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年の瀬のスターバックスにて

昨晩からの雨は夜更けを過ぎても雪に変わりませんでした。
それだけ暖かいということですね。

お昼すぎに年内最後のスタバ参りをしようと、いきつけのお店に向かいました。
今日はイート・インしようと見渡すと結構混んでいます。
オバサマ二人がソファに「隣合って」座っていらっしゃって、うーん、マナー違反、と思いつつ、とりあえずソイ・ラテ・ホット・ショートとツナメルト・サンドウィッチ(最近のお気に入り)を頼んでから、「こちら、よろしいでしょうか?」とオバサマの一人の「向かい側」のソファに席をゲットしました。
注文したものができたのでカウンターに取りに行き、年の瀬も押し迫った街を歩く人たちを眺めつつ、遅めのブランチとなりました。

サンドウィッチを食べ終わったところ、休憩時間に入ったとおぼしき店長さん(なかなかのイケメン男子)が近づいて来て、「???」と思っていたら、「いえ、実は、まだお店の人たちにも言ってないことなんですが……」と切り出されます。
この店長さんは、よく注文の後に、「今日もお仕事ですか?」などと声をかけてくれるとても気さくな方。
こちらも「あ、そのTシャツは今年のクリスマス・キャンペーンのものですね」などと話題を向けたりしてました。
「もしかして、起業でもなさるのですか?」と訊くと、「はい、近い将来にコーヒー屋を出したいと思っているので、ここはあと少しで辞めて、お金を貯めようかと。」
「へぇー、素敵ですね。市内に出店されるのですか?」
「そのつもりです。注文を取ってから挽きたての豆で入れるようなスタイルで。良かったら、この名刺、受け取ってください。」
と差し出された名刺には、将来のコーヒー店の名前と、携帯番号、メアドが。
「じゃあ、いつかお店を出されたら是非教えてくださいね。後でメールを入れておきます。」

お店を後にして歩いている間に、あの30代とおぼしき店長さんは何故、自分の将来の話を私に語ったのだろう、と考えました。
昨晩のまとまった雨とは打って変わって、穏やかな昼下がり。
寒くないのが有り難いです。
そうして、しばらく歩いて辿り着いた結論は、「きっと、誰かに話すことで、本当に後戻りできないようにしたかったのでは?」ということでした。
現状の生活を続けた方が、ずっと安定しているでしょうし、仕事も楽しんでこなしているようにお見受けしていましたが、いろいろ思うところがあったのでしょう。
あるいは、「そうですか、是非がんばって下さい!」という応援の一言を、誰かにかけてもらいたかったのかもしれません。
一人で何か新しいことを始めようとするのは、とてもプレッシャーのかかることでしょうから。
いつ頃、開業できるのでしょうね?
元々は、「こだわりのオヤジが一人でやっている喫茶店」が苦手なので(苦笑)、「スタバ系」のコーヒー店に入るのが常なのですが、この店長さんがお店を開いたら、きっと一度は行ってみることになりそうです。

* ****
……というような話が仮に本当にあったとして、それをこのブログに書くかどうかの判断というのは、かなり微妙で迷います。
とりあえず現状ではその店長さんとは面識がない訳ですが、頂いたメアドにメールを送るときには、きっと本名を書くでしょうし、そうすると、スタバでは匿名で過ごしていたのに個人が特定されることになります。
今時、人口の多い名前でないと、ネットで調べればすぐに身元が割れてしまうので、「仙台通信」に辿り着く可能性もあるでしょう。
その最新のエントリーには、なんと自分のことらしきエピソードが書いてあるぞ、と発見したときに、どんな気持ちになるか。
それよりも、そのお店の従業員の人で、たまたま何故かこのブログを読まれた方がいて、「え? これって、うちの店長のこと?」と気がつく可能性はゼロではありません。
そうなると、ご本人の口から事情が説明されるよりも前に周囲が知ってしまうことになり、良いことではありませんね。
もっとも、くだんの店長さんは大晦日にでも打ち明けるようなスケジュールなのかもしれませんが。

