カテゴリ:科学技術政策

  • 『経済危機のルーツ』を読んで(その2):門戸開放
    [ 2012-04-29 23:16 ]
  • 任期付ポジションについて考える
    [ 2012-04-26 23:57 ]
  • パブコメ「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂(案)」
    [ 2012-04-23 06:56 ]
  • 『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』を読んで(その1)
    [ 2012-04-19 17:25 ]
  • 日本で発行される英文科学雑誌の意義
    [ 2012-02-04 21:41 ]
  • 『シアター』を読みつつ理系キャリアパスについて考える
    [ 2012-01-07 21:07 ]
  • 科学の世界の才能教育
    [ 2011-09-09 20:19 ]
  • UCSFの大学院事情:日本は粗製濫造?
    [ 2011-08-16 07:39 ]
  • 児玉先生発言に端を発して思う科学リテラシーのこと
    [ 2011-08-05 00:31 ]
  • CDBは日本の研究所らしくない
    [ 2011-06-09 20:22 ]

『経済危機のルーツ』を読んで(その2):門戸開放

東北大学の理念は「門戸開放」「研究第一主義」「実学尊重」となっており、これは1907年の開闢の折に初代総長の澤柳政太郎が謳ったものである。
この理念に則って、1913年に日本で初めて帝国大学(当時)に女子学生3名が入学したことは、何度か拙ブログで話題にしている。

さて、先日取り上げた『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』(東洋経済新報社)』だが、著者の野口悠紀雄氏によれば、日本の経済危機のルーツと辿ると、1つには「IT化の遅れ」があり、こちらは先日取り上げたのだが、もう1つ大事なことは「アンチ門戸開放」的な政策が取られたことがあるという。
つまり、第二次世界大戦後にドイツと日本において自動車を筆頭とする「モノづくり」産業が振興する間に、英米はむしろその競争からはむしろ撤退し、代わりに情報産業を育成した、ということに加え、経済支障と経済体制が1980年代に大きな転換を果たしたことが大きく、その舵取りは「自由化」という方向に向かったのだ。


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by osumi1128 | 2012-04-29 23:16 | 未分類 | Trackback

任期付ポジションについて考える

私の所属する東北大学大学院医学系研究科では、教員すべてが任期付ポジションだ。
これは平成14年に開始され、私も平成23年の時点(任期終了の1年前)に審査を受けた。
教授の任期は10年で再任可、准教授と講師は任期7年で1回のみ再任でその任期は5年、助教は任期6年で1回のみ再任でその任期は4年となっている。
幸い、私は次の10年も東北大で教育と研究をする権利を得ることができた。

このような制度が採用された10年少し前は、「人材を<流動>させるために任期付にする」というのが「流行」だった。
日本では(多くの会社も含め)終身雇用が一般的であり、大学でも一度、助手(今なら助教)で採用された場合には、順調に成果があがっていれば講師、助教授(今なら准教授)、教授と昇進して、定年退官まで勤めあげる、というのが伝統的には理想形とみなされていた。
もちろん、A大学の助手からB大学の講師になり、C大学の助教授を経てD大学の教授になった方もそれなりの数はあるのだろうが、いちばん問題だったのは、業績のない教員でも、そのまま定年まで在籍することが多々あることだった。
いわゆる「万年助手」というキャリアパスだ。
任期制導入の裏には、我が国のアカデミア全体での人材循環もさることながら、こういう万年助手の方に任期を理由に辞職して頂くことができれば、という目論見があった。


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by osumi1128 | 2012-04-26 23:57 | 科学技術政策 | Trackback

パブコメ「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂(案)」

文科省からのパブコメ募集が締切りまで残り2週間となりましたので、こちらに記載しておきます。
科学技術・学術審議会学術分科会の下に置かれた研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会のまとめた「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂 -ロードマップ2012-」に関するものです。
生命科学系の研究は、大型の加速器やら望遠鏡を作って皆でそれを利用する、というスタイルではないので、どのようにして政策誘導型ではない基礎研究を盛り上げていくのか、とても重要な課題です。
趣旨:
科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会(主査:飯吉 厚夫(中部大学総長))では、日本学術会議が策定したマスタープランを踏まえ、学術研究の大型プロジェクト推進に当たっての優先度を明らかにする観点から、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ」を策定し、平成22年10月に公表しました。

