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2011年年の瀬を迎えて

年末最後の海外出張の間も投稿寸前の論文原稿、改訂を行って再投稿を待つばかりの原稿を抱えていますが、ようやく少し目処が立ってきました。
この間、ブログの更新がおろそかになり、研究者ブログの第一人者である柳田先生の「生きるすべ』がほぼ毎日更新されているのを見ると、ムラ無く仕事をすること、一つのことをきちんと続けることは本当に難しいと実感します。

今年はいろいろなことがあまりにあって記念すべきなので、ちょっとまとめておこうと思います。
1月:昨年から引き続いてボストンにプチサバティカル(最後に凍った路で転んで顔面損傷)。GCOE主催ゼキ先生の講演等。
2月:サバティカル@ボストンのために再渡米。
3月:東日本大震災でサバイバル生活。欧州出張キャンセル。
4月:下旬になって市ガス復旧し、ほとんどライフライン回復。
5月:心機一転のために引っ越し。クレタ島で国際学会。
6月:Neurogenesis 2011@Kobe主催。
7月:最後の脳カフェ@仙台。IBRO@フィレンツェ出席。
8月:包括脳ネットワークフォーラム@神戸参加。
9月:第34回日本神経科学大会@横浜主催(その後も残務整理あり)。
10月:『種の起源』初版本を間近で拝見。
11月:北米神経科学学会@ワシントンDC出席(他デューク大学、ハーバード大学研究打合せ)
12月:投稿・再投稿論文大詰め。

さて、2012年が穏やかでありますように!
みなさま、どうぞ良いお年をお迎え下さい。
by osumi1128 | 2011-12-31 17:24 | 雑感 | Comments(0)

英語、どう使う? どう学ぶ?

本ブログでは何度かサイエンスの世界における「英語力の必要性」について触れています。
例えば、年に1回以上出向いている高校生向けの出前授業では、生徒さんと先生方に「理系でも英語、大事ですよ〜。将来仕事するのに大切ですよ〜」と必ず伝えます。
(本当は、国語も、なんだけど……)

今週水曜日、東北大学脳科学グローバルCOEおよび脳科学若手の会東北支部会共催で若手フォーラムが開催され、マイケル・ミラー先生の科学英語セミナーが行われました。
その内容は逐次TwitterでつぶやいてメモったのでこちらのTogetterまとめをどうぞ。
科学のお作法として基本的な内容です。
一番のポイントは、「最低限の基準(文法やスペル)を満たしていなければ、忙しいエディターは即、却下するだろう」ということです。

先週土曜日の「科学・技術フェスタ in 京都 2011」のパネル討論の折にも、研究者にとって英語は必要か、という話題が出ました。
益川先生は「天の邪鬼」なので、ノーベル賞の受賞講演を敢えて日本語でされて話題になりましたが、もちろん科学の世界で英語が必須なのは当然ということはわかっていらっしゃいます。
(例えば、こんな記事もありますが、パネル討論の際にご自身が「もちろん英語も大事」と仰っておられました。)
世界で何が為されたか、為されつつあるのかを知るには、英語で書かれたものを「読む」ことが必要です。
川口先生も国際的な協力連携のために「必要に迫られて」英語は使えるように努力した、ということを話されました。
共通することは、英語でコミュニケートする「必要性」です。
つまり、試験で良い成績を取るための英語の勉強ではなく、「使える英語」をどう学ぶかが大きな課題なのです。
また、どんなに流暢な英語が使えたとしても「中身」や「内容」が乏しければ、誰もそのような人の話に耳を傾けてはくれないでしょう。

これはすでに述べたことなのですが、「どの程度の英語のスキル」を目標とするのか、という問題があります。
バイリンガルなら日英両方100%のスキルになるかもしれませんが(書くこと含めてかというと、少しアヤシイですが)、仮に日本語力が80%で英語力が80%の人がいたとして、このような方は「日本語、ちゃんと伝わっていないことがあるから、心配なんだよね……。英語もパーフェクトって訳じゃないし……」ということになる可能性もあるということです。
とくに仕事としての英語力には「話す」だけでなく「書く」スキルも必要です。
話すのは少々文法が間違っていても意志は伝わりますが、書いた文章はその人の知性や教養を表す証拠として残ってしまいます。

つい先日も、「日本はTOEICを実施している世界59ヵ国・地域で58位の成績」という報道がありました。
これは、日本では受験生が多いということにもよるのでしょうが、「キャリアアップするのには英語力が必須!」と思って必死になって勉強する若者が他の国には多いという表れだと私は思います。
大事なのは、受験のためではなく(←ここポイント!)将来の「キャリア」のために英語を「身につけたい」と思っているかどうか、だと思います。

