カテゴリ:東北大学( 245 )

7月はゲスト対応月間でした

5月末まで取り込んでいたので、今年は7月になってから外部講師によるセミナーが多くなりました。

トップバッターはフロリダ大学の染谷慎一先生。共同研究者です。創生センターの感覚器コアセンターと脳神経科学コアセンターとの共催かつ東北医学会特別講演として星陵オーディトリアムで行いました。
染谷先生は加齢性難聴研究のオーソリティーですが、さらに最近では加齢の男女差に注目されています。仙台には2日間滞在され、東北メディカル・メガバンク機構の見学などもされました。
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続いて、京都大学腎臓内科の柳田素子教授です。決して発生はご専門ではなかったのですが、無理を言って7月11日に医学部医学科2年生対象の「発生学」の特別講義をお願いしましたが、学生の評判は素晴らしいものとなりました♬ 学生さんの質問にも丁寧に答えて頂きました。心から感謝致します!
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さらに、その日の夕方からは、腎臓のコアセンターと脳コアセンターの共催でのセミナーも。
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柳田先生、ありがとうございました!

続いて、7月14日に、東大薬学の一條秀憲先生をお招きして、創生センターの第1回基礎部門合同セミナーとしてのトークをして頂きました。
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恩師にあたる宮園浩平先生と、留学先のボスCarl-Henrik Heldin先生の画像を。
そして翌日には、歯学部発生学の枠での特別講義をして頂きました。実は一條先生は大学の同級生で、まさに実習室での席も背中合わせという近い関係。歯学部の学生さんたちに、研究の面白さが伝わったものと思います。(画像の写りが悪くてごめんない)
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そして、7月最後のゲストは、元北米神経科学学会会長、コロンビア大学のCarol Mason教授でした。第39回日本神経科学大会の特別講演に招聘されていたので、厳しい日程の中、さらに東北大学まで足を伸ばして頂きました。
前日、仙台駅までお迎えした後、2時間コースで、瑞鳳殿→青葉城址→大崎八幡と回りました。
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セミナーは東北医学会特別講演として開催され、最新のunpublished dataもたくさん披露頂きました。アルビノと視神経投射との関係は、とても不思議です……。今後の展開が楽しみ。また、Cyclin D2に関する共同研究も進めたいと思います。
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by osumi1128 | 2016-07-24 09:53 | 東北大学 | Comments(0)

第一回七星賞授賞式&浅田次郎先生講演会

毎年、第三土曜日は、東北大学医学部の艮陵(ごんりょう)同窓会の総会が開催され、合わせて各種授賞式と記念講演会が行われます。今年は新たに、女子大学院生奨励賞(通称七星賞 Nanase Award)の授賞式と最優秀賞の方の講演が加わりました。

【受賞者】
櫻井美奈子氏〈最優秀者〉(病理診断学分野)
神林由美氏(皮膚科学分野)
石木愛子氏(老年医学分野)

七星賞のネーミングは、北本哲之先生。医学部のロゴマークの北斗七星にちなんで、七星を「ななせ」と読みます。昨年、東北大学医学部百周年を記念して創設されました。詳しくはプレスリリースを参照下さい。また、追って河北新報に記事が掲載される予定です。
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受賞講演者の紹介をされる朝倉京子先生。
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櫻井美奈子さんの講演。たいへん立派でした。これからも、この賞を雪だるまの核にして頑張って下さい♫
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河北新報の取材を受けているところを横から撮影。追って広報室に撮影して頂いた画像を載せましょう。

今年の講演会は著名な小説家の浅田次郎先生でした。毎年、幹事学年の同窓生有志が人選、招聘を担当します。
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うーん、さすが直木賞作家! この文字は「読書尚友」……ですよね???

