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迷える羊

韓国と日本の間には時差が無いのがちょっと恨めしく思えたりしましたが(だって、3時間くらいの時差があったら、6時起きしても日本の9時くらいかな、と感じるでしょ?)、無事に起床し、無事にパッキングし、何一つ部屋に残すことなくチェックアウトし、インチョン空港までホテルのタクシーで向かい、幸い道は混んでいなくて30分程度で到着し、「キャッシュで」と言ってあったのにウォンが足りず日本円を足して支払い(苦笑)、無事に2時間前にチェックインしてキャリーバッグ(中・黒・革)を預け、無事にセキュリティーも通過し、さあ、これならちょっとお土産を買う時間があると思って物色し、韓国菓子などをゲットしてからエアラインのラウンジでほっと一息。
朝ご飯を食べながらPowerBook12インチのAirMacがどうもおかしいことに気付いたのですが(実はしばらく前からその徴候は見られたのですが)、まあ、すぐラボに帰るから、とりあえずオフラインでメールの長めの返事をいくつか書いている間に、気付いたら出発時刻の20分前。
確かゲートは遠かったと思って、韓国美人の受付嬢に「仙台行きはもうアナウンスされましたか?」と聞くと、電話で問い合わせた後に「只今からのようです」(蕎麦屋の出前か?)。
で、韓国菓子等で増えた荷物を抱えつつ、チケットに表示された第8ゲートに向かったところ、アナウンスが。
「アシアナ航空152便、仙台行きは、只今搭乗手続きをしております。お急ぎ、○○番ゲートにお越し下さい」
え??? 今、なんて言った? 8番ゲートではない???
この時点で出発10分前。
さぁーどうしよう、どこかにアシアナの関係者はいないかな? と思いつつ、一番近くの10番ゲートのカウンターで、「すみません、仙台便のゲートはいくつと言っていましたか?」
「ああ、すみません、ゲートが変わったのですよね。ええと、25番ゲートになりました。どうぞお急ぎ下さい」
(まったく!!!、受付嬢のお姉さんは、何故、ゲートが変わったことを伝えない??? 仕事がなってないぞ。ああ、そういえば「新人」って書いてあったような・・・)と思いつつ、「すみませんが、カウンターに<今向かっている>旨を連絡しておいて頂けますか?」と言い残し、今来た通路をひたすら戻ります。
途中で、トランシーバーを持ったアシアナのお姉さんが、「仙台便ですか? どうぞゲートは向こうになります」と誘導してくれましたが、なんだか<迷える羊さん>になった気分でした。
群れからはぐれた羊を、プロフェッショナルな羊飼いはどうやって見つけたり誘導するのでしょう?
結局、25番ゲートからは、さらにバスに乗って移動しなければならず(そりゃあ、ソウルー仙台便なんて、小さな飛行機ですから・・・)、3分前くらいに機内へ入りましたが、さらに私の後に数名、同じように迷った羊さんたちが乗り込んでこられました。
やれやれ、ちょっとドキっとしましたが、たぶん、羊は1匹も残されずに仙台に連れて行かれたと思われます。

空港からは、近くの駐車場に預けてあった車でラボに向かったのですが、一応、方向音痴度の高い私は自分を信用していないので、ナビに目的地までのルートを表示させつつ走っていると、????? ナビによれば<ここ>で右折しなければならないはずなのに、道が・・・無い! あれー、なんか陸橋になっていて超えちゃう・・・???
ということになり、しばらく走ってから戻りました。やれやれ・・・
たぶん、空港アクセス線などができたときに、道が変わったのですね。
私のナビの元になっている地図は数年前のものなので、それが反映されていないようでした。

まあ、そんなこんなありましたが、午後2時過ぎにはラボに着いていましたので、移動時間は5時間くらい。
ソウルは近い、です。

数日ぶりの学生さんやポスドクの人といくつかディスカッション。
あれ? 学会から戻ったはずの・・・の姿が見えないのは何故???

