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阿波踊り、ほか

生まれて初めて阿波踊りをライブで観ました!
画像はつぶやきさんのブログにリンクしておきます。

発生生物学会2日目夜にMixerと称していわゆる懇親会があり、その席でのことでした。
出ていたお料理は必ずしも徳島の郷土料理という訳ではありませんでしたが、皆さんがひとしきり飲んで食べて落ち着いた頃に、余興として「菊水連」という団体の方々による阿波踊りが披露されました。
最近、参加する学会の規模が大きいものが多いせいか、懇親会も質実剛健になってきたせいか、この手のローカルな出し物を観る機会は減ったように思います。
小学生の女の子たちの踊りが、なんとも可愛らしかったですね。
その後、「みんなで阿波踊り体験」となって、男踊り、女踊りの練習をし、会場全体に踊りの輪が広がっていきました。
CDBの広報・国際担当のダグラス・シップさん(発生生物学会の国際担当も兼ねてます)の同時通訳により、日本語→英語に変換され、外国からの参加者にも伝えられます。
ちなみに、右手と右足、左手と左足が同時に出る、日本古来の動作が主体です。
身体の軸が捩れないような動かし方で、和服の着付けが乱れないという効果もありますね。

*****
今朝(日付は変わっていますが)は9:20発で徳島空港を発ち、中部国際経由で13:35に仙台空港に到着しました。
どちらの便ともに60人乗りのプロペラ機で、しまった! 荷物は預けるべきだったと後悔しました。
キャリーバッグその他すべての荷物を持ってタラップを上がるのはしんどいです(溜息)。

さて、本日は、東北大学脳科学グローバルCOEの第8回若手フォーラム主催セミナーが開催されました。
若手の方達に主体となって頂く企画ですが、事業開始2年目にして、もう8回を数えたということですね。
本日は「身体性認知脳科学グループ」の幹事により、産総研の松本有央博士が「サルIT野における顔分類のメカズムの解明」というお話を、本学生命科学研究科の水波誠先生が「昆虫の学習系の基本メカニズム」についてお話しされました。
若手フォーラムでは「異なる分野の脳科学研究を知って頂くことを目的としております。演者の方々にはイントロを分かり易く話して頂きますので、これらの分野に明るくない方も奮って御参加ください。」ということを主眼に置いていて、広い範囲をカバーする脳神経科学のリテラシーを持った若手人材育成を目指しています。

さて、ここでお知らせです。
東北大学脳科学グローバルCOEでは、来る8月20-21日に、理化学研究所脳科学総合研究センターとの共催により脳神経科学夏のリトリートを、日本三景の一つである松島で開催します。
すでに、理研のSummer Retreatに応募されている方の参加が見込まれていますが、脳神経科学に興味のある若手研究者の参加を期待します。
ご応募は上記のweb siteからよろしくお願いします。
by osumi1128 | 2008-05-31 00:55 | 旅の思い出 | Comments(0)

日本発生生物学会年会@徳島

すでに5号館のつぶやきさんのところからもこちらのような記事が掲載されていますが、今年の日本発生生物学会は国際発生生物学会と合同ということもあり、基調講演、シンポジウム、ワークショップの発表や質疑応答が英語になりました。
ポスターも書かれているのは英語です(発表については、相手次第)。
私としては何の違和感もないことではあったのですが、一部には「参加者が少なくなるのでは?」というような危惧の声も聞かれました。
蓋を開けてみれば、約700名という、例年を上回る参加者とのことです。

実際、シンポジウムやワークショップで、若い方達が積極的に英語で質問している光景をよく見ました。
(うちの学生さんも、頑張っていました!!!)
少なくとも、若手が元気なこの学会では、英語化問題はオトナが心配するほどではなかった、というのが私の印象です。
よく考えますと、昨今はCOEやらなんやらで、英語で行うシンポジウムなどが、かつてよりずっと増えていて、若い方達は最初からそれに慣れているのですね。