【関連拙ブログ】

自然災害だけで滅んだ街は無い(2012年):艮陵同窓会講演会における塩野七生氏の鼎談など。




by osumi1128 | 2016-05-21 23:05 | 東北大学 | Comments(0)

創生応用医学研究センターシンポジウム盛会御礼

数カ月にかけて準備をしてきた創生応用医学研究センターシンポジウム「基礎研究から切り拓くメディカルサイエンス」が、昨日、無事に終わりました。ラボメンバーや総務課ならびに財務室の方々、共催となってい頂いた大学病院附属臨床研究推進センター(CRIETO)、ご来賓のご視察に対応頂いた東北メディカル・メガバンク機構の皆さま、誠にありがとうございました。用意した100部の資料が無くなり、ご来場者は120名ほどに上ったと思われます。(立看以外の画像は広報室提供)
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里見総長からの開会のご挨拶に始まり、日本医療研究開発機構の菱山豊様からご来賓を代表してお祝辞を賜り、下瀬川研究科長からは、東北大学医学部・病院百周年に触れつつセンターの沿革や改組の内容についてお話しいただきました。
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その後、連携の深い部局として山本メディカル・メガバンク機構長および東谷生命科学研究科長からのお話を頂いた後、今回、立ち上がりました3つの部門について、まずは五十嵐先生(基礎研究部門)からご紹介頂き、さらに数名の先生方からもご自身のご研究について話して頂きました。

コーヒーブレイクを挟んだのち、片桐先生(疾患研究部門)および下川先生(トランスレーショナルリサーチ部門)からも同様に、部門のご紹介をして頂き、さらに具体的な研究事例の発表をそれぞれの先生からして頂きました。通常、基礎→トランスレーショナルリサーチ→臨床へと繋がりますが、片桐先生は「基礎研究→基礎研究を取り入れた疾患研究→出口としてのトランスレーショナルリサーチ」という捉え方を紹介され、なるほどと思いました。

結局、プレゼンを行った方の数は18名。実に個性あふれる発表でした。東北大学のメディカルサイエンスを広くカバーできたものと思いますが、ご発表頂いていない創生センター関係者にも多数のスターがいます。

文科省ライフ課長の原様、経産省生物化学産業課長の西村様には、シンポジウム終了後の交流会においてご来賓のご挨拶を頂きました。交流会には伊藤理事、進藤理事にも駆けつけて頂き、伊藤先生から乾杯のご発声を賜りました。

これから、創生センターとしての活動が見えるように邁進する所存です。ご支援どうぞよろしくお願いいたします。




by osumi1128 | 2016-03-23 18:56 | 東北大学 | Comments(0)

レスター大学およびユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とのジョイントイベント

東北大学ではスーパーグローバル大学創成事業として、国際共同大学院プログラムの設置を準備しています。そのうちの1つのNeuroGlobal大学院プログラムの立ち上げに関わっており、3月は2つのイベントを開催しました。

両方とも英国からの来訪者を迎えて行ったのですが、1つはレスター大学から英語のライティングの10日間集中講義で、2名の講師を迎え、12名の大学院生・若手研究者が受講生として参加しました。また別の折に詳しくご紹介したいと思いますが、この10日の間に参加者は大きく成長したことでしょう。ライティングだけでなく、スピーキングやプレゼンテーションについてもご教示頂いたようです。非常に良かったという感想を聞いていますので、ぜひ来年も行いたいと思います。

もう一つは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)から大学院生5名と教員2名を迎えて、東北大学の研究動向や研究環境を知ってもらう短期研修。「さくらサイエンス」と同様のプログラムで、毎日、4つ程度の研究室を訪問して話を聴くのは、けっこうハードであったことと思います。私も1コマのレクチャーを担当し、さらに東北メディカル・メガバンク機構の見学ツアーに同行しました。
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UCLから来訪されたお一人の大沼信一先生は、何度か拙ブログでも取り上げていますが、東北大学理学部のご出身で、現在はUCLのOphthalmology Instituteの要職に付かれています。もう一人、Prof. Maria Caitは、イスラエルの出身で高校卒業後に日本に滞在されていた日本贔屓。お二人のお子さんを育てつつ、ご主人はパリでやはり神経科学の研究をされています。

どちらのプログラムも、医学系研究科国際交流支援室の助教、周先生にたいへんお世話になりました!

UCLとの連携については、授業料のギャップが大きいので(UCLのマスターは年間£2,000とのこと!)、マーストリヒト大学等と行っているような交換留学的なプログラムでは無いフレームワークで進めたいと考えています。打合せでは、Super NeuroGlobal Graduate Studentのような制度ができないか、なども議論されました。

2018年立ち上げに向けて準備を進めます。詳しいことが聞きたい方は、どうぞ以下の大学院説明会にお越し下さい!

