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第84回東北大学サイエンス・カフェで話しました

東北大学は全国の大学に先駆けて「サイエンス・カフェ」を7年前から開催してきました。
先週金曜日にその第84回目のカフェで講師を務めさせて頂き、雨模様で足元も悪い中、100名を超える皆さんにご来場頂きました。
今回のテーマは「ことばが生まれる! ー神経生物学から考える言語の起源ー」ということで、言語進化学でしたが、実は裏テーマは「遺伝子・ゲノム・変異」だったのです。
地球上の生き物の進化の過程で少しずつ「遺伝子」に生じた「変異」が、現在の私たちを創りだしたこと、私たちが「言語」というコミュニケーション手段を獲得したのも、そのようなゲノムレベルの進化に基づくことをお伝えしたいと思いました。
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チラシのデザインは文屋千代さんです。
【関連リンク】
東北大学大学院医学系研究科公式Facebookのアルバム

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by osumi1128 | 2012-09-30 21:13 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

『ビヨンド・エジソン』にみる12人のロール・モデル【加筆しました】

恥ずかしながら、最相葉月という作家がそのマインドとしてかなり理系だったと、本書『ビヨンド・エジソン』(ポプラ社)を読んで初めて知った。
『絶対音感』を読んだのが大学生になってからだったが、その本によって「自分はどこか変なのではないか?」という不安を解消できたのは有難かった。
受験勉強をする友人たちは、皆、Walkman(←懐かしい)で音楽を聴きながらできるのに、なぜ自分にはそれができないのか困っていたところに答えをもらった気がした。
その後、『青いバラ』『星新一』は読む機会が無いままに本書に辿り着き、淡々とした語り口を思い出した。

本書執筆のきっかけは、最相氏自身が理系進学をしたものの科学者という道を歩まなかったことについて、現役の科学者を理解することによって考えてみたいということであったという。
例えば「科学者になるために、エジソンの伝記がきっかけだった人はいるのだろうか?」というような問いかけだ。
そのアプローチ自体がかなり科学的だと思える。

本書に取り上げられているのは男性6名、女性6名の科学者だ。
その専門分野は多岐にわたるので、ここに掲げておこう。
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北潔(寄生虫学)
佐藤たまき(古生物学)
坪充(農業気象学)
石田瑞穂(地質学)
深沢倫子(物理学)
峯松信明(音声工学)
甲斐知恵子(ウイルス学)
岩坂泰信(物理学)
中小路久美代(情報科学)
徳永万喜洋(生物物理学)
矢野創(宇宙科学)
星美奈子(脳神経科学)

実際、最相氏が取材した12名の中で小学校くらいで「伝記の全集」を読み通した方が複数おられた。
(私も小学校の図書館から借りてきては読んでコンプリートさせたことを思い出す)
それぞれ、誰の伝記を挙げているかは本を読んでのお楽しみとするとして、本書が2009年に単行本として出版された後に、2012年3月に文庫化されたことは、ポプラ社さんのご英断として拍手を送りたい。
『ビヨンド・エジソン』(最相葉月著、ポプラ社)
これまでにも、多数の科学者の伝記は出版されているのだが、その多くが絶版となっているのだ。
これは、科学者のロール・モデルの欠如につながっていると思う。
「女性科学者といえばキューリー夫人」的な状態から抜け出せていないのが日本の現状だ。
最相氏が男女同数の科学者を取り上げたことは、将来、そういう世界になっていてほしいと願う気持ちの表れと思う(そのようにはどこにも書いていないのが、クールな筆者らしいと感じる)。

以下長くなるが、本を読んだ自分の気持ちを残すために、直接の知合いの中小路さんと、中身が非常に興味深かった峯松博士のことを取り上げておく。

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by osumi1128 | 2012-09-23 01:50 | ロールモデル | Comments(0)

白馬の王子様シンドローム?