昨日は、朝9時からのシンポジウムで「神経発生」をテーマにしたセッションをオーガナイズしました。
Invited speakersにはゆっくりと話していただきたかったので、人数を少なめに設定しましたが、200名ほどの会場に人の出入りがありましたが、だいたい100名〜150名くらいが常時聴いていたという印象でした。

午後のワークショップはパラレルセッションでしたので、あちこち行きましたが、熱気の感じられる発表・議論でした。
そういえば、古巣に戻ってきたような、とても懐かしい感じがしたのは、昨年はグローバルCOEの申請等でバタバタとしていて、発生生物学会にまともに参加できなかったからですね。

今日はメイン会場でPlenary Lecturesが続く、というスケジュールだったのですが、Andrew Parker博士の講演を聴くことができたのが一番の収穫でした。
以前、翻訳者のお一人の渡辺政隆さんから『眼の誕生ーーカンブリア紀大進化の謎を解く』をご恵贈頂いて読ませて頂いたのですが、その本の作者だったのですね。
化石の事実から、カンブリア期に不思議な形の生き物が多数出現したことが分かっていますが、この「カンブリア大爆発」の原因が「眼」という器官が生じ、捕食者・被捕食者の間でさらなる進化や淘汰が為された、という興味深い仮説を展開しておられます。
眼の発生にとっての大事な役者である「Pax6」は、実は、ウニなど、眼のない生き物でも存在して、触角のような感覚器の構造で使われているのですが、それがどのような経緯で「眼」を作ったり「神経系」を作ったりするのに使われるようになったのかは、Pax6の機能についての研究をしている人間からも興味深いところです。
この方の英語は典型的なOxbridge Englishで、慣れていれば聞きやすいものでした。

*****
発生生物学の中心的な命題のいくつかが解かれ、誘導や濃度勾配などの重要な分子メカニズムが明らかになってきた現在、その潮流は3つに分かれて進んでいると思います。
一つは「進化」をどのようにして説明するか、あるいは可能であれば証明するか、という流れで、より具体的にはcisエレメントの解析などについての解析が進んでいます。
もう一つは「細胞生物学的アプローチ」だと思います。
こちらは各種のイメージング技術の開発とあいまって、生体内の状態に近い状態で細胞の振る舞いを可視化できるようになって、とても面白い展開になっていると思われます。
3つ目は「再生医学」への応用を見据えた方向でしょう。
幹細胞生物学や、再生力の強いモデル動物を用いた研究などが相当します。

いずれにせよ、発生生物学は、日本の強い分野で研究人口もそれなりに多い分野だと思います。
『学術の動向』5月号にも書きましたが、iPS細胞研究を生みだす流れの中には、日本の発生生物学の基礎研究があったことは大いに認識しておくべきことです。
トップの卓越したアチーブメントが広い裾野の人材や業績に支えられていることは、芸術にせよ、スポーツにせよ、同じ構造でしょう。
by osumi1128 | 2008-05-29 18:39 | サイエンス | Comments(0)

CREST12シンポジウム〜徳島へ

CREST発足12周年を記念するシンポジウムが有楽町の国際フォーラムで開かれました。
プログラムはこちら
JST主催、文科省後援となっていて、目的としては、CREST(戦略的創造研究推進事業)というプログラムが「出口を見据えた研究」を行うものであるということ(どちらかといえば研究者向け)と、例えば山中さんのiPS細胞など、CRESTの支援により優れた成果が挙がっていること(どちらかといえば市民向け)をアピールするということにあったと思います。
展示ブースも設けられて、昼休みも兼ねた時間に「脳学習」領域からは伊佐先生と酒井先生がポスターを説明されていました。
かなりの人出だったように感じます。