*****
5号館のつぶやきさんとは福岡の学会会場ではお目にかかれませんでしたが、今週土曜日STS学会のシンポジウムでご一緒する予定です。
PLOS Computational Biologyの記事の和訳(意訳)をポスター発表のための10の簡単なルールとしてエントリーされていましたが、とても大事なポイントを突いているので、転載させて頂きます。
by osumi1128 | 2007-05-31 22:49 | 雑感 | Comments(1)

Women in Life Science

19th FAOBMB Seoul Conferenceの最終日午後に開催されたWomen in Life Scienceというセッションで30分の講演をしました。
このセッションの主催はWomen's in Bioscience Forumというfoundationだったのですが、English頁が見あたりません(涙)。
聞くところによると、会員数が800人くらいで、一般会員の会費が$100くらいとのこと。
大きなスポンサーは化粧品会社のロレアルのようでしたが、見ましたらTAKARAの韓国支社も入っていますね。

さて、ランチをご一緒した後、セッションが始まりました。
プログラムはこちらにありますが(中身は英語)、まず最初に話されたのが、National Institute for Supporting Women in Science and Technology (NIS-WIST)という組織のPresidentのJOHN, Gil Ja博士で、韓国のS/T業界における現状やポリシーについて話されました。
それによると、韓国では最新の統計ですでにS/T分野の女性研究者は13%を超えたらしく、ということは「だったら、日本はビリ!」ということになるので、ちょっと慌てています(低いレベル・・・涙)。
たいへん立派な本『Advancement of Women in Science and Technology: A Case Study of Korea』も出されており(ISBN 89-7300-703-3)、韓国がかなり本気で女性研究者問題に取り組みつつあることが伺われます。

その次の講演者であるJennifer Graves博士は、性染色体の研究者で今はカンガルーのゲノムプロジェクトなども行っておられるようですが、2006年のロレアルーユネスコ賞受賞者でしたが、とてもユーモアのある講演をされました。
ご自身がPublic Understandingにとても力を注いでいるということがよく分かりました。
「男女は、nature
その後、私の講演だったのですが、基本的には昨年のIUBMB@京都での講演に加え、東北大学のモデル事業の話も加えました。
私が韓国の現状をよく知らなかったように、先方も日本の現状を知らず、「いろいろな統計もあり、非常に有意義だった」と主催者側の何人もの方に言われました。
今後、ビリ同士仲良く、お互いにwin-winになるようにうまく「外圧」を利用して進められたらよいかもしれません。

休憩をはさんで、後半はよりscientificなセッション。
まず岡崎恒子先生の人工染色体のお話があり(Okazaki fragmentのお話は出てきませんでした。残念)、次はKorean Insitute of Science and Technology (KIST)のMyeong-Hee YU博士によるプロテオミクスのdrug discoveryへの応用について。
彼女は1998年にロレアルーユネスコ賞を受賞されています。
最後は、ソウル大の生物学で初めての女性教授であるJung-Hye ROE博士のバクテリアの酸化ストレス応答のお話でした。

その後、ロレアルがスポンサーになって着席のディナー。
WBFのメンバーも数十名参加されていました。
私の席の右隣が、ソウル市内にある私立大学の薬学の名誉教授の女性、左隣がDr. YUで、さらに同じテーブルにDr. ROEと、FAOBMBの事務局の男性教授もご一緒でした。
今日は韓国料理。ワインは赤のみ。まあ、韓国料理には白ワインは合わせにくいでしょうね。
でも、何故、ビールではなく赤ワインなのか、聞き損ねました。

外国人は私一人だったので、かなりの会話が韓国語でなされ、molecular biologyとかtransgenic miceなどの専門用語の英語しか聴き取れなかったので、ときどきこちらの聞きたいことを会話の流れとは関係なく勝手に聞いていました。
「ちょっとデリケートな話題ですが、ファン・ウソク博士の問題について、皆さんはどのように考えておられるのですか?」という質問をしますと、
「彼は、市民や政府の要人に対して非常に説明が上手く、パーソナリティーも素晴らしく、唯一良くなかったのがサイエンスだ」
「ファン博士は獣医としての生殖補助技術は素晴らしい方だったのでしょうが、分子生物学や生物学はまったく分かっていなかったのだと思います」
「幹細胞を応用した再生医療に期待する患者の団体の力も大きかったのでしょう」
というような答えが返ってきました。
私の英語の聞き取りが確かなら、同席した男性教授は、捏造のチェックの委員会に関わったらしく、「とある免疫染色のコントロールの画像は、よく見ると、同じ画像をただ暗くしただけだった」というような指摘をされていましたが、この手の「コンピュータ捏造」はかなり多くのケースに関わっていますね。
(この点については、昨年、毎日新聞の「論点」に寄稿しました。→こちらに元原稿を掲載しています。)

という訳で、共同参画関係等では収穫のあった2日間@ソウルでした。
宿泊先のホテルと会場を車でアテンドして下さったJeongsil HA博士に感謝。
そもそも、今回のトークを振られた塩見先生@徳島大にも御礼申し上げたいと思います。
ソウルは3回目なので、今回はまったくどこにも行きませんが、これだけ近い国なので、きっとまたいつかチャンスがあるでしょう。

