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精神疾患における性差

WorkshopはいよいよDay9になる。
だいぶ疲れてきた様子がstudentsの間に広がっている。
しかも、今日は朝8:30からだったからなおのことだ。

疾患によっては発症に性差があるものがある。
乳癌などが女性特有であるのはもちろんとして(註:男性乳癌患者は女性患者の1/100くらいは存在する)、精神疾患では例えば自閉症の発症は男女比が4-5 : 1くらいで男の子が多く、統合失調症の場合には、障害発症率としてはほとんど変わらないが、男性の発症年齢は20代前半にピークがくるのに対して、女性はその山はやや後半にシフトしており、さらに閉経後に2つ目のピークがある。
発症年齢がやや早いために、患者数全体では男性の方が多いことになるが、原因遺伝子でオーソライズされているものは、今のところすべて常染色体上に載っている。

統合失調症の発症メカニズムの研究には、さまざまなモデル動物が用いられる。
多くは齧歯類(ラットおよびマウス)だが、サルに向精神薬を投与するようなモデルもある(陽性症状のモデル)。
Workshopの間いつも隣に座っているJillに訊いたところサルの場合は雄雌両方実験に供するらしいが、齧歯類を用いた行動解析はもっぱら雄が使われる。
これは、性周期による影響を避けるためである。

統合失調症の発症が何故思春期以降なのかについては、まだ大きな謎である。
おそらく、急激にホルモンの状態が変化することが一種のストレスになっているのではないかと想像するが、今回のWorkshopを聞いた限りでは、まだ「記述」の時代のようだ。
ラットの場合には、生後数周後と7-8週(思春期以降)では、大脳皮質、とくに注目されている前頭葉における神経細胞の性質が大きく異なるという講義を聴いた。
これからどういう仮説を立てて検証していくのかwatchしたい。

さて、今日取り上げるのは「自閉症」の方である。
2つ前のエントリーでも引用したコールドスプリングハーバーの広報誌harbor Transcriptのvol26, no3にSeeking the cause of autismという記事があり、中身を読んでみると、3月にBanbury Centerで行われたautism meetingに招聘されたSimon Barron-Cohenが一般向けのCultural Series Lecture in Grace Auditoriumで喋ったことを元にしている。
冒頭を引用すると下記になる(念のために記しておくが、記事を書いたのはMarisa Macariという人らしい)。

In 1944, Hans Asperger, the Austrian pediatrician for whom Asperger Syndrome is named, suggested that "the autistic personality is an extreme variant of male intelligenceノin the autistic individual, the male pattern is exaggerated". Today, Simon Baron-Cohen of Cambridge University suspects that Asperger was correct and is seeking the cause of autism by using modern methods to test Asperger's "extreme male brain" theory.


この"extreme male brain" theoryというのは自閉症のことを勉強したときに読んだことがあった気がするのだが、そのテーマにチャレンジしている人がいるのは知らなかった。

この説の背景は、Professor of Developmental Psychopathology and director of the Autism Research Center in CambridgeであるBaron-Cohenの説明によれば以下のようである。
Baron-Cohen maintains that females and males in the general population have different メbrain typesモ or cognitive styles. Empathizing is the ability to predict anotherユs feelings and respond appropriately to anotherユs state of mind. Systemizing is the ability and desire to build systems and determine the rules that govern how they work. The typical female brain, Baron-Cohen said, excels at empathy whereas the typical male brain excels at building systems.

その場で講演を聴いていた訳ではないし、個人的にも存じ上げないので説明として合っているか不安だが、誤解を避けるように言うとすれば、ここではEmpathizing およびSystemizing という認知型を定義した上で、次の作業仮説に進もうとしていると考えて頂きたい。
Studies show that individuals with autism frequently have narrow interests and become preoccupied with finding out how a system works. For example, they might become obsessed with spinning the wheel of a toy truck or turning light switch on and off. They find it difficult to pick up on non-verbal cues and have trouble making eye contact and unerstanding othersユs emotions. They are worse at empathizing than males in the general population. They have, however, a greater ability than typical males to understand systems, to read maps, and to solve physical and mechanical problems. In essence, they display features of predicted of an extreme male brain.


傍証として、MRIにより自閉症の子供とその両親の脳をイメージングすると、両親ともに男性型の傾向を示し、またどちらもsystemizer的認知型であると述べられている(具体的なテスト方法などはこの記事からは分からなかった)。

そこでBaron-Cohenの立てた「作業仮説」は、胎児期のテストステロンの量とsystemizing cognitive styleが相関するのではないかというものである。
つまり、何か「測定」できる指標を見つけないと生物学的研究にはならない。
どのくらいの例数なのか、どのくらいの時期のテストステロン量なのかによって信憑性が変わってくるが、記事によればポジティブな結果が出ているらしい。
これが確からしいとなると、胎児期のテストステロンの測定により出生前診断につながる可能性がある。
記事の最後は、このような研究により自閉症発症の謎が解明されるだけでなく、一般的な集団における神経生物学的な性差についての理解が深まるだろうと結ばれていた。

