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『山形加茂海岸のクラゲ』ほか

年度末の最終日、いろいろな方がご挨拶に見えました。
春を基点として1年を分けるのは、時の移ろいに敏感な日本人のメンタリティーに合っているのでしょうね。
確か、帝国大学は西洋式の秋始まりだった時期があるとか。
今ふたたび始めていますが、個人的にはやっぱり春が区切りです。

今年、医学系の事務方の異動は多かったこともあり、離任式に顔を出してきました。
事務長のご挨拶、離任される方々の中から代表者のご挨拶、その後それぞれにフラワーアレンジメントが渡されました。
お近くの職場に移られる方も、やや離れる方もいらっしゃいますが、どうぞお元気で。

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さて、出張の間に届いていたご恵贈本を紹介します。

先日の朝日新聞社主催の下村先生企画でご一緒した加茂水族館の館長さん、村上龍男様から『山形加茂海岸のクラゲ(久保田信監修、村上龍男著、撮影、東北出版企画)』と『思い出語り 雑魚しめ(村上龍男著、東北出版企画)』を頂きました。
すみません、Amazonで表紙画像がゲットできなかったので、いがらしさんという方の「かけまし日記」に掲載されていた画像を拝借します(ごめんなさい)。
凄いです!!!
数十種類のクラゲの美しい写真が満載。
もちろんオワンクラゲもありますが、やたら派手なハナガサクラゲ(山形の花笠音頭のソレですね)、ギンカクラゲ、アンドンクラゲ、ツリガネクラゲ、……などなど。
進化の上でカンブリア大爆発は魅力的な生き物に溢れた頃ですが、クラゲの世界は今もブレイク中なのでしょうね。
形作りの自由度が大きいのでしょうか……。
発生生物学的興味も尽きません。

後ろの方には水族館の苦労話も。
Amazonでは星5つのコメントが2つ載っていました。
うーーん、やっぱり今年は観に行かなくちゃ……。
(ついでに庄内で美味しいものを食べてー笑)

『思い出語り 雑魚しめ(村上龍男著、東北出版企画)』の方は釣りのお話です。
中心となるのは、小さい頃の魚釣りの思い出。
佐藤廣先生という方の挿絵が良い雰囲気ですね。

こちらの水族館のサイトに本がまとめて掲載されていました。
オンライン購入も可能なようです。
うーん、便利な世の中だわ……。

先日の写真とともに送って下さいまして、村上館長、有難うございました!

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さて、もう一冊『博士号を取るときに考えること 取った後できること』(三浦有紀子・仙石慎太郎著、羊土社)の方は、編集サイドから書評依頼があったのですが、とてもじゃないけど、今は無理。
著者のお一人にはお世話になったので、代わりにブログにてご紹介。

著者のお二人は、確かこの出版社の連載コラムに、いわゆる「ポスドク問題」を書いていたはずです。
お金の話をするのは好きではありませんが、この本は238ページで2900円というのが凄い。
しかも、最近の本に「よくあり」の、スカスカした文章ではなく(笑)、凝縮度の高いページ構成。
でも、著名な研究者や多様なキャリアパスに進んだ方々のインタビュー記事などは話言葉なので、そんなに堅苦しくない。

きっと読者は、これから博士課程に進もうかどうしようか考えている方や、ポスドクで次の就職先を思案している方が中心なのでしょうけど、ラボを持ったPIの方も読んでみるべきでしょうね。
もちろん、ボスだって十人十色、ラボのスタイルはそれぞれ異なって当然ではありますが、博士課程進学状況が、ご自分がのときと異なることを認識するために。

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さて、明日からいよいよ新年度、新学期ですね!
ここしばらく寒さがぶりかえしていて、桜の蕾は足踏み状態……。
by osumi1128 | 2009-03-31 23:35 | 書評 | Comments(0)

舞台の神様、実験の神様、プラスフォトギャラリー

スクールカレンダーの切り替え時期であるこの時期は、年度末の処理に加えて、歴史の古い学会各種が目白押しでもあります。
そのため、土曜日は日本化学会@船橋に呼ばれ、明日は日本解剖学会@岡山で講演です。やれやれ……。

金曜日に主催したサイエンスカフェ(学術会議、文科省、東北大学脳科学グローバルCOE主催)は、なかなか刺激的なコラボレーションでした。
すでに3月28日付けでもエントリーしていますが、さらに心に残ったことを記しておきます。