明日は6時起き・・・(涙)。
by osumi1128 | 2007-05-30 23:18 | 科学技術政策 | Comments(0)

FAOBMB Soeul Conference

日曜日から日本発生生物学会に参加し、今日はお昼の便で福岡空港からソウルに飛びました。
Federation of Asian & Oceanian Biochemists & Molecular Biologists (FAOBMB)がソウル市内のCOEX Centerというところで27日から30日の会期で開かれており、その中のWomen in Bio-Scienceというセッションで明日話をするように頼まれたために来ています。
昨年IUBMBが京都で開催されましたが、そのアジア・オセアニア版ですね。
4000名くらいの参加者とのこと。
ちょうど昨年のIUBMBの半分弱というところです。

プレナリーには審良先生も呼ばれていらしたようですが、今日のバンケットではお目にかかりませんでした。
NeurobiologyのシンポジウムはFrom Synapse to Memoryと題して、あまり生化学・分子生物学ではない演題が組まれていたのはちょっと珍しいと思いましたが、ソウル国立大学やKAISTなどで結構この分野の方々が多いせいかもしれません。
(CRESTでご一緒している三菱の生命研の井ノ口先生がco-organizerでした)

ところで、今日のバンケットは着席のフォーマルなものだったのですが、開始前にサックスの演奏があり、その時点でかなり音が大きいなあと思っていたら、次にはギターと歌の男女ユニットの演奏が3曲ほど続き、これまた大音量で、円卓の隣の隣の人の声が聞こえにくいくらいで辟易しました。
その後、副市長やら主催者側やらのスピーチが4,5名続いたり、スポンサーの企業2社に感謝状が渡され(これは大事)、そうしてようやく乾杯となりました(やれやれ……)。
フレンチだったのですが、飲み物は「赤ワインのみ」(あるいは水)というシンプルさ。
「ビールにしますか? それともウィスキーですか?」などといちいち聞かれません。
メインは牛ステーキだったのですが、久しぶりにしっかりとした噛みごたえのお肉を頂き、K先生の言われるところの「剛体問題」を思い出しました。
お開きの前に、また女性ボーカル2名による歌があり(やっぱりABBAとか西洋もの)、そちらも大音量だったのは「居心地が良くていつまでも長く残ることがないように」という配慮だったのでしょうか?

それはそれとして、お隣の席は岡崎恒子先生でした。
岡崎先生も明日のセッションに呼ばれておられたのです。
3月末でJSPSのストックホルムオフィスを御退任され、現在は藤田保健衛生大学の方に週2日程度行っておられるとのこと。
御年74歳とのことでしたが、お元気そうで何よりです。
明日、お話を伺うのがとても楽しみです。

岡崎先生は日曜日からソウル入りされていたとのことで、「日本でどなたか大臣が亡くなられたとか……」と仰るので、「ええ、昨日、農水大臣が自殺されたようですね。」とお答えしました。
日本の自殺率が非常に高いのは、宗教的に禁じられておらず、ハラキリの伝統もあるからなのでしょうが、こういうやり方は何の解決にもならないと思います。
by osumi1128 | 2007-05-29 22:44 | 旅の思い出 | Comments(2)

久しぶりに書評を

昨日は打って変わった良いお天気でした。
本日のサイエンス・エンジェルのオリエンテーションとスキルアップ講習会「ビジネスレターの書き方」は無事に終了。
二次募集のSAも加わって、いよいよ今年度の活動も本格的になります。
6月9日には任命式。
こちらのMORIHIMEホームページより、詳細をご覧下さい。

*****
さて、ここしばらくの間に読んでお勧めの新刊本のご紹介です。
ライフログの方に表紙を挙げておきます。

まずは『シマウマの縞 蝶の模様ーエボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』(ショーン・B・キャロル著 渡辺政隆・経塚淳子訳 光文社)。
訳者の渡辺さんはこれまでから進化モノの翻訳を数々手がけておられますが、この原著はかなり本格的なEvolutionary Developmental Biologyの本です。
原著の題は「Endless forms most beautiful: The new science of evo devo」といって、とても素敵なのですが、なかなか日本語訳は難しいところですね。
Evolutionary Developmental Biologyというのは、生き物の発生過程を視点に入れた進化学、というような意味合いです(専門家の方はもっといろいろ言われるでしょうが)。
種を超えて共通して働くような「マスター遺伝子」、それらが集まった「ツール・キット」という概念は、エボデボで重要なものです。
(ところで、エボデボってカタカナ表記すると、どうしてもエボダイを思い出してしまいますー苦笑)
日本では、「生物学」というとかなり「生態学」的扱いで、「進化学」も「化石学」だったりして、どのように進化の過程でゲノムの変化が起き、それが多様な生物の形態や生活パターンを生みだしたのか、という観点が欠けているように思いますが、こういう本が多くの方に読まれるようになってほしいと願っています。
原著はかなりクセがある英語というお話でしたが、翻訳の日本語はとても読みやすいものに仕上がっています。