*****
この話題について、「ケシカラン」と思う方は少なくないのではと思っています。
「男性脳・女性脳のように2つに分けるのは問題だ」というご批判については、生物学的には「平均化」すると性差が認められるのは紛れもない事実です。
したがって、例えば統合失調症の患者さんの脳のどこが普通の人とは異なるのか、という研究においては、イメージングする統合失調症の患者さんの集団の中における女性比率が、対照群における女性比率と変わらないように配慮されます。
(より正確に言えば、人種構成や年齢もなるべくマッチさせるようにするのがお作法です)
その上で、患者群のイメージングデータを平均化し、同じく平均化した対照群と比較する訳です。
先日のエントリーにも書きましたが、これは「平均値」として集団を比較しているのであり、個体差はもちろんあります。
ただ、生物学分野において「差がある」と言うときには、かならず「統計学的に有意である」ことが必要であり、その基準を満たしたデータについては敬意を持って取り扱わなければならないでしょう。
あるいは、反論するのであれば、同様のお作法に則ったデータをもってするべきだと思うというのが「生物学者」としての意見です。
※なお、私にとっての生物学者というのは、例えば「私は女性である」というような属性と同じカテゴリーです。I am a biolgistですがI am the biologistではありません。

ここで取り上げたいのは、例えば自閉症のお子さんを持つ方がこの記事を読まれたときに、どんな風に感じるかということです。
日本人の生物学的な感じ方か、正確な科学記事が一般にあまり読まれていないという社会的な問題か分かりませんが、なんとなく居心地の悪いような気持ちにさせてしまうことはないのか不安に思いつつ書いています。
繰り返しておきますが、このエントリーの元ネタはHarbor Transcriptsというコールドスプリングハーバー研究所の「広報誌」です。
著者検索していただけば、Baron-Cohenの論文は検索できますが、2005年に「Testing the extreme male brain (EMB) theory of autism: let the data speak for themselves.」という総説をCognit Neuropsychiatryという雑誌に出していますね。

私が一番問題だと思うのは、「胎児期テストステロン量」で出生前診断できるようになるということの波及効果です。
ダウン症のように中絶可能な時期に診断できるのであればよいというものなのか、予防や治療が確立していない状態における出生前診断というのは、医学的に非常に難しい問題をはらんでいると思います。

最後に補足しておきますが、自閉症の原因として"extreme male brain" theoryというのはけっしてメジャーではありません。
現在updatedな説は脳のmicro-circuits(皮質の中の神経細胞同士の回路)の活動異常というもので、齧歯類やサルなどでの研究が積み重ねられています。
研究の動向としては、むしろ遺伝子候補の方が先に挙がってくるでしょう。
Jill と反対の隣に座っているTaniaによれば、「統合失調症の方が診断がはっきりしているが、自閉症は症状のスペクトラムが広くて診断が難しい」というような問題はあるでしょうが、統合失調症よりも家族を含めた血液サンプルなどが集めやすく、また、第一子が自閉症であったご両親の理解のもとに、第二子の脳の発達を継時的に解析することも行われています。
by osumi1128 | 2006-07-30 23:16 | Comments(31)

Psychologists and psychiatry

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Workshopの残りも少なくなってきた。
現時時間の土曜日の夕ご飯は、Banbury Campusのプライベートビーチで「ピクニック」であった。
実際には、テイクアウトのハンバーガー(パンと素材が別になっていて、自分ではさむ)、サラダ、バーベキューチキン&ポークなどをビーチまで運んで、海に突き出た桟橋に並んで座って食べた次第。
写真はちょうど美しいサンセットが見られたので携帯カメラで撮影。

*****
「精神疾患と性差」についてのエントリーをする前に、頂いたコメントの中で「心理学者がどのようにこのワークショップに関わっているのか?」というご質問を頂きましたので、そのことについて述べておこうと思います。

26日人の参加者のうち、現在もしくは過去にpsychologyを専攻している・いたのは8名であり、うち1名が男性で残りは女性(名前と容貌からの判断)である。
上記の質問については、ちょうどStudent profilesとして、予め参加者が自分のバックグラウンドや抱負を述べているので、そちらをいくつか引用しようと思う。
(翻訳にあたっての解釈にバイアスがかからないように、書かれたものをそのまま引用します)

Jennifer/Postdoc/University of Campbridge
My background is in psychology and my recent PhD was about longitudinal changes in cognitive function in schizophrenia and first-episode psychosis. I am broadly interested in the genetic and developmental basis of mental health and mental illuness, especially cognition, and in dimensional and population-based apporoaches to mental health. I am also interested in better ways of defining phenotypes, such as longitudinal modeling and latent variable approaches.