【関連記事】
Chikirinの日記:PR) オンライン英会話 初体験
拙ブログ:英語の勉強(2005年という、ブログ書き出した頃のエントリーです)
拙ブログ:英語、いつから誰が教えるの?(ちなみに、震災前日のエントリーでした……)
拙ブログ:敗戦処理のしかた:風評被害に立ち向かうこと
by osumi1128 | 2011-12-23 21:57 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

科学・技術フェスタ in 京都 2011

仙台は昨日、市内でも初雪が降り、本格的な冬を迎えたところ。
最近、土日にもイベントが多く本日は京都国際会館にて「科学・技術フェスタ in 京都 2011」が開かれ、パネル討論のコーディネータとして参加した。

仙台から京都に行くのは、新幹線乗り継ぎか飛行機か悩みの種。
大阪なら間違い無く飛行機だし、名古屋も直行便があるからやはり飛行機。
でも、京都と神戸が微妙なところ。
伊丹空港からのアクセスは、なんのかんのと1時間以上かかるのだ。
でも、閉所恐怖症気味としては、最低でも1時間半+2時間半=4時間、新幹線の車両に閉じ込められるのはできれば避けたい……。

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by osumi1128 | 2011-12-17 19:05 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

仙台通信お勧めのお店:和食編【追記しました】

遅くなってしまいましたが、仙台でお勧めの和食のお店です。
(しばらくボチボチと書き続けます。あしからず)

小福☆☆☆
定禅寺通りから1本北に入ったところにある、「立町つくし」の系列のお店です。
カウンター、椅子席、小上がりもあります。
居酒屋よりはちょっとお洒落な和食に地酒だけでなくワインも合わせられるところがポイント高い。
店長の伊藤さんはソムリエさんなので、いつも選んでもらっています。
最初の付きだしを一口食べるだけで期待が高まります!
お店のHP
食べログ
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画像は付きだし3種盛りの後に出てくるお刺身盛り合わせです。

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by osumi1128 | 2011-12-15 20:01 | 味わう | Comments(0)

シャンジュー先生、市民公開シンポジウム、電子書籍

国際シンポジウム最終日は嗅覚系よりさらに広い認知機能の話題となり、オオトリの講演を務めたのは、フランスの大御所、ジャン=ピエール・シャンジュー先生。
タンパク質のアロステリック効果で生化学分野において一世を風靡された後に、神経科学の方へ興味を広げられ、神経伝達物質受容体の機能やさらには認知科学関係の論文も多数出されている。
『ニューロン人間』『考える物質』『脳と心』などの著書や著名な学者との対談は翻訳でも読むことができるので、日本でもよく知られている方だが、お目にかかるのは初めてだった。
シンポジウムの間もかなり質問をされておられ、1936年のお生まれながらお元気なこと!
プレゼンには多数の論文からの引用があって、その中になんと、前脳の発生メカニズムに関する自分の昔の論文(Inoue et al., Dev Biol, 2000)もあって驚いた。
うーん、さすがシャンジュー先生、興味の範囲が広いってことね……。

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さて、土曜日には日本学術会議の神経関係3分科会が主催した市民公開シンポジウムが開催され、開会挨拶と第一部の座長を務めた。
ポスターはこちら
今回のテーマは「脳と睡眠」だったのだが、最初の講演者の桜井武先生(金沢大)が導入として「睡眠とは」という定義から話され、最後は桜井先生が同定されたオレキシンの睡眠や摂食に関する機能について触れられた。
お二人目は上田泰己先生(CDB)の「時間の生物学」のお話。
朝・昼・夜に働く分子達の機能(誘導や抑制)について、聴衆を3分割して立ったり(オン)座ったり(オフ)してもらう、という「参加型」のパフォーマンスを取り入れておられた。
その他の講演から、睡眠障害は案外多いことや、このたびの東日本大震災以降に、東北地方で睡眠障害が酷くなったり、新たに悩むようになった方も多いことを知った。

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科学を伝える方法には、講演やサイエンスカフェや科学館のような展示もあるが、古典的ともいえる「著書」というのも、決して廃れることはないだろう。
できれば、ほとんどの著書はむしろ電子化してもらって、いつでもどこでも欲しい知識に安価にアクセスできる環境になった方が、科学を伝えるという目的には適っていると思う。
もちろん、私自身は本の手触りや紙とインクの香りも好きだから、お気に入りの「リアル本」に囲まれていたいと願うけど、スペースの問題や「あれ、どこだっけ?」という検索には電子書籍の方が圧倒的に優れている。

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今週末は京都で科学イベント。
科学・技術フェスタ in 京都 2011
パネル討論「科学者との交流プログラム〜憧れること、学ぶこと〜」のコーディネータを務めます。
仙台からを含めて数名の現役高校生も参加予定。
関西方面でお時間のある方は是非、宝ヶ池にGO!
by osumi1128 | 2011-12-11 22:38 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

免疫系と嗅覚系、共通する摂理は?