『科学の社会化シンドローム』(石黒武彦著、岩波科学ライブラリー131、イワン美書店)は、まさにタイムリーな一冊。
雑誌『科学』に連載されていたコラムを元にされたもので、著者は電子工学系の方で、現在は京都大学名誉教授。
近代科学がさらに変貌を遂げ、「社会との付き合い方」を求められるようになり、どのようなひずみが生じているかについて、データをもとに分析されています。
「STSとアウトリーチ」「人材需給を研究環境」など、科学技術コミュニケーションや、キャリアパス問題に関心のある方は必読!です。

CREST「脳学習」でもご一緒の藤田一郎先生(阪大)が、50歳になったのを記念して(?)書かれた『「見る」とはどういうことか 脳と心の関係をさぐる』(化学同人)は、認知科学の入門書としてたいへん読みやすい本です。
同様の内容は『脳の中の幽霊』(V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー著、山下篤子訳、角川書店)や、『脳は美をいかに感じるか ピカソやモネが見た世界』(セミール・ゼキ著、河内十郎監訳、日本経済新聞社)にも含まれますが、藤田先生の本は、ご自身が視覚系の脳研究者であるために、非常に分かりやすい語り口で書かれています。
「見る」ということが、単に網膜に映像が映ることではなく、脳で処理されて初めて、色も形も認知されるということを、改めて科学的に教えてくれる本でした。

ちなみに、ゼキ先生の本は2002年に日本語訳が刊行されていますが、美術のお好きな方には超お勧めです。
ちょっとお高い本ですが、良い紙とインクを使って、ふんだんに挿絵が載っています。
表紙はフェルメールの「真珠を量る女」で、人はなぜフェルメールに惹かれるのか、という分析も。

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明日からは、福岡の発生・細胞生物合同大会と、ソウルで開催されるFAOBMBに出かけてきます。
by osumi1128 | 2007-05-27 01:27 | 書評 | Comments(0)

恩師の退任パーティー

金曜日の東北新幹線の下りの最終列車は22:20発。
これでちょうど仙台駅終点到着がぎりぎりシンデレラタイムです。
恩師の退任パーティーが9時頃お開きとなり、時間調整に丸の内のオアゾにある丸の内ホテルに立ち寄って、グラスワインとチーズを頂きながら(パーティーでは何も食べられなかったのでー涙)、いわゆる退官記念誌を読みました。

私は仙台におりましたので、今回の退官記念行事には一切お手伝いしておらず、元ラボの方々はさぞかしご苦労であったことと思います。
公称260名の参加者とのことで、全国の同窓生だけでなく、江藤先生が国際交流関係を熱心にされていたことから、タイからも駆けつけた方々がおられました。
数年ぶりにお目にかかる方々も、10年くらいお目にかかっていない方も、本当に久しぶりの懐かしいお顔でした。

退官記念の本には、型どおり、これまでのご経歴や業績リストが載っていただけでなく、学部長時代等に書かれたいろいろな文章が、「大学院重点化と大学構造改革」「国際交流」「歯学教育」「第20回歯科医学会総会」「歯科医療」「お茶の水祭」「学友会」としてまとめられていたのが江藤先生らしいと思いました。
大学院重点化の頃、私は駆け出しの助手だったので、物事がよく分かっていませんでしたが、今はいろいろな意味を理解します。
これからも役立ちそうな退官記念誌というのは大変珍しく有り難い。
また、「寄稿集」にはさまざまな方々の文章が載っていて、皆さん(私を含め)、ざっくばらんなトーンなのは、「何を言っても平気」な先生のお人柄によるものでしょう。