Kate/Assistant Professor/Albert Einstein School of Medicine
Katherine PhD received her undergraduate degree in Psychology at the University of Rochester and her PhD in Neuropsychology at the Graduate Center-City University of New York. She did her clinical internship and postdoctoral work at Yale University School of Medicine. ...Dr. B.'s primary area of interest is in neurocognitive functioning in patients with bipolar disorder....Other current research interests include the potential influence of susceptibility genes on neurocognitive function in patients with schizophrenia, affective illunesses, and healthy individuals and has recently published results demonstrating an effect of a number of genes on neurocognition, including DTNBP1, DISC1, and COMT.


Kateは同じ宿題グループだったのでもう少し詳しく聞いたところ、psychologistsにはclinical psychologistsとresearch orientedな人がいるとのことで、彼女は後者。
Neuropsychologyのコースだったので、neuroanatomy, neurobiology, neurochemistry, neuropharmacology, geneticsなどの単位も取っているらしい。
「日本の統合失調症の分野にはあまり心理学者がいないのだけど・・・」と聞くと、「フィアンセがブラジル人なのだけど、ブラジルではpsychiatristsとpsychologistsの間には隔たりがあるようね。ここでは違うけど」ということだった。
臨床心理学者には、さらにpharmacologyを修めることによって、セラピーだけでなく投薬をできる資格を得ることもできるらしい。
「開業するなら、患者にとってはその方がいいのは当然」

Dana/PhD student/Columbia University
I completed undergraduate studies in psychology and Italian area studies, and am MPH in epidemiology at Columbia. Iam currently a PhD candidate in psychiatric epidermology and history at Columbia. My workshp-related research interest is understanding how multi-level causes, ranging from micro-level (e.g., genetics) to macro-level (e.g., social adversity and discrimination), operate in concert to produce illuness, using variations in incidence (e.g., elevated rates in immigrant and migrant groups) as points of departure. I am also interested in secular trends, diagnostic issues, and pathways to treatment for affective and psychotic disorders.


このほか、biologyバッグラウンドの方や、情報科学の方いて、MDは2名。
講師陣はMDとPhDが半々くらいで、genetistsが多く、psychologyの方は少なかった。
遺伝学会の全貌に明るい訳ではないので、正確な数字は分からないが、日本ではいわゆる「病気の遺伝学」に関わる方にPhDが少ない印象があるのとはかなり隔たりがある。

そういえば、日本では少し前に「精神分裂病」という名前から「統合失調症」に変わった。
これに関して「日本の方が進んでますね。<Schizophrenia>という名前は良くないと言われているのに、ずっとこのままなんですよね・・・」というコメントを講師の誰かから頂いた。

・・・ということで、これからいよいよ明日の宿題発表の直前打ち合わせになる。
by osumi1128 | 2006-07-30 09:56 | Comments(1)

The Camp David of Biology

Cold Spring Harbor Laboratoryの一般向け広報誌Harbor TranscriptのVol 21, Number 1に、今回のWorkshopが行われているコールドスプリングハーバーのバンバリーセンターについての説明がちょうど掲載されていたので、遅ればせながら記しておこう。

A secluded retreat, sheltered from the endless distractions of everyday life. A meeting place for the worldユs great leaders and thinkers in biology, medicine, education, and policy. A forum for discussion and decision-making in an environment of inspiring natural splendor. This is Cold Spring Harbor Laboratoryユs Banbury Center.


というパラグラフで始まるエッセイによれば、このBanbury Campus一帯はもともとThe Sammis familyという一族が所有していた土地だそうで、1936年にはCharles Sammis Robertsonと奥さんのMarieがビーチの西側に自宅を建てた。
1972年にMarieさんが亡くなってから、科学に対して造詣の深かったCharlesさんは、当時のCSHLのDirectorであったJames Watsonに相談し、地所CSHLに寄付したいと申し出た。
Robertsonは元々は神経科学の研究室を作りたいと考えていたのだが、メインキャンパスから車で15分ほど離れているので、あまり使い勝手は良くないだろうということで、代わりに「小さなミーティングができるセンター」をつくることになったらしい。

Watson envisioned a center where 20 to 30 scientists and policy-makers of diverse backgrounds could gather to tackle problems from a multi-disciplinary perspective. The private setting would facilitate the uninhibited exchange of ideas among the worldユs best scientists, providing them with opportunities to critically review the progress (or lack thereof) in the field.


という訳で、公式には1977年6月に、ワトソンとともにノーベル賞を受賞したFrancis Clickを呼んでバンバリーセンターが開所された。
今日のエントリーのタイトルは、引用したエッセイのタイトルでもある。
このときから、お屋敷がRobertson Houseとして宿泊施設になり、こじんまりとしたConference Centerとともに使われるようになった。
現在の所長は4代目のJan Witkowskiという方で、さらに2005年からSydney GaryさんがAssistant Directorとして加わった。
ちなみに、彼女のバックグラウンドは神経科学で、ポスドク後しばらくはサイエンスライターをしていたらしい。
非常にhospitality溢れる方で、まさに適任であろう。
宿泊施設は他にSammis HallやMeier Houseなどがあり、Conference Centerや朝食が出されるRobertson Houseの間は徒歩5分圏内である。
今回、講師陣はMeier Houseに宿泊され、Studentsのうち女性陣がRobertsonで男性がSammisに泊まっている。
Meier Houseはサバティカルの間、本の執筆などをする方にも使われているらしい。
街からは車で15分以上離れており、広大な敷地には自然が溢れ、静かで安全でありながら、Conference Centerまで行けば無線LANからPubMedにもつながり、折々のミーティングなどで研究者が出入りするという環境は、私にとって憧れである。
ただし、食べ物・飲み物は3食+間食も含めふんだんに供給されるのだが、1ヶ月くらい滞在すると、もうちょっとデリカシーのある食事が恋しくなるかもしれない。