午後に文科省の研究振興局長からのご挨拶の後、山中さんとともに2006年のCellの論文の筆頭共著者(しかもtwo author-paper)である高橋さんの講演がありました。
冒頭の「本来であれば山中が発表する予定でしたが、体調不良のために代理で話します」という言葉は、とても重いものだと感じました。
高橋さんは「これ以上、先生(や自分たち)にあまり負担をかけないで下さい」と率直に言いたかったかもしれません。
大きな学会やシンポジウムにおける山中さんの発表は、この数ヶ月で相当数に上ります。
研究室には、各種報道の取材やら、見学やらが未だに多数あるということで、山中サポーターを自認する私としては暗鬱たる気持ちになりました。
多くの市民の方々も感心を持っていただくこと自体は、科学コミュニケーションを推進する上ではプラスなのですが、それによって研究活動に支障が出るようでは困ります。
あるいは、iPS細胞を産業に生かそう、やら、山中さんにノーベル賞を取ってもらおう、やらという魂胆がある方々にとっても、山中さんが身体を壊すレベルになってしまっては本末転倒です。

とはいえ、あのCellの論文の筆頭著者である高橋さんご自身の発表を聴けたのは、私にとってはとても有意義でした。
パブリックのことをよく考えられたスライド構成でしたし、若い方ならではの適度な緊張感と、ご自身のお人柄と思えるユーモアがあって、良い発表だったと思います。
山中カクテルと呼ばれる4つの因子(Oct3/4, Sox2, c-Myc, Klf4)の同定に至るお話では、24因子に絞った段階から「全部、混ぜ合わせて入れてみよう」という方針が思いの外、うまくいったというところまでは話されたのですが、その次のステップについては時間の関係もあってか、話されていませんでしたね。
実は、ここがなかなかに「正解への近道発見」の面白いところなのですが。
もしかしたら、近刊の『iPS細胞ができた!—広がる人類の夢』(山中伸弥、畑中正一著、集英社)に書かれているかもしれません。
興味のある方は是非!(私もまだ読んでいないのですが……)

*****
さて、その後、近所でもう一つ立ち寄る先がありましたが、駆け込みで羽田からの徳島行きの飛行機に飛び乗りました。
日本発生生物学会大会(国際発生生物学会大会と合同)に参加のためです。

今回の大会長は野地澄晴先生で、私にとっては恩人の一人です。
自分の研究者としての基礎は発生生物学会によって育んで頂いたのですが、ちょうど、大学院の最終年から助手にかけて、レチノイン酸受容体の発現に関する研究について共同研究をさせて頂いたことがきっかけで、研究業界のcutting edgeに身を置くことのドキドキ感を味わわせて頂きました。
また、現在の研究の流れを作るもとになったPax6遺伝子の変異に関する研究も、野地先生らとの共同研究でした。

明朝9時(!)からシンポジウムをオーガナイズしています。
うちのメンバー数名も午後にワークショップ、ポスターで発表。
研究者にとってのハレの日ですね。
by osumi1128 | 2008-05-27 20:59 | サイエンス | Comments(0)

日経サイエンス08年7月号

出張と引き続いた昨日のフォーラムが終わり、ちょっとほっとしたので、久しぶりにネイルアートをしてもらいました。
あまり時間がかかりすぎると飽きてしまうので(笑)、左右1本ずつに「3Dアート」と呼ばれている白いお花+スパンコールを少々というものをオーダー。
この3Dアートに使うのが日本語では「レジン」と呼ばれているプラスチックです。
白い粉と液体を混ぜ合わせると重合して固まるのですが、これは歯医者さんで「仮歯」を作るときなどにも使われるものです。
かつて大学から大学院時代に歯科臨床のトレーニングをしていたので、私にとっては懐かしい匂い。
有機溶媒で、けっして身体にはよくないと思いますが。