八田さんは大学のときに能楽と出会い、内弟子として9年半の修行を積まれてプロになった方です。
そのためと思うのですが、能楽に対する捉え方が非常に客観的だと思いました。
一方で、日本の文化の素晴らしさを理解され、それを少しでも多くの方々に伝えたいという想いに溢れていらっしゃいました。
実際、アメリカの大学等でも集中講義(ワークショップ含む)をされたこともおありとのこと。

カフェでのやりとりの間に、能に対する精神性、のような話題になって、「稽古の始まり、終わりには舞台の床を雑巾がけするのです。それは、舞台の神様に対する畏怖の念、とでも言うべきものでしょうか……」という言葉を受け、「私も実は、最近は自分で実験することが少なくなってしまいましたが(苦笑)、かつては実験の始めと終わりに実験台の上を綺麗に拭いて、<実験の神様、どうか良い結果が出ますように……>とお祈りしていたのです」という話を披露しました。
抗体染色の折に、一次抗体で一晩インキュベーションする際に、クロマトチャンバーの前で柏手を打つこともありました(←すみません、業界以外の方には分かりにくい例で……)。
私は無宗教ですが、きっと心の中に「実験の神様、研究の神様」が宿っているのだと思います。
その神様に微笑んでもらうために、精一杯のことをしているのですね。

さて、ここしばらくの記念写真を掲載しておきます(承諾済み)。

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あまり時系列に従っていませんが、まずはこちらがSA謝恩会の折のSAロゴマークのケーキです。
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全体集合写真です。次世代支援班の皆様にも多大なお世話になりました。
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今シーズン最後の鴨鍋です。葱が焼いてあるのがオツ。K先生には申し訳ありませんが、鴨と葱は最強の組み合わせです。
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東京出張の折に見かけた地下鉄の広告。色の組み合わせが好みですね。
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出張の折、仙台空港の夕日です。
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最後は青山の花屋さんで見つけたチューリップです。
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by osumi1128 | 2009-03-30 00:48 | 雑感 | Comments(0)

サイエンスカフェ「能楽と脳科学と」(追記あり)、化学会ノーベル賞関連企画

年度末の金曜日、学術会議が文科省とコラボしているサイエンスカフェを担当していたので、東北大学脳科学グローバルCOEも共催として、アウェイの脳カフェを行いました。

そもそも1年以上前に脳カフェの講師をNさんと考えていたときに、「<脳と能>で何かできないかな?」という難題を出していて、難しい問題ほど燃える(?)Nさんが面識ない能楽師の八田達弥さんをsuggestして下さったのですが、ご自身も「ぬえの能楽通信blog」というブログなどを通じて、情報発信している方でした。
「やっぱり、曲を見て頂かないと……」「能面、装束、扇なども展示してはどうかと思うのですが……」と積極的に企画にも関わって下さり、ご厚意によりご自身が所蔵されている貴重な品を展示品として出して下さいました。
それではこちらとしても粗相のないように、通常の「サイエンスカフェ@文科省情報ひろば」よりもバックアップスタッフも多く投入することとなりました。
脳科学GCOE事務局メンバーに加え、若手フォーラムからも数名が参加。
貴重な「教育的アウトリーチ活動」になったと思います。

そもそも、現時点で「能楽を脳科学的に捉える」というような段階ではないのですが、このような芸術分野との融合領域も、今後の脳科学として興味深い分野だと思っています。
サイエンスカフェは、科学者と市民とのコミュニケーションという意味だけではなく、異分野の科学者(人文科学含む)とのコミュニケーションを通じて、新たな展開に向けた刺激になるのも素敵だなと考えます。

開演に先立って展示物の説明を八田さんから頂き、19:00スタート。
弱法師(よろぼし)という演目のハイライトを披露して頂きました。
介添えをしたのは、八田さんのご子息で、鬘や能面を付けるところも間近に拝見することができたのは、大変貴重な体験でした。

その後、弱法師の主人公が盲目の少年であったことを受けて、脳科学ミニ知識として「"見える"とはどういうことか?」さらに、見たものがどのように記憶されるのか、感動するとは? などをスライドを使って説明しました。
その上で、会場の方々からの質問を受けましたが、なかなか深い、核心を突いた質問が多くありました。

このカフェは定員30名ということなのですが、来場された方は、毎月開催されているこのカフェの固定客の方、サイエンスカフェを介した科学コミュニケーションに興味のある方、能楽に興味のある方、脳科学に興味のある方、に大別されていたと思います。
そのような、多様なバックグラウンドの方々に満足して頂くのは難しいことではあるのですが、打合せの会で、演目を「弱法師にします」ということを伺ったので、極力それに合わせてみました。

