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ハーバード白熱教室in東北大学放映(3/2)

先週収録されたサンデル先生の白熱教室in萩ホールが、今週末に放映とのことです。
(以下NHKのwebサイトより転載)
マイケル・サンデルの白熱教室@東北大学
「これからの復興の話をしよう」
2013年3月2日(土) [ 総合] 午後9時15~午後10時13分

サンデル教授が、東北大学で震災復興について語り合います。参加者は東北大学の学生500人、そしてホームページなどで一般公募した500人のみなさん。その多くが、宮城県、福島県など東北在住の方々です。サンデル教授が投げかける問いは、「除染作業で出た土は誰が引き受けるべきか?」「自主避難を補償すべき?」「自分の命と職務への責任どちらを優先するか」「復興に必要なのは強いリーダーシップか、話し合いか?」など。被災した当事者のみなさんとともに、これからの復興について考えていきます。

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2時間の収録がどのように1時間番組に編集されているのかが楽しみ♫
by osumi1128 | 2013-02-27 08:12 | 311震災 | Comments(0)

SSH運営指導委員会、サンデル先生白熱教室、脳科学若手の会ウィンタースクール

雪の秋保から戻って来て、市内もやはり少し降っています。
今年は本当に雪の多い冬ですね……。
まとめて3つの話題なのですが、根っこのところは同じです。

金曜日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている古川黎明高校に行ってきました。
今年度3回目の運営指導委員会で、これまでの活動と来年度以降の計画について意見交換がなされたのですが、その折にこんな意見が出されました。
生徒さんたち、よく課題をこなして立派な発表もしているのだけど、質疑応答の際、よくよく聞いてみると発表内容の中に矛盾があったりするのに、それを突っ込んだりしないで、単に感想を述べるのに留まっている。科学の基本は健全な批判精神にあるので、それも学んで欲しい。(大隅の意訳です)

それに対して、どなたかの委員が「日本人は<知>で議論しないで、<情>の議論になってしまうからですね」というようなコメントをされていました。
確かに、そういう傾向はいろいろなところでありそうですね。

今年の活動の最後のメイン・イベントは西海岸の体験ツアーです。
訪問先が素敵で、GoogleやAppleの本社、コンピュータ博物館、地元の製薬ベンチャー企業、スタンフォード大学など盛りだくさん!
Appleお膝元のクパチーノ高校でランチを取って、そちらの高校生との交流会(東日本大震災被害の報告など)もあるようです。
この準備にご尽力くださっているのは、製薬ベンチャー企業にお勤めの赤間さんや、スタンフォード大学の池野さんです。
本当にありがとうございます。
地元紙『大崎タイムズ』の元旦特別号にも、高校生たちのツアーへの期待が掲載されていました。

で、その日の夕方に『サンデル先生白熱教室in東北大学』の収録が川内萩ホールであり、桟敷席(←初めて!)から見学しました。
生(なま)サンデル先生も初めて!(←ミーハーww)
萩ホールが2階席まで完璧に埋まるくらいの大入り満員!
さすがサンデル先生は仙台でも人気です♫

サンデル先生の最初の一言。
ここ仙台での教室は特別です。いつもは<仮定>の議論をしていますが、今日はそうではなく<現実>について話さなければなりません。それはとても大変なことだと思っています。

実際、最初の話題は「汚染土を撤去するのに置き場所が決まらず除染作業が進まない。どうするか?」というものだったのですが(ちなみに、私はcontaminated soilという言い方も<汚染土>も好きな言い方ではありません。「放射能レベルが通常よりも高いレベルの土壌」ということですね)、実際に福島の現地の方なども来られていて、「If」ではない話は重いものがありました。
あるいは、「自主避難している方にも経済的な保障をするかどうか?」なども、そういう方を身近で見ている方の意見などは、かなり気持ちで引きずられているところがありました。
あ、ちなみに、パンフレットが表裏が紅白になっていて、聴衆全員も意思表明をすることによって参加型にしてありました。
実際、萩ホールの客席全体が赤白かなり半々の答えが多かったと思います。
「民生委員として、自分の命を投げ打ってでも相手を避難させるべきか?」という問いは、本来であれば、ハーバードの大学生たちが「もし」という仮定で考えて、究極の意見同士を戦わせたりするのでしょうが、「自分は消防士で、原発事故の後すぐに現地に向かったのですが……」という方も発言されて、リアルな現実を思い出したのでした。
最後の問いが「復興を進めるのに、すべての人のコンセンサスを得るべきか(ただし、それには時間がかかる)、それとも、早く進めることを優先すべきか?」というものだったのですが、こちらは聴衆の意見は後者の方が6:4か7:3くらいで多かったように思います。
地元の人間として、これも「仮定」の問いではなく、現実的な問題として、まだ復興が本格的には進んでいない、という苛つきが背景にあったように思います。
この意見の中で「全員の合意consensusは無理でも納得understandingしてもらうことが大事」というものには、自然に拍手が湧いていました。
最後の方で、一般公募から4倍の確率で参加されたとある女性が、「東北の人たちは意見を言うのが苦手だろうと予測していたが、諦めないで自分の意見を言うことが大事だとわかりました」と話していたのが印象的でした。