*****
出張の折に『週刊文春』をよく読みますが、コラムを書く方のバリエーションが増えたように思います。
林真理子氏の「夜更けのなわとび」は5月29日号で1077、椎名誠氏の「風まかせ赤マント」も889回という長寿コラムですが、お茶大哲学の土屋センセイによる「ツチヤの口車」も557回で、中村うさぎ氏の「さすらいの女王」が490回。
竹内久美子氏のコラムはしばらく前にタイトルが変わった(今は「ドコバラ!」=動物行動学バラエティーに由来)ので25回ですが、もっと前から似たようなコラムが連載されていますね。
長寿だった高島俊男氏の「お言葉ですが…」は2年前に終了しており、新しいところで、東大薬学部出身で脚本家・CMディレクターの大宮エリー氏の「生きるコント」が85回、やはり脚本家・演出家・映画監督のクドカンこと宮藤官九郎氏は、娘のことについて書いたものが3歳のお誕生日で終了し、今回連載第0回では字数が増えていました。
(すみません、他にもコラムはありますが、それらはめったに読まないので割愛)

さて、それらに加えて、先週号から福岡伸一氏の「パレレルターン パラドックス」というコラムが始まりました。
先日こちらのブログでも紹介しましたが、『生物と無生物のあいだ』を書かれた、青山学院大学教授の分子生物学者です。
今回は「コラーゲンは身体によいのは本当か?」というようなテーマです。
コラーゲンを食べても消化されてバラバラのアミノ酸になってしまうので、意味無い、という主張なのですが、最近では完全にsingle amino acidに分解されるのではなく、peptideの状態であることが多いと言われています。
だからこそ、古来、コラーゲン含有食品が珍重され、薬膳にも多用されており、近年になって「コラーゲンペプチド」が商品化されている訳で、そのあたりご存じないのかもしれませんね。
おしなべて機能性食品とよばれるほとんどのは「気のせい食品」であると私は思う。

というダジャレはちょっと面白かったですが。

もう一つ、先週号から開始された「仕事のはなし」というのは、木村俊介氏が毎回いろいろな方に取材してまとめているコーナーですが、第1回目で取り上げられていたのが、「脳科学者・池内裕二」氏でした。
『進化しすぎた脳』はなかなか面白かったですが、他は読んでいません。
今週号はHIVと戦う内科医の本田美和子氏が取り上げられていました。
「死にません、しかし治りません」と言うところから始まる患者さんとの付き合いは大変だろうと想像します。

という訳で、コラムのバラエティを増やしておくのが、週刊誌売り上げ連続1位をキープするのに重要かもしれないと読んだのですが、どうでしょう???

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さて、先日行った茂木さんとの対談が、日経サイエンス7月号(5月24日発売)に掲載されました。
中身はこちらのように、iPS細胞やら、手足の再生(知り合いのケン・ムネオカさんの記事)に加え、東北大・理の素粒子の戸塚さんや小柴先生が関わる「カミオカンデ」など、読み応えたっぷり。
残念ながら、対談は「ダイジェスト」では見られませんので、是非、図書館や店頭で。
(あ、ご購入頂くのも大変結構なことかと……)
by osumi1128 | 2008-05-26 00:38 | 雑感 | Comments(0)

東北大学女性研究者交流フォーラム無事終了!

まず、昨晩、無事に仙台まで帰りました。
カンザス・シティーを朝に出たときには、雷雨で1時間近く出発が遅れましたが、シカゴの乗り継ぎの余裕はあったので、問題ない乗り換えでした。
成田からの仙台便では、ちょうどサンディエゴであった内科の大きな国際会議に出られた医学部の先生方とご一緒になりました。

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さて、本日はご案内の通り東北大学女性研究者交流フォーラムが仙台国際センターで開催されました。
井上明久総長の開会の挨拶のあと、ご来賓として仙台市副市長の岩崎恵美子様と文部科学省・科学技術・学術政策局・基盤政策課長の川端和明様からご挨拶を頂きました。

その後、サイエンス・エンジェル(SA)の任命式となり、総長からSA制度の説明の後、今年度、第3期のSA総勢50名の代表者の神山千穂さんに任命状が総長から手渡されました。
毎年のことですが、それぞれの研究室に散ってしまうと分かりにくいのですが、50名の女子大学院生がずらっと並ぶと壮観です。
神山さんからSA代表挨拶があり、今年の決意表明が為されました。