【生命科学研究科大学院説明会】
(東京)5月14日(土)13:30~15:00
 会場:フクラシア東京ステーション会議室 (6階)
(仙台)5月21日(土)10:00~14:00 入試説明会
 会場:生命科学プロジェクト総合研究棟講義室
【医学系研究科大学院説明会】
(仙台)5月28日(土)10:00〜12:00
 会場:星陵オーディトリアム 2階
(東京)6月11日(土)13:00〜15:00
 会場:未定

by osumi1128 | 2016-03-18 12:50 | 東北大学 | Comments(0)

創生センターシンポジウム開催のご案内(3/22)

主催するシンポジウムのお知らせです。

東北大学大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センター(United Core Centers for Advanced Research & Translational Medicine, ART)では、14のヴァーチャルなコアセンターから構成されていますが、昨年7月に若干の組織改編を行い、3部門制をとることになりました。このことを受けて、センターの現状を広く周知すべく、「基礎研究から切り拓くメディカルサイエンス」というテーマで、東北大学病院に附属する臨床研究推進センター(CRIETO)とともにシンポジウムを開催致します。参加費無料(交流会会費は1000円)。奮ってご参加下さい。
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by osumi1128 | 2016-03-16 21:04 | 東北大学 | Comments(0)

第5回東北脳科学若手の会ウィンタースクールに行ってきた

今年で5回目となる「東北脳科学若手の会ウィンタースクール」に参加して来ました。主催は脳科学若手の会東北部会なので、まぁ、監督というかお目付け役というか、そんな立場です。2月に合宿形式で基調講演を2〜3題、若手自身による口頭発表とポスター発表を行うのですが、手作り感に溢れた勉強会で、今年の参加者は40名余。遠く沖縄、岐阜、京都などからも。また、元スタッフのOBの方たちも集まりました。今朝は4時頃まで、基調講演者の一人、上田泰己先生と語り合ったとのこと。佐々木拓哉さんは脳科学若手の会立上げに尽力された方。3人めの基調講演者は臨床心理士の資格も有する袴田優子先生。
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1日目の終了時の集合写真。
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袴田先生のご講演タイトルは「心理介入アプローチに関連する神経基盤」。脳科学はカバーする範囲が広いです。
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佐々木先生は元東北大学薬学の出身。現在は東大薬学池谷研で助教。直近の論文発表は過日、Sci Reportsの発表で話題になりましたね(下記のリンク先が日テレの報道です)。
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上田先生の表紙スライドがスーラだったのですが、途中でその謎解きがありました。組織を透明化して全細胞カウントするのが、あたかも点描のように、という意味でした。
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ポスターが剥がれる事件(数年前にもありましたが……ww)にもめげず、座敷でのポスター発表は大盛り上がり。
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合宿ならではの雰囲気ですね。
これからの研究のエネルギーやヒントになったことと思います。皆さん、お疲れさまでした。若手の会東北部会代表の五十嵐さん、実行委員長の榊さんはじめ、スタッフの皆さん、ご苦労様でした!
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by osumi1128 | 2016-02-21 21:08 | 東北大学 | Comments(0)

「グローバル・ヘルスR&Dと日本の未来」について考えた

先週火曜日は「グローバル・ヘルスR&Dと日本の未来」というセミナーに登壇しました。折しも新たに「ジカ熱」問題が浮上しつつあるタイミングで、微生物学分野の押谷仁先生のグローバル感染症対策についてのお話の後、自分のトークでは東北大学医学系研究科を中心としたグローバル化に向けた取組みについてご紹介しました。
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医学部学生さんなども参加していたので、NPO法人日本医療政策機構(HGPI)エグゼクティブ・ディレクターの宮田俊男先生のお話は刺激になったことでしょう。HGPIは日本学術会議会長も努められた黒川清先生が立ち上げられた医療政策のシンクタンクです。
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宮田先生は、早稲田大学理工学部で人工心臓を作る研究をされた後に、大阪大学の医学部に入り直して心臓外科医となり、さらに厚労省の医系技官として国の政策に関わり、2013年からNPO法人を本務としつつ、内閣官房戦略推進補佐官や京都大学、大阪大学、東北大学で客員教授もされています(各種の立場の名刺の入った箱がインパクトありました……)。