いつもプレゼンスライドの表紙はどのようなものにするかは悩みどころなのですが、今回は幸い、東京国立博物館の収蔵品としてwebに掲載されているものの中に、ちょうど弱法師を描いた下村観山作の屏風6曲1双を見つけたので、それを使いました。
(全図は東京国立博物館のサイトをご覧ください)

会場の皆さんとのやりとりの後、さらにうちの研究室で関連するデータのごくごく一部を披露しました。
Pax6という遺伝子の自然発症突然変異ラットを用いた行動解析の実験で、海馬や扁桃体で働くPax6に異常があると、恐怖条件付け記憶テストの成績が悪い、というものです。
このような自然発症の突然変異は、いわば神様が行った実験のようなものであり、我々研究者はそれを有り難く使わせて頂いています。
Pax6は眼の発生に重要な遺伝子なので、このラットは個体によって差がありますが、先天性の視覚異常も伴っていると考えられます。
その点は、弱法師の主人公は生後のある時点で後天的に視力を失ったという設定なので、ちょっと違いますね。

その後さらに質疑応答をして、20:30過ぎに閉会と致しました。
脳科学のヴィジュアル系の画像などのパネル展示も見て頂きつつ、時間的にはかなり遅くなりましたので、大勢で大急ぎの撤収作業となりました。
大学からの参加者は日帰り扱いでしたが、有志で八田さんを囲んでの打ち上げを行って、さらに能楽についてのいろいろなお話を伺うことができたのは有り難かったです。

八田さん、皆さん、ご苦労様でした。
また、ご参加頂いた方々には心から御礼申し上げます。
ご来場者のアンケートの結果はまだ集計できていないのですが、終了後にポジティブなご意見を沢山頂きました。
サイエンスカフェのような活動は、講師や主催者側も楽しむことが大切と思います。

【追記】
ぬえの能楽通信blog(2009年3月29日エントリー)に八田さんご自身の言葉と、山口様が撮影された当日の様子が掲載されています。
その他、Science and Communication(2009年3月27日エントリー)に、このサイエンスカフェに参加して下さった方々が、それぞれ発信されているblogがクリッピングされていますので、ご参照下さい。
皆さん、心に残ったポイントが少しずつ違うのが興味深いですね。
開催して良かったと思いました。

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明けて土曜日は、日本化学会春季大会のノーベル賞関連シンポジウムに参加してきました。
会場となっていたのは、西船橋の方にある日大の理工学部キャンパスです。
こういう、大学キャンパスを使った学会は久しぶりでした。
13:00からの下村先生のご挨拶の折には、会場は満杯。
終わったとたんに出ていく方多数(苦笑)。
その後、夕方に向けてどんどん人数が減って、私は最終講演者でした(←かなり寂しい……)。

そもそも、化学発光の専門家、分子イメージングを研究されている方、新たな蛍光分子を開発されている方などなど、素晴らしい人選であり、私の前にすでに「GFPは素晴らしい! こんな風にも、あんな風にも利用されている」というような話を8人分聴いているのですから、私の出る幕でもないと思うのですが、こちらもまた「異分野科学コミュニケーション」だと思って、形態学系の研究の歴史などを紹介しました。

最後の演者だったからと思うのですが、「GFPや関連分子のツールとしての限界は?」というようなご質問を受けました。
「私よりもM先生の方がお答えするには適任と思いますが」とお断りした上で、「ツールというものはquestion-orientedに開発されるべきものであり、安定なGFPをむしろ分解されやすくしたものや、特定の細胞内領域に局在しやすいものなどが作られてきた。今後も、そのように改変・開発されていくだろうし、GFP等よりも使い勝手の良いものができたら、それに乗り換えることになるだろう」とお答えしました。
新しい技術開発の意味でも、異分野コミュニケーションは大切ですね。
最後まで残って聴いて下さった方々に心から感謝致しますm(__)m
by osumi1128 | 2009-03-29 00:04 | サイエンス | Comments(0)

卒業の季節に

東北大学では昨日が卒業式、学位伝達式でした。
総長はじめ執行部の方々は朝からモーニング姿(朝8時の会議ー涙ーで理事にお目にかかったときにそうでした)。
ご苦労様です。

午後になって、うちで研究している学部生S君がスーツでオフィスに顔を出して「卒業式が終わりました」のご挨拶。
基礎修練からラボに来ていた医学部生Hさんも袴で登場。
記念撮影のオンパレードです(笑)。
大学院の博士課程を修了し学位を取得したKさんやI君も立ち寄ってくれました。
何か、じんわりする時間でした。