配置換えのための休憩後、基調講演としてまず、資生堂取締役副社長の岩田喜美枝様から「企業における女性の活躍支援」のお話がありました。
岩田様はお二人のお嬢さんを育てつつ、厚労省で局長までされた後に資生堂に入られた方ですが、CSRの観点も考慮に入れた人材活用のさまざまなアクションについてご紹介されました。
基本方針として以下のことを挙げていらっしゃいました。
・女性優遇ではない
・アクション・プランの大部分は男女双方にとっての利益になる
・OJT、評価、研修、異動を組み合わせることにより人材育成をスピードアップ
・若手の登用

必ずしもすぐに大学で応用できない部分もありますが、大変参考になりました。

もう一人の基調講演は物質材料研究所の御手洗容子様から、研究所における女性研究者支援について。
昨年度から女性研究者育成支援モデル事業に採択され、男女共同参画チームが中心となって活動を進めておられます。
とくに素晴らしい仕組みだと思ったのは人なびという人材バンクです。
いろいろな条件やスキルを登録しておいて、それをもとに採用したい方は人を探すこともできますし、登録者の間のSNSなども付属しています。
こちらは、物材研の方だけでなく、つくば市に存在する様々な研究機関にも利用されているようです。
ちょうど、似たような仕組みを考えていたところでしたので、大いに参考になりました。

休憩をはさんでパネルディスカッション。
コーディネーター:田中真美氏(東北大医工学研究科・教授)
パネリスト:
岩田喜美枝氏(前出)
御手洗容子氏(前出)
小谷元子氏(東北大理学研究科・教授)
井小萩利明氏(東北大流体研・教授)
佐多教子氏(東北大工学研究科・准教授)
事崎由佳(東北大サイエンス・エンジェル)


東北大学やその他の大学の取組がまず紹介され、その支援を受けている佐多氏、田中氏から、制度の利点や今後の継続についての要望が上がりました。
井小萩氏からは、上司の立場として、間接的に受けている支援について、また、今後も大学の支援は必要であるという発言が為されました。
SA3年目の事崎さんからは、SAの活動で得たことや、自分の将来にとって両立支援策が続いてほしいと伝えられました。
さらに岩田氏、御手洗氏からのコメントや、フロアからの質問等も合わせ、時間は足りない状態での幕引きとなりました。

最後に東北大学女性研究者育成支援室長でもある折原守理事からご挨拶を頂き、お開きとなりました。

本日の名言「いろいろな取組をしているのですが、女性研究者育成は<遅々として進んでいます>。」
折原理事の言葉でした。

皆様、お疲れ様でした。
そして、有難うございました。
モデル事業3年目を実りあるものにしていきたいと思います。

ちなみに、SA部局交流会は以下の予定です。
6月3日(火):18:00-20:00@青葉山
6月7日(土):14:00-16:30@川内北

ちなみに、ちなみに、今年の振興調整費モデル事業は13機関が採択されました。
詳しくはこちら
*****
というエントリーを書きながらサイエンスZEROを見ていましたら、脳科学GCOEの拠点メンバーの一人、石黒章夫先生が登場!
テーマは「粘菌」で、「粘菌ロボット」が取り上げられていました。
by osumi1128 | 2008-05-25 00:09 | 東北大学 | Comments(0)

Stowers Institute訪問

研究者にとって、カンザス・シティーのような中西部(とある方に言わせるとin the middle of nowhere)を訪問する機会はさほど多いとは言えないのですが、ここStowers Institute for Medical Researchを訪問するのは今回で3回目。
この地方の大金持ちによって8年前に設立されたときから、ゴージャスな研究所だと思いましたが、改めてその設備の豊かさを感じました。
(HPから研究所内の様子が見られるstreaming videoにアクセスできます。)
建物の随所に木が使われていて暖かい感じがしますし、土地も建物も広くて伸び伸びとした気持ちになります。
調度品も一定以上の良い趣味で整えられていて。
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朝の9時から30分ずつの時間設定で話をする人が割り振られるというのは、Salk Instituteなどでもそうですが、結構タフではあります。
でも、最新のunpublished dataを聞かせていただくのは有り難いことですし、良い刺激になります。
自分の研究室のプロジェクトにとって参考になることも多いですし。

