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発生・細胞合同年会に行ってきた

学部時代から母の国際会議に同行したり、タイムキーパーのアルバイトをした経験はあったが、一番最初に自分で学会発表をしたのは博士課程2年の秋。
東大駒場キャンパスで開催された日本細胞生物学会という国内学会だった。
まだ「35mmスライド」の時代で、その日の午前中に差し替えスライドの現像が上がるのを待って(←当時から泥縄……)、あたふたと会場に向かった。
現像を待っている間、喫茶店で発表原稿をなんどもチェックして、ほぼ暗記していたのだが、それを手元に持って演壇に上がったら、後でボスに「読まないなら持って上がるな。格好悪い」と怒られた。
そんな訳で、以来ずっと、つまり20年以上、細胞生物学会の会員なのだ。
現在では研究室からの発表は他の学会の方が多いのだが、「細胞生物学的モノの見方」が自分にとっての基本だと思っている。

ところで、私の名前の「大隅」という姓は、全国の名前ランキングで1833位、電話番号が登録されているのが2117世帯、つまり、そう滅多に見かけない姓のはずなのだが、不思議なことに、この細胞生物学会には会員数1000人程度の中に少なくとも5人も「大隅」氏がいる。
(うち2名は母子関係で、他は親戚ではないのですが、ときどき、大御所の某大隅良典先生に、親子か夫婦か、と間違われます←いずれにしても微妙……ww)。
他に自分が所属している学会で同じ姓の方を見たことがないので、この偏りは確からしいと思うけど、でも偶然なのですよね……?

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by osumi1128 | 2012-05-31 22:40 | サイエンス | Comments(0)

イマドキ男子、実は肉食系【加筆】

昨日に引き続き、栄養素の話題を。

本日Facebookで盛り上がっていたのは、唐揚げを某S社のヘルシオなる高機能電子レンジにかけると、カラッとして美味しくなると同時に、多量の油が落ちる、というものだった。
私は自宅で揚げ物を作ることも食べることもまずありえないので、この機能が必要かどうかは別として、揚げ物の問題は、コーン油、大豆油等のリノール酸の多い油を使うことにあると思う。
カロリー摂取過多もあるが、リノール酸はオメガ6系の不飽和脂肪酸であり、多量に摂取することにより、さらにオメガ3系の不飽和脂肪酸の取込みが悪くなる。

オメガ3系の不飽和脂肪酸は、αリノレン酸はエゴマ油やナタネ油など植物性油に含まれるほか、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などは青魚に多く含まれる。
オメガ6系のリノール酸は上記のようにコーン油、大豆油等における含有量が多く、魚には少ない。
ただし、オメガ6系のアラキドン酸は卵、肉、レバーなどに含まれるが、DHAの含有量も多い。

オメガ6:オメガ3の割合の理想は4:1と言われているが、「現代的な食事」ではオメガ6が多くなりがちであることから「もっと青魚を食べましょう!」キャンペーンが世界的に展開している訳だ。
実際、昨日のブログで取り上げた松岡先生が日本栄養食糧学会のランチョンセミナーで披露されていた図は下記になる。

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こちらは平成20年度の水産白書からのもので、平成9年と平成19年のデータを比較して、年代別に表したもの。
「最近の若者は草食系」という話があったが、実は思いっきり「肉食系」だったのだ。

【追記】
油関係の問題としては、マーガリンやショートニングなど、「トランス脂肪酸」の害もある。
「バターよりもマーガリンは植物性なのでカラダに良い」ということはない。
また、ファーストフード店の揚げ物などにもトランス脂肪酸含有量は多い。
by osumi1128 | 2012-05-27 23:02 | サイエンス | Comments(0)

PTSDと魚と男と女

一週間がほんとに早い。
先週の土曜日に、日本栄養食糧学会のランチョンセミナーで座長をしたのだけど、講演をされたのは精神・神経医療研究センターの松岡豊先生
「魚油でトラウマからこころを守れるか」というタイトルで、会場は満席だった。
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松岡先生は、元々は精神科でサイコオンコロジーがご専門だったが、数年前からPTSDに関する研究をされている。
日本ではPTSD(心的外傷後ストレス障害)というと、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が有名だが、頻度としては交通事故によるものがもっとも多いという。
また、発症には男女差があり、女性の方がPTSDを発症しやすい。
不幸にして心に強いストレスのかかる事故が起きてしまうのは防げないとしても、その後のPTSDの発生を予防できないか?
松岡先生は共同研究者の井ノ口馨先生(富山大)のマウスを用いた研究(Kitamura et al., Cell, 2009)にヒントを得て、オメガ3系の高度不飽和脂肪酸投与によるPTSD予防戦略を考えられた。
[画像はオメガ3脂肪酸研究の大家であるNIHのヒベルン先生が表紙になったEating Well Magazine]