かつて江藤研に卒業研究生として入ってきて、そのまま博士号を取るまで在籍していたAさんは「時間は自分でコントロールせよ」と言われたエピソードを書いていましたが、これは常々先生が話されていたことでした。
実際、「お茶の水祭」などの挨拶文の中にも、同様の話が出てきます。
人間、いつか死ぬことは必定であり、その意味でその人に与えられた時間は最初から有限であるのに、皆、それに気付いていないように生活している、それでは駄目だ、というお話は、何度も聞きました。
その影響もあってか、私は「人間、唯一平等なのは、1日24時間しか与えられていないということ」という話をよくします。
つまり、すべては時間の使い方次第だと思うのです。

非常に個性的な人たちが自然と集まった研究室でした。
受け身ではなく、自分の頭で考えることを教わりました。
研究やマネージメントのストラテジーを学ぶことができたのは、独立したときに本当に有り難く思いました。

自分がそういった諸々のバトンをうまく伝えることができているのか、江藤先生の歳になる頃には客観的な判断がつくようになるでしょう。
それまでは、出来る限りのことをするしかないと思います。

とにかく、先生、お疲れ様です。
日本歯科医学会会長のお仕事がまだ続きますので、お体に気を付けてご活躍下さい。

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明日は、サイエンス・エンジェルのオリエンテーション。
最初の挨拶と、「スキルアップ講習会ービジネスレターの書き方」の講師を務めます。
by osumi1128 | 2007-05-26 01:24 | 雑感 | Comments(0)

JSTの研究開発戦略センター(CRDS)

先週末が青葉祭りで、まさに、定禅寺通り、青葉通り等の欅並木の青葉が茂れる季節になったことを実感します。
私はこの季節の仙台が一番好きですね。
爽やかな空気だけでなく、日没が遅くなって夕方が長いのも、何か嬉しい気分です。
早めに仕事を終えて、オープンカフェで食前のシャンパンなどを飲んだら、気持ちよいのですが、なかなかそうもいかず……(苦笑)。

*****
さて、一つ前のエントリーの続きになります。

科学技術振興機構の組織として研究開発戦略センターというものがあり、いわゆるファンディング・エイジェンシーのシンク・タンクとして機能しているようです。
博士号を持った方や、ポスドク経験者、大学の講師等を務めた方などの専門家が多く、日本のトップダウンの研究として何をすべきか、についての提言や政策立案などを行っています。
例えば、先頃提出された「戦略プロポーザル」では
科学技術未来戦略ワークショップ等を通じて、科学技術の研究分野を俯瞰的に展望し、今後重要となる分野、領域、課題、およびその推進方法等を系統的に洗い出します。さらに海外の研究開発状況との比較を行い、社会ニーズやビジョンをどう実現していくかなどを考慮しながら、国として重点的に推進すべき研究領域や課題を選び、「戦略イニシアティブ」、「戦略プログラム」あるいは「戦略プロジェクト」などに仕上げていきます。

というような活動をしています。

例えば、私自身の研究に近い分野としては「認知ゲノム −脳の個性の理解と活用−」というものが2006年の「戦略プログラム」に挙げられています。
こちらが決まるまでには、論文等のサーベイによる分析だけでなく、シンポジウムやセミナー等が複数回開かれ、研究者からの意見徴集も行い、数十頁に及ぶ提言としてまとめられることになります。
そして、その中に書き込まれた重要課題が、JSTなどのプロジェクト研究のテーマとして挙がるという流れです。

今回、新たにCRESTの領域として設定された「精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出」は、ライフサイエンス分野の戦略重点科学技術の中で「生命プログラム再現科学技術」と「臨床研究・臨床への橋渡し研究」に該当します。

一番ボトムアップなのは、各個人が申請する文科省の基盤研究ですが、「特定領域研究」の決まり方もかなりボトムアップです。
通常の科研費申請シーズンに応募し、その後、20数名の審査員による書面審査、ヒアリングと続きます。
生物系の審査部会の場合には、バランスの取れた審査員の構成になっているために、意見はかなり平均化され、信じられないような結果になることはまずありません。

もう一つ言っておくべきことは、経産省のプロジェクトや、ライフ課独自のプロジェクトは、競争的研究費全体の中ではさほど大きくありません。
#先ほどから30分以上、公開されている資料をweb上で探したのですが、見つかりません(涙)。
経産省の科学技術関係予算は文科省全体の4分の1くらいだったかと思います。