冒頭のジカ熱のような新興再興感染症の問題は、「グローバル・ヘルス」としてわかりやすい事例だと思いますが、グローバル・ヘルスは「国際保健」という従来の日本語を超えた概念として捉えられることが多いと思います。地球上の格差問題をどのように捉えるか、開発と自然保護のトレードオフなど、いろいろな観点が考えられます。例えば、iPS細胞を用いた移植医療ができれば、患者さん自身の細胞を使えるので、組織適合性の問題は無くなります。しかしながら、このような医療は一人あたり数百万円のコストがかかる、「超贅沢」な医療となってしまいます。相当のコストダウンを検討していく必要があるでしょう。

思えば、昨年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象はまさに、グローバル・ヘルスの考え方に基づいたものであったとも言えます。グローバル・ヘルスに関わる人々の多様性も、単なる「保健」ではない時代になっていることを認識させます。ちょうど、UCLAのグローバルヘルスについての会議のポスターデザインが象徴的でとてもわかりやすかったので載せておきます。
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講演の後、短い時間ではありましたが、HGPIフェローの乗竹亮治氏をモデレータとしてパネル討論を行い、フロアからも質疑応答を受けました。このような分野に興味を持つ学生さんが増えてくれたらいいなと思いました。HGPIではインターンシップなども受け付けているそうです。

【参考リンク】

by osumi1128 | 2016-02-07 22:59 | 東北大学 | Comments(0)

農学部FDにて男女共同参画講演

先の月曜日、農学部のファカルティ・ディベロップメント(FD)に呼ばれました。お題は「男女共同参画」。かれこれ10年になる持ちネタの一つになっています。

農学部はあと1年くらいで、雨宮キャンパスから新青葉山キャンパスに移転予定。おそらくこちらの大講義室で講演するのは最後かもしれません。かつては「生化学大学院合同講義」でオムニバス講義の1コマを担当していました。60分の持ち時間、荒川静香さんと羽生結弦君のスライドも入れつつ、80枚くらいを話しきりました。

下記のイラストはOECDのGender Equalityに関するパンフレットから取ったもの。「業績主義」といっても、重荷が違う状態で同じトラックを走れ、というのは、それでいいのでしょうか?という問題提起の図。
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男女共同参画の問題は、女性にばかりこれ以上フォーカスしても変えようが無いように思います。今回、プレゼン準備をしていて見つけた資料がこちら。
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日本の女性は男性の4.82倍も家事労働の負担が大きいことを示したものです。「すくらむブログ」というところから拝借しました。
こうなる理由はというと、男性の働き方に問題があるからです。

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上記は休日も含むのですが、日本の男性は週43.75時間勤務していることになります。え?普通? ですよね……。という日本が世界から見ると大きくかけ離れているのがわかると思います。フランスの男性の倍以上働いているのですね。
週5日勤務として数字を出すと、平日に8.75時間勤務していて、さらに通勤時間がかかると……そりゃー、家事する時間は無いですね。

でもって、女性の場合には、このような男性と同様に働いて、なおかつ家事も行うべきという社会的なプレッシャーがあったとしたら、「女性活躍推進法」は、超パワフルな女性しか活躍できないことになってしまうでしょう。

それにしても改めて見直すと、やっぱりフランスがダントツに短いのは、バカンスが長いからなのでしょうね……。それでも国として成り立っているのだとしたら、日本も皆で合理的な働き方になるように考えた方が特でしょうね。

確かOECDの会計も2年に1度の決算と聞いたことがあります。そうすると、年度末のシメをしないで済む年が2年に1度はあるってことだから、「今年は楽ね」というほっとする年回りに少しリラックスすることができるのでしょう。



by osumi1128 | 2016-02-06 22:40 | 東北大学 | Comments(0)

カプサイシンは誤飲予防になる!