* ****
このブログを始めたのは2005年の4月からで、年が明ければやがて2年3年になります。
これまでの記事が700件あまり。
いろいろなことを書いてきましたが、実名で運営しているサイトなので、その内容の選択には気を遣います。
書いたものが一人歩きをするということも分かりましたし、こちらの意図とは異なるように受け止められることもあります。
ですので、なるべくなら楽しい話題を、そうでない場合には、ただ何かを批判するような記事は書かない、という方針でやってきました。
現状に問題がある場合には、何か実現可能性のある提案をするように心がけたつもりです。
また、広い意味での科学技術コミュニケーションや異分野交流の足しになればと、関係するイベント等については告知や結果報告を掲載することにも使ってきました。
例えば、先日の「脳カフェ」についてはこちらになります。

ここしばらく、「(華やかなことばかり書いているが)東北大学には影の部分もあるではないか」という批判のコメントがいくつか寄せられました。
残念ながら、当事者ではなく、客観的な事実も分からない立場からは、コメントバックのしようもありません。
もっとも最近の、「総長への匿名投書に対する対応」については、12月28日付けの報告書がプレスリリースとして出されていますので、こちらをご覧下さい。

そんなこんな考える年の瀬で、このブログのサイト運営について思いを巡らせていましたが、年明けからはコメントを受け付けない方針に変えることにしました。
おなじみK先生や、その他の方々からのコメントを頂けないのはとても残念なのですが、ごめんなさい。
では、皆様どうぞよい年をお迎えください。
by osumi1128 | 2007-12-29 21:58 | 雑感 | Comments(15)

クリスマス・イヴの夜に

東京での班会議から戻ってきました。
何も、イヴやらイヴイヴやらに班会議をしなくても……(そもそも、年2回もしなくても)と思うのですが、仕方ありません。
全国の脳神経科学者のかなりの方々が集まるので、情報交換や交流の意味も大きく、また、ちょうど良い機会でしたので、今抱えている共著論文についての打合せもできました。

先日の脳カフェで瀬名さんが裏テーマにされていた「クリスマスの奇跡」という言葉を思い出し、帰路の新幹線のお供に、昨年読んだジェフリー・ディーバーの『クリスマス・プレゼント』(文春文庫)の隣に平積みされていた『石の猿(上・下)』(同じく)を購入して読み始めました。
脊髄損傷により首から下がほとんど不随意というリンカーン・ライムという科学捜査官が主人公の大好きなシリーズで、英語版初版は2001年。
久しぶりの海外ミステリーもので、今夜は少しエンターテイメントに浸ります。

「奇跡を起こすのは<まなさしのちから>」と瀬名さんは言われていましたが、普段、見逃していることに気付くというのは大切ですね。
サイエンスでも、人間関係でも。
画像は丸ビル前、仲通りのイルミネーションと丸ビル内のクリスマス・ツリーです。
文科省の新しいビルが完成して、年明けにはお引っ越し。
丸の内の方が便利なんですが……(^_^;
皆さん、良い聖夜を!
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by osumi1128 | 2007-12-24 19:47 | 雑感 | Comments(1)

第3回脳科学GCOE若手フォーラム主催セミナー&忘年会

慌ただしい師走も残り2週間になりました。
本日は第3回脳科学GCOE若手フォーラム主催セミナー&忘年会を開催しました。

セミナーの前に、実は「脳科学リテラシーテスト」を拠点関係の大学院生等に受けてもらったので、実際のセミナー開始が遅くなりまして、一部の方にはご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

今回のセミナーも80名を超える参加者で、かなり定着した感があります。
企画や準備をしてくださった方々、ご苦労様でした。
外部講師の方が交流会兼忘年会の折のご挨拶で「こんなに沢山の方々が脳科学に携わっているのですね」と言われましたが、そうなんです!!!
それぞれの研究室に所属する大学院生等を合わせると、総勢100名くらいのメンバーになります。
それぞれのみんなが東北大学の脳科学GCOEを推進する主体であることを、是非意識してもらいたいと折に触れて伝えているつもりです。
そして、皆さんの研究に多様性があって、それぞれがユニークであることも知ってもらえたらと思っています。

そうそう、セミナー後、忘年会の冒頭で、先日の「脳カフェ」で活躍してくれた皆さんに「若手サイエンス・コミュニケーター感謝状」をお渡ししました。
例によって事務局のKさんデザインのお洒落なものです。

どうか、来年も良い年でありますように!
そして来年もグローバルCOEをどうぞよろしくお願いします。

*****
しばらく前にスタバで売っていたStockings by the Fireを買っちゃいました。
Slow & Melowな曲を集めたCDです。
もうすぐクリスマスですね。
……が、こちらは明日から統合脳という文科省の研究費の班会議。やれやれ……。
by osumi1128 | 2007-12-22 00:39 | 東北大学 | Comments(4)

脳トレよりも脳カフェ!!!