日は変わって、土曜日から日曜日、脳科学若手の会東北部会主催、脳神経科学コアセンター共催のウィンタースクールが地元の秋保で開催されました。
すべて若手の人たちが企画運営しているウィンタースクールは、今回が2回目。
今年の特別講師は井ノ口馨先生で、お題は「ハイインパクトな研究を行うために何をすべきか?」でした。
途中で出てきたキーワード
データに対する自信
YMWY:やってみなくちゃわからないよ!
潜在意識
リラックス:ユーリカ!
一言で述べる

「天才ではない研究者がハイインパクトな研究をするには」ということで、「なるべく大きな問いを立てる」「とりあえず船を漕ぎ出して順次島を訪ねて行くのではなく、最初にどこにたどり着きたいのかを考える」「<できる>という自信を持つ」などのヒントを頂きました。
ちょうど3年ほど前にセミナーに来ていただいた際にも、「もしかしたら、脳科学は今ちょうど、物理学における15世紀くらいなのかもしれない。皆さんの中に、明日のガリレオやニュートンがいるかもしれない」というお話をされていらっしゃいました。
21世紀は本当の意味で脳科学の幕開けなのかもしれませんね。

井ノ口先生は、夕食後のポスターセション、その後の懇親会、さらに二次会?にもお付き合い下さって、「君たちは批判精神が足りない!」と、朝まで若者たちを煽っていらしたようですww
「でも、僕らが反論すると、すごい<慈愛顔>で聴いてくれてるんですよ!」と、朝、嬉しそうに学生さんが話していました。

今年2回目、教務室からポスター・パネルを借りてくるなど、予想以上の交渉力に驚きました。
分子からシステムから脳画像や理論まで、広い範囲の脳科学を垣根を低く話を聴ける良い機会と思います。
この人脈は10年後、15年後に、利子がついて返ってくると思います。
「2月は東北でウィンタースクール」が定着すると良いですね!

【参考リンク】
富山大学大学院 医学薬学研究部 生化学講座(井ノ口研究室)HP
" target="_blank">教授からのメッセージ
拙ブログ:近況:医工学セミナー@神戸、井ノ口先生セミナー@仙台、脳の医学・生物学研究会@名古屋
拙ブログ:祝:井ノ口先生時実賞受賞@神経科学大会1日目
拙ブログ:井ノ口先生と下條先生
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by osumi1128 | 2013-02-24 14:24 | サイエンス | Comments(0)

仲村春和先生の最終講義ほか

d0028322_12172137.jpg日本の大学のスクール・カレンダーでいうと、2月、3月にはいわゆる「最終講義」が、それぞれの学部や研究科などで開催されます。
研究所の所属でも大学の先生は第一義に「教員」なので、その「最後の授業」はとても大事なセレモニーです。

我が医学系研究科では、今年、大内研究科長の肝いりで、最終講義を医学科の4年生と保健学科の3年生の必修にして、会場も大きな艮陵会館大ホールで行い、退職教授のプロフィールと最終講義要旨を顔写真付きで冊子として配布するというスタイルに変りました。
今年はいわゆる団塊の世代の先生方がご退職になるので、昨年すでに退職されてご事情により今年になった1名の方を加えて10名の先生方が2日にわたって最終講義を行われました。