本日のGoogleトップページのミニゲームに気づいた方はどのくらいいるだろう? 白衣の男性はウィルバー・スコヴィルといい、1912年に唐辛子の辛さの測定を行っった研究者で、唐辛子にどのくらい辛味成分のカプサイシンが含まれるかという基準値は彼の名前を冠して「スコヴィル値」と呼ばれている。さて、カプサイシンの効能はいろいろあるが、我が東北大学で面白い研究成果が報告されていることを思い出した。
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2010年に公表された記事等が残っているが、要するに、カプサイシンが老人性の「誤飲」の改善に役立つという内容である。
東北大学加齢医学研究所老年医学分野HPより)
食事の際、むせこむことはありませんか?また、食後に痰がたくさん出ることはありませんか?誤嚥のおおもとは脳の機能低下にあります。気管の方へものが入ると咳がゴホンゴホンと出ますが、これは脳の働きで誤嚥したものを掻き出そうとしているのです。咳は不快なものですが、もしこのゴホン ゴホンが出なくなってしまったらどうなるでしょうか?これが、誤嚥性肺炎なのです。誤嚥性肺炎を繰り返すと食事ができないため、当然のことながら低栄養となり痩せてきます。摂食・嚥下・栄養外来では、嚥下反射の程度、・咳反射の程度を検査し、合わせて誤嚥性肺炎を引き起こしている脳の病気と栄養状態を調べます。塩酸アマンタジンやアンジオテンシン変換酵素阻害薬等による誤嚥性肺炎予防法のみならず、カプサイシントローチや黒胡椒によるアロマセラピー(嗅覚を介した薬物送達術)を開発しています(平成18年7月24日付け、朝日新聞掲載)。このようなアプローチで胃瘻造設を回避出来た例があります。

健康食品として初の製品化‐誤嚥の改善にカプサイシンが有用 山田養蜂場

上記のように、山田養蜂場との共同研究の成果を含むようであるが、平成19年に東北老年期痴呆研究会で報告された、より詳しい内容は以下のPDFで読むことができる。


老人の誤飲は結果として肺炎を招くことが多い。誤飲性肺炎は高齢者の死因の上位に位置することはよく知られている。上記の報告におけるTRP受容体というのは細胞の表面でカプサイシンをキャッチするタンパク質であるが、喉の奥で反射に関わる神経細胞をカプサイシンで刺激しておくと活性が高まって、食道と気管の弁の反射の失敗を防ぐことができる、ということなのだろうか? 
(画像はウェブより拝借しました)
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この発想を試す根拠として、上記、東北大学老年病態学講師(当時)の海老原覚先生の報告書によれば、高齢者の嚥下反射(飲み込む反射)について、飲み込んでもらう蒸留水の温度を種々変えてみたところ、体温に近い30-40℃のときに潜時が長く、低いか、もしくは高い温度では潜時が短いという調査結果を得た。要するに、人肌近い水の方が誤飲が起こりやすいことになる。
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そこで、海老原先生は温度受容体を刺激することを思い至ったようだ。報告書の中では、爽やかな、もしくは冷たい感覚を与えるメンソール入のゼリーや、熱い、もしくは辛い感覚を与えるカプサイシン含有トローチなどの効果を調べられたのだ。

ともあれ、もしこれが正しいとすれば、食事の前に、まずはキムチを前菜に、というのが、高齢者の誤飲予防に繋がるのだろうか??? 残念ながら、これ以上は筆者の専門とするところではないのでわからない。ちょうどGoogleさんのトップページがカプサイシン関連だったので、で東北大学発の成果について思い出した次第。(キムチの画像は某焼肉屋さん@仙台にて大隅撮影♬)
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by osumi1128 | 2016-01-22 22:33 | 東北大学 | Comments(0)

