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『経済危機のルーツ』を読んで(その2):門戸開放

東北大学の理念は「門戸開放」「研究第一主義」「実学尊重」となっており、これは1907年の開闢の折に初代総長の澤柳政太郎が謳ったものである。
この理念に則って、1913年に日本で初めて帝国大学(当時)に女子学生3名が入学したことは、何度か拙ブログで話題にしている。

さて、先日取り上げた『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』(東洋経済新報社)』だが、著者の野口悠紀雄氏によれば、日本の経済危機のルーツと辿ると、1つには「IT化の遅れ」があり、こちらは先日取り上げたのだが、もう1つ大事なことは「アンチ門戸開放」的な政策が取られたことがあるという。
つまり、第二次世界大戦後にドイツと日本において自動車を筆頭とする「モノづくり」産業が振興する間に、英米はむしろその競争からはむしろ撤退し、代わりに情報産業を育成した、ということに加え、経済支障と経済体制が1980年代に大きな転換を果たしたことが大きく、その舵取りは「自由化」という方向に向かったのだ。

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by osumi1128 | 2012-04-29 23:16 | 未分類 | Comments(0)

任期付ポジションについて考える

私の所属する東北大学大学院医学系研究科では、教員すべてが任期付ポジションだ。
これは平成14年に開始され、私も平成23年の時点(任期終了の1年前)に審査を受けた。
教授の任期は10年で再任可、准教授と講師は任期7年で1回のみ再任でその任期は5年、助教は任期6年で1回のみ再任でその任期は4年となっている。
幸い、私は次の10年も東北大で教育と研究をする権利を得ることができた。

このような制度が採用された10年少し前は、「人材を<流動>させるために任期付にする」というのが「流行」だった。
日本では(多くの会社も含め)終身雇用が一般的であり、大学でも一度、助手(今なら助教)で採用された場合には、順調に成果があがっていれば講師、助教授(今なら准教授)、教授と昇進して、定年退官まで勤めあげる、というのが伝統的には理想形とみなされていた。
もちろん、A大学の助手からB大学の講師になり、C大学の助教授を経てD大学の教授になった方もそれなりの数はあるのだろうが、いちばん問題だったのは、業績のない教員でも、そのまま定年まで在籍することが多々あることだった。
いわゆる「万年助手」というキャリアパスだ。
任期制導入の裏には、我が国のアカデミア全体での人材循環もさることながら、こういう万年助手の方に任期を理由に辞職して頂くことができれば、という目論見があった。

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by osumi1128 | 2012-04-26 23:57 | 科学技術政策 | Comments(0)

パブコメ「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂(案)」

文科省からのパブコメ募集が締切りまで残り2週間となりましたので、こちらに記載しておきます。
科学技術・学術審議会学術分科会の下に置かれた研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会のまとめた「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの改訂 -ロードマップ2012-」に関するものです。
生命科学系の研究は、大型の加速器やら望遠鏡を作って皆でそれを利用する、というスタイルではないので、どのようにして政策誘導型ではない基礎研究を盛り上げていくのか、とても重要な課題です。
趣旨:
科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会(主査:飯吉 厚夫(中部大学総長))では、日本学術会議が策定したマスタープランを踏まえ、学術研究の大型プロジェクト推進に当たっての優先度を明らかにする観点から、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ」を策定し、平成22年10月に公表しました。

平成23年9月に日本学術会議がマスタープランの小改訂を行ったことを踏まえ、本作業部会において、新たに盛り込まれた15計画を中心に検討が行われ、ロードマップの小改訂(案)が取りまとめられましたので、意見募集を実施します。(下記HPより転載)

募集期間:平成24年4月11日(水曜日)~平成24年5月7日(月曜日)

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by osumi1128 | 2012-04-23 06:56 | 科学技術政策 | Comments(0)

『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』を読んで(その1)

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野口悠紀雄氏の本は『超整理法』が最初であったが、先日来『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』(東洋経済新報社)を読んでいた。
リーマンショックの後、2010年に刊行された本ではあるが、まだ賞味期限内だと思うし、「日本の経済低迷を理解するために歴史に学ぶ」として戦後の経済、バブル、そして凋落辿る部分は、歴史なので変わらない。

この本で繰り返されているのは、日本とドイツは1960年代、1970年代に工業製品の産生を強力に進めて大きく成長したが、その後、バブルを謳歌している80年代に、米英が構造改革を図ったのに対して、そのままの路線を続けた結果が、90年代の凋落の原因であるということだ。
歴史というのは皮肉なものだが、70年代にモノ作りでは日本に負けると思った米国では、さっさとIT産業に移行を図ったし、英国では経済の自由化政策によりロンドン・シティに企業と資金が集まってきた。

日本のIT化が上手く進まなかったことについて、私は多くの日本人が情報系サービスに関してのある種「胡散臭さ」を持っていることが原因なのではないかと思う。
それは、PCが広く普及した理由に「エロ動画」をこっそり見たいという欲望が隠されていたり、「2ちゃんねる」というソーシャルネットワークの活用のされ方が得てして「匿名」で「ネガティブ」なものであることから感じるのだ。

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by osumi1128 | 2012-04-19 17:25 | 科学技術政策 | Comments(0)