国際高等研究所で開催されている国際シンポジウム「Frontiers in Neuroscience: From Brain to Mind」に参加している。
2009年にも来たことがあるのだが、今回、その位置関係を(ようやく)理解した。
奈良先端大学やATR研究所、国立国会図書館関西館に近い、いわゆる「けいはんなエリア」だったのだ!

2004年にノーベル賞を受賞されたLinda Buckや、『脳と心』の対談で有名なJean-Pierre Changeuxそのほか、錚々たる招待講演者はゴージャスの極み。
今回のオーガナイザーのお一人が坂野仁先生@東大だったこともあり、嗅覚系のトピックが多かったのだが、Linda Buck博士も利根川進先生も坂野先生も、共通するのは「免疫から神経系」に研究テーマを移されている。
とくに、Buck博士と坂野先生は嗅覚というところまで共通する。
これが何故なのか、ということを長年、疑問に思っていたのだが、なるほど、分子を軸に多様性を理解するというモデルとしては、種々の神経系の中で嗅覚がもっともまとまっているのだと思い知った。

空間的には遺伝子、細胞、神経回路、行動まで、時間軸としては発生から進化までの階層に渡って徹底的に研究されているのは、今は視覚よりも嗅覚に軍配が上がるだろう。
とくに、嗅覚はモデル動物としての齧歯類、とくに各種遺伝子改変も容易なマウスの利点が活かされている。
今回多数の話題を聴いて、それぞれの嗅覚研究者の研究スタイルがかなり「網羅的」というか、細かい表を埋め尽くすようにデータを取っていく、というのが印象的だった。
例えば、匂い受容体を「すべて」同定しよう、受容体に結合する匂い分子を「すべて」同定しよう、匂い受容体に近縁のフェロモン受容体はどうか、そのリガンドは何か……。
意識にのぼらない「匂い」分子が、実は意志決定に大きく関係する、という話は、『香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)』を思い出す(これ、とってもお勧めの本です!)。
香りは記憶にも深く関係する(拙ブログ記事)。

「……足りないのは理論ですね」という方がおられたが、もしかすると理論の必要度が低いのかもしれない。
遺伝子・分子を理解することが、かなり高次機能まで直結しているように思う。
配線の仕組みも、多様な匂い分子にそれぞれ対応する嗅覚受容神経細胞の回路が、嗅球という中継基地で収束すること、さらに高次の脳までの到達経路もよく分かっているし。
まぁ、それでも嗅覚に関係する行動で「From Brain to Mind」をどこまで理解したと考えるのかについては、個々の研究者の思い入れの強さがあるだろう。
by osumi1128 | 2011-12-08 23:26 | サイエンス | Comments(0)

ライフサイエンスの行方:Sharing and networking

先月末に東北大学の加齢医学研究所設立70周年記念国際シンポジウムが開催され、全部は聴けなかったのだけど、29日に伺った講演がとても印象的だった。
Stephen H. Friend博士という方はアカデミアのキャリアの後に大手薬品メーカーのメルク社で開発責任者を務め、(私の聞き取りが確かであれば)現在、サバティカルの期間を利用して(あるいは早期リタイアだったか?)NPOを立ち上げられた。
そのNPOというのはSage Bionetworksという名前なのだけど、要するに、生活習慣病等の大規模データを集めてメタ解析を行うことをミッションとしている。
(こちらのホームページ、カッコイイですね)
彼がしきりと強調していたのは、「例えば物理や天文の世界だったら、皆がデータをシェアして、それを元に新しい科学を切り拓こうとしている。生物学・生命科学もそういう時期に来ているのではないか?」ということだ。

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by osumi1128 | 2011-12-07 22:51 | サイエンス | Comments(0)

『フェルメール 光の王国』

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先日観てきた「フェルメール展@宮城県立美術館』は12月12日までで、その後、23日からは東京に移る。
是非それまでにもう一度観に行けたらと思うのだが……。
今年の日本での展覧会に合わせて刊行された(と思う)『フェルメール 光の王国』(福岡伸一著、木楽舎)は、とくに生命科学にも興味のある方には是非お勧めしたい。

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by osumi1128 | 2011-12-02 00:20 | 書評 | Comments(0)