さて、今回面白かったのは、研究所のfacilityについてです。
「昔、ここに来たときに、マウスのケージを洗浄するロボットがあったけど」
「あ、それは今はほとんど使われていないのですが、代わりにケージがディスポーザブルになりました」
「え? ディスポーザブルのケージ???」
「はい、床敷きも給水瓶も餌も、まとめて捨ててしまいます」
うーん、それって、採算の面からはいいのだろうけど、ちょっと地球に優しくない気がするのですが……。
「あ、一応、リサイクルされるらしいです」とのことでしたけど。
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さらに、「試薬はヴェンダーで購入するシステムになっています」
「ヴェンダー・マシーンで購入???」
自分のIDを打ち入れて、指紋の認証を受けてから、モニタにリストアップされるPBSやら、0.1M NaClやら、大腸菌のLB培地やらを選んでクリックすると、ストックが入っている棚の扉の鍵が開いて、取り出せるようになる、という仕組みです。
「便利なようで、不便なときもありますよ。購入しに行ったら、目的の試薬が無かったりして。でも、自分で作ったりできないシステムになっているので、どうしようもないんです」
訪問先のPIの方に訊いたら、「やっぱり研究所全体で購入したり、共通試薬を調整することによって、コストは大幅に下がります」ということでした。
確かにそうなのでしょうが、私たち大学の研究室はそれぞれが独立しすぎているので、こういうシステムはなかなか導入できないでしょうね……。
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今回は、元ラボメンバーのSさんに、ホテルへのお迎え等も含め、本当にお世話になりました。
Sさんのボスが気を遣ってくださって、「(日本人で)Norikoと話したい人でディナーに行ったら?」ということで、母校の大学院の後輩にあたるAさんにも久しぶりに会える機会となりました。
さらに、九大N研出身のTさんや、またまたなんと、母校の大学院の後輩のSさんが夕食会に加わり、Seafoodのお店でとても楽しい時間を過ごさせていただきました。
画像はデザートのChocolate bagです(暗くてすみません)。

いよいよ明日、帰国の途に就きます。
by osumi1128 | 2008-05-22 12:28 | 旅の思い出 | Comments(0)

Jazz Dinner

この学会は実質、日曜日から木曜日の午前中まで、4日半も続くのですが、昨日は夕方にフリーの時間が取られていて、さらに夜は学会主催のJazz Dinnerという趣向でした。
6時半から飲み物が振る舞われて、7時過ぎから着席での食事。
といっても、サラダとメインコースの2皿にデザートのケーキ。
ごくごくシンプルです。
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会場となっているホテルに宿泊しているので、便利ですが運動不足。
Starbucksが入っていて、学会の間のブレイクでもサービスを行っています。
といっても、普通のコーヒーやデカフェと、各種ティーバッグだけですが。

確か、カンザス・シティーで一番高いくらいの建物らしいのですが、毎回38階まで乗るエレベーターが結構揺れてコワイです。

本日はこれからStowers Instituteを訪問し、セミナーしてきます。
by osumi1128 | 2008-05-21 21:53 | 旅の思い出 | Comments(0)

ISSFALでの発表

ただ今、カンザス・シティーは朝5時前。
今回はあまり時差調整をしないで「夜中に働く」感覚で過ごしています。
ホテルの部屋のカーテンも閉めたまま、あまり日の光を浴びないようにして(笑)。

ところで、ブログ読者の東大のHさんから、前回取り上げました『学術の動向』の5月号の記事のPDFをこちらからダウンロードできることを伺いました。
Hさん、有難うございました。
原稿料もまったく無しで、皆ボランティアで執筆していますが、それぞれの読み応えのある記事ですので、是非。