夕方、少し早めに帰宅し、久しぶりに着物に着替えてから医学部の謝恩会へ。
ここしばらく機会が無かったので、本当に謝恩会は久しぶり。
会場にはいつもより多い数の先生方がいらしたように思います。
個別に招待状を出したのが功を奏したのでしょう。
とても真面目な学年です。

女子学生さんは10名と少なめの学年ですね。
皆さんと記念撮影しました。

*****
今日になって、歯学部から学位の研究に来ていたN君が、学位記と赤ちゃんを連れて登場。
9キロにもなると重たいですね〜。
こちらも皆さんと一緒にパチリ。
覚えてくれてる……訳はないですね(苦笑)。

……という訳で、懸案のサイエンス・エンジェル謝恩会含め、そのうちフォトギャラリーにします(画像掲載承諾済みの方々の分)。
さて、明日からまた出張です。
by osumi1128 | 2009-03-26 23:44 | 雑感 | Comments(0)

下村さんの講演会とパネルディスカッション

昨年からのマイブームは紫色ですが、10年ほど前には緑色に凝っていた時期がありました。
本日の仕事に着ていったのは緑色、というよりは青磁色のジャケット。
緑色蛍光タンパク(GFP)の発見により2008年のノーベル化学賞受賞に輝いた下村脩先生の特別講演会に付随したパネルディスカッションに出るためでした。

朝日新聞社、日本化学会、日本薬学会、日本農芸化学会の主催でしたが、国際フォーラムの会場は3階席まで満杯状態。
老若男女、皆さんの関心の高さを感じさせます。

下村先生のご講演は、ほぼノーベル賞の受賞講演に準じていると思いますが、幼い頃からの生い立ち、第二次世界大戦と長崎への原爆投下、戦争によるごたごたで推薦状が得られず2年浪人したこと、名古屋大学の平田先生との出会い、ウミホタルを用いた研究から生物発光への傾倒、プリンストン時代におけるイクオリンの発見と、その副産物としてのGFPの発見……というドラマチックなものでした。
やはり、生の声は違いますね。
プリンストン大学のボスであったジョンソン教授は「オワンクラゲにもルシフェリン(基質)とルシフェラーゼ(酵素)があるはずだから、それを探そう」というテーマを下村さんに与え、さんざん試行錯誤しても上手くいかなかったということでした。
ボートの上で「なぜ上手くいかないんだろう?」と考えることも繰り返した挙げ句、ある日突然「ルシフェリン・ルシフェラーゼの化学反応ではないやり方で光っているのでは?」と閃いた。
このエピソードは、先日の山中さんのハーベイ・レクチャーの中の「その3:ボスの言うことを鵜呑みにしてはいけない」に通じることだと思いました。
もちろん、「何百回も、あれこれ試した上」での話ですが。

ちなみに、ノーベル・レクチャーについては、こちらの公式サイトから映像を見ることができます。

その後、休憩を挟んで蛍光物質の実験デモンストレーション。
北海道大学の近江谷克裕先生、産総研の呉純博士と、北大科学技術コミュニケーター養成ユニットCoSTEPの方々のご尽力により、いろいろ光らせる実験が行われました。
失敗無くきっちり時間通りに終わったのはさすがです。
惜しむらくは、ちょっと実験風景が暗くて(仕方ないのですが……)、遠くの方には見づらかったかもしれません。

それから、朝日新聞社の高橋真理子氏のコーディネートにより、下村先生のほか、磯部稔先生(名古屋大農)、長野哲雄先生(東大院薬)、村上龍男氏(鶴岡市水族館) と私がパネリストとして参加しパネル討論となりました。
磯部先生は、ご自身が発光化学をご研究されていらっしゃり、長野先生も分子プローブなどの開発をされていらっしゃいます。
村上さんは、山形県鶴岡市にある「クラゲ水族館(クラネタリウム)」として有名な加茂水族館の館長さん。
いやー、村上さんのご発言が一番笑いを取っていましたね〜。
私設の水族館として、一時は存続の危機に扮していたところ、いろいろなアイディアで持ち直したところに、下村さんのノーベル賞で返り咲いたというお話もドラマです。
いつか是非行ってみたいと思いました。
またアル・ケッチャーノに食べに行ってもいいしね(笑)。

私自身はGFPを日々研究のために使う何十万人もの末端ユーザの一人、という位置づけでした。
ノーベル賞は人類の平和のための賞ですので、GFPという発見が「誰でも使えるツール」になったことが大きいと思います。
生理学医学賞でも良かったのかもしれませんが、そのあたりの境界は微妙。