中でも加齢医学研究所の仲村春和先生は、私にとっては発生生物学の研究分野で大学院生の頃から存じ上げていたので、仙台に異動するのに仲村先生がすでに東北大学にいらしたことは、大きな心の支えでした。
仲村先生は沖縄がまだ返還前の頃、国費留学生として、里見現総長とともに日本の大学に進学された方です。
京都大学、京都府立医科大学、広島大学を経て同府立大学教授になられた後に、平成6年から東北大学に着任されました。
平成13年からは生命科学研究科の設立に際して、本籍はそちらに移られましたが、研究室は同じ加齢研の中に残されました。

仲村先生の最終講義では、御留学先であったパリ郊外の研究所のニワトリ胚のモザイク画など、私もニコル・ルドワラン先生を訪ねて伺ったことがあって、とても懐かしく思いました。
仲村先生は、ル・ルドワラン先生の元で「一寸法師の刀」を用いたニワトリとウズラの「キメラ」技術を習得されたのですが、中脳の発生に関すし為された一連の実験発生学的ご研究は、まさに真骨頂といえるものでした。
とくに、「電気穿孔法」を用いてニワトリ胚での遺伝子操作法を確立されたのは約15年ほど前のことですが、この技術は現在、世界中で使われており、分子レベルの神経発生学を大いに進展させた仲村先生のご功績は非常に大きいと言えます。
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最終講義の最後に、学生さん等からの花束贈呈があるのですが、学内の発生生物学のインターラボミーティングでご一緒しているという関係から、うちの大学院生が栄誉ある花束贈呈係を務めさせて頂きました。
彼女にとっても思い出深いものであったことと思います。

2日間の最終講義シリーズの後、艮陵同窓会の主催により退職記念式と懇親会が開催されました。
こちらには、仲村先生の奥様もご列席になり、同門からのお祝いのスピーチとして舟橋淳一先生から心のこもった暖かいお話が披露されました。
とくに、この後3月7日に開催予定の東北大学脳センター主催シンポジウム「発生・発達・機能」に、余裕を見込んで多数の先生方にご講演をお願いしたところ、ほとんどお断りになった方がおられれず、オーガナイザーとしては嬉しい悲鳴で、やむなくお一人ずつの持ち時間が20分程度になってしまったことなどは、仲村先生のご人徳だと本当に感じ入りました。
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仲村先生は4月からは、すでに6年ほど務められている日本発生生物学会の国際誌Development Growth & Differentiationの編集主幹として、加齢研の中にオフィスを構えられるとのことです。
これまで、発生生物学が実験発生学であった時代から分子生物学が主流になる間、いくつかのブレイク・スルーをしながら、とてもワクワクする時代を過ごさせて頂きました。これからは、DGD編集長として、ブレイク・スルーを見届けたいと思います。(最終講義の言葉より)


【参考リンク】
もっと画像
Nicol Le Douarin著(仲村春和、勝部憲一訳):キメラ・クローン・遺伝子―生命の発生・進化をめぐる研究の歴史
最終講義の動画(追って掲載されたらリンクします)
by osumi1128 | 2013-02-16 12:19 | 東北大学 | Comments(0)

坂野先生国際シンポジウム:リンダ・バック先生

2月11日と12日に、東大の坂野仁先生主催の国際シンポジウムに呼ばれてトークをしてきたのですが、是非このブログで取り上げたいことが3つあります。
1つ目は、リンダ・バック先生とお話できたこと。
2つ目は、会場だった伊藤謝恩ホールという会場のこと。
3つ目は、大きなテーマであった先端的な脳神経科学研究のこと。
本日はリンダ・バックLinda Buck先生についてです。

バック先生は、1991年に嗅覚受容体の発見をCell誌に報告し、2004年に上司であったリチャード・アクセルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞されています。
女性のノーベル生理学・医学賞としては7人目の受賞(これまでに10名)、神経系としては、先日お亡くなりになったRita Levi-Montalciniに次ぐ2人目の受賞者です。

受賞されたのが57歳のときなので、その後もたくさんのところで基調講演をされておられ、何度も聴いたことがありましたが、今回は自分もスピーカーの一人に入れて頂いたということもあって、より親しい子持ちでお話を伺いました。
免疫系の研究から神経系にシフトされた方は多数おられますが、複雑なシステムの中にシンプルで美しい原理原則を追い求めるという方向性が共通しているように思います。
最初に複雑な脳をそのままに受け入れた人の方が、「複雑なんだよね」で済ませてしまうところがあるからかもしれません。