井ノ口先生の研究では、通常は1ヶ月の間に恐怖記憶が海馬から大脳新皮質に移行するのに対して、神経新生を低下させると、1ヶ月経っても海馬に残り、逆に神経新生を向上させると海馬からの記憶の消去が早まるということが示されている。
つまり、PTSDの状態は神経新生の低下によりもたらされる可能性があるので、何らかの方法により神経新生を向上させることが望ましい。
上記マウスの実験では、ケージの中に回転車を入れて自発的な運動を促すことにより神経新生を向上させたが(これは世界中で再現性が取られている事実である)、心的外傷を受けた人に「運動が良いですよ」といっても、なかなか難しいであろう。
そこで着目したのが栄養素であり、中でも、これまでから心臓病、動脈硬化等に良いと言われていた魚油や、その主成分であるオメガ3系の高度不飽和脂肪酸なのだ。

このプロトコール(臨床研究のテザイン)を総説として発表されたのが2011年の2月末。
Clearance of fear memory from the hippocampus through neurogenesis by omega-3 fatty acids: a novel preventive strategy for posttraumatic stress disorder?
Yutaka Matsuoka
BioPsychoSocial Medicine 2011, 5:3 doi:10.1186/1751-0759-5-3

そこにちょうど311大震災が起きた。

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by osumi1128 | 2012-05-26 20:17 | サイエンス | Comments(0)

白菊会総会にて:ここにもある、イノベーションを阻む足かせ

本日夕方の第1回脳神経科学コアセンターセミナー(脳コアセミナーNCS)は、また日を改めて書きたいことがあるのですが、午前中に行われた東北大学白菊会総会に参加して考えたことを。

医学・歯学の基礎教育は解剖学から始まります。
これは医学そのものの起源と同じだからなのですが、4世紀前のイタリアであれば罪人の死体を用いていたところが、現在では献体という篤志に基づいた制度に基づいています。
東北大学の献体の団体は「東北大学白菊会」という名前で、35年前に全国組織の白菊会から別れて設立されました。
現在、登録されている方は県内各所合わせて約1600人おられ、毎年だいたい50〜60名の方が成願されて、そのご遺体が解剖実習に使われます。
年1回の総会では、医学系研究科長、歯学研究科長を始めとするご来賓の方々のご挨拶がなされ、活動報告や予算の承認などが行われます。
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今年は初めて鹿野記念奨学奨励賞という賞の授賞式が行われ、医学部、歯学部の3年生それぞれ1名(両方共女子でした)が、白菊会理事長から賞状、記念メダル、金一封を授与されました。
医学系研究科HP:平成23年度東北大学白菊会鹿野記念奨学奨励賞授賞式が開催されました。

さて、話題にしたかったのは、というと……。

[画像は東北大学白菊会のロゴマークです]

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by osumi1128 | 2012-05-25 22:27 | 東北大学 | Comments(0)

自然災害だけで滅んだ街は無い

東北大学の医学部同窓会は、卒後25周年に同級生がカンパを募り、毎年の総会の折に特別講演会を企画するという(珍しく?)洒落たことをしている。
特別講演会は市民も参加可能で、過去には安藤忠雄さんや玄侑和尚、もう少し若いところでは海堂尊氏、香山リカ氏なども講演された。
今年は仙台医学校から数えて140周年ということで力の入った企画となり、19日に塩野七生さんを交えた鼎談「瓦礫と大理石 廃墟と繁栄」、20日はオペラ夕鶴のコンサートだった。
「え? いったい誰のつてで塩野七生なの?」という疑問は、鼎談の前にちょっと控え室に御邪魔させて頂いて(広報室として写真撮影をさせて頂いた関係です)、昭和62年卒の幹事を務める上野義之先生(山形大学教授)からのお話で解決した。
昔からの大ファンで、留学時代にローマにある塩野七生さんのお家を訪問されたこともあるという!
そうか、熱い思いは伝わるのだと思って、いいなぁ……と感じた。
お陰で生(なま)塩野七生さんにも会えたし。
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by osumi1128 | 2012-05-20 20:31 | 雑感 | Comments(0)