哺乳類は「乳房類」:小川眞里子先生のご講演など@第12回東北大学男女共同参画シンポジウム

BMB2015@神戸から戻ったら、仙台は雨まじりの寒い日でした。掲載の時期が前後しますが、11月21日に第12回東北大学男女共同参画シンポジウムが開催され、種々、興味深いお話を伺ったので、いくつか残しておきます。
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総長の開会ご挨拶ならびに、文部科学省研究振興局長の小松弥生様のご来賓お祝辞の後、昨年から始まった「澤柳政太郎記念東北大学男女共同参画賞」の授賞式がありました。今年は、自然科学系分野で長年、男女共同参画や女性研究者育成支援にご尽力されてこられた大坪久子先生@日本大学薬学部にA賞が、若手向けのB賞はグループ受賞で「新大Wits」が受賞となり、短い講演が為されました。
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大坪先生はご留学先のストーニーブルック時代に米国で男女共同参画運動が推進されており、帰国されて日本の現状を変えなければと思って、日本分子生物学会に男女共同参画ワーキンググループを立ち上げられ、その後、男女共同参画委員会になりました。種々の学会が連合して情報交換などを行う男女共同参画学協会連絡会でも活動され、大規模アンケートに基づいた種々の提言などをまとめられました。それらの成果の一つは、日本学術振興会のRPD制度です。出産育児などで一時、研究活動を中断された方(男女問わず)が「リスタート」するための支援としてのPD枠を設けたもので、これは順調に運用されています。東大を退官された後も、女性研究者の「Visibility調査」などを続けてこられました。私にとっては、男女共同参画について無知な頃から種々教えて頂いた先輩の女性研究者のお一人です。今回の東北大学からの賞が、さらに大坪先生のご活動に活かされてほしいと願っています。
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「新大Wits」の活動は、東北大学サイエンス・エンジェルをお手本としたものということですが、女子大学院生だけでなく、男子も参画。出前授業やサイエンス・セミナーなどを開催されています。今回は代表の中野享先生が活動の様子を披露されました。
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さて、基調講演のお一人は、三重大学名誉教授の小川眞里子先生。東大教養のご出身でもあり、ご著書も多数あるのでご存知の方も多かったのではと思いますが、「近代科学の歴史とジェンダー」というタイトルでご講演頂きました。イントロで「リカちゃん」のプロフィールご紹介。「数学は苦手」というキャラクター設定は、多くの女子に(そしてその親などにも)「女子は数学は苦手」という意識を刷り込んでしまうのでは、というつかみから始まり、話はヴェサリウスの時代へ。男性の骨格の隣に置かれたのは、人間以外の動物で、当時もっとも知性があると思われていた「馬」。さて、女性の脇に置かれた動物は何でしょう???

答えは「駝鳥」!
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なぜ、駝鳥なのかというと、骨盤が大きい、大きな卵をたくさん産む、頭は小さい、首が細くて長い、という点が「女性らしさ」を表すということだったのです。(ここでも小川先生は駝鳥の卵の模型を持参され、それを会場の聴衆に渡すなどの、科学コミュニケーションとして素晴らしいスキルを発揮されていました♬)
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その次の話題が、リンネにより四足動物に「Mammalia ママリア」という分類名がどのような経緯や背景で付けられたのか、ということ。日本語では「哺乳類」なのでわかりにくいですが、「mamma」というのは「乳房」を意味します。つまり我々は「乳房類」なのです!

この背景には、当時は「乳母」の制度が普通で、地位の高い方の家庭が、子どもを地位の低い「乳母」に育てされる、乳母をする女性も、自分の子どもはさらに貧しい母親の乳母に預ける、ということが一般的であったとのこと。そのために乳幼児死亡率も非常に高かったのを改善するには、「子どもは母の手で、母乳で育てることが重要」という意識の醸成を図る必要があり、そのキャンペーンに一役買ったのが、科学者のリンネだったという訳です。
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つまり「母性愛」とは、自然や本能としてに備わったものではなく、近代が生み出した歴史的な概念、というのが小川先生の主張です。詳しいお話を知りたい方は、ぜひ、こちらの小川先生のご高著『甦るダーウィンー進化論という物語』や、翻訳された本『女性を弄ぶ博物学ーリンネはなぜ乳房にこだわったのか?』を御覧ください。

もう一人の特別講演は、明治学院大学の柘植あずみ先生。「男女共同参画は科学と高等教育をいかに変革できるか?」というタイトルで、生殖医療について男女共同参画の観点からの問題点をご指摘になりました。ご自分のHPでも発信されていますので、こちらを御覧ください
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さて、気づかれた方がおられれば、すばらしい目の鋭さと思いますが、上のポスターに掲げた試験管の中の二重らせんデザインは、実は「逆向き」です! 実際には、こういう逆向きの二重らせんも世界には存在するのですが、多くは反対向き(時計回り)です。つまり、現状で、まだまだマイノリティーである女性を象徴していたのでした!





by osumi1128 | 2015-12-05 10:46 | 東北大学 | Comments(0)