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風邪にご用心!

飛び込みの仕事などもあり、机の上がまだまだ片づかない日々です。
そう考えると、アメリカ出張のときの方がやっぱり少しゆとりがあって、情報の入力・消化と発信のバランスがとれていたのかもしれませんね。

渡米前に消化管に影響の出る風邪を引いて、それが治ったと思ったら、日本に戻って今度は「喉・咳・鼻水」という典型的な風邪を引きました。
日頃、ラボメンバーには「病気にならないように気を付けましょう」と言っている自分が風邪を引いていてはいけないのですが、ちょっと寒さと出張疲れで病原菌をやっつけるだけの体力が及ばなかったようです。

日頃気を付けている「風邪対策三カ条」というものがあります。
1.寒くないようにする(とくに、「首」を冷やさない。つまり、喉、手首、足首など)
2.ビタミンCの大量摂取(錠剤でも、ホットレモネードでも、蜜柑でも)
3.人混みの中に行く場合は、必ずマスクをする
今回は、帰国してから東京等に出張する際に「マスク」を忘れたのが敗因かもしれません。
新幹線に乗ってから気が付いたのですが、コンビニに駆け込む時間もないなどで守れませんでした。
皆さんも、どうぞ気を付けて下さいね。
病気は「なってから治す」のではなく「予防が肝心」です。

さて「数値目標」云々のエントリーにコメントをたくさん有難うございました。
MYさんがご指摘の「講座制」の問題は、女性問題に限らず、新しい分野をすぐに取り入れるなどの際にネックとなっていることですから、改善されていくことを望みます。
また、少子化対策とも関連すると思いますが、子供のいる家庭に対する経済的援助や、分娩費用の軽減なども、外堀を埋める意味でも必要です。
男性の育児休業取得率が女性と同等になったら、ボスも「女性を採用すると不利」とは思えなくなるでしょう。

皆さん、いろいろなご意見を是非『「科学技術に対する基本政策について」に対する答申(案)』にエントリーしましょう。
締め切りが12月11日です。
by osumi1128 | 2005-11-29 22:27 | Comments(2)

第4回東北大学男女共同参画シンポジウム

班会議と名古屋大学の大学院セミナーで出張し、今日(11月26日)は東北大の男女共同参画シンポジウムが国際センターであった。
今年のテーマは「どこまで進んだ?大学の男女共同参画」ということで、東大、名大等の他大学からの参加者によるパネルディスカッションも行った。
参加者は200名ほどと思われるが、他大学から多数の参加者があった模様。
この分野で先駆的なのは、(私たちもその一つですが)名古屋大学。
全学的な組織として、男女共同参画室を設けている。
東大は大沢真理さんが基調講演もされたが、「理想を明文化はしているが、現状が追いついていない」とのこと。
このほか、早稲田大学、秋田大学にもパネリストとして参加して頂き、フロアにはさらに東工大、一橋大、学芸大等の参加者がおられて議論に加わった。

東北大からのパネリストは、前男女共同参画委員長であった鈴木厚人副総長で、最後に「共同参画にはさまざまな問題があるが、とにかくトップダウン的に教員の20%を女性にするという目標を達成することが重要である」というラジカルな意見を述べられた。
人間は「数字」というものにとても弱く、「数値目標」という言葉が出てくると緊張感が走る。
当然のことながら「数字合わせはナンセンス!」という反対意見も出るし、「総論としては賛成だが、自分の部局においては、only one & number oneの方を取るのが主旨であり、そこにポジティブアクションなど挟み込むことは無理」というのが大方の意見。
でも、「第3次科学技術基本計画に対する総合科学技術会議の答申(案)」には、大学全体として25%(以前の国大協の20%よりさらに上乗せされている)という数値が書かれている。
<パブリックコメントが募集されています>

こういう数字が出ると、反発は男性から挙がるだけでなく、女性からも否定的な意見が多く出てくる。
曰く「逆差別になる」ということなのだが、その気持ちは分からない訳ではない。