*****
さて、昨日の午前のセッションで自分の発表がありました。
「アラキドン酸という高度不飽和脂肪酸が神経新生を向上する」という内容なのですが、このISSFALという学会で圧倒的に多いのはDHA等のn-3系の脂肪酸についてのものです。
欧米型の食事は良くない、魚を食べないのでDHAの摂取が足りない、だから心臓病などが多い、DHAはこんなにいろいろと良い効果がある、という主張で、fish oilなどのサプリメントの会社が多数、この学会をサポートしています。
アラキドン酸は最近、子どもの脳の発達にはアラキドン酸も重要、ということが一般的に認知され、粉ミルクの成分として添加するべきという方針が世界的に決まりましたが、炎症系脂質メディエーターの産生に関わるので、どうしても医学の素養がある程度ある方にはむしろ「悪玉」的なイメージがつきまとうことも多いのです。

そこで、「敵陣に乗り込む」覚悟で、15分の発表にKeynoteで見た目も良くしたスライド30枚を一気に喋る、という作戦で臨みました。
座長から「あと2分」と言われてもひるむことなく(ただし、午前のセッションの一番最後で、伸びてもさほどプログラムには影響なし)、テンション高く機関銃のように話すことができたのは、研究室のジャーナルクラブを英語で行っている効果もあったのではと思っています。
たくさん受けた質問はほとんど想定内でしたので、質問用スライドも使って簡潔に答え、さらに、講演が終わった後にも残ってディスカッションしていました。

ただし、こちらが聞いて欲しかった、Plenaryでトークをされた方などには伝わっていないので、まだまだフォローアップが必要です。
作戦を考えないと。

*****
先日、研究における「戦略」と「戦術」の違いについて、とある若い方に説明しました。
再三言いますように、私は平和主義者ですので、実際の戦争・戦闘は嫌いですが、ここでは説明しやすいので、そういうアナロジーを使っています。

研究のビギナーにとっては、まずは「武器の使い方」を学ぶことが必要です。
その武器を使うとどんな敵を倒すことができるのか(どんな「問い」に答えることができるのか)、実際にその武器はどのような作法で使うのか、取り扱いの注意事項は何か。
それらは、一番最初には、手取り足取り指導者から教えてもらう必要があるでしょう。
そうでないと、事故や大けがの元にもなります。
共通機器を使うような場合には、自分だけの問題ではありませんし。

いくつかの「武器」の使い方をマスターしたら、初めて接する「武器」についても、「取扱説明書」を読めば、なんとなく使い方を想像できるようになるでしょう。
想定される「失敗」についても予測可能なレベルに達していたら、指導者も「とりあえず、自分で使ってみたら」と、自立的なアドバイスをするかもしれません。
そうやってon-the-job-trainingをしながら、「この武器の次には、こちらの武器を使うとよい」的な「戦術」を学んでいくことになります。
あるいは「この武器がほしいなあ」と願うこともあるでしょう。

ところで、誰しも、一日は24時間しかないので(この点においてのみ、人は平等です)、現状で手に入るすべての「武器」の使い方をマスターすることは不可能です。
そこで、過去に為された「戦闘の記録」について分析することにより、「戦術を学ぶ」というトレーニングも行われます。
より大局的には「教科書を読破する」ことも、「どのような敵がどこにいるか」を学ぶ大事な分析ですが、研究室では、「ジャーナルクラブ」と呼ばれるような最新論文紹介の機会が、これに相当します。
自分の触ったことのある「武器」を用いていないような論文は、理解するのが難しいものですが、分からないことは「分かっていそうな人」に訊くことも、時間の節約のためには必要でしょう。

「戦略を練る」には、さらに経験が必要です。
世界地図を頭に入れて、どこの国にどんな指導者がいて、どんな方向を向いているのか、その資源はどのくらいあって、現時点は戦うのに良いタイミングなのかどうか、などなど。

