大きな屏風図は、一面が紅梅白梅で埋め尽くされ、ところどころに短冊が描かれているのですが、梅の花の描かれ方は近くで観るととても3Dなのです。
モニタや印刷した写真では、そうういうところまではわかりません。
この絵を前にしながら宴会をしたら楽しそう、と思いました。

【34秋の草花/秋草図】
表装にも草花が描かれた「描表装」になっている鈴木守一のお軸です。
秋草と虫が配されているのですが、空間の取り方が絶妙。
そういえば、表装というのは、素材やスタイルを含めて日本で過剰ともいえるくらいに発達した訳ですが、現代では「プリクラ」にその名残があるという指摘は、思わず膝を打つものでした。

【78オニの〈しゅてんどうじ〉を退治するものがたり/酒呑童子図屏風】
こちらも六曲一双の屏風図で作者は不肖。
物語のシーンがいくつか描かれて、時間の推移が1枚の絵の構図の中に描かれているというのは、日本ならではのスタイルです。
ものすごく贅沢に金泥が使われており、その部分も3Dに塗り込められているのが素晴らしい。
退治されてしまう鬼の描かれ方の軽味が面白いです。

【92花や鳥、人や魚/課長人物図屏風】
若冲の筆による六曲一双の水墨屏風。
観た瞬間に「ピカソみたい!」と感じました。
とても洒脱な画風は天才だなぁと思います。
内覧会のときには、ちょうどこちらの代わりに「ツルさまざま/鶴図屏風」の六曲一双があり、同じような印象でした。

【20クリの木であそぶ手長ザル/栗樹猿猴図屏風】
二曲一隻の水墨画で作者は不肖。
こういうものをコレクションするプライスさんが素敵です。
こちらも空間の扱いがすっきりとしていて、ユーモラスな猿の顔や必要以上に長い手の雰囲気と絶妙のバランス。
たいへん不肖なことに、この手長ザルを見て連想したのは「殺せんせー」でした(苦笑)。

【100花も木も動物もみんな生きている/鳥獣花木図屏風】
若冲がもっとも有名になった六曲一双の屏風図です。
いわゆる「描目桝」というモザイクのような描き方なのですが、その桝の数は八万六千もあるとのこと。
私は、この気の遠くなるような作業を黙々とやり遂げた若冲のエネルギーを分けてもらいたいと思って、再度足を運んだようなものです。
釈迦涅槃図にたくさんの動物が集まって来るものがありますが、プライスさんは何よりもこの図を東北地方の皆さんに見て欲しいと願ったのでした。


図録の冒頭にプライスさんご夫妻および監修を務められた辻惟雄先生のインタビュー記事が掲載されており、今回のプライス・コレクションの東北三都市巡回展が企画された経緯が書かれています。
2011年の3月11日、TV Japanで地震と津波の報道を見て、自分たちも何かをしたいと思っていた頃、瓦礫の風景の中に美しい梅の花がテレビの画面に出てきたことがきっかけと悦子・プライスさんは語ります。
たんにお金を募金するのではなく、「美術品を東北に持っていきたい。とくに若冲の〈鳥獣花木図屏風〉を持って行きたい」とジョー・プライスさんに伝えて、それをすぐさま実行しようと思ったのでした。

相談された先が辻惟雄先生
これまでもプライス・コレクションの監修を務めておられた日本美術の専門家で、MIHO MUSEUMの館長、実は、東北大学にもお勤めになった方です。
また、日本経済新聞社の伊藤圭子さんも展覧会の実施に大きな力となられました。
ジョーさんにとっては、震災後に東北地方の方々が「食べ物もない、薬もないようなときに、よく暴動」を起こさずに株を上げたということも、もう一度、コレクションを里帰りさせても良いと思った理由の一つでした。

以下、悦子さんの言葉を引用します。
色と力強さ。こんな状態でも花が咲くのだという、それにすごく感動したわけです。東北の人も同じような色彩を見られたら同じような気持ちになれるのではないかというのがまずはじめで、もしすべては無理でも〈鳥獣花木図屏風〉だけでも持って帰ろうと思ったのです。というのは、私は震災後、もう心のよりどころがなくて、あの屏風を観ると、なにかお祈りができるような感じがしました。本当に不思議な屏風です。だから東北の人にあの一点だけでも見せてあげたいと思った。

「被災地というのは、いまだに〈色〉が無いのです」というのは、まさに、行きつけのギャラリーの方からも伺った言葉でした。
2年目の春を迎えて、震災復興はいよいよこれからが本番なのだと思います。

d0028322_21142191.jpgちなみに、本当は入場料すべて無料にしたかったそうなのですが、とりあえず「19歳未満が無料」です。
また、東北大学など指定の学校の教職員・学生の方は、市博や県美など、入場料(特別展も含め)半額ですよ!