101本目のアーティクル(原著論文)

子供の頃、お正月の2日目は、両親のお仲人をされた先生のところに年始のご挨拶に伺うのが習いでした。
その先生が「積み上げると自分の背丈になるくらい本を書くのが目標」と話されたことが、ずっと頭に残っています。
1冊の単行本の厚さを2 cmとすると、うーん、80冊は上梓しないといけません……。
昔は素朴に「大学のせんせいって、そうなんだ……」だったのですが、最近は「研究者=論文を書く」「学者=本を書く」という違いなのかなぁ、と思って。

さて、先週、5月11日付で自分にとって101本目の原著論文がStem Cellsという雑誌にオンライン掲載されました(正式にページ番号が決まるのはまだです)。
マウスの海馬での神経細胞の産生と生存に、脂肪酸結合タンパク質が関与するというストーリーです。
これまでの当社の研究(これとかこれ)も加味して、思いっきり波及効果だけ言うとすれば、記憶や学習に重要な海馬神経新生の維持に、栄養素である脂肪酸が重要ということになります。
要旨はこちら
プレス発表はこちら
それを元にしたYahoo!ニュースはこちら
筆頭著者のMさんは元ポスドクさんで、ここまで7年かかりましたが、誠に目出度い!
明日、正式に(笑)祝杯を挙げる予定です。

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by osumi1128 | 2012-05-19 00:29 | サイエンス | Comments(0)

会津若松に行ってきた

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方向音痴のくせに知らない土地に行くのが好き。
ただし、直前までアクセス調べたりもしないので、間際になって大慌てだったりもする。
月曜日、会津若松で「生体医工学フォーラム in AIZU」という催しがあって、初めて会津若松市を訪れた。
仙台駅から直通のバスもあったのだが、新幹線で郡山経由、磐越西線を利用した。

来年の大河ドラマのヒロインが、新島襄の夫人の八重という女性で、会津の出身とあって、駅構内から早くも歓迎ムード。
この女性はなかなかのハンサムウーマンだったらしい。
曰く「会津戦争のときに白虎隊に鉄砲の使い方を教えていた」のだけど、その後「京都に移住した後は英語を学び洋装になって女性教育者として活躍し」、さらに晩年は「日本赤十字社に奉職して日本のナイチンゲールとなった」とのこと(会津若松観光物産協会パンフレットより)。

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by osumi1128 | 2012-05-16 00:30 | 旅の思い出 | Comments(0)

母の日

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今日は母の日。
ラボの有志の方々が企画を立てて下さいました。
ありがとうございました。
たぶん、男性の先生で父の日のお祝いをされる方は、女性で母の日を祝って頂ける方より少ないでしょうね。
ちょうど論文が1つ掲載されたところなので、そのお祝いも兼ねて。
by osumi1128 | 2012-05-14 00:04 | 雑感 | Comments(0)

やっぱりセザンヌは静物が好き

もし場所だけで職場を選ぶとしたら、一番就職したいところは政策研究大学院だ。
国立新美術館の真ん前というロケーション。
お昼休みを美術館で過ごせたら、贅沢極まりないことこの上なし。

さて、本日夕方の用務はやはり国立新美術館の隣だったので、会議が終わって速攻でセザンヌ展エルミタージュ展を見てきた。
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by osumi1128 | 2012-05-11 21:42 | アート | Comments(0)

『精神医療過疎の町から』を読んで考える医学部新設問題【加筆】

d0028322_2215693.jpg大学の同級生が皆、歯学部か医学部なのは、今になって思うと多様性に欠けて残念なのだが、もはやいかんともしがたい。
医学部にはいわゆる「学卒」の同級生もいて、18歳で入学したときにはエラく年上に思ったが、だんだん年齢差の絶対値が暦年齢に比して相対的に小さくなってきた。
そんな昔の同級生、阿部恵一朗さんが昨年、みすず書房から上梓した著書がけっこうな評判となって、読売新聞の「本よみうり堂」やら毎日新聞の「人」やらに取り上げられたらしい(パチパチ)。
タイトルが『精神医療過疎の町から 最北のクリニックでみた人・町・医療 』という。
うーん、やはりタイトルは大事だ……。

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by osumi1128 | 2012-05-08 22:59 | 書評 | Comments(0)