この件についての個人的意見としては、今、女性でそれなりのポジションにいる人たちは皆、ものすごく「unplopotionalに使われている」ので、それを是正してもらうには母集団の女性が増える必要があり、つまり、もっと女性のPIが増えて欲しい、ということになる。
……どういう作戦を取ればよいのか、非常に難しい問題であるが、将来的な人材の確保からも改善が求められるところだろう。

全国から集まられた関係者の方々、どうもありがとうございました。
by osumi1128 | 2005-11-27 00:10 | Comments(7)

秋の日

久しぶりに昼間に仙台の街を歩いたら、青葉通りの欅がだいぶ色が変わっていた。
後少しで散るのだろう。
この季節は日に日に日没が早くなり、昼間の時間が短くなる。
東京と緯度が違うことを実感する季節だ。
むしろ冬至を過ぎた方が、寒いけど春を待つ気持ちが楽しいかもしれない。

2週間ほど前から(つまり私の海外出張中から)「基礎修練」として医学部3年生が研究室に来て実験をしている。
今日も国民の休日だったのだが、当たり前のように来ていて、昨日切った脳の凍結切片で免疫染色をしていたようだ。
何をしても楽しい時期だろう。
こういうフレッシュで熱心な若い人がいるのは、周りの人たちにも良い雰囲気を与えると思う。
こちらが相手を選ぶのではない。
有り難いことである。
by osumi1128 | 2005-11-24 01:24 | Comments(1)

Cultural cafe

ナントカカフェが大はやり、と思っていたら、東北大学インターネットスクール(ISTU)の情報誌の名前が『カルチュラル・カフェ』だった!
なんと、灯台もと暗しである。
机の上の書類の山を片付けているときに、研究科長の写真が大きく表紙に出ていて気が付いたのだが、すでに第8号になっている。

少し前のエントリーにコメントを下さった“うりのまち”さんと、「脳研究についても市民と研究者の相互交流のサイトがあればいいですね」なんてことを話した。
差詰め『脳カフェ』か『ニューロカフェ』か……。

土曜日の公開シンポジウムの主催者から今朝お電話があって、「先生、先日のシンポジウムの講演内容を原稿にして頂いて、記録に残すというのはどうでしょうか?」
「はぁ、趣旨は分かります。とても大事なことです。……ただ、皆さんお忙しいし、事後に言われるとちょっと……。いえ、研究費を頂いていますので、事務所から言われたら絶対にご協力致しますが。うーん、分量にもよるでしょうね。A4で数枚程度ならすぐにできますが、講演内容全部をカバーするとなると、かなりかかるでしょうから……。」(珍しく?ポジティブとは言えない受け答え。さすがに私の発言で皆さんに多大なご迷惑をかけるようになるのは気が引けて……)

ちなみに、9月の「脳の世紀シンポジウム」の方は、最初から出版することになっていて、録音→テープ起こしをされた原稿が送られてきて、校正を依頼されている段階(締め切り過ぎてるのですが、ごめんなさい)。
40分程度の話が、11ポイントくらいのサイズの字で「です・ます調」で16枚程度の分量。
スライドから20枚程度を図に選ぶように言われている。
よく考えると、とても簡単に出版物を作れる世の中になったものだ。

ふと気が付くと、ISTUのサイトでは過去に行った「東北大学100周年記念セミナー」の内容が「特別講義」としてビデオで見られるようになっていた。
(私のMacにはRealPlayerが入っていなくてまだ見ていないけど、一応無料でダウンロードできるようになっているので、後で…)
一体どのくらいの費用がかかるのか知らないが、素晴らしいアウトリーチ活動だ。
うーん、これも灯台もと暗し。
大学内の人たちで知らない方も多いのではないかと思う。