今回の発表用に4枚のスライドを用意しました。
うちの助教Tさん作の動画を入れておいたのですが、ちょっとWindowsとの相性が悪く、結局、Air Macから出力してもらいました。
このあたり、動画を使ったプレゼンは互換性がまだまだです。
せっかくKeynoteではなくパワポにしたのにね……。

残念だったのは、名刺を切らしたことに加え、デジカメを忘れてしまったこと。
写真は他の方に撮って頂いたので、きっとどなたか回して下さるでしょう。
という訳で、お見せできる画像は無しです。すみません……。

そうそう、オワンクラゲの採集は家族総出のこともあったようです。
今回も一緒に来日されていた奥様がチャーミングで印象的でした。

「どうしてアメリカで研究されようと思ったのですか?」という質問をしたのですが、下村先生にしては珍しく、かなり長いお答えとなりました。
「……かなり迷っていました。平田先生に伺っても、どちらともつかない表情をしていらしたし。家内に聞いたら<貴方の好きにしてください>と言われるし……」
結局の処、安定した名古屋大学のポジションで、発光に関する研究を他の研究(水質化学?)と並行して行うことよりも、自分の好きな研究に没頭できるであろうアメリカのポジションを選んだ、ということでした。
故郷の長崎に原爆を投下したその国に行くことには、かなりの抵抗感もあったのではと拝察します。

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今日は日帰りでしたが、今週は金曜日に学術会議のサイエンスカフェ、土曜日にまた日本化学会のシンポジウムで講演、さらにその後は解剖学会のシンポジウムと、プレゼン続きの1週間です。
サイエンスカフェのチラシ(脳科学GCOE事務局、K氏デザイン)を載せておきます。
「能楽と脳科学と」というテーマにチャレンジです。
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by osumi1128 | 2009-03-24 22:59 | サイエンス | Comments(0)

板垣さんの新彗星

例えばwetな実験を行う分子生物学系のサイエンスでは、設備等の問題もあって、いわゆる「在野の研究者」はほとんどありえないのですが、天文や昆虫などの分野ではプロとアマの境が微妙、というか垣根が低いのですね。

数日前、ネットのニュースを見ていた折に、日本で有名な「新天体捜索者」(←こういう呼称があったのですね!)である山形県の板垣さんが、また新彗星を発見したという記事を見つけました。
山形県のベテラン新天体捜索者である板垣公一さんが、3月14日夕方(日本時間、以下同様)くじら座に新彗星を発見された。日本国内における新彗星の発見は、2002年12月に発見された工藤彗星(2002 X5)以来、6年ぶりである。


板垣さんは2006年に「ナイスステップな研究者」という表彰を受けたときにご一緒した同期の桜(?)だったので、すぐにメールを差し上げましたら、こんなお返事が。
3月19日付け
こんばんは。
今、蔵王の山の中にいます。晴れてます。捜索してます。
あの時は科学の最先端の研究をされている大先生の皆さんとご一緒させて頂き、私まで、なんかになったような錯覚を覚え、楽しいひと時でした。
今回の発見は本当に運が良かったのです。栃木ではめったに西の低空は捜索しないのです。しかも捜索を始めてまもなく入ってきたのです。
私、61歳、順調にボケの進行が進んでいます。でも、これからますます星探しを通して、仲間と共に星の世界を楽しみたいと思っています。
ありがとうございました。
山形市 板垣公一
(ご本人の承諾を得て掲載しています)


還暦を超えられてなお「星探し」をしていらっしゃる毎日とのこと。
板垣さん、これからもますますお元気で、新しい星を見つけて下さい!

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そういえば、COMETAという名前のイタリアワインがありましたが、これって彗星のことでしたね。
ラベルも星だし。
板垣さんの情報はWikipediaに載ってました。
by osumi1128 | 2009-03-22 22:06 | サイエンス | Comments(0)

山中さんのハーベイ・レクチャー

米国ニューヨークのロックフェラー大学で行われるハーベイ・レクチャーはノーベル賞への登竜門の一つと言われています。
正確に言うと、William Harveyの名を冠したレクチャーを主催しているのはThe Harvey Societyという組織で、ニューヨークエリアの生命科学研究者の、いわば名誉団体。
年間7回の公開レクチャーが開催されます。
The Harvey Society lectures reflect “the evolution of physiology and physiological chemistry into biochemistry and the development of molecular biology from the roots of bacteriology and biochemistry” in this century. One of the important facets of this lecture series is that they are published annually. The Harvey Society is continuing to achieve its primary goal of providing “a series of distinguished lectures in the life sciences” and, in fact, “there are a few lectures of such distinction delivered uninterruptedly over a period of more than 70 years in any other city in the world.”(1)
(1) Exerpted from an article in Perspectives in Biology and Medicine, Summer 1978, pages 524–535, by AG Bearn and DG James.(The Harvey SocietyのHPより引用)