*****
昨日のエントリーと関連する話題は、また明日載せます。
今日もこれから(つまり、朝の9時から)夜の9時まで講義が続き(土曜日なのですが)、おそらく、さらに課題の打ち合わせでそれ以降も続くのでこれにて。
by osumi1128 | 2006-07-29 21:27 | Comments(0)

個人の差と人種の差

WorkshopはDay7が終わるところ。
今はいわば自習時間で、5名ずつのグループごとにgrant proposalのプレゼンの資料を作っているところである。
投稿しようとしたらキータッチを間違えて、A4で1頁分くらい書いたものが消えてしまいかなりショックだが、思い出せる限り書き直すつもりである。
(念のため、一度テキストファイルを作ってから貼り付けることにする−学習)

* ****
統合失調症は一卵性双生児における発症率が40-60%であり(註:片方が統合失調症であった場合に、もう片方が発症する頻度のこと。報告によって若干の差があり)、明らかに遺伝が関係するが、だからといって必ず発症する訳ではない。
20世紀初頭にクレッペリンはすでに遺伝の可能性を指摘していたが、1940-1975年くらいの間、とくにアメリカでは社会心理学的説明が盛んとなった。
つまり「あなたのお子さんが統合失調症になったのは、育て方が悪かったせいです」という説明である。
親御さんは二重三重に辛い思いをされたのではないかと推察する。
その後、genetic brain disease modelが主流となり、現代では統合失調症の遺伝子探しがホットになっている。
すでに、家系の解析などから多数の遺伝子座が指摘され、さらにはDISC1, neuregulin, COMT, dysbindin, calcineurin, G72などの遺伝子が原因と目されている。
他方、環境因子についての研究も進んでおり、胎生期から周産期の低栄養、感染、都市で生まれる・育つこと、移住はリスク因子である。
最近の論文では、第二次世界大戦の際、オランダで起きた大飢饉の折に胎児であった集団で、統合失調症の発症が2倍であったというものがあった。
この場合に、低栄養そのものが問題だったのか、その後栄養が回復することにより、低栄養に慣らされた代謝系にとっては過栄養になることが問題なのかはまだ分かっていない(このfetal programming theoryは、成人になってからの高血圧や心臓病などで指摘されている)。

さて、例えばある遺伝子が原因ではないかと考えた場合に、その遺伝子を人工的に機能を失わせた(ノックアウトした)マウスを作製する。
このようなマウスでは「統合失調症の生物学的指標とみなされる音驚愕プレパルス抑制の測定値が低下している」ということが結論であったとしても、生データを見るとそれなりのばらつきがある。
つまり、ノックアウトマウスの方で野生型よりも良い値のものもあれば、その逆もある。
それでも、数十匹のマウスを用いて「統計学的に有意な差」が得られれば、そのデータには敬意を払わなければならない。

遺伝的に均一なマウスでさえこうなのであるから、ヒトを用いた研究に関してはさらにばらつきがある。
つまり、「個体差」の方が「集団の平均値の差」よりも大きいのだ。
赤の他人同士でのゲノムの差は0.1%と見積もられているが、人種(ここでは厳密に「人種」の定義はしない。Human geneticsで用いられるCaucasian, Asianなどだと思って頂きたい)の間の差はこれよりも少ない。
つまり、何かの指標に関して、「日本人の“私”」と「アメリカ人の“あなた”」を比べるなんてことは、生物学的にはほとんどナンセンスである(また、遺伝学では「アメリカ人」という集団で扱うことはない)。
それでも、統計的に「数万人」規模のデータを集めれば、「集団の平均値」としての比較は「科学的に」可能である。
さまざまな疫学調査や遺伝学的解析はこのようなやり方で「人種の差」を扱うことがある。
「男女の差」も同様である(ここでは厳密な「男女」の定義はしない)。

「遺伝と環境」というテーマは遺伝学において、これまでも現在も、おそらくこれからも、重要な課題である。
一卵性双生児の比較、養子に出された場合の比較などの研究が為されてきた。
ただし、実は「養子」を受け入れる家庭は、おそらく経済的にどちらかといえば余裕がある方であることが統計的には多いであろうから、「環境」としてバイアスがかかっている可能性があり、したがって、このような解析は非常に難しいものがある。
ただし最近では、環境が遺伝子の働き方にどのように影響を与えるかについて、分子レベルで解析できる方法がだいぶ整ってきたので、これまでとは違う研究が可能になるだろう。
もって生まれた遺伝子をいかに上手く活かすか、という観点が大切だと思う。
by osumi1128 | 2006-07-29 12:26 | Comments(10)

