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大人のための最先端理科第105回に岡田節人のことを書きました

5週に1回担当している週刊ダイヤモンドのコラム「大人のための最先端理科 生命科学」に、1月17日に亡くなられた岡田節人先生のことを記しました。改めてご冥福をお祈りいたします。
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デジタル版はこちら

by osumi1128 | 2017-02-12 23:07 | サイエンス | Comments(0)

大人のための最先端理科第100回:ヒトへの応用も始まったゲノム編集の未来と倫理

ただいま発売中の週刊ダイヤモンド「大人のための最先端理科」の連載第100回を担当しました。「ゲノム編集」シリーズの最終となる第3回目で、うちの元大学院生の関係した論文のことも、少しだけ触れています♬ ご笑覧あれ!
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週刊ダイヤモンドのオンライン版でも読めます♬
大人のための最先端理科第100回:ヒトへの応用も始まったゲノム編集の未来と倫理



by osumi1128 | 2017-01-12 08:24 | サイエンス | Comments(0)

大人のための最先端理科第95回:源流は日本人研究者にあり! 4年で普及したゲノム編集

5週に1回担当させて頂いている週刊ダイヤモンドの連載コラム、本日より発売されている12月3日号に、ゲノム編集シリーズ第二弾を執筆しました♬

この記事の最後に記しましたが、ゲノム編集の最先端と、その生命倫理的な課題について、12月2日(金)に日本分子生物学会市民公開講座において専門家の間で議論します。一般公開されていますので、どなたでも参加可能です。

週刊ダイヤモンド記事で取り上げた、CRISPRの発見者、石野先生にもご登壇頂きます♬


開催日時

12月2日(金)18:15~20:15

会場

第18会場(パシフィコ横浜 会議センター 5階 「503」)

パネル討論者

石井 哲也(北海道大学 安全衛生本部 教授)
生命倫理研究者。遺伝子組換え 作物、幹細胞研究、生殖補助医療、遺伝子治療などに関心がある。

石野 良純(九州大学農学研究院 教授)
分子生物学者。1986年に大腸菌よりCRISPRを発見。

斎藤 通紀(京都大学大学院医学研究科 教授)
幹細胞から生殖細胞を分化させることに成功。

武藤 香織(東京大学医科学研究所 教授)
生命倫理研究者。とくに生殖補助医療や遺伝性疾患に関して、患者や被害者の立場からの問題を扱う。

モデレータ

瀬川 茂子(朝日新聞社科学医療部 記者)
防災、脳科学、幹細胞生物学などを専門とする。

企画

大隅 典子(東北大学大学院医学系研究科 教授)

by osumi1128 | 2016-11-27 19:48 | サイエンス | Comments(0)

父加齢の次世代への影響はもっと知られても良い

やり直しを命じられて難産でもあった共同研究論文が、本日、PLoS ONEという国際誌に発表されました(オープンアクセスなので、どなたでも読むことができます)。また、合わせて、東北大学および理化学研究所よりプレス・リリースして頂きました(リンク先よりPDFがダウンロードできます)。

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海外出張等により記者会見などができませんでしたので、拙ブログにて背景等について補足しておきたいと思います。

加齢に伴って妊孕性が減少することはよく知られていると思います。でも、実際には子どもができればOKかというと、それだけではない影響があることは、あまり知られていません。

例えば、自閉症の発症リスクは疫学研究のメタ解析(複数の報告を合わせて解析したもの)によれば、20代の父親からの子どものリスクを1とした場合に1.64倍に、統合失調症の場合は、ある報告によれば2.96倍に増加します。他にも精神遅滞、社会性の異常なども父加齢の影響があることが知られています(詳しくは、拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』を御覧ください)。

ヒトの場合には、このようなデータはあくまで「相関関係」を示していて、さまざまな影響がありえます。そこで純粋に父加齢と次世代の行動異常に「因果関係」があるのかについて、すでに野生型マウスを用いた動物実験が為されました。現時点で3本の論文がありますが、やはり学習の低下、社会性行動の低下、不安の低下などが見られるようです。

これらの背景をもとに、私たちは発達障害の遺伝的リスクの1つと考えられるPax6遺伝子の変異に着目し、父加齢の影響についてマウスを用いた実験を行いました。今回は、父側からの影響(交配時の影響や養育行動など)を限りなく少なくすることを目的として、体外受精を用いています。精子はPax6変異ヘテロ接合マウスより、卵子は常に若い野生型雌から得ています。なお、遺伝学の基本ですが、この場合に得られる仔マウスでは、理論的には1:1の割合で、野生型とPax6変異ヘテロ接合マウスが得られます。