本日は東北大学脳科学グローバルCOE主催、「第1回脳カフェ:杜の都で脳を語る」が開催されました。
トークのお一人目は瀬名秀明さん。
「ミトコンドリアと脳の不思議」というタイトルでしたが、「クリスマスの奇跡と脳科学」というのが裏メッセージ。
欧米では、クリスマスに奇跡が起こる、というモチーフは小説等の定番の一つになっていて、確か、New York Timesでしたか、毎年イブに短編小説が掲載されるのだったと思います。
古くは「クリスマスキャロル」のようなお話や、O・ヘンリーの短編に見られるような、ちょっとびっくりの展開があり、でもほのぼの、ほっとするというのがお決まりですね。
クリスマスと科学というのは、ファラデーの「ロウソクの化学」などの「クリスマス講話」のことで、そういう意味で、ちょうど「光のページェント」が始まった師走の仙台はメディアテークでの「脳カフェ」は、時期を得た時宜を得たものだったといえましょう。
瀬名さんのトークのキーワードは、表は「ミトコンドリア」ですが、裏は「まなざしのちから」。
素晴らしいことを「発見」することで奇跡は生まれる。
そんなエールを、来場者だけでなく、展示ブース(下記参照)を担当した若手メンバー達にも贈って下さいました。

30分余のお話は、サイエンスZEROのNHKの熊倉アナにナビゲーターをお願いしました。
相づちや茶々を入れながらの進行により、トークが専門的になりすぎたら引き戻す、ということをお願いしていました。
質問時間は長めに取っていましたが、「質問カード&ホワイトボード」形式を採用しました。
質問カードはグローバルCOE関係の大学院生に回収をお願いしました。
このやり方は、8月の百周年記念サイエンスカフェスペシャルのときにもお願いしましたが、熊倉さんがうまく質問カードをさばいてくださって、効率の良いものだったと思います。

次のトークまでの間に、4つのブースに分かれての展示を行いました。
企画運営はグローバルCOEの若手フォーラムで、実際には大学院生やポスドクが主体です。
例えば、「ゲノム神経科学グループ」では、「いろいろな動物の脳を見てみよう!」という展示で、節足動物の梯子状神経の標本や、いくつかの脊椎動物の脳の標本、そして、Zeissさんに顕微鏡を貸していただいて切片で神経細胞を観察するなどのデモを行いました。
(ZeissのY様、本当に有難うございました!)

「身体性認知脳科学グループ」では、工学部の石黒研が二足歩行ロボット等の実機を動かしたり、その他の研究室メンバーにより錯視のデモなどを行いました。
「社会性脳科学グループ」では、遺伝子変異マウスの行動のビデオなどをモニターで見せての説明を行いました。

どのブースもかなりの人だかりになって、担当の若手メンバーは大変なことだったと思います。
本当にお疲れ様でした。

二人目のトークはGCOEメンバーである医学部の森悦郎先生で、認知症についてのお話でした。
こういう「医学モノ」はもともとギャラリーの関心も高いものですが、熊倉さんとのやりとりで進めたことは、理解度をより高めたと思われます。
質問コーナーで、「脳トレは認知症の予防に効果がありますか?」というものがあり、さすが、関西出身の森先生は「脳トレよりは<脳カフェ>でしょう! 知的な刺激が認知症の予防に役立つと考えられます」と切り返され、会場からは拍手が出ていました。
脳トレもしないよりもした方が、と思いますが、トレーニングよりも楽しく脳を使うのは良いことかもしれませんね。
講師の瀬名さん、森先生、そして熊倉さん、本当に有難うございました!

来場者は、パンフレットのはけ具合から見ると延べ220名くらい、パンフレットを取らずに展示のみ見て行かれた方も多いようなので、延べ300名くらいが来て下さったものと思われます。
予想以上の来場者だったので、とりあえずは良かったとほっとしました。
休日出勤でお世話いただいた事務局メンバーの方々にも心から感謝しています。
また、タリーズのコーヒーや書籍の展示販売を請け負って頂いた辛酉会の方々、本当にお世話になりました。
やっぱり<カフェ>はコーヒーがなくては!