平成23年9月に日本学術会議がマスタープランの小改訂を行ったことを踏まえ、本作業部会において、新たに盛り込まれた15計画を中心に検討が行われ、ロードマップの小改訂(案)が取りまとめられましたので、意見募集を実施します。(下記HPより転載)

募集期間:平成24年4月11日(水曜日)~平成24年5月7日(月曜日)

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by osumi1128 | 2012-04-23 06:56 | 科学技術政策 | Trackback

『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』を読んで(その1)


野口悠紀雄氏の本は『超整理法』が最初であったが、先日来『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』(東洋経済新報社)を読んでいた。
リーマンショックの後、2010年に刊行された本ではあるが、まだ賞味期限内だと思うし、「日本の経済低迷を理解するために歴史に学ぶ」として戦後の経済、バブル、そして凋落辿る部分は、歴史なので変わらない。

この本で繰り返されているのは、日本とドイツは1960年代、1970年代に工業製品の産生を強力に進めて大きく成長したが、その後、バブルを謳歌している80年代に、米英が構造改革を図ったのに対して、そのままの路線を続けた結果が、90年代の凋落の原因であるということだ。
歴史というのは皮肉なものだが、70年代にモノ作りでは日本に負けると思った米国では、さっさとIT産業に移行を図ったし、英国では経済の自由化政策によりロンドン・シティに企業と資金が集まってきた。

日本のIT化が上手く進まなかったことについて、私は多くの日本人が情報系サービスに関してのある種「胡散臭さ」を持っていることが原因なのではないかと思う。
それは、PCが広く普及した理由に「エロ動画」をこっそり見たいという欲望が隠されていたり、「2ちゃんねる」というソーシャルネットワークの活用のされ方が得てして「匿名」で「ネガティブ」なものであることから感じるのだ。



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by osumi1128 | 2012-04-19 17:25 | 科学技術政策 | Trackback

日本で発行される英文科学雑誌の意義

インドで体調を崩してから、すべての締切りが後手後手になって、ブログ更新どころではなくなっていた。
そんな間に、元学生さんの論文が1つEMBO Journalという雑誌に受理され、さらに「ハイライト記事」(Have you seen?というコーナー)に選ばれたということを、そのコメンタリーを書いてくれる方からの「おめでとう」メールで知ったのはとても嬉しかった。
苦節7年、雑誌をいろいろ変えて投稿している間に震災があったり、果てはリバイスの間にEMBO Jの担当編集者が変わったり、まったくドラマティックなプロセスだったが、ともあれ、終わり良ければ全て良し。
筆頭著者ほか関わったすべての人たちの思いが実ったのは何より。

さて、東京出張の間に『科学嫌いが日本を滅ぼす』(竹内薫著、新潮選書)を読んで、日本における科学技術振興と英語問題について考えた。



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by osumi1128 | 2012-02-04 21:41 | 科学技術政策 | Trackback

『シアター』を読みつつ理系キャリアパスについて考える

今年は年明け三が日モードからそのまま成人の日の連休に突入する方もあるのでしょうか?
今週一杯くらいは「明けましておめでとうございます」のご挨拶で大丈夫ですよね?
お年賀状を出せなかった方にこちらを(今年のネタ=研究成果は博士研究員の山西恵美子氏のものです)。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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by osumi1128 | 2012-01-07 21:07 | 科学技術政策 | Trackback

科学の世界の才能教育

この前の週末に、オフィスのディスカッション・テーブルに積み上がった書類を片付けた。
やましたひでこ氏の提唱する『断捨離』という片付け術によれば、「片付け」とは「整理整頓」ではないという。
まず、本当に自分にとって必要なものかどうかの取捨選択をすることが「捨」で、余分なモノを増やさないで断つのが「断」。
この2つが伴わなければ単なる「整理整頓」であって、またすぐに元の状態に戻ってしまう……。
「離」とは、そうやって得られた、モノに囚われない心の境地らしい。
思い至ること多々あり、とにかくこの「断捨離」教に入信することにした(笑)。
とりあえず、自宅は一部屋を除いて大きく改善。
オフィスも早くその状態まで持って行きたいのだが、まだ時間はかかりそう……。

「片付ける」のはほとんど「捨てる」に近い。
「これは将来使うかも」とか「これは大事な記録(思い出)だから」とか「これは高価でもったいない」というモノへの執着があると捨てられないが、「今の自分に必要か」で判断していく。
つまり、積み上がった書類で本当に自分に必要なものはほとんど無く、某機関から送られてきた年間活動取りまとめ冊子やら、大学事務からの書面での連絡(これは学内イントラネット整備によって、かなり減ったのだが、それでもまだある)やらは速攻でゴミ箱へ……。
だったら、すぐに捨てればよいのだが、つい、とりあえず、スペースがあると置いてしまう。

……そんな片付けをしていたときに、ちょっと発掘したものがあった。
昨年度発行された「平成20年度高等学校理科教員実態調査報告書」 と「理科教育支援検討タスクフォース才能教育分科会報告書」だ。


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by osumi1128 | 2011-09-09 20:19 | 科学技術政策 | Trackback

UCSFの大学院事情:日本は粗製濫造?