講義の様子ほか

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ちょうど昨日でWorkshopの半分が終わったところである。
時差はほぼ取れたように思うが、午前中の方がシャープなのは、やっぱり日本時間を引きずっているかもしれない(私は夜型なので)。

講義はとてもリラックスした雰囲気で進んでいる。
ときには、誰かの質問で15分くらいディスカッションが続いたりするのも、参加者の理解レベルと興味に合わせた講義になるという点で意義深い。
1つの講義はだいたい90-120分単位であるというのも、十分な議論をするのに必要だと思う。
これは、数年前からうちの医学部の講義を90分単位から60分に変えたということがあり、全体の授業時間を短くして、学生の自主的な勉強の時間を増やそうということだったのだが、私は個人的にはこれに反対の立場である。
ちょうど、高校の教科書が薄っぺらいものになってしまったように、エッセンスだけを一方的に教えてもつまらない講義にしかならない。
ここの講義室では無線LANが使えるので、講師の話を聞きながら、引用されている論文をすぐにweb searchしてダウンロードして確認するなんてこともできる。
飲み物を飲みながら、人によっては朝ご飯を食べながら聴いている人もいる。
ただし、寝ている人はいない(時差ぼけだった私が最初の2日くらいの夜のセッションで居眠りしていた以外は)。
講師としてもやりがいのある講義であろうと思う。

*****
さて、今ちょうどランチタイムで、一つ前のエントリーにすでに沢山のコメントを頂いたことを確認しました。
敢えてチャレンジとして問題のあるテーマを挙げているのは、いろいろなご意見を頂くことが目的です。
ただ、どうも書いていないことを勝手に解釈されているコメントがありますので、一言だけここに書いておきます。
理系少女エンカレッジを標榜している私は、女性が理系に向いていないとはまったく思っていません。
15歳の時点での数学リテラシーに差が無いというようなデータもありますし、同じような統計は調べれば他にもあるでしょう。
何故、書いていないことを勝手に推測されるのか、理解に苦しみます。

同様に、アフリカンアメリカンで(少なくとも)生物学の研究者が少ないことについて
「何故か?」という問いかけは、その答えが純粋に社会的なものであるのであれば、その証拠を挙げて頂けば良いわけで、私自身が「アフリカンアメリカンは生物学者には向いていない」と思っている訳ではまったくありません。
(どこにもそのようには書いていません)
※そういえば、先日のIUBMBの共同参画シンポジウムでお話頂いたCarol Carterさんはアフリカンアメリカンでした。

日本人は相対的にはうつなのか?(この言い方は誇張です)ということに関しては、誰かが面白いテーマだと思って頂ければ、社会的考察、生物学的検証等を行って下さればよいと思っています。

やはり一番気になるのは、このSchizophreniaに関するWorkshopでは心理学を専攻している人も沢山参加しており、皆、細胞や遺伝子が何をしているのかを真剣に勉強しています。
こういう機会が日本では少ないのではないか、ということも指摘しておきたいと思います。
とりいそぎ、これにて。
by osumi1128 | 2006-07-28 02:07 | Comments(8)

4日目が終わります

Workshopは今日で4日目が終わるところ。
そういえば全体のセッションについて説明していなかった。
Session 1: Clinical overview and introduction to topics/scope of problem
Session 2: Genetics, genomics, and epigenetics
Session 3: Development neurobiol/neural circuits
Session 4: From genotype to phenotype and back


明日の午前中でSession 2が終わる予定である。

夕食についてここまでのまとめ(5段階評価で5がexcellent):
Day1:メインキャンパスにてイタリアンのビュッフェ(4)
Day2: Pizzaのデリバリー@講義の建物(1)
Day3: 中華料理のデリバリー@宿泊している建物(3)
Day4: メインキャンパスにて3択:キューカンバーラザニア(3)
※他のトリおよび魚を選択した人よりは良かったらしい

ま、格別期待はしていないし。
それにしても、巨大なピザを軽く平らげていく人たちは、違う人種だなあとつくづく思う。
本日はこれにてお休みなさい。
(だいぶ時差が取れました)
by osumi1128 | 2006-07-26 11:23 | Comments(0)