今回のカフェは最初の一歩と思っています。
私たちのグローバルCOEは「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」を謳っていますので、今後も市民への発信をいろいろな形で続けていきたいと願っています。
年明けからはさらに強力な布陣になる予定。
もちろん、研究もガンガン進めなければなりませんが、大学の中だけに閉じることなく、社会との関わりを大切にしたいと思います。
by osumi1128 | 2007-12-16 22:24 | 東北大学 | Comments(4)

リヨンー東北大ジョイントフォーラム

「レッド・ツェッペリン」の「レッド」がLedだと知ったのがつい1週間前なのは、社会常識に欠けていますよね……。
イギリスのロックバンドで、いわゆるヘビ・メタ系なのはなんとなく知っていたのですが(Wikipediaより)、アルバムなどを買ったことがなく、スペリングを見た記憶がまったくありません。
そのため、私のボキャブラリーの中では「Red」だと思いこまれていたのです。
……なんとなく、ヘビメタなので赤いイメージ……。

なんで、こんな書き出しなのかというと、先ほど「リヨン」とカタカナをタイプしようとしたら、「ィヨン」になってしまったからなのです。
リヨンの方はいつの頃かに、Lyonというスペリングを覚えていて、逆にそれが先に指に伝わると、ローマ字のRIYONとはならないのですね。
何度も言っていますが、絶対、この「R」と「L」や「S」と「Th」を区別するためのカタカナを日本語として用意するのがグローバル化に大切なのではと思っています。

あ、ヘヴィメタと書くべきでしたね。
ヘビメタのイメージは、なんとなく、蛇柄の衣装か、蛇革のベルトなどを想像させます(笑)。

*****
昨日13日と本日14日にわたり、The 4th Lyon-Tohoku Engineering & Science Forumという催しがあり、40余名の方がフランスから招かれ、こちらもその倍くらいの人数で対応しました。
将来的にタイトなジョイント・ラボを構築しよう、というのが元々の構想のようです。
私自身は30分程度の講演を行い、Insa-Lyonの研究者と共同研究の話がまとまりました。
また、学内の方とのコラボも進みそうで、確かに、こういう機会は意味あることもありますね。

ところで、頂いた資料の中に、CNRSというフランスの組織についての説明があったのですが、
研究者(tenured civil servantsと書かれています)が11500名に対して、支援者(やはりtenured civil servants)が14500名、そして、4000名がshort-term positions(PhD students, post-docs, visiting scholars, etc)となっていました。
我が東北大学は、教員数が2700名、職員がやはり2700名、それに対して、学生数が18000名(学部+大学院)です。
CNRS(フランス国立研究センター)というのは大学組織ではないのですが、それにしても、研究者を支援する人数の方が多く、逆に学生やポスドクの数はずっと少ない、という点は、象徴的だと思います。

少子化だから教員の数を減らそう、という経済論理ではなく、少子化だからこそ、ようやく手厚く育てる時代になったと考えるべきと思います。
また、大学の定員削減に対して、職員を減らすという方策も、長い目で見れば、研究と教育のactivityを下げることにつながってしまうことを認識すべきと思います。
研究者一人当たりに1名程度の支援者になるくらい(2名の研究者が1名の事務職員と1名の技術職員でサポートされるというイメージ)が一つの理想ではないかと考えます。
研究費として配分するよりも、テニュアな支援者が是非とも必要です。

*****
ところで、先日取り上げた電気通信学会誌の田中耕一さんの対談記事は、学会誌のHPからダウンロードできるようになりました。
by osumi1128 | 2007-12-14 23:12 | 東北大学 | Comments(2)

BMB2007共同参画企画満員御礼

BMB2007のランチョンセミナーの枠で、共同参画企画を行いました。
会場の定員は240名くらいのところに300名余の方々が集まって下さいまして、大入り満員御礼でした。
お弁当(大会本部よりご支援)にありつけなかった方、立ち見になってしまった方、申し訳ありませんでした。