ちなみに、市博の常設展が、いつ新しくなったのかうっかりしていました。
展示自体がリニューアルされてモダンになったこともさることながら、説明も日英中韓で書かれているので、これだったら外国人ゲストを絶対に連れて行きます!

【リンクまとめ】
展覧会公式サイト
仙台市博物館
フクヘンさんの関連ブログ
※内覧会のときの画像をアップしていなかったので、後で挙げます。
by osumi1128 | 2013-04-29 21:18 | アート | Comments(0)

時間の感覚(そしてプライスコレクションの話)

めまぐるしい1週間で、ブログ更新の時間が取れませんでした。
TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアの利用が楽になったということも、まとまった内容のブログを書くことを妨げているのかもしれません。
でも、TwitterやFacebookは、基本的にはすでにwebに載っているコンテンツの二次利用が多いので、クリエイターとしてはコンテンツを作る方にエフォート割きたいのですが、種々、本来の業務があり……。
本日は「時間の感覚」というお題です。

今週、論文が1つ受理されました。
震災前から抱えていたものだったので、これでまた一つ、肩の荷が下りました。

昔は、論文投稿するのは国際郵便で、24時間営業の中央郵便局まで抱えて走った、という思い出を共有する世代の方々も多いと思います。
今はオンライン投稿が当たり前で、原稿はタイプした紙ではなく、ファイルを用意しておいて、それをアップロードしていくのですが、これがそれぞれの雑誌のスタイルが異なっていて、結構面倒。
アップロードに時間がかかるといっても、数時間で終わる訳で、郵便で送るよりははるかに短い。
かつては、さぁ、これでオフィスから届いた(received)のお知らせが来るまでは、acceptの期待に胸を膨らませて幸せな日々を過ごせる♫ とほっとした訳ですが、今は、「これこれがフォーマットに合っていません」「この項目が抜けています」などのお知らせが半日後に届いたり、あるいは「editorial reject」の連絡もあっという間に来ます。

あるいは、PCがいろいろなタスクをマルチにこなせるようになり、一つの画面での処理が遅いと、その間にメールを見たり、他の検索をしたり……。

そんな日々を過ごす間に、自分の時間の感覚はどんどん短い単位に移行している感じがします。
「待つ」という時間が持ちにくい。
もちろん、時間の感覚は生きてきた長さに反比例するという経験則のようなものもありますが、そこに昨今のIT化は拍車をかけている気がします。

お茶のお稽古に行く時間が取れていないのも最近の残念なこと。
お稽古の間、ほんのしばしでも、
お釜の煮え滾る音に耳を澄ませたり
お香の香りで鼻腔を膨らませたり
床の間の掛け軸の字を読んだり(←読めないので時間がかかる)
季節のお花のしつらいを愛でたり
茶筅を振りながら茶碗の中の景色だけを見つめたり、
……一切の余分な脳内マルチプロセスを排除してシングルタスクにするような、そういう時間が、実はとても大事なのかもしれないと、今、本当に思います。

さて、3月はいろいろな震災復興関連イベントが目白押しの仙台なのですが、イチオシはなんといってもこちら
仙台市博物館特別展「若冲が来てくれました プライスコレクション江戸絵画の美と生命」

先日、内覧会で見てきましたが、圧巻です!
作品数も多いですし、なにせお宝満載のプライスコレクションです!!!
そして、プライスさんご夫妻は「是非、子どもたちに見てほしい」ということで、高校生以下は無料!
若冲の圧倒的な作品の前で、時間を忘れる機会をまた作らなければ……。

中身を先に知りたい方はFUKUHENさんのブログをどうぞ!
でも、実際に見たら、もっと感動しますよ!
大きさも、質感も二次元はリアルに敵いません。

「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―」仙台市博物館

それから、こちらの豪華本、監修の辻惟雄先生は東北大学教授でもあられた方ですので是非!
ザ・プライスコレクション
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画像はiPhone撮影なので、ご勘弁あれ。
by osumi1128 | 2013-03-09 11:57 | アート | Comments(0)