過去のメンバーをざっと眺めてみますと、確かに蒼々たる生命科学研究者が揃っていて圧巻。
レクチャーに先立って、Harvey Societyのメンバーを中心とした20名弱の方々が集まって、ブラックタイのディナーが振る舞われるという格式の高さ。
現地時間で3月19日の夜8時から山中さんのレクチャーが行われました。
ディナーとレクチャーに参加された方からメールを頂いたので速報しておきます。

山中さんはジョークを交えつつ(←大事なポイント)、学生時代からiPS細胞に至る遍路を語り、最後に大事な4つのルールを挙げたそうです(伝聞かつ英語から訳していますが)。
1:サイエンスは常に予見できない。
2:拙速に応用に走るべきではない。
3:ボスの言うことを鵜呑みにしてはいけない。
4:ボスになったら、若い人のcrazyなアイディアを、自説と違っていてもサポートしなければならない。

Concluding Remarksを述べたマウント・サイナイ医学校の幹細胞研究所所長のIhor Lemischka博士は、これを受けて、サイエンスで大事なルールは2つあり、1つはunpredictably/crazy idea、2つ目はhard work。
前者の例としてDavid Baltimore(逆転写酵素)、利根川進(抗体産生における組み換え)、Phil Sharp(RNAスプライシング)を挙げたとのこと。
この3名に共通しているのは……ノーベル賞です。

レクチャーはここしばらくの間でも最高の盛り上がりだったそうです。
iPS細胞の作製という画期的な発見はもちろんのこと、日本のライフサイエンスを元気にするためにも、山中さんには是非ノーベル賞を取って頂きたいと、サポーターとして願っています。

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ちなみに、ディナーのメニューは?と訊きましたら、1品目がサラダ(葉っぱとプチトマトとカテージチーズ?)、メインが魚料理(鱈に黄色いソース)、デザートが、いかにもアメリカっぽいjello(ゼリー)とホイップクリームだったとか。
味は…………ま、アメリカですし、大事なのはその後のレクチャーですから(笑)。
(最後のデザートは皆、やはり食指が進まなかったとか……)
山中さんも「タキシード着て、ワイン飲んだ後にセミナーをしたのは初めてです」とのことでした。
by osumi1128 | 2009-03-20 12:03 | サイエンス | Comments(0)

SA本希望者へ送付ほか

昨日東京を歩いて、完璧に花粉症を悪化させました(涙)。
出張から戻って5号館に立ち入ったときに、ふと目に付いたポスターは「おやじの居場所づくり」シンポジウム@片平さくらホールでした。
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「お父さんたちのネットワーク」(あるいは「おやじの会」)を主催している石垣氏(東北大・経済学研究科)や仙台市長(!)ほかの「おやじ」たち(失礼!)が集まるようです。
「お父さんたちのネットワーク」は平成17年度の沢柳賞を受賞した活動です。
仙台の男女共同参画は、なかなか健全。

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d0028322_2341290.gifさて、本日は他にもお知らせを。
お待たせしました。
関係各位への送付が一段落つきましたので、「サイエンス・エンジェル・ブック」を希望者に送付します!
「サイエンス・エンジェル・ブック」送付について
サイエンス・エンジェル・ブックを希望される方には、お一人1冊をお送り致します。

 表に「SA本希望」と朱書きの上、返信用封筒(角形2号、住所明記、 切手貼付済み)を同封し、下記まで郵送下さい。尚、切手代金は580円です。
 サイエンス・エンジェル・ブックの大きさは縦30cm、横21.5cm、厚さ1cmです。

【宛先】
〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
東北大学女性研究者育成支援推進室
メール問い合わせ先: sabook@morihime.tohoku.ac.jp
(迷惑メール防止のためメールアドレスは全角@で表示しております。お問い合わせの際は半角に直して下さい。)

詳しくはこちら

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本日、第7回脳科学委員会が開催されたのですが、東北大での他の会議があったために欠席しました。
すでに疑似次第や資料がアップされていますので、ご参考までに。
先日行われたパブコメのまとめも載っています。