CSHLコースの運営

Workshopはこれから3日目が始まるところ。
やや時差が解消してきたので、夜中の2時に目が覚めた後、6時まで眠っていた。
そろそろ目覚まし時計を用意しないと、気が付いたら9時過ぎていた、なんてことになりそうだ。
旅行用の目覚まし時計の電池が切れていたので持ってこなかったから、携帯のアラームを使うことになるだろう。
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さて、CSHLのコース運営はどのようになっているか、傍目から分かることを記しておこう。
まず、Sydneyさんという女性がこのBanbury Centerで行われるコースの元締めのようである。
元々は研究者のようだが、今はコースの運営を専門にしているらしい。
コースの間は液晶プロジェクタとの接続は大丈夫か、夕食は(昨晩のように)メインキャンパスに行くのではなくピザを手配するか、などの気配りをしている。
それぞれのコースにはInstructorsと呼ばれるオーガナイザーがいて、今回は3名のうちDavid Porteous博士が初日から最後まで面倒を見る係となっている。
他のオーガナイザーは途中から参加したり、先に帰ったりだが、それぞれのセッションのLecturersの人選などを行う。
だいたい、5-6名ずつの講師を選んでいるのだろう。
講師も出たり入ったりが激しく、自分の話のところだけしかいなかった人もいれば、関連するセッションの間はずっとディスカッションに参加する方もおられる。
それぞれ専門が少しずつ異なる講師も参加することによって、授業での議論が活発になり、また、「ちょっとこの点はstudentsに説明してあげた方がよいのでは?」などと他の講師へアドバイスすることもある。
James Watsonがいるところで講義をし、互いにその講義を聞いているというのも、講師にとっては励みや刺激になることだろう。

Studentsは推薦状を3通用意して応募し、Instructorsによって選ばれる。
Instructorsのところの学生などは当然採択の確率は高いのだが、そんなことを「コネはずるい」などと言っていたら誰もInstuructorsを引き受けなくなるだろうから、このあたりは鷹揚に考えるべきものだ。
Studentsの宿泊等に関しては、おそらくSydneyが大まかな指示を出して、後は宿泊施設の方の責任者がある程度の面倒を見る。
部屋は毎日掃除され、ベッドリネンも替えてくれているが、その係はマーシャさんとは別。
朝食の準備等をする係もいる。
事前のメールでの連絡はLauraという別の方がおられたから、彼女は参加費の振り込み等を扱う係なのだろう。
※追記:彼女は先ほど本日開始にあたり挨拶をしたところ。今日は月曜日なのでBanburyのオフィスには他に数名が仕事をしているようだ。
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ざっと見渡して、このような周囲の方々の分業と連携によってCSHLのコースが成り立っていることが分かる。
基本的にはその他のMeetingsも、参加者は100名を超えるが同様であろう。
このようなCoursesやMeetingsは他にもGordon ConferencesやKeystone Meetingsなどがあるが、それぞれ機能的に運営されている。
先日の神経科学学会の特別企画「研究費のあり方」で廣川先生は「日本流のシステムを!」と述べられていたが、このようなコースはアメリカを見習って取り入れたいものである。
※右の写真の中で一番奥にいるのがJames Watsonである。
by osumi1128 | 2006-07-24 21:58 | Comments(4)

Workshopが始まりました

夜中に1度目が覚めたが、無理矢理眠って朝6時くらいに起床。
シャワーを浴びて、7時半からの朝食前に翻訳作業。
Warm breakfastといっても、要するに、マフィンなどの他にスクランブルエッグとグリルドベーコンなどがあるだけなのだが。
あいにく今日も曇り。
8時過ぎにConference Centerに行ってインターネットにアクセスし、先のエントリーやメールチェックを済ませる。

さて9時からいよいよセッションが始まったが、昨晩来ていなかったstudentsもいるということで、再度一言自己紹介。
Schizophrenia Research Forumというウェブサイトを運営しているeditorや、「息子がschizophreniaです」というneurobiologyの教授の方もおられた。
自己紹介の一番最後は、ジムこと、かのJames Watsonで「かれこれ30年以上サマーコースに出ています」というジョークを言っていた。

26人のstudentsと最初のセッションの数人の講師が入ってちょうどの広さの講義室で、途中で質疑応答を入れながら講義が進んでいく。
きわめてアットホームな雰囲気なのがよい。
本日は3人の講師による統合失調症の症状のアウトラインと疫学、治療法についての講義だったが、最初2人の講義にはかなり質問もしたのだが、夕方3人目のときには大変申し訳なかったのだが、時差で眠くて付いていけなかった。
ごめんなさい。
夕食はメインキャンパスの食堂に移動したのだが、こちらは2年前に来たことがあり懐かしかった。
うちの学生の一人が丁度重なっているGliaのmeetingに出ており、食堂で他の参加者と和んでいる様子でほっとした。
夕食後にConference Centerに戻ってさらにディスカッションする方もいたが、あまりにも時差でふらふらなので部屋に戻って来た。

*****
Cold Spring Harbor Laboratoryの歴史は19世紀末に遡るが、1890年の設立当初からHouseと呼ばれる一軒家に研究室が分かれており、大きな建物にまとまっているのが普通の研究所とは雰囲気が大きく異なる。
フォーカスしている研究分野は癌、植物ゲノム、バイオインフォマティクス、神経生物学である。
JFKから1時間程度でこれだけ自然の豊かな静かな環境があるというのは意外な気がする。
CSHLはGenes & Developmentなどの雑誌やMolecular Cloningを初めとした書籍を出しているほか、多数のMeetingsやCoursesをオーガナイズしている。
Meetingsは100-200名くらいの参加者で5日間、Coursesは10日間で20-30名くらいまでの参加者となっている。
今回のWorkshop on SchizophreniaはCourseの扱いだが、実習はない。
26名の参加者に対して、InstructorsとLecturers合わせて18名、しかもいずれも論文で名の通ったオーソリティーを集めているのだから、非常に贅沢なことである。