確かに、よく考えると非常に惜しい。
「公開シンポジウム」といっても参加できない人だっておられる訳だ。

CREST脳学習の事務所の方には、明日メールでご連絡しておこう。
次回の公開シンポジウムは、是非、もっと情報発信しましょう。
こんなやり方もありそうです、とお伝えしてみよう。
by osumi1128 | 2005-11-23 00:18 | Comments(6)

話して学ぶ

日本に戻ってくるとやはり忙しい毎日になってしまいます。
机の上に積み重なった書類の山は、まだ手付かずのものが3山ほど。
「排出系(ユビキチン、プロテオソームなどなど)がおかしくなると細胞は死ぬ」と思っているので、こういうinputとoutputのアンバランスは早く解消しなければならないと思いつつ、今日は医工学COEの国際シンポジウムが仙台国際センターであって、出たり入ったり。
明日、明後日でなんとか追いつかないと、と思っています。

COEは大学院生の育成を中心としたプログラムですので、この国際シンポジウムもA4で2ページのポスター発表の抄録を書いてもらったり、その中から数名を口頭発表にしてshort talkとしてプレゼンしてもらったりしました。
うちの学生さんの自慢話をすると、ちょっと鼻持ちならないと思われてしまうかもしれませんが、日頃からかなり鍛えられていると再確認しました。
プレゼンはやっぱり原稿読まずにしないと、格好悪いです。
私は初めての学会発表(口頭・日本語)のときに、一生懸命覚えた原稿をお守りのように持って演壇に上がって、それを読みはしなかったのですが、あとでボスに「あれは格好悪いので止めなさい」と言われました。
以来、その言いつけは守り、さらに若い人たちにも必ずそうしてもらっています。

外国からの招待講演のうちお一人は日本人でミシガン大学でPIをされている若い方だったのですが、本当に上手な発表でした。
ちゃんと「話し言葉」で話されていて、英語も流暢、スライドも論理性がビジュアル化され、もちろん中身もものすごく充実していて素晴らしい。
やっぱり、日本の教育は、国語にしろ英語にしろ、「読み書き」重視で、どうしても「聞く・話す」が弱い。
教える先生からして「聞く・話す」が弱いから、そのスパイラルに入ってしまって、なかなか抜け出せないのでしょう。

医工学は境界領域の比較的新しい学問ですが、こういう分野の開拓は日本人の苦手とするところです。
その理由として、日本では「文字で書かれた正書」を「読んで」知識を吸収する、という勉強スタイルになりがちなので、どうしても「異分野の人との対話」から新しい学問を生み出す力に欠けるのではと思いますが、いかがでしょう?
専門の違う人に分かり易く説明できるかどうかは、市民との対話と同様に大切だと思います。
by osumi1128 | 2005-11-22 00:03 | Comments(4)

公開シンポジウムは本当にアウトリーチになっているか?

5号館のつぶやきさんがブログは研究活動のアウトリーチには向いていないというエントリーをされています。
ちょっと関連して本日(日付の上では昨日)の公開シンポジウムのことを書きたいと思います。

このシンポジウムはJSTの支援による研究費「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」の成果の発信という目的で開催されました(プログラム参照)。
平成15年度および16年度に採択された課題の研究代表者が、それぞれ25分発表し、5分の質疑応答時間を設けるというスケジュールでした。

事前にJSTの方から「分かり易い発表を心がけて下さい!」というお達しが複数回届いていただけのことはあり、どの発表者もかなり気を遣い、気合いを入れたスライドを用意されていました。

なお、本筋から逸れますが、私自身の発表は今日はSABCのB評価。事前の準備は良かったと思うのですが、「25分の持ち時間を延長しないように!」と座長の先生からも言われ、最後で少し駆け足になってしまったことと、最近気に入っている「リモート送り+緑のレーザポインタ(色覚異常者にも優しい)」を用いたのですが、まだ慣れていなくて、レーザポインタを使った後に、<送り>ではなく間違えて<戻り>のボタンを押してしまい、いろいろアニメーションを入れていると、かえってやっかいなことになってしまった、という点がマイナスポイント。もう一つ、「学習」というキーワードの強調の仕方が足りなかったのも反省点。まあ、それでも午後の休憩時間に質問しにきて下さる方がおられたり、懇親会で聞いて下さったりしたので、ちょっと安心しました。

