カテゴリ:書評

  • 『精神医療過疎の町から』を読んで考える医学部新設問題【加筆】
    [ 2012-05-08 22:59 ]
  • 書評『レインツリーの国』
    [ 2012-05-04 23:46 ]
  • 『福島原発事故 内部被ばくの真実』
    [ 2012-04-06 01:21 ]
  • 『心と脳 ーー認知脳科学入門』(岩波新書)をお勧め!
    [ 2012-03-29 00:09 ]
  • 『ピアニストの脳を科学する』(古屋晋一著、春秋社)
    [ 2012-03-18 00:48 ]
  • 『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』【ちょこっと加筆】
    [ 2012-01-28 19:36 ]
  • 『フェルメール 光の王国』
    [ 2011-12-02 00:20 ]
  • 書評:自分のアタマで考えよう
    [ 2011-11-05 00:11 ]
  • 新刊本お知らせ「科学者の本棚」
    [ 2011-10-06 23:26 ]
  • 大人の絵本『ちいさな ちいさな王様』
    [ 2011-08-26 21:57 ]

『精神医療過疎の町から』を読んで考える医学部新設問題【加筆】

大学の同級生が皆、歯学部か医学部なのは、今になって思うと多様性に欠けて残念なのだが、もはやいかんともしがたい。
医学部にはいわゆる「学卒」の同級生もいて、18歳で入学したときにはエラく年上に思ったが、だんだん年齢差の絶対値が暦年齢に比して相対的に小さくなってきた。
そんな昔の同級生、阿部恵一朗さんが昨年、みすず書房から上梓した著書がけっこうな評判となって、読売新聞の「本よみうり堂」やら毎日新聞の「人」やらに取り上げられたらしい(パチパチ)。
タイトルが『精神医療過疎の町から 最北のクリニックでみた人・町・医療 』という。
うーん、やはりタイトルは大事だ……。




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by osumi1128 | 2012-05-08 22:59 | 書評 | Trackback

書評『レインツリーの国』

一昨年くらいから有川浩がマイブームです。
図書館戦争シリーズを読破し、自衛隊等の三部作、『シアター!』などをこなして、『三匹のおっさん』も通過、一番最近読んだのが『レインツリーの国』(←イマココ)。

『図書館内乱』のスピンアウトでもある『レインツリーの国』は、実は同時並行で刊行プロセスが進んでいた、というのだから驚きです。
以下、ネタバレになりますので、それが困る方はパスして下さい。


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by osumi1128 | 2012-05-04 23:46 | 書評 | Trackback

『福島原発事故 内部被ばくの真実』


長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」の柴田義貞先生編集による『福島原発事故 内部被ばくの真実』(長崎新聞社)をご恵贈頂いて、今日の東京出張の行き帰りに読んだ。
この拠点リーダーは山下俊一先生で、現在は長崎大学を休職されて福島医科大学の副学長をされている。
昨年11月に福島医大で行われた座談会を書き起したものに、白石久二雄先生が原発事故による食品汚染について書かれたものを合わせている。
座談会のメンバーは以下のとおり(敬称略)。
木下冨雄:国際高等研究所フェロー
山下俊一:福島医科大学副学長
大野和子:京都医療科学大学
小島正美:毎日新聞社生活報道部編集委員
白石久二雄:元放医研内部被ばく調査室長
柴田義貞(司会):長崎大学特任教授

リスクコミュニケーションの問題にどのように対処すべきかについて学ぶことが多かった。

市販されている本ではないようなので、興味のある方は長崎大学のGCOEにお問い合わせを。

by osumi1128 | 2012-04-06 01:21 | 書評 | Trackback

『心と脳 ーー認知脳科学入門』(岩波新書)をお勧め!


本日は宮城県私立幼稚園連合会の主催する宮私教育研究発表会で講演した。
2年ほど前に市内の聖ドミニコ学院の教員の方々相手に講演させて頂いたのがご縁。
仙台市民会館大ホールに来たのは、この前はセミール・ゼキ先生X宮島達男先生のイベントのとき。
今日は自分の単独講演だった。
大きいホールは声が遠くまで届くのに時間がかかるので、普段よりもゆっくり目に話さないといけない。
頂いたお題が「幼児期における科学の芽生え」だったので「科学の芽を育てる」という副題を添えた。
皆が科学者になる訳ではないが、地球温暖化にしろ、低線量放射能の人体への影響にしろ、病気の罹りやすさに関わる遺伝的素因にしろ、これまで以上に科学的な知識や物の考え方が普段の生活に関わる時代、子どもたちの科学するこころを育むことはより重要になっていると思う。