その結果、精子を得た父が若い3ヶ月の場合と、12ヶ月以上の場合で、父から遺伝的リスクを受け継いだ仔マウスの行動に違いが見られました(ちなみに、3ヶ月のマウスは、ヒトであれば性成熟に達している若い成人期、12ヶ月は60歳前後と見積もられます)。その結果、若い精子に由来する仔マウスでは、野生型との違いは、母子分離による音声コミュニケーションのみでしたが、加齢精子に由来する仔マウスでは、この表現型は見られず、多動の傾向が認められました。

これは、同じように遺伝的リスクを受け継いだ場合に、精子の加齢具合によって次世代への影響の現れ方が異なることを示しています。

この研究はまず、動物の行動研究をする方々に向けた重要な示唆を含みます。多くの実験において、雌の週齢・月齢は気にされることがあっても、雄は「仔が生まれればOK」という認識で、かなり加齢するまで交配に用いられることがあります。しかしながら、高齢の雄に由来する仔マウスは、若齢の雄に由来する仔マウスとは性質が異なる可能性があることになります。各種ノックアウト・マウスの表現型などのばらつきや、データが再現できないことなどには、このような背景がありえるかもしれません。

もう一つは社会的なインパクトです。これまで「卵子の老化」については、ダウン症発症のリスクが上昇することなどについて広く知られていましたが、「精子の老化」については、あまり気にされて来なかったと思います。以前にも拙ブログで取り上げたDOHaD仮説では、健康状態や疾病の起源が発生期にある、ということでしたが、さらに前の世代の生殖細胞系列にまで遡れると言っても良いでしょう。

このことは、少子化に加えて発達障害の増加もあって労働人口が減少する現代において、長期的な健康対策を立てる上でも知られるべきと考えます。最低賃金などの問題もありますが、もっと子育てがしやすい社会になって、父親母親ともに若いうちに出産できるようになることが何よりも望まれます。

末筆ながら、共同研究として多数の行動解析をして頂いた理化学研究所バイオリソースセンターの若菜茂晴先生とそのチームの皆様、マウスの超音波発声の測定システムの立ち上げでお世話になったイタリア科学技術研究所のValter Tucci先生、短い時間でプレス・リリースに対応して頂いた東北大学医学系研究科ならびに本学と、理化学研究所の広報の皆様に、心より感謝申し上げます。

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ちょうど同じ日だったのですが、西川伸一先生がご自身のNPOのサイトに、論文紹介として挙げられていたものが関連するので取りあげておきます。
最後のまとめにかかれていた「自閉症を社会性の欠如ではなく、もう一つの社会性として積極的に評価することで、人類進化に対する新たな視点が生まれる。」という視点は、私自身も拙著『脳からみた自閉症』で繰り返し触れておいたことですが、人類の寿命が長くなっていく間に、父加齢の影響としてポジティブな側面もあるのではないかと妄想を広げています。

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科学新聞2016年12月2日付で記事掲載されました。許可を得ましたので、こちらに載せておきます。
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英語でのプレス・リリースも出ました!

【関連拙著・拙翻訳本】

【関連拙ブログ情報】

by osumi1128 | 2016-11-18 18:07 | サイエンス | Comments(0)

研究ビッグデータのオープンソース化:RIKEN BSIマーモセット脳アトラス

ノーベル生理学医学賞の受賞が決まった大隅良典先生は、あちこちでのご発言で「基礎研究の重要性」訴えておられます。ノーベル賞だけが科学の重要な賞ではありませんし、賞を取ることが研究の目的となってはならないのですが、次のノーベル賞受賞のような成果に繋がるための研究環境は、研究費をどのように配分するかという問題以外にも、種々の環境整備が必要です。

昨日、学部生相手のゼミで、良典先生のオートファジー論文として見なされている最初の論文を取りあげました。1992年のJournal of Cell Biologyという雑誌に掲載されたもので、発表されたのは担当の医学部医学科の5年生が生まれる前とのこと……。彼曰く、「図が拡大できなかったんです! 画質が悪くてすみません……」と驚いていました。「あぁ、印刷されたものをPDFしているだけだからね。今の雑誌のように、テキストはテキストとして埋め込まれていたり、図は別々にオリジナルサイズに拡大したりはできないのよね……」ということで四半世紀の間のディジタル化、IT化を改めて感じました。