さて、問題だと思った点は、600人くらいの申込者がいて、たぶん500人くらいが実際に来たのだと思われますが、数十名は「プロの研究者」が聴衆にいらして、5分の質問時間はほとんどそういう方々しか質問されなかったということです。
これではアウトリーチになっていないと思います。
本来、プロの方は学会等に来て頂いて討論して頂きたいと思うのですが、また、そういうためならスライドの作り方も違うようになりますし、でも、だからといって、そういうプロを排除するというのもまた難しいでしょうね。

プロの方が口火を切って専門的な質問をされると、普通の人は気圧されて質問しにくいのではないでしょうか?
また、一部には「自分の知識をひけらかしたい」という意識があるのでは?と思わせるような、つまり、延々前置きを話されたり、あるいは「コメント」を述べられるなどのことがありました。

たしか、癌学会主催の市民講座では、予め聴衆に「質問状」を提出してもらって、座長がその中から適当と思われるものを代読し、演者に答えて頂くというような形式を取っていると聞いたことがありますが、これも一つのやり方でしょう。

「公開シンポジウム」というのは誰に対して行っているのかということを、質問されたプロの方々に少しだけ考えてほしかったなあと思いました。
by osumi1128 | 2005-11-20 02:23 | Comments(7)

無事帰国しました

アメリカ大陸から帰国する便はどれも、たいていお昼に出て午後から夕方に到着するのではなかっただろうか。
したがって、日本に近づく頃には丁度夕陽を追いかけるようになる。
地上の景色と違うのは、夕陽が雲に沈んでいくというところだ。
もうひとつ、私の大好きな美しい夕陽は、地上では普通ほんとに短い命で、そう15分程度しか見られないのだが、西に向かう機上からはスローモーションになって、茜色に染まる空を1時間くらい楽しめた。

……という訳で、ようやく無事に帰国しました。
明日は東京で市民向け公開シンポジウムでトークがある。
たぶん朝早く目が覚めるはず。
by osumi1128 | 2005-11-18 22:53 | Comments(0)

いよいよ帰国

今日は午前中にNIHのMental Healthの研究所のNさんのところを訪ねた。
ダウンタウンから地下鉄で20分ほどの駅までお迎えに来て頂く。
この8月からNIHのセキュリティー・チェックが強化され、敷地にフェンスが張り巡らされ(アメリカでは珍しいこと)、外部の者は空港と同様のチェックを受ける。
NIHでの独立やグラントについてのことなど、また改めてエントリーしたい。

午後は学会に出てポスターを見て、それからJSTのワシントン事務所がホテルから遠くなかったのでに立ち寄った。
先日サンノゼの会議でもお世話になった方たちなので。

いよいよ明日(というか、あと数時間なのだけど)、帰国の途に付くことになる。
パッキングを済ませてからラボメンバー向けの学会レポートを書いていたら遅くなった。
目覚まし2つとモーニングコールを頼んであるので、さすがに万全だと思う。
by osumi1128 | 2005-11-17 17:27 | Comments(0)

Dinner with old friends

昨日、今日と夜は「横飯」だった。
せっかく海外の学会に来ているのだから、日本人とつるんでいてはもったいない、というのは「もったいながり屋」の性格だからなのだが、まあ、実際はそのときどきの体調や、時差ぼけの具合などで「縦飯」に流れることもある。
一昨日はラボのメンバーとご飯を食べに行ったが、誰か外国人も誘えばよかったと後悔している。