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その会議に出るために片平キャンパスの本部棟前に車を乗り付けたときに、芝生の植え込みにはいつくばっている男性がいて、いったい何をしているのだろう??? とみてましたら、どうも一眼レフのデジタルカメラで何やら写真を撮っている風。
「すみません、何を撮っていらっしゃるのですか?」と声をかけると(←こういうときに、疑問をそのままに出来ない性格です……)、「ああ、雑草です」
「雑草?」
「この小さな花なんですが……」
「なんていう名前なのですか?」
「……何か長い名前が付いていたのですが、忘れました」
「雑草がターゲットなのですか?」
「はい、もう少ししたらシーズンなのですが」
「どうもお邪魔しました」
芝生にはタンポポのほか、とっても小さな青紫の花が、確かに咲いていました。
今日は仙台も暖かく、季節が春に動いたことを実感しました。
(花粉は辛いけど……)
by osumi1128 | 2009-03-18 23:19 | お知らせ | Comments(0)

ご恵贈御礼『霊眼』&『イスタンブールの殺気』

土曜日の朝は洗濯、日曜日の朝は掃除と決めています。
土日に出張していたら、その週はとりあえずパスです(笑)。
小さなお子さんなどいらしたら、パスしてはいられないと思いますが、日々の生活の中で仕事がらみの比重が大きく複雑になっていくと、シンプルにできることはなるべくシンプルにして、余計なことに気を取られないようにしようと思っています。
イチローがほぼ毎日、朝食兼昼食に奥さん手作り特製カレーを食べる、遠征には必ず枕とマッサージ機を持っていく、などのエピソードにもつながることかもしれません。

とはいっても、「非日常」的なことも起きる訳で、例えば、先週の出張前にハタと気付いたのは「まずい! 明日、税金払いに行かないと確定申告期限内に払えない!!!」
昨年から観念して税理士さんにお願いするようになったのですが、その「控え」を取りに(そうでないと金額が分からず支払いできないので)、不在通知を手に仙台中央郵便局に出向いたのが8:30。
それから、ひじょーに遠い仙台中税務署までナビ(←2003年版)を頼りに走らせ、途中の七十七銀行のATMでお金を下ろそうとして、その前にインターネット口座の残高を確認して振り替えをし(IT化って有り難い……)、追徴分として下ろしたキャッシュを抱え、9時を過ぎてしまった税務署にはすでに駐車を待つ車の列が出来ていて、それでも9:30までに支払い完了。
そこからラボまで飛ばして(←交通規則は遵守)、10:00には着いたのですが、いやー、約2時間のアドベンチャーでした。やれやれ……。

ジーブスのような執事がいれば、きっと出張当日の朝にこんなことしなくて良いのでしょうね……(電球も替えてくれるだろうし)。

*****
さて、昨日、出張明けのオフィスで待っていたものは……
・郵便物、配布物の「山」3つ(溜息)
・お菓子、お酒各種(ご厚意、御礼申し上げます\(^O^)/)
・ご恵贈新刊!

真っ先に本を開けて読みたい心境ではあったのですが、それは「ご褒美」ということにして、郵便物等の処理を淡々と進めました(ブツブツ……)。
送って頂いたのはこの3月に刊行された『霊眼』(中村啓著、宝島社)でした。
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第7回「『このミステリーがすごい!』大賞」優秀賞受賞作の本作は、強烈なインパクトを持ったホラーサスペンス。主人公・享子は、大学時代の友人・真弓が失踪したことを知る。ライターの真弓は、山梨で起きた死体損壊遺棄事件に関心を示し、取材に出かけたまま行方がわからなくなったという。真弓の行方を探そうとする享子は、次々と不審な現象に遭遇する。やがて幽霊や前世の因縁が渦巻く世界に足を踏み入れることに。そして、霊的な知覚を可能にする「第三の眼」をめぐる企みに巻き込まれていく……。 皮膚感覚のリアリティで読者を圧倒する作品。(Amazon内容より)


著者にはお目にかかったことはないのですが、実は1年以上前にメールを頂き、ご質問にお答えしたのでした。
何故、私の処に質問が来たのかは、研究業界でこのブログ読者の方ならすぐに気付くかも!?
私もまだ中身を読んでいませんが、冒頭の書きぶりはインパクト大で期待が持てます。