「アカデミアにおいて研究者人生を楽しむ」という全体テーマの企画でしたが、第一部は5名の多彩な顔ぶれの講演者(♂2名、♀3名)に各自7分という、極めて短い時間での話題提供を頂きました。
東大の菅先生の「米国のメンター制度」、北大の有賀先生の「大学の支援」、福島医大の小林先生の「学内環境整備」、理研の北爪先生の「私の履歴書(子有り)」、奈良先端の高橋先生の「ノイズは無視!」と、それぞれ聞き応えのある講演だったので、事後のアンケートでも「もっと聴きたかった」という声が続出でした。

第二部はパネル討論ということで、元コロラド大学教授の末岡先生にもアメリカの制度の良い点のご紹介(例えば、個人の裁量で、子供を教授会に連れてくるなど)を皮切りに議論を深めました。
フロアからも「組織内に保育園などを作りたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?」などの質問を受けました。
また、「研究者の中だけで閉じないで、市民等の理解を得るよう働きかけるべき」というコメントも頂きました。
本当にあっという間の1時間でした。

アンケートもかなりの回収率に上りましたので、これから、取りまとめて報告書を作成したいと思っています。
ご参加下さった方々、本当に有り難うございました。

*****
今回の学会参加で、研究面での収穫は、「質量分析でイメージング」というワークショップで話を少し聴けたこと。
先日、田中耕一さんから紹介のあった論文のレベルはもうはるかに超えていて、実用レベルに達しているようです。
おお、これは即、使える!ということで、共同研究を申し込むつもり。

初めて学会発表した細胞生物学会で、N先生のin situハイブリダイゼーション法という、当時まだ日本でほとんど行われていなかった発表がありました。
ちょうど自分の口頭発表の裏番組で聴くことができなかったので、自分の発表が終わってすぐに別会場に駆けつけ、N先生が出てくるのを待ちかまえて「スライドを見せていただけないでしょうか?」と言って、35mmのスライドを1枚、1枚かざしながら、スライドに映ったmRNAのシグナルに見とれたことを思い出します。
「遺伝子発現産物を可視化できる」つまり、「遺伝子がどこで働いているかを、目に見える形で示せる」ということに感動しました。
また、そのとき着目されていた遺伝子は非常に興味深いものだったので、他の組織で見てみたいと、当時はまだ大学院生だったのですが、速攻、共同研究をお願いしたのでした。

上記の質量分析組織イメージングは、特定の分子を見るだけでなく、もっと網羅的に多様な情報を一度に得ることが可能な技術です。
いやー、スゴイ世の中になったものです。
だからこそ、そういう成果をきちんと伝えていくことが益々必要なのだと再認識しました。

*****
明日は即、帰仙します。
by osumi1128 | 2007-12-13 00:16 | 科学技術政策 | Comments(2)

これからの学会は何のためにあるのか?

分子生物学会・生化学会合同の年会BMB2007で横浜に来ています。
事前登録の時点で参加者が、分子生物学会のみの会員として3700名、生化学会のみが2000名、両学会に所属している方が1000名、合計7300名で、きっと8000名は軽く超えるのだと思われます。
特別講演、マスターズレクチャー、シンポジウム、ワークショップ、フォーラム、一般演題(口頭発表、ポスター発表)と全部で6500題くらいの規模は、ライフ系最大です。
お昼時は企業がお弁当を出すランチョン・セミナーも定着して34セミナー開催。
企業の展示ブースも300社ほど。
ものすごく大きなお金が動いているのですね。

生化学会は今回が第80回と歴史が古いのですが、分子生物学会は今年ちょうど第30回。
分生の第1回は1978年に東京で行われて、そのときの発表件数が160題ほど、会員数は600名とのことでしたから、30年の間に演題数にして40倍、会員数にして20倍になったということですね。
まさに、日本のライフサイエンス分野がどのように進展したかということの象徴に思えます。

「分生が大きくなりすぎた」という声はよく耳にします。
「昔は丁度良い大きさだったけど、今はなかなか人にも会えなくて……」など。
確かに、これは「大きい」規模の学会ではあるのですが、例えば北米神経科学学会は会員数が5万、演題数が2-3万、というさらに桁の違う規模で、ポスター会場を端から端まで歩くとものすごいエクササイズになります(笑)。