*****
先日、意見交換のためにCRDSの方との打合せがあり、初めてCRDSのオフィスを訪れました。
都内の二番町のビルの中にあるのですが、入り口が何やら造形的で「???」と思っておりましたら、一種の「結界」なのだそうです。
つまり、その中に入ると、外の世界とは違う環境で、イマジネーションを働かせて政策立案等を考えましょう、ということらしい。
オフィスの中も、まるで外資系の会社のようで、こんなところに大学院生等をインターンシップに派遣したら、皆、就職したがるのではないかと思ってしまいました。
専門的な科学リテラシーを活かして政策立案を行うというサイエンスとの関わり方は、私はとても魅力的だと思います。
ちなみに、インテリアの費用は、役員用オフィスなどの削れるところを削って、そんなに割高にはなっていないというお話を伺いました(念のため)。
by osumi1128 | 2007-05-25 01:11 | 科学技術政策 | Comments(0)

プロジェクト研究について

明日K大学で朝イチの講義のため、夕方、とある会議にも出つつ上京しました。
ちょっと本日はしっかりとしたエントリーにできそうにありませんが、5号館のつぶやきさんのところのバイオ系の大型予算の決まり方 【追記あり 補足を読んでください】というエントリーに関連して、プロジェクト研究の決まり方について私見を書いておこうと思っています。

つぶやきさんのエントリーの元ネタは朝日新聞の記事と、それに関する今日の朝日新聞朝刊の中村桂子さんの「私の視点」についてという元木一朗さんという方のエントリー、その他、です。
私は残念ながら朝日の記事は読んでおりません。
「タンパク3000」についての個人的な意見もとりあえず置いておきます。

科学研究費の中で最も大きいのはいわゆる「科研費」であり、競争的資金ですが、ボトムアップの研究費と言えます。
それに対して、トップダウンの研究費の代表は「振興調整費」や、JSTの研究費になります。
JSTは現在研究開発戦略センター(JST/CRDS)という組織を擁しており、そこではアカデミアのキャリアを持った方や、ポスドク経験者、学位を持った方、なども多く働いておられ、独自の調査を元に、社会ニーズや学問の動向を分析した上で、トップダウンの研究プロジェクトの方向性についての提言を行っています。

元木さんが指摘されたようなプロジェクト研究の決まり方というものも確かに現実にありますが、国の科学予算がすべてそのように決まるということではないように思います。
CRDSについての話題は、またいずれ改めて。
by osumi1128 | 2007-05-23 01:27 | 科学技術政策 | Comments(9)

久しぶりのエントリーなので・・・

少々ご無沙汰でした。
先週金曜日は箱根でClosed Meetingがあり、翌土曜日は幕張メッセで地球惑星科学連合の大会で共同参画シンポジウムで講演。
その後、帰仙して久しぶりにK先生と、産学連携の准教授T先生もご一緒にワインバーに行って、1週間の疲れを取り、日曜日は出張の片付けほかイロイロ・・・
出張後半にブログ用に書いていたものをアップするのが大変遅くなりました。

というわけで、本日は盛りだくさん。
まずはシンポジウムのGroup Photoをどうぞ。
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参加者および裏方を務めて下さったAbcam社、コスモバイオ社の方々、誠に有難うございました。
今日は、ゲストスピーカー他に御礼の電子カードを送りました(一部、まだ未送付)。

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さて、時間を遡って土曜日にしたためたものを。

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朝、緑の色濃くなった箱根を出るときに、突然、土砂降りの雨にぶつかってしまいました。
山のお天気はなかなか気難しいですね。
ロマンスカーの中で書いています。

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昨日はドイツと日本の5つのラボの合同のClosed Meetingがありました。
Neurogenesis 2007にWieland Huttnerを招聘したことがきっかけで、比較的近い研究を行っているラボが集まりました。
CDBの松崎さんとは神経センター時代、東北大時代の同僚ですし、名古屋の宮田さんは胎児脳の細胞のタイムラプスイメージングの共同研究でお世話になり、うちの卒業生のAさんが現在Huttner研におり、元Huttner研のKさんは現在の所属が松崎研、Huttner研から独立したFedelico Calgariは以前、家の研究室に全胚培養法を習いに来たというようなつながりです。
Opening Remarksでは「We are the family, so let’s discuss on our mutual interest deeply and actively.」というような挨拶をしました。