さてここで、私の知る生命科学の世界においての話に戻ります。
「戦術の例」(実際に経験したことであれ、バーチャルに論文等から学ぶことであれ)から「マニュアル」や「フローチャート」を帰納的に抽出することは可能ですが、「マニュアル」や「フローチャート」を読んで、「そうか、戦闘はこんな風にするのか」と演繹的に用いることは、ビギナーにとっては難しいのではないか、と思います。
サイエンスにとって重要な「独創性」は、マニュアルを読んでいても育たないでしょう。
同時に、「想像力」を働かせるには現場をある程度専門的に知っていることも大切です。
OJTを受けていない方がマニュアル・フローチャートを元に研究室を主催する立場になるのは無理、無謀、あるいは危険といえます。
どのような立場であれ、誰かに研究の指導をする方は、教える方に「戦術」が身につくようにするのが本命であって、単に「武器の使い方」を伝えるだけでは、指導的な立場にあるとは言えません。
逆に、指導される方も戦術を「盗む」くらいの積極性が欲しいところです。

……そんなことを考えさせられるやりとりをできたのは、「とある若い方」と1時間くらいの話をしたからでした。
有難うございました、もしこの文章を読んでいたら。

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さて、メールの返信などをしながら書いていたら、もう1時間経ってしまいました。
学会開始前にもう少し、抱えている仕事に取りかかります。
by osumi1128 | 2008-05-20 20:14 | 旅の思い出 | Comments(0)

学術の動向5月号

初日の夕食先はカンザス・シティーらしくHereforedという(有名らしい)ステーキハウスでした。
日本からの関係者10名弱でテーブルを囲みましたが、期待に反して(?)K先生のお好きな剛体問題に至るほどではなかったように思います。
(私が食しましたのは、オーガニックに育成されたウシさんのフィレをミディアム・レアにとお願いしたもので、ややミディアムでしたが、ナイフで切れないほどは硬くありませんでしたー笑)。
<後で画像をアップします>

*****
往路の飛行機の中で『学術の動向』の5月号を読みましたが、特集の一つめが「21世紀の大学教育を求めて─新しいリベラル・アーツの創造─」で、読み応えのある記事が続いていました。
ちなみに、大沢眞理先生の「5歳児の学習到達度調査(PISA)が示唆すること─男女の読解力と女児の数学力の低下─」はとても気になるところです。
2つめの特集「生物科学の今日から明日へ」について、黒岩常祥先生とともに編集に関わりましたが、現文科省ライフ課の菱山さんや、宮城二女高校の校長を務めていらっしゃる久力先生などにもご執筆頂けたことで、「生物科学」を取り巻く問題の広がりが出たのではと思っています。
残念ながら、web上でアーカイブ化はされていませんので、図書館等でご覧下さい。
私自身の記事につきましては、不定稿として別サイトに載せておきます)

【追伸】
ブログ読者の東大のHさんから『学術の動向』の5月号の記事のPDFを
こちらからダウンロードできることを伺いました。
Hさん、有難うございました。
by osumi1128 | 2008-05-19 13:18 | 科学技術政策 | Comments(0)

カンザス・シティー無事到着

シカゴで乗り継ぎ、現地時間で午後2時前にKansas City空港に無事到着。
元ポスドクのSさんご夫妻にピックアップに来ていただきました。

シカゴ便ではトーク2つの準備の他に「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」「アイ・アム・レジェンド」「最高の人生の見つけ方」と3つ映画を観てしまい、ちょっと睡眠時間が足りていません(苦笑)。
前2つもそれなりに面白かったのですが、戦争物、戦闘ものはやっぱりちょっと。
ジャック・ニコルソン主演の3つ目が良かったかな。
こんな記事をどうぞ。

*****
これから夕食に出かけます。
学会での発表は明日。
勝負の日ですから、体調を整えて臨まないと。
by osumi1128 | 2008-05-19 08:43 | 旅の思い出 | Comments(0)