*****
その後、文科省で脳科学委員会の会議に30分遅れで出席した。
この会議では、ライフサイエンス課の支援による脳科学戦略推進プログラム(脳プロ)のあり方などについての議論を行なっている。
脳プロはいわゆる「トップダウン型」の研究費であり、主としてチーム研究が中心である。
「社会に還元する脳科学」を謳っており、ブレイン・マシン・インターフェースの研究(課題A, B)、霊長類を用いた基盤技術の開発(課題C)や、精神疾患等のバイオマーカーの探索(課題D)などの課題が立てられている。
今日の会議では脳プロのプログラムディレクターをされている中西重忠先生が、今年度で5年弱のプロジェクトが終了する課題AやCのその後の展開などについての見解を示され、それぞれの委員がさらに種々の観点からの意見を述べた。
これまでの委員会についてはこちらのサイトに議事次第、配布資料、議事録が公開されている。

*****
……で、ようやくタイトルにした書評の件。


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by osumi1128 | 2012-03-29 00:09 | 書評 | Trackback

『ピアニストの脳を科学する』(古屋晋一著、春秋社)

中学の途中までピアノを習っていた。
小学生高学年のときに某音楽教室に通って「調音」のトレーニングを受けたために、「ドレミ」の音が「ドレミ」という文字としても認識される。
このことを「絶対音感」というのだと知ったのは最相葉月の本が出てからで、それまでは「なんで皆、ウォークマンを聞きながら勉強できるのだろう?」と不思議に思っていた。
マクドナルドの店内のざわめきは気にならないのに、クラシック、とくにピアノ曲がもっとも駄目。
絶対音感も含めた「共感覚」は、例えば聴覚と視覚の間に特別な神経結合が生じてできるのだと考えられている。
私の場合なら、音階としての「ドレミ」が文字としての「ドレミ」になってしまうので、本を読んだり文字を書いたり(タイプ含む)するのに邪魔になるのだ。
結局、プロの音楽家になった訳でもなく(とてもじゃないけど、そんな才能が無いことが自覚できた)、私にとっての共感覚は厄介なだけですね。
……やれやれ。

さて本書『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』をどういう経緯で見つけたのか覚えていないのだが、速攻でAmazonさんの「1クリック」のお世話になった。
翌日には届く(都内ならその日の場合もあるだろう)というのは有難い。
文庫ではないので出張に持ち歩く気がしなかったため、寝る前に読む本として少しずつ読んでいたものを昨日で読了。
音楽に興味がある、楽器を演奏することがある方なら、とても楽しめる本だと思う。


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by osumi1128 | 2012-03-18 00:48 | 書評 | Trackback

『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』【ちょこっと加筆】

今年の分子生物学会の書籍展示コーナーに行けば、サイン本が手に入ったはずなのだけど、それが叶わなかったので、我が東北大学生協書籍部@星陵キャンパスにて購入し、今回の出張のお伴にしたのが本書『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(仲野徹著、秀潤社)
阪大生命機能・医学系研究科の仲野先生のご専門は幹細胞生物学(より広い意味で)。
オビはご友人(○○友達)の内田樹氏による。

雑誌『細胞工学』に隔月で20回に渡る連載をされたものをまとめたものだが、これだけまとまると現代の生命科学を築きあげて来た著名な科学者はかなりカヴァーされ(取り上げられていなくても、話の中に出てくる)、生命科学というジャンルの科学史としても面白く読める。
とくに冒頭の年表は、そうか、野口英世と森林太郎(森鴎外)と北里柴三郎はほぼ同世代だったのね、などがわかってとても有難い。
「伝記を読むのが好き」という仲野先生は、(私は元本を全部読んだのではありませんが)元の自叙伝や伝記以上にその人物を生き生きと描いておられて、教科書で読む生命科学の研究成果は、確かに、それを成し遂げた「人間」がそこにいたことを思い出させてくれる。

私としては、随所に散りばめられた「仲野先生の研究哲学」についてのコメントがとても楽しかった。
伝記が書かれるような偉人は、10のマイナス7乗くらいの確率でしか存在しない(実は10分の1のラッキーが7回連続して起きるだけ、ともいえる)ので、「普通の」生命科学者としては、堅実に進むしかないなぁ、とも思った。

それにしても、以前、拙ブログで取り上げたリタ・レヴィ=モンタルチーニの自伝『美しき未完成』(藤田 恒夫, 赤沼 のぞみ, 曽我 津也子 (翻訳) 、平凡社、1990年刊行)もそうだが、ここで取り上げられている19冊の自伝・伝記本のうち、実に13冊が絶版か品切重版未定となっているというのは、生命科学研究者育成という観点からみていかがなものか?
こういう本こそ、是非、電子書籍にでもして頂いて、未来の生命科学者の卵たちに読んでほしいと切に願う。

あ、それから、仲野せんせい、生命科学者ではないですが『渚の唄―ある女流生物学者の生涯 』(加藤恭子著、講談社、絶版)も是非、読んで下さ〜い!