サイエンスの中身はconfidentialなのでここには書けないのですが、非常にexcitingでstimulativeな会でした。
といっても、本当は今日もう1日続くのですが、私は別件があって先に失礼しなければならず、本当に残念。
まあ、比較的急にアレンジしたので、先約があったので仕方ありません。
もちろん英語で為されたのですが、幸いドイツのラボの方達も必ずしも英語が母国語ではないので、理解しやすいものでした。
ごく少数、nativeがいましたが、もう少ししっかり喋ってよね、他人のことも考えて・・・と思いました。
うちのラボで1年目、2年目の方達は、「やっぱり英語、必要なんだ」ということを痛感したことと思います。
フォーマルな大きな国際会議では、自分の発表さえすれば、後はなんとなく過ぎてしまったりもするでしょうが、参加者が50名くらいだと、「聞き取りたい、話したい」という気持ちに、自然となるような気がします。
ラボに外国人ゲストが来ることは多いですが、一度に複数というのは少ないので、それも良かったと思います。
次は是非ドイツで行って頂けると有り難いですね。
*****

その後、幕張メッセに行った訳なのですが、日本地球惑星連合2007年大会の初日でした。
いやー、幕張は久しぶりでしたが、遠・・・かったです(涙)。
京葉線というのが、東京駅の乗り換えで延々歩くのですね。
で、海浜幕張駅からもそこそこあって、それは良いのですが、初日のせいでまだ人気がなく、方向音痴系の私としては、このルートで合っているのか、非常に不安なまま歩いておりました。

共同参画シンポジウムでしたが、「地球電磁気・地球惑星圏分野における有期限雇用研究職のアンケート調査報告」として、150名くらいの回答者だったようです。
HPなどに掲載されると良いでしょうね。

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さて、この週末は青葉祭りでしたが、昨日から第3回仙台国際音楽コンクールが始まっています。
久しぶりに音楽を聴きに行くつもりです。
by osumi1128 | 2007-05-21 23:55 | 雑感 | Comments(4)

Small world

昨晩から今朝にかけて、宿泊先のインターネット環境の不調により、下記のエントリーをしそこねました。
ブログの面白さの一つは、やはり「リアルタイム」であることだと思うので、ちょっと不満ではありますが、まずは昨日エントリーしようと思っていたネタをどうぞ。
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本日夕方(おっと、日付は変わってしまいましたが)、無事に国際シンポジウムは終了しました。
国内外含め、多くの方々が「とても充実したミーティングだった」と嬉しそうに話して下さいましたので、主催者としては何よりでした。
日程的には、比較的狭いテーマで2日というのも、適当であったように思います。
神経発生とadult neurogenesis関係の方々の両方にお集まり頂き、基礎から応用までを含めたことが良かったと思っています。
中身については、羊土社の方が来られて、ミーティングレポートを寄稿して欲しいということでしたので、いずれそちらに出ることになります。

もう一人のオーガナイザーである東大の久恒先生も、元ボスのRon McKay先生その他にお声がけ下さったり、私が抜けている間も気を配って下さって、本当に助かりました。
そして何と言っても、スポンサーであったAbcam社、とくに日本支社の立ち上げ時点からご尽力頂いたSさんには、本当にお世話になりました。
有り難うございました。

今回何よりも有り難かったのは、オーガナイザーは最初の人選をして、了解をもらうまでの交渉をした後は、ほとんどのプロセスをAbcam社の方で進めて頂けたことです。
その他には、日程を詰める、プログラムを決める、short talkにする人を選ぶ、といったことを行いましたが、それぞれの招聘者の交通費をどのようにするか、宿泊は誰がいつからいつまでか、といった様々なことも、すべてお任せできたのです。
このスタイルは、いわゆるGordon ConferenceやKeystone Symposium, Cold Spring Harbor Meetingと同じですね。

ところで、こういうミーティング開催をサポートするNPOを立ち上げたら喜ばれるのではないかと感じました。
かつて、日本でもいわゆる「財団」がシンポジウムをオーガナイズして下さっていたのですが、しばらく前に金利が下がり、経済状況が悪くなって、かなり立ち消えになったように思います。
代わりに、科研費やCOE等での国際シンポジウムが非常に増えたのですが、これはオーガナイズするのが本当に大変です。
大抵、欧米の方は「日本に来るのなら、こことあそこにも寄りたい」とか「休暇も一緒に取りたい」というリクエストをされるのですが、「では、往復の旅費と、シンポジウム開催の3日だけ宿泊はサポートしましょう。他はどうぞ自分でご自由に」という合理的な決済がこの国では成り立たないのです。
また、食事代を出すのも一苦労です。
皆一様にびっくりされるのですが、こちらも出せないものは出せないし、訪問先2カ所で適当に折半する、というのも、ことをややこしくしたりします。
(その結果、秘書さんが大変な思いをすることになります・・・)

したがって、もし研究者が研究に多くの力を割けるようにするには、そして、どこか特定の企業がそれをサポートできるだけのメリットを感じないのであれば、必要を感じる人たちがそういう組織を作ればよいのですね。