論文の図は8つ。といっても、現在、いわゆる「ハイ・インパクト・ジャーナル」に載っているように、Figure 1がaからmまで細かく分かれている、ということはなく、いたってシンプルです。この四半世紀の間には、1つの論文で扱われるデータ量も、膨大になりました。「ビッグデータ」の時代です。

ビッグデータを得るには、もちろんそれなりの研究費が使われています。また、ビッグデータはそれを得た研究者だけで十分に解析できないものも含まれています。したがって、データ・シェアリングや、データのオープンソース化は、研究費の有効活用という意味で、より重要になっています。とくに、研究費のほとんどをまだ国の予算に頼っている我が国では、税金の有効活用という意味でも、データはオープンなカタチで再利用できることが望ましい。

もちろん、最初からそういう目的でアーカイブされるデータもあります。本日ご紹介するのは理化学研究所、脳科学総合研究センター(BSI)の「マーモセット脳遺伝子発現アトラス」です。こちらは、下郡智美シニアチームリーダーが中心となって、小型霊長類であるマーモセットの脳の切片を作製し、染色したものを高画質の画像として取り込んでデータベース化しています。研究者がマーモセットの脳の構造を理解する太助になるだけでなく、ある遺伝子はマーモセットの脳のどこで働いているか、などを調べるのに役に立ちます。
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たいへん質の高いデータベースとなっていて、下郡チームの素晴らしい技術と多大なエフォートに敬服します。ぜひいちど、ご覧になってみて下さい🎶

なお、BSIは今年、設立20周年を迎え、関連行事を行っています。利根川進先生、山中伸弥先生の2名のノーベル賞受賞者をはじめ、豪華キャストで下記のように市民公開シンポジウムが開催されます(不肖ながら末席に登壇します♬)。興味のある方はどうぞお申込みを!



by osumi1128 | 2016-10-29 11:15 | サイエンス | Comments(0)

週刊ダイヤモンド連載コラム#90:祝! 大隅良典先生ノーベル賞 単独受賞の快挙の背景は?

週刊ダイヤモンド誌に連載しているコラム「大人のための最先端理科 生命科学」の第90回は、大隅良典先生のノーベル賞関連記事を書きました。今週発売号(10/29日号)なので是非ご覧あれ!
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ウェブ記事はこちらからリンクされます。

実は、昨年すでに予想記事を同コラムに書いていました。

タイミングよく、今日のGoogleの検索デザインはアントニ・ファン・レーウェンフックですね♬
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単眼の顕微鏡を開発して、いろいろな微生物などを観察した方で、ヨハネス・フェルメールの「天文学者」や「地理学者」のモデルとも言われています。

「観る」という行為は科学の基本です。大隅良典先生のオートファジーの研究も、光学顕微鏡で酵母菌を観察して、うごめく粒を見出し「これは何だろう?」と不思議に思ったことが原点です。

その粒が二重膜で包まれた構造であることがわかったのは、光学顕微鏡よりもさらに小さなものまで観ることができる透過電子顕微鏡を用いた観察がなされたからです。実は、その決定的な写真を撮影したのは馬場美鈴博士という方で、日本女子大学の家政学部(当時)の卒業生でした。
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この図で大きな丸(液胞, V)の中のいくつかの小さな丸い構造が、autophacig body(AB)です。オートファジック・ボディはその後、オートファゴソームという名前に落ち着きました。(画像は、フリーで公開されているJ Cell Biol, 1992より転載しています)

その後、走査電子顕微鏡を用いたフリーズ・レプリカ観察という手法により、ちょうどオートファゴソームが液胞に融合する様子も立体的に捉えられています。無数の酵母菌の像の中から、こういう決定的な瞬間を見つけることができるかどうかは、観察者の目に委ねられていると言えるでしょう。(画像は、フリーで公開されているCell Structure and Function, 1995より転載しています)

観ることは信じること。美しい画像には真実が宿る。
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Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction.

Takeshige K, Baba M, Tsuboi S, Noda T, Ohsumi Y.

J Cell Biol. 1992 Oct;119(2):301-11.

この論文はノーベル賞の受賞論文4つのうち一番古いもの。オートファジーの実態を端的に捉えた証拠と考えられたからですね。


Analysis of the membrane structures involved in autophagy in yeast by freeze-replica method.

Baba M, Osumi M, Ohsumi Y.