参加者は5-6倍の競争だったらしいが、職業や国の多様性があるように選ばれている。
ちなみに、男女比はほぼ半々。
上記で触れたSchizophrenia Research Forumというnon-profit websiteを運営しているeditor氏は参加者プロフィールによれば、Dukeで大学院の間、視覚系の解剖学を勉強し、その後、発達心理学の研究に従事したあと、科学ジャーナリストとして10年のキャリアがある。
今回立ち上げたサイトはschizophrenia等に関する研究のディスカッションをオンラインで行うとともに、さまざまなリソース(抗体や発現ベクター等)に関しての情報提供も行うらしい。
おそらく、その辺りで企業からの寄付を取り付けて運営するのだろう。
Non-academicに分類される方では他に製薬会社で向精神薬の開発等に関わっている方が2名おられる。
比較的年上なのは、上記の他、先に述べた息子さんがschizophreniaである教授と私ということになり、その他のmajorityはPhD studentsとpost-docsである。
アメリカ以外からは、イギリスが数名、スウェーデン、スイス、そして日本。

今回のWorkshopでは課題が出ていて、5名のグループでGrant Proposalを行う。余りにも広いとその後のディスカッションにならないということで、一応、「飢餓と統合失調症の関係についての仮説を証明するためのプロジェクト」という枠がはめられている。
実は私自身、今栄養と脳の神経新生について非常に興味を持っているので、これは願ったりかなったりのお題である。
本当は昨晩、夕食後にそのインストラクションがあったはずなのだが、あまりにも眠くて参加していなかった。
今日、情報をゲットしなければ。
by osumi1128 | 2006-07-23 21:13 | Comments(0)

伊丹→成田→JFK→CSHL

無事にコールドスプリングハーバーに着いてネットに繋がりました。
以下、出発からの下記だめです。

******
いよいよ渡米の日になった。
朝は5時起きでMKタクシーのシャトルサービスでホテルから伊丹空港まで。
6人乗り合いだったので、会社としてはなかなか良い商売だろう。

眠気を抱えたまま空港でチェックイン。
和風のお土産を探すが適当な店が無くて断念して、ラウンジでぼーっとする。
『和楽』という雑誌をめくっていたら、なんと、小鳥の歌の岡ノ谷さんが、千住博さんと対談している!
伊藤若冲の鳥の絵が共通項となっていて、なるほどこういうのもアリなんだと感心する。
たぶん、茂木さんが『和楽』に連載執筆しているので、その関係に違いない。
CRESTのプロジェクトで出しているBrain & Mindというニュースレターでは、メンバーの研究者に順に朝日新聞の科学記者の瀬川茂子さんに対談して頂いているが、原稿料無しのボランティアである。
普通、名の知れた方にご登場願うのは現状ではちょっと難しい。
全然違う分野の方と良いお付き合いをしたいものである。

JL006便は定刻通りに出発。
成田のラウンジで慌ただしくメールチェックしたが、機上でもインターネットアクセスできたので、日本の時間で金曜日の一日分のメールを回収でき、また予定よりも遅れ気味になっているエッセンシャル発生生物学第2版の原稿をさらに1章分出版社に送った。

JFKにもほぼ予定通りに現地時間で11:30頃到着したが、予約したつもりのシャトルがいないなあと思って電話すると、confirmationしていなかったのでキャンセルになってしまっていた。
今回も携帯は海外ローミングしているので、現地に着いてすぐに携帯が使えて便利。
別のリムジン会社のカウンターに行って、shared shuttleを予約。
12:45分くらいに出発し、1カ所寄って他の方3名を下ろし、Cold Spring HarborのBanbury Campusには13:40くらいに到着した。
辺りは静かな住宅地であり、木々も多く鳥の声がする。

Robertson Houseという煉瓦造りの古風な建物にチェックインし、マーシャ・ポランスキーというようなお名前の(family nameは正確に聞き取れたか自信なし)、言ってみれば寮母さんのような方に迎えて頂く。
「ここが10日間、貴女のお家なので、どうぞお楽になさってね」てな感じのhospitality溢れるお言葉を頂き、お屋敷の3階までスーツケースを持って上がるのは結構しんどかったのだが、比較的大きなお部屋を一人で使わせて頂けるようでラッキー(おそらく、参加者の中では年長だからなのだと思うが)。
バスルームは部屋の外だけど、大きなお家に居候するような格好なので、いわゆる大学の寮に泊まるよりは落ち着ける。
そういえば、部屋の鍵は頂いていない。
Workshopのstudentsは26名だったし、そのくらい安心安全アットホームなのだろう。