昔の学会は、その学問に関わる方達が手作りしていました。
いわゆる「手弁当」というレベルのことです。
今でも、小さな「研究会」などは開催されますが、当時はそこそこの学会でも、大学の講義室などが会場であることが普通でした。
(私の学会デビューは、駒場が会場だった細胞生物学会でした)
したがって、学会を開催するのは講義の無い春休み、夏休みなどが多く、年会長の研究室や同じ大学の研究室メンバーが総出で、受付から会場係までをこなしていたものです。

いつしか、都市には大きな会議場が作られ、そういう場所で学会が行われることが多くなりました。
当然、大学の講義室はかつてはタダで借りられた訳ですが、外の会議場は会場費が派生します。
そのために、年会長の大事なおシゴトは「お金集め」となりました。
つまり、参加者から徴集する参加費では賄えない規模になっていったのですね。
一方、そんな風に人が集まるなら宣伝効果も高い、と気がついた企業が展示ブースを出すようになり、ここからは所場代を徴収できる仕組みが作られました。
さらに、日本では食事がいつも後回しになる文化なので、会場付属のレストランはキャパもなければ味もコスパが悪く(だって足下見てますから)、それなら、ということでお弁当付きのランチョン・セミナーが流行るようになりました。
そうやって出来上がってきたのが、日本のライフ系の大きな学術集会です。

この変化の間に、確実に失われたことが一つあります。
それは、かつての「手弁当」時代には、研究室の学生まで借り出されて、準備から運営までが行われ、皆、大なり小なりいろいろな経験を積むことができたのですが、今はいわゆる「学会屋」さんにお任せで、若手はいわば「お客さん」として参加するだけになったということです。
もちろん、学会のお手伝いなど、研究成果にはほとんど何も結びつかない活動なので、それをしない方が「効率が良い」のかもしれませんが、そうやって、「研究しかできない」人材を育てていることになっているのではと危惧します。
(そこを何とかしたいと考えており、私たちのグローバルCOEでは「若手企画」のセミナーや展示などを活動に取り入れています。)

今後、学会という組織はどうあるべきなのか、私は「二極化」すべきと思っています。
大きな学会はそのスケールメリットを活かした事業を展開すべきでしょう。
それは、学会員へのサービス(年会の開催など)と同時に、活動のうちの何割かはCSR(cooperative social responsibility企業の社会的責任)を果たすべきと思います。
例えば分子生物学会であれば、「ゲノム研究は人の健康や福祉にどのように関わるか」「組み換え生物の安全性」「研究倫理」などについて、きちんと社会に向けて発信し、似非科学を駆逐することが必要でしょう。
そのためには、専門性を持った人材が不可欠です。

学会員へのサービスとしては、研究成果発表の機会を与えるというだけでなく、若手研究者向けには「論文の書き方」「研究費の申請の仕方」「PIになるには」などのセミナーも、もっと開催されて良いと思います。
一方で、いわゆる学会誌の出版については、整理すべきと思います。
小さな学会までもが国からの補助を受けて学会誌を出すことのメリットはあまり大きいとは思いません。
学会からのサポートによるものにするのか、最大に利益を得るのは論文を載せる研究者なので、その投稿・掲載料を主体とした運営にするのか、そのあたりはいろいろな事情を鑑みないといけないでしょうが。
いずれにせよ、こちらにも専門のスタッフ(研究が分かる、英語が使える、webに明るい)人達が中心となるべきで、これまでのように、忙しい研究者が編集長兼小使い、というような体制では難しいと思います。

上記のような大きな学会は、その「公益性」を大いにアピールし、企業や個人からの寄付をたくさん募って、健全な経営を目指すべきでしょう。
就職希望の若手研究者にとっての企業紹介コーナー等は双方にとってのメリットになることと思います。

逆に、小さな研究会レベルの組織というのも大切だと思います。
それは、資産も持たず、法人格も持たない、アドホックで流動性のある形が望ましいでしょう。
ほとんどの連絡はwebを利用することにより、通信費ゼロ円で行うことが可能ですし、研究会1回ごとの参加費で帳尻を合わせるような経営で良いのだと思います。