Cell Struct Funct. 1995 Dec;20(6):465-71.

この雑誌は日本の細胞生物学会のオフィシャル・ジャーナルです。ちなみに著者3人のうちの真ん中がうちの母、大隅正子です。馬場美鈴博士は母の卒業研究生であり、その後も日本女子大学の電子顕微鏡室に所属されていたこともありました。あまり出回っていない情報なので、こっそりアップしておきます♬





by osumi1128 | 2016-10-24 22:18 | サイエンス | Comments(0)

祝!大隅良典先生ノーベル賞受賞

今年のノーベル賞受賞ニュースはシチリア島のエリーチェというところで聞きました。日本だと夕方からそわそわだったのでうっかりしていましたが、こちらでは発表はお昼間なのですね。日本の友人からのダイレクトメールで知った次第。

受賞理由はとてもシンプルに「自食作用(オートファジー)のメカニズムの発見」。素敵です。しかも、大隅良典先生の、なんと単独受賞! 本当におめでとうございます!!! 奥様の萬里子先生もどれだけ喜ばれたことでしょう。長年、御一緒に研究に携われてこられましたので。また、吉森保先生、水島昇先生をはじめとした共同研究者の方々も、この分野にノーベル賞が与えられたことを、どれほど誇りに思っておられるかと思います。

追ってまたブログにも書きたいと思いますが、ただいま学会出席中でもあり、まずは昨年、週刊ダイヤモンドの連載コラムで取りあげていた記事をリンクしておきます。
大人のための最先端理科第35回:
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by osumi1128 | 2016-10-04 02:50 | サイエンス | Comments(0)

大人のための最先端理科第80回:レトロポゾンの話

ただいま発売中の週刊ダイヤモンド(8/13・20日合併号)にて、拙コラム掲載中。トウモロコシを見たら思い出してください♬ ウェブ版はこちら
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by osumi1128 | 2016-08-15 13:27 | サイエンス | Comments(0)

大人のための最先端理科第75回

今週号に拙コラム掲載中です。電子版もあります♬
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by osumi1128 | 2016-07-06 21:34 | サイエンス | Comments(0)

新学術領域「個性」創発脳が採択されました

本日、新学術領域「多様な<個性>を創発する脳システムの統合的理解」(領域略称:「個性」創発脳)が採択されたという通知を頂きました。私たちのチャレンジングな提案が受け入れられて何よりです。関係の皆様には多大なご協力を誠にありがとうございました。

これから立ち上げで忙しくなります。追って正式なHPを立ち上げますが、研究員・技術員の募集等もあり、今年の秋には公募研究の募集も開始すると思いますので、まずは仮に拙ブログの方に掲載しておきます。とりいそぎ。

概要:
本研究領域では、多様な分野の研究者が連携し、「個性」を客観的・科学的に理解することを目指す。胎児から成人までのヒトを対象とし、行動、認知、性格等における「個性」の発現について、その脳内基盤を明らかにする。遺伝的背景がより均一である齧歯類を用い、生殖細胞形成や発達過程における遺伝・環境的な変動が動物の脳活動や行動様式に与える影響を調べることで、「個性」形成の分子脳科学的基盤を明らかにする。研究推進に必要な種々の解析システム・解析装置の開発や数理モデル構築を行う。上記を国際的なデータシェアリングプラットフォームを構築して推進するとともに、「個性」研究の孕む倫理的な問題点について整理し、社会に発信する。(申請書より)

計画研究代表者(および分担研究者):
A01:ヒトにおける「個性」創発とその基盤的研究
保前文高@首都大学東京(渡辺はま@東京大学)
若林明雄@千葉大学(瀧 靖之@東北大学)

A02:動物における「個性」創発とその基盤的研究
中島欽一@九州大学(今村拓也@九州大学)
今吉 格@京都大学
星野幹雄@神経センター(井上高良@神経センター)
大隅典子@東北大学(原 塑@東北大学)

A03:「個性」創発研究のための計測技術と数理モデル
郷 康広@自然科学研究機構
駒木文保@東京大学
冨永貴志@徳島文理大学(種村健太郎@東北大学)
柴田智広@九州工業大学

ロゴマーク案です♬ 人文・生物・理工系の融合研究であることをイメージしました。デザインは冨永先生。
(微修正してこちらが最終案です)
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【研究室HPでのご案内】チラシPDFに飛びます




by osumi1128 | 2016-06-30 16:49 | サイエンス | Comments(0)