4日間の日本神経科学大会@名古屋から戻りました。
前日の理事会からなので5日ですね……。
昨年、大会長を務めさせて頂いたので、今年は関係各位に1年前の感謝をお伝えする意味もあって、最初から最後まで参加しました。
本当にあっという間でしたが、震災後にハイパーになっていた1年だったと思います。

3日目、懇親会の前に学会の「総会」が開かれました。
会員数5800名近くの団体なのですが、総会に出席する方は多くはありません(苦笑)。
まぁ、どの学会も似たようなものかとは思いますが。
総会では神経科学学会からの表彰として、「時実賞」と「奨励賞」の贈呈式を行うのが通例です。
時実賞は、脳科学者の時実利彦先生を記念して、神経科学分野で功績のあった方に授与されるもので、今年は、柚崎通介先生@慶應大学と戸田達史先生@京都大学でした。
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奨励賞は若手の方々で今年は5人の方に授与されましたが、その中で女性は1名。
2001年からの歴史をさかのぼってみましたが、初めての女性なのではないかと思います。
その栄えある受賞者は名古屋大学の上川内あずささん。
すでにPIとして自分の研究室を主催され、ショウジョウバエを使った聴覚系の研究をされています。

この賞の応募者に「女性が少ないね」ということが理事会で話題になっていました。
例えば、そもそも応募者に女性が少ない、手を挙げる女性が少ない、という現象のことを私は「白馬の王子様シンドローム」と呼んでいます。
「誰かが私のことをちゃんと見てくれていて、きっと推薦してくれるはず。そうしたら有難くお受けするの♬」

と夢見て待っている、というイメージです。
もしかしたら、「命を繋げる性」としてエネルギーをセーブしているのかもしれません。
「だって、倍率高いから、応募してもほとんど当たらないし、そんな無駄なことはしたくないわ」

翻訳をしている『Why aren't more women in science』という本の中にも、女性の方が申請書の書き方が杜撰、という傾向があることが指摘されていました。
具体的に言えば、業績を全部挙げていない(男性の方が少しでも良い評価になることを意識してきっちり挙げる)、賞を書いていない(男性はどんな小さな賞でもプラス要素と思って挙げる)などとのことです。
……という話は、2日目の男女共同参画委員会企画のランチミーティングでもお話しました。
皆さん(女性も男性も)手を上げてナンボ!ですよ。

関連リンク:
この人に聞く「生命科学に関わる仕事っておもしろいいですか?」(上川内さんの回)
女性研究者総覧
by osumi1128 | 2012-09-21 21:29 | ロールモデル | Comments(2)

岡野さんのランチョンセミナー&束村さんの講演@ランチタイムミニシンポジウム

一昨日の話題。
初日のランチョンセミナーの企画、講演、座長をしたのですが、600名の会場が大入りほぼ満員御礼。
神経発生、再生医療から進化まで幅広く研究されている慶應大学の岡野栄之先生がメイントークで、その前座を努めさせて頂きました。
スポンサーは理化学機器メーカーのナリシゲさんで、ランチョンスポンサー10周年を記念しての会だったので、盛会で何より。
ナリシゲさんは昨年もそうでしたが、今年もプラチナ・スポンサーです。
テーマは「脳の発生と進化の原理と多様性」ということで、私はこれまでの神経発生分野の研究をオーバービューして「時代は共通性から多様性に向かいつつある」というお話をしました。
岡野さんは、現在、FIRSTプログラムで展開している脳の進化のお話をされ、「どのようにヒトの脳は大きくなったのか」に関する分子レベルの研究の一端をご披露されました。
途中のジョークで、「かつて進化の研究をやりたいと言ったら、当時のボスのM先生に……M先生はこの会場にいらっしゃいませんよね?……そんなことは年を取ってからするものだ、と言われました。まぁ、私ももう50歳を超えたからいいでしょう」と話されたのですが、実際にはM先生は会場にいらっしゃって(爆)、後で私に「良いランチョンでしたね。ところで、あれはね……」とそのエピソードの顛末を話して下さいました。

進化の研究は人間を惹きつけてやまないロマンがありますが、現在はもしかしたら「証明できる」時代になりつつあるのかもしれません。

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by osumi1128 | 2012-09-20 08:58 | ロールモデル | Comments(0)

研究者による科学コミュニケーションのガイドライン策定に向けて

……というながーいエントリーを挙げたつもりなのに、アップされていない……orz
さすがに書きなおす気持になれないので、明日の朝まで待ってみます。

……と書いておきましたが、駄目でした……orzorzorz
ええと要点は、
1)昨日は神経科学大会初日、朝いちばんで科学コミュニケーションに関するシンポジウム(本エントリーのメインの話題)、ランチョンセミナー(岡野栄之先生の前座と座長)、塚原仲晃賞受賞講演の笹井芳樹先生の分の座長、など盛りだくさん
2)科学コミュニケーション委員会では、今後、神経科学者からの発信に関するガイドラインを策定することを目指し、読売新聞のデスクの方を交えた議論を行った
ということでした。
追って加筆しますが、その折に話題に出た“寝る子は「海馬」も育つ”というyahoo記事についてだけ、時事ネタでもあり、東北大学関係なのでご紹介しておきます。
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by osumi1128 | 2012-09-19 00:15 | 科学 コミュニケーション | Comments(1)