*****
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で、自宅に戻りましたら今度は別のご恵贈。
『イスタンブールの殺気』(茂堂久著、近代文芸社)をやはり著者から頂きました。
東北大学医学部関係者はご存じと思いますが、元医学部長の先生が書かれた小説の第四弾です。
もう古希を過ぎられたとのことですが、昨年4月にトルコの世界遺産を周遊する10日間の旅にご参加された際に構想が湧き出た、とお手紙に書かれていました。
うーん、優雅でいいなあ……。
そういえば、友人K先生も目下オーストリアのはず。
こちらはラボメンバーの出入りの季節で、ちょっと落ち着かない雰囲気がありますね。
まあ、25人もいたら仕方ありません。

そうそう、日曜日の朝にすることは、もう一つ、お礼状書き(葉書、メール、その他)です。
こういうことも、「書かなきゃ」という気持ちを普段ずっと抱えていると大変なので、Myルールにしてしまうと楽ですね。
確か「お礼状書きセット」を持ち歩いていて、飛行機に乗る待ち時間等にしたためる、という方もいらしたと思うのですが、そこまで多くはない(というか、大部分はメールにしてしまう)ので。
でも相手(とこちらの心の余裕)次第では、お気に入りの万年筆で、アナログな手書きで、記念切手を貼る、というのがお礼状へのこだわりです。
展覧会や旅先で葉書やカードを買っておくのも楽しみの一つ。
by osumi1128 | 2009-03-15 11:05 | 書評 | Comments(0)

大阪から岡崎

今週の後半は地方巡業。
大阪で略称CREST「脳学習」という研究費の年度末の報告会がありました。
平成15年度採択の6チームは最後の報告会であり、話は自然と「5年って早いですね……」というような流れになりました。
うちのチームも残り最後の1年です。

このCRESTに初年度から応募したのですが、その際は落ちました。
とある審査員の先生(領域アドバイザー)から受けた質問が、自分にとってまったく予期せぬものだったので、一瞬、答えに間が空きました。
……こういう「間」は自分にとっては「一瞬」なのですが、逆の立場からはとても長く感じられるものです。
落ちたのはそのせいとは限りませんが、痛恨の思い出として刻まれています。

実は今回の報告の後、休憩時間にその先生から「なかなか面白い」というお言葉を初めて頂き、胸にくるものがありました。
5年の間に研究そのものが進んだこともありますが、毎年こうやって説明することによって、時間をかけて伝わっていったものもあるのだと思います。

科学コミュニケーションは必ずしも科学者と市民の間のものではなく、専門家同士でも分野が違うと文化が違い、当たり前のことが当たり前でなく、ジャーゴンでは伝わりません。
そういうことも学んだCRESTプロジェクトでした。

*****
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翌日は岡崎に移動し、第3回神経発生討論会(兼成体脳ニューロン新生懇談会)に参加。
今回は幹事の名大・宮田先生の肝入りで、参加者180名だったとか。
会場は熱気に溢れていました。

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若手の口頭発表は、発表10分(厳守!)、討論10分となっていて、たくさん質問できるのが素晴らしいです。
若い方達はきちんと10分の時間を守る点も美しい(拍手!)。
私の経験によれば、お年の上の先生方の方が、喋りたいことは年齢とともに蓄積されるのでしょうが、ルールを守られない傾向がありますね(笑)。

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ポスターの演題数も100弱くらいあり、全部は見きれませんでした……。
口頭発表3つ〜5つに休憩兼ねてのポスター発表40分くらい、というのは、なかなか気分転換されてコミュニケーションもはかれて、良いスケジュールでした。
名札がやたらに大きかったのも宮田流のユニークな企画。
素晴らしいです!

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日本中の神経発生関係者のかなりの方々が集まった感がありました。
今年は成体脳ニューロン新生懇談会も合同でしたので、その分もあろうかとは思います。
これ以上大きなサイズになるかどうかはわかりませんが。

こちらはご自分でポスター発表をされるK大学のO先生(←イニシャルにする意味なし!)。
2日目からのご参加でした。
皆さん、年度末のお忙しい中、ご苦労様でした。

*****
さて、討論会でもご紹介させて頂いたのですが、6月2日、3日に藤田保健大の宮川さんとco-organizeで国際シンポジウムを開催します。
場所は淡路夢舞台国際会議場
安藤建築の1つです。
タイトルには「海馬神経新生」を取り上げていますが、神経幹細胞関係、神経発生関係、精神疾患関係の方々にも是非、ご参加頂けたらと思っています。
ポスター発表募集中です(4月30日締切)。
ポスター発表の中からshort talksを選ばせて頂きます。
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by osumi1128 | 2009-03-13 23:47 | サイエンス | Comments(0)