そういうNPOがうまく立ち上がるためには、公共的な団体への寄付に対しての税金免除などがネックかと思うのですが、要するに「小さな政府」を作るというのは、ただ公務員の数を減らせばよい、という問題ではなく、非合理的なシステムを見直すということが大事なポイントなのだと思います。
企業から税金として徴集し、それをまた配分すると、その間の事務を行う人件費で、お金は目減りします。
もっと直接的になれば合理的だと思います。
また、そういうNPOを仕切ってもらうには、ドクターやポスドク経験者も必要でしょうね。

*****
明日は、東京で会議や打合せが3つ。
やれやれ・・・

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で、本日はアポイント3つと会議1つ。
アポイントの1つはとてもオフィシャルなので、このブログに書いても良いと思うのですが、日本学術振興会のK部長(って、イニシャルにしてもすぐ分かることなのですが)に、「RPD制度の改善に対する分子生物学会からの要望」を手交してきました。
こちらの分子生物学会のHPからも、要望書は見ることができます。
基本的には、さらなる周知の徹底や、3ヶ月以上の研究中断という要綱をもっと緩くしてほしいなどのことが要望として挙がっています。
このあたりが施策としての制度設計との難しさなのですが、「RPD制度」は本来「復帰支援」として始まったことなので、産後1ヶ月しか休んでいない人を対象としてよいのか、(育休を取ってそのまま復帰できていない人も多数いるはず)ということで、このあたりに落ち着いたという経緯もあります。
もちろん、本来は「育休を取らないで研究を続けら得る」環境が理想なのだと思うのですが、その環境作りには他にも必要なことがいろいろありますね。

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という話とはindependentなのですが、面会の最後にK部長が「先生、もしかして高校は××ですか?」と聞かれるので、「はい、そうですが」と答えると「私もそうなんです」ということで、世間は狭いなあと思いました。
K部長は2期上で、おなじみK先生は1期上の先輩です(あ、個人情報をばらしていますね)。
「じゃあ、今度、プチ同窓会をしましょう!」という話で終わりました。

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他のアポイントでJSTの研究開発戦略センターを初めて訪れたのですが、そのネタはまたいつか。
by osumi1128 | 2007-05-17 23:59 | 雑感 | Comments(0)

Neurogenesis 2007

Neurogenesis 2007の初日が終わりました。
Abcamというイギリスの抗体関係の会社のサポートにより行われています。
脳の発生から成体脳における神経新生までを扱う2日間の国際シンポジウムとして企画し、100名を超える参加者になったことは、オーガナイザーとしては予想以上の反響で嬉しい限りです。

本社はケンブリッジにあるのですが、会社のCOEのJonathan Milnerさんも丁度来日し、Opening Remarksとして、会社設立の経緯などを話されました。
その後、会の趣旨などを説明した後、まずはBrain Developmentのセッションをchairしました。

実は事情があって、ランチタイムを利用したポスター発表と午後のセッションは抜けてしまったのですが、懇親会までに戻ってきましたら、皆さんが「なかなか良い会だ」と言って下さるので、開催して本当に良かったと思いました。
スポンサーのAbcamに感謝です。
元はといえば、一昨年、ギリシアのCortical Developmentという学会で飛行機のストやら、寝坊によって乗り遅れたり、というトラブルがあったときに、Abcamの会社から参加していた方とサントリーニ島へのwaiting listに一緒に並んだのが、きっかけといえばきっかけだったかもしれません(下記参照)。
その方は今maternity leave中なのですが、縁というのはどこにあるか分からないものですね。

ギリシアでのトラブルについてはこちらになります。

「事情」というのはいずれ書くとして、いわゆる「大事なプレゼン」だったのでした。
拙著『プレゼンテーションの基本』には「ユーモアをもってプレゼンしよう!」と謳っているのですが、今日はさすがにそういう余裕はありませんでした(涙)。
そもそも、持ち時間が予定よりも30秒少ない状態で始まったということもあり、気持ち飛ばし目に話して10秒余らせて終わったというのは、もったいなかったかもしれません。
泣いても笑っても、ひとまずゆっくり寝られる・・・かと思うとさにあらず、明日はNeurogenesis 2007での発表があるのでした。
まあ、こちらは時間もたっぷりあるので気は楽ですが、大事なプレゼンであることには間違いありません。
頑張ります!
by osumi1128 | 2007-05-15 23:41 | サイエンス | Comments(0)