今日はお昼に留学中のNUさんご夫妻とランチをすることだけ決めていて、夜は引きこもろうと思っていたのだが、たまたま神経発生分野の知り合いSLAさん(MRCロンドン)にポスター会場で出会った。
「なんだ、来てるって知らなかった! 今晩ご飯一緒にどう? ちょうど昔の知り合い数人で行くのだけど……」と言われ、「OK。何時にどこ?」とセッティング。
SLAさんは日本にも2回来ているし、何度も訪問している仲だが、なんと、その知り合いのうちXJYさん(UCLA)とDWさん(NIDCD)は、遙か昔(といっても10年ちょっと前くらい)に参加したSnata Cruz Meeting on Developmental Biologyという合宿形式のシンポジウムで、宿泊施設の寮のルームメイトだった!
ちょうど3人ともまだPIになる前だったのではないかと思う。
あるいは、DWさんは一番年上っぽいので、すでに独立されていたかもしれない。
XJYさんは中国本土、DWさんは香港の出身で、シンガポール出身のやはり中華系のSLAさん、そしてさらに唯一のアングロサクソン系のLLさん(Pitzburg)はHarvard時代を一緒に過ごした仲間らしい。
(あ、これでお分かりだと思いますが、全員女性、です。)

眼の発生を研究しているXJYさんはシドニーの国際発生生物学会でも見かけたし、耳の発生のDWさんもその後どこかで見かけたのだが、一緒にご飯を食べるところまでは至らなかった。
LLさんは今年ギリシアの学会で声をかけさせて頂いたり、論文の投稿でhandling editorになってもらったのだが、当然そのレベルでは向こうからはこちらを覚えていない。
でも、今回のディナーで、これからは堂々と?ファーストネームでメールを出すことができる。

DCの食糧事情をよく知っているというLLさんにお勧めのタイ・レストランに連れていって頂く。
「どうしてDCをよく知っているの?」
「Study Sectionで年に3回来なきゃいけなくて、それが4年続いている」とのこと。
NIHのStudy Sectionというのは、いわゆるグラントの審査の最終段階の委員会をするところ。
「やっぱり、女性だとそういうcommitteeによくかりだされるのですか?」と訊いてみたかったのだが、レストランが混んでいて、ちょうどテーブルの一番端同士だったので聞き損ねた。

LLさんはその後会長招宴のレセプションがあるとこのとで別れ、残りのアジア系4人はお茶をしに。
といっても、私がカプチーノを頼んだ以外は、3人ともデザートを頼んでいる。
このあたり、育った環境がだいぶ違うようだ。

今回はちゃんとメアドを聞いて、「Let's keep in touch!」といって別れた。
(いや、当時はまだメールでやりとりしていなかった)
昔の友人というのはなんともほわっとした気持ちにしてくれる。

さて、学会はいよいよ明日が最終日。
途中で抜け出してNIMHを訪問予定。
by osumi1128 | 2005-11-16 15:41 | Comments(0)

さまざまなアウトリーチ活動

NPOサイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)代表理事さんのSciCom NEWSに、「なぜ、研究者はアウトリーチ活動にブログを使わないのか」という問題提起がなされました。
それについての私見を述べたいと思います。

アウトリーチ活動にはさまざまなレベル、やり方があると思います。

たまたま現在、ワシントンDCで開かれている北米神経科学学会というところに来ていますが、この学会では例えばBrain Factsという64頁ほどの冊子を市民向けに作成して配布しています。
学会のホームページからダウンロードできます<英語です>)
最新の知見について、綺麗なイラスト付き、用語解説付きです。
学会期間中のプログラムのPublic Education & Outreachとしては、Strengthen Neuroscientist-Teacher Partnership Nationwide、History and Teaching of Neuroscience Poster Sessionなどが挙がっており、またScience Educator Awardを出し、さらに過去の受賞者によるNeuroscience Education ResourcesのCD-ROMを配布しています。
(こうした努力による、いわば裾野の拡大が、アメリカの神経科学を支えているのだということがよく分かります。)
日本でもいろいろな学会で、「市民公開講座」や「子供向け講演会」などを開催していますが、講演者によっては、普段、研究者相手にしか話をしていないために慣れておらず、独りよがりになってしまうこともあります。
「インタープリター」的な人材が今後、それぞれの研究分野で育っていけば、そういう方にお話をして頂くとか、コーディネーターになって頂くのが良いかもしれません。