スケジュールをチェックしたところ、明日の朝9時から始まり、夕方6時までほぼびっちり講義が詰まっている。
たまに午後の自由時間があり、後で聞いたところによれば「プールで泳ぐなり、ビーチに出かけるなり、お好きにどうぞ」ということだったが、私は泳ぐのは苦手。
朝食はこのRobertson Houseで頂き(食べ損ねても講義会場break用のベーグルやデニッシュはありとのこと)、昼食はBanbury Conference Centerで取り、夕食のみMain Campusにシャトルで移動するらしい。
ま、食事には期待してないけど、飢え死にはしないということだ。

インターネット環境は、Robertson Houseでは駄目だが、Banbury Conference Centerでワイヤレスでアクセス可能。
明日にならないとこのエントリーはできないということだ。

ここまで書いてからどうにもこうにも睡魔が襲い、2時間くらいお昼寝。
本日の夕食のみRobertson Houseで出されるということだったので、物音がすれば目が覚めるかと思っていたら、1階の食堂からはかなり離れていたのでまったく気が付かず寝ていた。
ふと隣の方を見ると、今回のインストラクター(オーガナイザー)の一人であり、3月にエジンバラでお目にかかったDr. David Porteousだった。
「前回会ったときに、このworkshopに応募したと言っていましたね」と記憶して頂いていた。

ビュッフェ式にワンプレートディッシュを頂いた後、歩いて5分ほどのConference Centerに移動し、今回のアウトライン説明や、studentsの自己紹介。
集まったのはPhDの学生から、私のようなPIまで、年齢層もバックグラウンドも多様。
Psychiatristsはむしろ少なく、computer scientistsもいれば、neuroimagingを専門とする方、そしてpsychologistsが数名。
このあたり、心理学が文系の学問として扱われ、学部に入る前から文理の教育が隔たってしまう日本の現状とかなり異なるなあと思う。
台湾出身のポスドクの男性がいたが、日本人は皆無なので、これから10日間、聞いたり喋ったりはすべて英語の世界。

その後雑談をして、9時過ぎに引き上げる。
辺りは真っ暗でちょっと恐い気がするのは、普段、夜でも明かりのある生活に慣れすぎているからだと感じた。

さて、明日からの講義が楽しみである。
by osumi1128 | 2006-07-22 21:41 | Comments(0)

神経科学学会行事

昨日から神経科学学会本体のプログラムが始まった。
初日は夕方のシンポジウムで、阪大のYさんとともにオーガナイズしたものだが、メインホールの割には聴衆が少なかったのが残念。
Scientific session以外では、本日神経科学学会の初めての男女共同参画シンポジウムがあり、こちらもメインホールにて。
津本大会会長のご挨拶の後、委員長のHさんが女性研究者支援についての現状や、遺伝研に何故女性PIが多いのか、といった話をされ、その後名古屋大学のOさんが神経科学学会が行ったウェブアンケートについての分析を報告された。
最後に私からは学協会連絡会として、神経科学学会の取り組みを応援します、という旨の挨拶を行った。
引き続いて行われた「研究費」についてのセッションはなかなか興味深いものであった。
スピーカーは以下の通り。
脳科学の研究費を考える:研究費はどのように決められ、どのように使われるべきか
オーガナイザー
河田 光博(京都府立医科大学大学院医学研究科)
津本 忠治(理化学研究所脳科学総合研究センター)

シンポジスト
岡本和久(学術振興会研究助成課課長)
鍋倉 淳一(生理学研究所教授、前文部科学省研究振興局学術調査官)
吉田 明(科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー)
金澤 一郎(国立精神・神経センター総長)
廣川 信隆(東京大学大学院医学系研究科教授)
宮川 剛(京都大学先端領域融合医学研究機構助教授)


金澤先生は、過去および現在のの脳科学研究費がどのような枠から配分されていたかについてオーバービューされ、さらに脳科学研究費拡大のために文科省のライフサイエンス課の枠を最大限に生かすべき、さらに他の枠にも積極的に申請すべき、というということを主張されていた。
廣川先生は、基礎研究をしっかりすることが大切、とくにアメリカのスタイルを追従することによる弊害について述べておられた。
吉田さんは、しばらく前まで大学におられた方だが、現在はJSTの研究開発戦略センターというところにおられる。
Funding agency全体にこういうキャリアの方が多くなってほしいと思う。
時間がなくて討論ができなかったのは残念。

祇園祭後の京都はどんなに暑いかと覚悟して来たら、まだ梅雨が明けていなくて、思いの外涼しかったのがありがたい。
明日からいよいよ渡米し、Cold Spring Harbor Workshopのstudentになってくる。
内容は統合失調症とその関連疾患についての、分子、細胞、システムに関する最新の知見についてである。
10日間昼間は英語漬けになるが、今はインターネットに繋がればどこでも日本語環境というのも善し悪しかも・・・
by osumi1128 | 2006-07-20 23:36 | Comments(0)