【関連ブログ】拙ブログ:団まりな先生ご来訪:『渚の唄』ふたたび

by osumi1128 | 2012-01-28 19:36 | 書評 | Trackback

『フェルメール 光の王国』


先日観てきた「フェルメール展@宮城県立美術館』は12月12日までで、その後、23日からは東京に移る。
是非それまでにもう一度観に行けたらと思うのだが……。
今年の日本での展覧会に合わせて刊行された(と思う)『フェルメール 光の王国』(福岡伸一著、木楽舎)は、とくに生命科学にも興味のある方には是非お勧めしたい。


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by osumi1128 | 2011-12-02 00:20 | 書評 | Trackback

書評:自分のアタマで考えよう

Chikirinの日記という人気ブログを書いているペンネームちきりん氏(女性)の2冊目の本を読んだ。
バブルの最盛期に証券会社で働き、米国留学して大学院も修了した後、外資系企業に勤務、その後、早期リタイアして「働かない生活」を謳歌しているという、ユニークな経歴の持ち主の、毎回「そんじゃーね!」で終わる、一見「おちゃらけ」ているような書きぶりに騙されてはいけない。
種々のデータを分析し、それを「視覚化」することに優れ、思考した上の「意見」とともに呈示するからこそ、月間100万のページビューを誇るαブロガーとなる訳だ。

副題が「知識にだまされない思考の技術」となっているように、知識(=情報)も大事だけど、それを元にして「自分のアタマで考える」ことがもっと大事という主張は、あまりに「当たり前」なのだけど、「じゃぁ、どうやったらいいの?」と困ってしまう人に、本書はいくつかの実践的なヒントを与えてくれる。

いくつか標語を挙げておこう。
知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは「未来に通用する論理の到達点」です。(序より)

「作業」を「思考」と思い込むワナ(第1章の中のサブタイトルの1つ)

「なぜ?」「だからなんなの?」(第2章タイトル)

なぜ私たちは、政策の優先順位を決める「判断基準」がもてていないのでしょう?
それは「国全体として目指すべき目標の姿」が見えていないからです。(第5章より)

グラフの使い方が思考の「生産性」を左右する(第9章タイトル)

科学者を目指す若い方達に、是非お勧めしたい本である。
(そして、その指導者にとってもお役立ちかもしれない。)

ちきりん『自分のアタマで考えよう 知識にだまされない思考の技術」(ダイアモンド社)
ちきりん『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』(イースト・プレス社)

by osumi1128 | 2011-11-05 00:11 | 書評 | Trackback

新刊本お知らせ「科学者の本棚」

アップルの元CEOスティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。
かの有名なスタンフォード大学卒業式でのスピーチについて、拙ブログで取り上げたのが2008年のこと。
このスピーチの中では「膵臓癌と診断されたが、その中ではラッキーなことに治療可能なものだった」と述べていたのだけど……。
心からご冥福をお祈りしたい。

さて、岩波書店の『科学』という雑誌は今年で創刊80年という歴史と伝統あるものなのだが、ときどき執筆させて頂くことがある。
今回その「私の一冊」というお勧め本のエッセイを64人分まとめた「科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで 」という本が出版された。
オビの文章を転載しておきます。
科学の本は、時空を超えて
胸躍らせたSF、擦り切れるまで使った教科書……
64人の科学者らが思い思いに語る
時をへてなお色あせない「私の一冊」。

拙著の本棚

by osumi1128 | 2011-10-06 23:26 | 書評 | Trackback

大人の絵本『ちいさな ちいさな王様』

太った王様は赤いマントを纏い王冠をかぶって威厳があるのだけど、その大きさは隣にあるコーヒーカップの高さほどしかない。
そんな印象的な表紙の100頁たらずのこの本には、不思議な世界が描かれている。
十二月王二世という名前の王様は、生まれたときが一番大きくて、それからどんどん小さくなっていくという。
生まれたときに何でも知っているのだけど、だんだん覚えていることが少なくなっていくらしい。
つまり、歳を重ねるほど子どもの時代に戻っていくのだ。


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by osumi1128 | 2011-08-26 21:57 | 書評 | Trackback