あるいは、日本でもいわゆる研究会の主催のみを行うNPOなどが成り立つかもしれません。
イメージとしてはアメリカのGordon Conference、Keystone Meetingといったやり方で、NPOは裏方の一切を仕切り、オーガナイザーの研究者はScintific Programを決める(つまり、スピーカーを人選する)ことに徹する、という分業体制です。
かつては財団主催でそのようなミーティングがありました(今でもありますが、やや下火です)。
最近、抗体のメーカーであるアブカムという会社が、ミーティング業を展開していて、100-200名くらいの規模のミーティングなら非常に有り難いサポート体制です。
というのは、研究費を用いて主催するミーティングは、何かとお金が使いづらいところがあるのですが、企業はそのあたりが違うからです。
ただし、Abcamは半分は会社のCSRとしてミーティング主催を行っている訳ですが、もちろん会社にとってもメリットがあるからやっているので、企業とは独立した組織が存在することも必要なのではと思います。

……というようなことを最近よく考えるのですが、いくつかの学会の理事会や評議員会でそれとなく提案してみると、うーん、年上の先生方には「はぁ?」というお顔をされてしまい、あぁ、まだ時期尚早なのだなと感じています。
でも「アカデミア」で生きる道とは、「大学・研究所の中」だけではありません。
博士人材を活かす職を作り出すのは、やろうと思えばできることだと思います。
by osumi1128 | 2007-12-12 00:18 | 科学技術政策 | Comments(2)

アナウンサーという仕事

「脳カフェ」の告知のためにFM仙台(Date FM)Morning Junction Wonder Jという番組に生出演してきました。
科学コミュニケーション関係のNさん(=Salsaさん)も「イベントは広報が大事!」と仰ってたし。

この番組は月曜日から金曜日まで朝7:30〜8:55の枠で放送されているので、車で通勤するときにほぼ必ず聴いています。
DJ(パーソナリティー)の方は高野志津さんと佐藤明子さんで、本日は高野さん。
8:35からは「グローバルミニッツ」というコーナーで、月曜日は「ライフ」がテーマということで、この枠での告知をさせて頂くことができました。

先日の青森放送ラジオ番組の際にも書きましたが、小学生の頃に憧れだった職業が「アナウンサー」でした。
本日は、高野さんと高校の同級生の方に現在、サイエンス・エンジェルのお世話をしていただいている関係で、お目にかかれた次第です。
やっぱり「ご縁」は大事ですね……。

それにしても、7:30からの生放送、ってことは、毎朝1時間前くらいにはスタジオ入りするのでしょうか?
(しかも、きちんと綺麗にメイクもされてお仕事モードで……)
ひぇーっ、朝は苦手なのでやっぱりアナウンサーは無理だったかも……。
おシゴトになると、「午後の番組だけやらせてくださ〜い」っていう訳にはいきませんからね……。
毎日、毎日、時間というよりも「分」や「秒」を意識しながらの2時間くらいを過ごすというのは、やはりハードだと、スタジオで待機しながら思いました。

FM仙台のスタジオは2カ所あり、今日は愛宕上杉通りという南北に走る大通り沿いの方でしたが、ガラス張りで外から見える作りになっています。
たまたま、先日、高野さんが披露宴の司会をされたというカップルがメッセージを届けに来て、さっそく「先日は有り難うございました。これからグアムにハネムーンです。云々」と紹介されました。
生番組ならではですし、地元の方がこうして訪れるというのが素敵だなと思いました。
東京だったら、披露宴の司会をプロのアナウンサーにお願いしたとして、テレビやラジオで出ていると気がつきますが、スタジオまで行ってメッセージを届ける、なんてことにはならないでしょうね〜。
もちろん、有名な「渋谷のスペイン坂スタジオ」などに集まる若者は今でも大勢いると思いますが、人と人のつながりという意味では、大きな都会になるほど希薄になります。

30分ほど前にスタジオで軽く打合せをして、アイスブレーキングしましたが、そのときに高野さんが「ラジオは人と人をつなぐのが役割なんですよね」とお話しされていて、まさにそうだと思いました。
そこに関わるのはプロデューサーさんやら、ディレクターさんやら、ADさんやら、音響担当の方やら、何人もになる訳ですが、DJの方はその中でもまさに一番表で「つなぐ」役目ですね。

漠然とアナウンサーに憧れていた頃にそこまで考えがあったのではありませんが、数年前から、いわゆる研究の「アウトリーチ活動」に自然と入っていけたのは、「伝えたい想い」を形にすること、そのお手伝いをすることに親和性があったからなのでしょう。
「雑誌の編集」というものとも、媒体は異なりますが、通じるところかもしれません。
というより、今ではラジオ番組にもHPがあるなど、メディアはどんどんフュージョンしてきていますね。