上記は学会レベルですが、研究費レベルというか、研究プロジェクトレベルもあります。
手元に資料がないのですが、以前米国でゲノム研究が大々的に行われたときには、NIHからのその総予算の約5%をアウトリーチに充てるように、という取り決めがあったということを聞いています。
アメリカの生命科学関係予算は、冷戦終結で軍事予算からのシフトによって大幅に増額されたのですが、その場合の根拠になるべく、「何故ゲノム研究が大事か」ということを一生懸命啓蒙したのだと思います。
日本のFunding Agenciesも最近はこの点をとても気にしており、中間評価、事後評価で必ず「アウトリーチ活動としてどのようなことをしたか?」が問われています。
ただし、「市民公開講座を行いました」(→一方的)、「新聞発表を行いました」(→小さな記事ではきちんとした内容が伝わらない)、ホームページを作成しました(→中身が伴っていない)、などの問題がまだまだあると思われます。
今後是非、日本独特の研究費システムである「特定領域」などの班研究に際しては、きちんとしたアウトリーチ活動を行うべきであると考えられます。

個人レベルのアウトリーチとしては、上記と重なりますが、「市民公開講座」等での講演を行う、「新聞発表を行う」などがあるのですが、「ブログの活用」はまだまだだと思います。
リンク先にPDFファイルを置いておくなどによって、既存のブログのシステムを利用することは十分可能だと思われます。
動画などもリンクさせることができるでしょうから、「新聞発表」よりも効果的な発信ができると期待されます。
ここで大切な点は、「読者を意識した文章を書く」ということだと思います。
読者にとっては、日々更新されることが必要なのではなく、まとまった情報が分かりやすく整理されているべきでしょう。
したがって、それは「日記風」であるべきではないと思います。

自分のケースについて触れさせて頂くと、昨年度からの研究費の一部を使って、まず
プロジェクトのHPを立ち上げ、研究を紹介しています。
また、市民向けの読み物として、Brain & Mindというニュースレターを発行しています(冊子体として公開講座等で配布していますが、上のHPよりダウンロードも可能です)。
研究業績は定期的に更新し、PubMedにリンクを張っていますが、これではまだアウトリーチとしては不十分だと思っています。
研究者にとってはPubMedのリンクは便利ですが、専門用語も背景も分からない方にはAbstractを読んでも分かって頂けないと思います。
今後、プレス発表した研究成果などをHPに掲載することが必要だと思っています。

ただし、上記のような活動は決して簡単なことではありません。
研究プロジェクトのHPの立ち上げにはプロの手を借りました。
更新はプロジェクト雇用のポスドクの人に手伝ってもらっています。
ニュースレターも、原稿集めやおおまかな編集は自分で行っていますが、レイアウトなどはプロにお願いしました。
プレス発表用の原稿を用意するのも、少なくとも数時間はかかる仕事になります。
また、市民向けの講演の際には、分かりやすくて綺麗な模式図などをプロに注文しています(昔は自分でイラストレータで描いていましたが、さすがにもう時間と効果の比を考えると、任せた方が良いと判断しています)。

個人の研究者レベルでの「アウトリーチ的情報発信」で、もう一つ難しいのは、論文や特許における「初めての発表」であることとの兼ね合いだと思います。
そのため、私はこのブログでは研究の内容そのものは扱いません。

上記の「学会におけるアウトリーチ」のところにも書きましたが、今後、科学インタープリターのような方が、ご自分の活動を展開されるだけでなく、学会や研究プロジェクトとの連携もはかって頂けるようになればと願っています。
by osumi1128 | 2005-11-15 08:39 | Comments(3)