美は眼窩前頭皮質に宿る

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのセミール・ゼキ先生は、視覚系の脳科学研究の大家。
ちょうど震災前の1月に仙台でご講演を頂いたのだけど、このたびPLoS ONEという雑誌に美しさに反応する脳の部位を明らかにしたという論文を出された。
予め30名の被験者により判定された「美しい」「微妙」「醜い」画像および音響刺激を21名の男女に与えて、そのときの脳の活動を計測して差分を取ることにより、「美しい」刺激に反応している脳の領域は、ちょうど眼の裏側あたりに相当する内側眼窩前頭皮質という部位だということがわかった。
つまり、「美はそれを鑑賞する者に内在する」という訳だ。

個人的には、最初の刺激の選定に用いられたのがどんなものだったのかがとても知りたかったのだが、なぜかPLoS ONEからのリンク先が「404 Not Found」になっており、たどり着いたGogent 2000も中身が見られないので、とりあえずちょっとギブアップ……。
ともあれ、石津さん、おめでとうございました!

一般向けの記事はこちら(いずれも英語):
Beauty lies in the medial orbito cortex of the beholder: Scientists find the part of the brain that controls what we admire
Beauty Is in the Medial Orbito-Frontal Cortex of the Beholder
Beauty is in the brain of the beholder

ゼキ先生のHP

ゼキ先生関連で書いたブログ
セミナー@Richardson研&ゼキ先生表敬訪問
ゼキ先生X宮島先生「脳科学と芸術の対話」【さらに加筆】
ゼキ先生のホームページご紹介
ゼキ先生のブログより:「宮島達男:絶え間なく変化する世界の美術作家」【リンク追加】
ゼキ先生のブログより:「空白の壁と豊かな想像力」

ゼキ先生のご著書:脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界
by osumi1128 | 2012-09-14 08:18 | サイエンス | Comments(0)

小谷元子先生の本棚フェア

神保町の書泉グランデで「小谷元子先生の本棚フェア」をやっています。仙台通信でおなじみ数学者K先生のお奨め本をコメントつきで。
東京方面の皆様、是非、書泉グランデに行って、1冊でも購入してあげて下さい!
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by osumi1128 | 2012-09-11 07:38 | お知らせ | Comments(0)

第22回定禅寺ストリートジャズフェスティバル

今年の夏はお盆も過ぎたのに、連続18日の真夏日が続き(観測史上タイ記録)、水不足が心配されている。
今日も朝は涼しかったけど、良いお天気で、第22回定禅寺ストリートジャズフェスティバルが市内各所で開催されていた(明日まで)。
「定禅寺通り」という冠が付いているのだけど、今や演奏スポットは40箇所近くある。
一つのバンドは、大きくても小さくても、プロでもアマでも、有名でも無名でも、1つのコマしか与えられていないという民主的な運営のようだ。
例えば、今日、通りかかったところでは、オジサンたちのヴォーカルユニットがお揃いのTシャツを着て、楽しそうに歌っていた。
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by osumi1128 | 2012-09-08 16:50 | 雑感 | Comments(0)

おかげさまで2刷になりました

d0028322_0102960.jpgおかげさまで、岩波現代文庫に入れて頂いた拙翻訳本『心を生み出す遺伝子』が、このたび2刷になりました。
「ゲノム(遺伝子)=青写真」ではない!
気鋭の科学者が、生まれと育ちの真の関係を鮮やかに描き出す
(オビより)

是非、読んで頂けたらと思います。
by osumi1128 | 2012-09-07 00:15 | お知らせ | Comments(0)

時代は「ゲノム医療」へ

Facebookの広告で、DHCから「遺伝子診断キット」が出ていることを知った。
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さすが、元「大学翻訳センター(Daigaku Hon-yaku Center)」のDHCさんだけあって、化粧品やサプリメントだけでなく、サイエンスっぽいイメージのある事業への飛びつきが早い。
どうやるかというと……

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by osumi1128 | 2012-09-01 00:03 | サイエンス | Comments(0)