高野さん、そのお人柄溢れる魅力的な声で、これからも仙台の朝を気持ちの良い時間にして下さい!
収録風景等はこちら
高野さんのブログはこちら

*****
仙台FMでの仕事を終えて、一目散に仙台駅へ。
新幹線の回数券から指定券をゲットし、ちょっと時間があったので1階のスタバに寄ってソイのラテ・ショート・ホットをバッグでお願いして、注文が出来上がるまでにメールをチェックして(無線LANが使えるスポット)、ホームに上がってほっとして、ぼけっと緩んだ顔をしているところで、元総長のY本先生にバッタリ!
ああぁ、これが人口百万の都市の恐いところでもありました。
やれやれ……。
by osumi1128 | 2007-12-10 20:15 | 東北大学 | Comments(4)

免許更新

免許更新に行ってきました。
仙台に来てから2回目になります。
そういえば、仙台ライフもこの11月で10年目に突入したのでした。

今日を逃したら、さすがに誕生日過ぎの1ヶ月以内に行けそうにないと思い立ち、朝から30分ほどドライブ。
着いたのが9時過ぎだったのですが、おそらく一番ピークの時に行ったのだと思います。
駐車場も非常に遠いところにしか置けなかったし、どの窓口でもかなり待ち時間がありました。
さすがにゴールド免許(^_^)bなので、講習は30分で済みましたが。
結局、新しい免許を手にしたのがおよそ11時。
写真映りもまぁまぁだったので(昔より機械が良くなっただけかも)、気分一新です。

ラボに行って新しい論文の原稿書き。
最初の実験をし始めてから10年越しくらいの仕事です。
6年ほど前に古いバージョンで投稿したときは時期尚早だったと思いますが、その後、いくつかの関連論文を先に出したので、そろそろ満を持してというタイミング。
かなり重たい論文に仕上げようと思っています。

*****
明日朝は「脳カフェ」の告知のためにFM仙台の生放送に出てから、東京で会議3つ、その後、横浜の分子生物学会に行きます。
by osumi1128 | 2007-12-09 23:28 | 雑感 | Comments(2)

サイエンス・エンジェル忘年会

寒くなりましたが、今年はシーズン始めに購入した「フード付きダウン」が活躍してくれています。
フードが付いていると、少しくらいの雪や雨ならへっちゃら、というのが有り難いです。

今日は午後、サイエンス・エンジェルのための第3回スキルアップセミナーが片平の本部キャンパスで開催され、北大CoSTEP一期生のNさんが講師で「科学コミュニケーション」がテーマでしたので、SAと一緒に聴講しました。
Nさんはご自身で科学技術コミュニケーション工房Space Timeという組織を作って、サイエンスカフェの企画やお手伝いなどをしていらっしゃいます。
冒頭に言われた「企画=非日常の演出」という言葉がとても印象に残りました。
また、「分かった」気持ちになってもらう、というよりも、さらにもう一歩「もっと知りたい!」という気持ちにさせられたら嬉しい、ということも、なるほど、ナルホド。

その後、SA企画として第2回生命科学研究科部局交流会が開かれ、本学に関係する講師の女性教員から「私の履歴書」というテーマに則った話題提供があったということです(こちらは参加せずに、ラボに行って仕事してました)。
茶話会もかなり盛り上がったようです。

とどめはSA忘年会。
SA応援団、もとい、次世代支援班のメンバーもご一緒。
スキルアップ講師のNさんだけでなく、実は他にもCoSTEP関係の方が札幌から3名来て下さっていて、上記企画にご参加頂きました。
サイエンス・フェアリーのM姫さんも(羽は付けてなかったのですが)来て下さいました。
きっとこちらに関連記事がアップされるはず。
すでに「牛タン」を食された様子ですが、明日お帰りの際には、是非、仙台駅の「寿司通り」にお立ち寄り頂ければ。
空港アクセス線ぎりぎりまで楽しめることでしょう!

<追記>
講師のN先生ことSalsaさんのブログはこちら
12月9日と11日のエントリーに関連記事があります。
by osumi1128 | 2007-12-09 00:12 | 東北大学 | Comments(4)