放射線量@東北大各キャンパス

東北大学では毎日、放射線量の定点測定を行なっているのですが、昨年度末に測定された各キャンパスの種々のエリアの空間放射線量がHPに掲載されました。
下記は医学部のある星陵キャンパスのものになります。
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見ていだけば、3月2日の測定で0.05〜0.08しかないことが分かると思います。
0.09の値があるのは、側溝などがある箇所ですね。

ちなみに、他大学の空間放射線量測定結果の公表は以下の通り。
北海道大学(工学部)
東京大学:2011年12月のモニタリング結果(以降公開情報無し)
名古屋大学:公開情報無し
京都大学:公開情報無し
大阪大学
九州大学

1993年の世界各地の大地からの自然放射線量はこちら
by osumi1128 | 2012-04-16 19:57 | 東北大学 | Comments(0)

アートな表紙

そういえば、紹介し忘れていたのだが、数学科の友人K先生が、4月からは東北大学の原子分子材料学後頭研究所WPI-AIMRの機構長になって、つまりは部局長扱いになられた。
機構長からのメッセージ
法学研究科の水野先生に続いて、女性の部局長は二人目。
年上のオジサマ達を率いていかれるのはさぞかし困難も多いと思うが、心から応援したい。

……で、だいぶ前に彼女と話をしていたときに「真理は美しい数式で表される」というような内容のことを言われて激しく同意。
E=mc^2でもオイラーの等式でも、確かに数式そのものがシンプルで美しい。
私の分野は分子生物学や神経科学ではあるけど、形態分野も確かに「美しさの中に真実がある」と思えてならない。
少なくとも、エントロピーの増大に反逆している「偏り」には生物の本質がある。
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by osumi1128 | 2012-04-14 17:43 | アート | Comments(0)

「かなぎ」という魚

d0028322_004114.jpg先日、日帰り東京出張の折に行った和食のお店で、天豆や焼き筍はもちろんのこと、蛍烏賊の石焼、山菜天麩羅、生桜海老の天麩羅など春の味覚を満喫しましたが、その折に「かなぎ」というお魚を頂きました。
軽く干してを炙ったようなかんじだったのですが、初めて聞く名前だったので、後で調べてみました。

どうも、小さめの黍魚子のことを長崎では「かなぎ」と呼ぶらしいのですが、玉筋魚(いかなご)を「かなぎ」と呼ぶこともあるらしく、前者はニシン目で、後者はスズキ目です。
ま、いずれにせよ、「金釘」がなまって「かなぎ」となったらしく、要は小さな細い魚ということですね。
by osumi1128 | 2012-04-08 23:51 | 味わう | Comments(0)

『福島原発事故 内部被ばくの真実』

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長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」の柴田義貞先生編集による『福島原発事故 内部被ばくの真実』(長崎新聞社)をご恵贈頂いて、今日の東京出張の行き帰りに読んだ。
この拠点リーダーは山下俊一先生で、現在は長崎大学を休職されて福島医科大学の副学長をされている。
昨年11月に福島医大で行われた座談会を書き起したものに、白石久二雄先生が原発事故による食品汚染について書かれたものを合わせている。
座談会のメンバーは以下のとおり(敬称略)。
木下冨雄:国際高等研究所フェロー
山下俊一:福島医科大学副学長
大野和子:京都医療科学大学
小島正美:毎日新聞社生活報道部編集委員
白石久二雄:元放医研内部被ばく調査室長
柴田義貞(司会):長崎大学特任教授

リスクコミュニケーションの問題にどのように対処すべきかについて学ぶことが多かった。

市販されている本ではないようなので、興味のある方は長崎大学のGCOEにお問い合わせを。
by osumi1128 | 2012-04-06 01:21 | 書評 | Comments(0)

東北大学脳科学グローバルCOE終了御礼

本当は年度末ネタだったのですが……、5年間(実際には4年半)のプログラム終了にあたり、Annual Reportも増ページ、報告書も全体をまとめた冊子にしました。
枕になりそうですね……(苦笑)。
皆さんに本当にお世話になりました。
5年分の感謝を込めて……。
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そしてAnnual Report 2007-2012を送るのに付けたカード。
カハールのスケッチを元にしていますが、神経細胞の樹状突起の広がりが、GCOEの拠点から育っていった方々の未来に繋がるような気がします。
素敵なアイディアとデザインで作って下さったGCOE事務局の方々、ありがとうございました。
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そしてメッセージはこちら。
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by osumi1128 | 2012-04-03 22:35 | 東北大学 | Comments(0)

新たな年度のはじまりに向けて

4月1日です。新学期です。
……というのが、少なくとも戦後60年余、日本人に刷り込まれた感覚ですね。
お正月に準じた気持ちになります。

昨年の震災後に引越ししたのですが、記念に何か額でもと思って市内の画廊で求めたのが今日の画像です。
藤田嗣治が1964年にパリのポール・ペトリデスの画廊のクリスマス・カード用に作った版画を額に仕立てたもので、モチーフは聖母子。
新たな誕生への祈りを込めて。
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by osumi1128 | 2012-04-01 22:40 | アート | Comments(0)