休暇申請で来ている出張だったが、先週木曜日はUCSFのミッションベイキャンパスにてセミナーやディスカッション等を行った(貧乏性)。
パルナッサスの本部から無料シャトルで30分ほどのところに、UCSFの新しいキャンパスが出来たのは、もう6,7年前のことになるだろうか……。
ここの開発はどんどん進んでいて、あと1、2年のうちに、神経関係のラボはただ今建設中の新しい建物に移ってくるらしい。
その他に、心臓専門の病院や小児病院も造られつつあって、だいぶ活気が出てきたように思う。
UCSF関係者なら例えば月50ドルで会員になることのできるスポーツジムなど、アメニティーも充実している。

休暇シーズンなので、一体何人セミナーに来るかと思ったが、30人弱くらいで和やかな雰囲気でできた。
開始を10分程度遅らせて待っている間に、震災関係の説明をしたのだが、ジョークスライドを思いついたので、次回に使おう(シメシメ……)。
今年いっぱいは皆さん「どうだった?」と訊かれるからね。

セミナー前に午前中から一人1時間ずつ取ってアレンジして頂いたディスカッションは、サイエンスの話も面白かったが、ここでは、教育関係のエフォートが高いLuis Reichardt博士に伺った「UCSFの大学院プログラム」について紹介しよう。



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by osumi1128 | 2011-08-16 07:39 | 科学技術政策 | Trackback

児玉先生発言に端を発して思う科学リテラシーのこと

本日はRISTEX社会技術研究開発センター主催によるシンポジウム「震災からの復興を<活力ある街・地域>創りにつなげる~地域の「潜在力」を引き出す社会技術~」が仙台国際センターで開催され、最後の統括パネルディスカッションを聴きに行った。
有本さん率いるこのRISTEXは独立行政法人科学技術振興機構の傘下にあり、「人々や社会が抱える問題の解決のために、多くの方々の協働の場となり、知識や経験が地域・分野・組織などの境界を越えて広がっていくプラットフォームになることを目指す」と謳っている。
今回のシンポジウムは、種々の東北地方再生復興プロジェクトの紹介や問題点の指摘が中心。
4月の学術会議総会の折に「ペアリング支援」を提唱された石川幹子先生@東大も御登壇されていた。

有本さんから「何かご意見を」と振られたので、今回の東北地方の震災復興は(ここでは原発関係は含めない)、戦後のものとは違って、エリアが広いが日本全体ではないこと、昨日までの普通の暮らしが無くなってしまったこと、被災状況はパーソナルであることなどを指摘し、復興プロジェクトの中に「心のケア」を常に年頭に置いて欲しい、職場や職業が失われた人達に一刻でも早く仕事をしてもらえるようにすべき、ということを話した。

その冒頭に「今日は原発関係のことには言及しませんが、こういう状況においては科学コミュニケーションが一層大事であると考えています」と言ったのだが、本当は次のようなことを話したかった。


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by osumi1128 | 2011-08-05 00:31 | 科学技術政策 | Trackback(1)

CDBは日本の研究所らしくない

先週6月2日〜4日にかけて、Neurogenesis 2011という小規模な国際会議のオーガナイザーとして理化学研究所発生再生研究センター(CDB)を使わせて頂いた。
もともとAbcam社という抗体等のメーカーさんがサポートしている国際会議で、今年は松島で開催する予定が3月11日に震災となり、一旦は中止か、と思ったのだが、CDBの松崎さんが「良かったら会場使って」と仰り、Abcamさんも「いいですよ、やりましょう」ということだったので、「じゃぁ、16年前の阪神・淡路大震災からの復興の象徴の地、神戸開催」というのもシンボリックでいいだろう、と考えた。



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by osumi1128 | 2011-06-09 20:22 | 科学技術政策 | Trackback