会場の前の方、座長や演者に近い位置に座られて、自分が興味を持たれたトークには、右手を大きく挙げてすぐに質問される姿がとても印象的でした。
(その様子を写真に撮りたかったのですが、iPhoneを向けたときには、すでにマイクを持たれていて……画像は、坂野先生の御発表に質問されているところです)
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シンポジウム後のスピーカーズ・ディナーの席をご一緒させて頂いたのですが、新幹線の都合もあって帰り際にご挨拶をしたときに「女性研究者として頑張ってね!」とエールを頂くことができました。
男女関係なく研究に邁進されてこられたと思っていたのですが、私よりも10歳以上上の女性研究者としては、それなりにいろいろご苦労もあったのかもしれないなと感じました。

直接お目にかかることができないままにレーヴィ=モンタルチー二先生がお亡くなりになったのはとても残念でしたが、バック先生はまだまだお元気でご研究も発展されていらっしゃるので、これからもお目にかかってエネルギーを頂きたいと思っています。
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by osumi1128 | 2013-02-13 14:55 | ロールモデル | Comments(0)

画像検索エンジンはすごい!

今から10年ほど前、知人が新しいラボを立ち上げたお祝いに、絵を贈ろうと思ったのですが、はてさて、作家さんの名前が出てこない……。
例えば「カトラン」という名前を知っていれば、Google画像検索の窓にテキストをタイプするだけで、たくさんの画像が挙がってきます。
ですが、画風はしっかり頭の中に再現できているのだけど、えっと、たしか、女流で英国の方だったなぁ、モチーフはほわっとした動物などが多くて……という情報では当時、画像そのものを検索することができませんでした。
(そのこと自体は今でも同じです。当時、私は必死にこれだけの情報から自分の目と記憶を頼りに、目的とする女流画家に辿り着いたのでした……)

音楽の世界であれば、覚えているメロディーを歌って、それを音階に直して、検索をかけることができるそうなのですが(試したことはありませんが、十分できそうだなとは思います)、画像の検索の場合には、頭の中に描かれているものを表現すること自体が困難なので、ちょっとまだしばらくは同じようにはいかないだろうと思うのですが、少なくとも、「似た画像検索」は可能な時代になりました。
いろいろなソフトもありますが、検索の本家本元のGoogleさんでも、似た画像を検索するエンジンが開発されています。
例えばこちらの説明を御覧ください。

なので、例えば、何かのWeb上の情報の中にあった絵に出典などが明記されていなかったとしても、その画像をキャプチャーして「類似画像検索」にかければ、出典がわかるサイトに行き着くことが可能という訳です。

ちなみに、この技術自体は種々の目的に応用可能です。
例えば、最近では、投稿された論文において不正が無いかどうかのチェックを、雑誌の編集部がデフォルトで行なっているそうです。
同じ著者の使った画像であっても、もし「引用」でなければ、これは捏造の対象となりますので、編集部から著者に連絡が入ることになっています。
この事実は、日本の学会が出している英文国際誌の場合でも、例えば大御所のNature Publishing Groupの場合も同様と聞きました。

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by osumi1128 | 2013-02-10 11:07 | 雑感 | Comments(0)

杜の都ジャンプアップ事業 for 2013シンポジウム(2/28)

今年は日本に初めての女子大学生が誕生して百周年です。
旧帝国大学として初めて女性を受け入れた東北大学では、記念事業を展開します。

今年最初のイベントとして、2月28日に東北大学女性研究者育成推進加速プログラム「杜の都ジャンプアップ事業 for 2013」のシンポジウムが開催されます。
ポスターデザインにもなっているロゴマークは、女性のリーダー育成をコンセプトとしており、ドラクロワからイメージを得てデザインされました。
医工学研究科のSさんの素敵なデザインですね。
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by osumi1128 | 2013-02-07 16:21 | お知らせ | Comments(0)

対話型イベント『一人ひとりのゲノムと研究~東北メディカル・メガバンク事業が拓く新しい医療と倫理~』

お知らせが遅くなってしまいました!
明日の夕方、仙台市民会館で開催される対話型イベント『一人ひとりのゲノムと研究~東北メディカル・メガバンク事業が拓く新しい医療と倫理~』のお知らせです。
ゲノム・コホート研究の進め方、生命倫理の問題など、コホートの中心となる栗山先生、広報担当の長神さん、倫理担当の戸田さんが市民の皆様と意見交換します。
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by osumi1128 | 2013-02-05 23:03 | お知らせ | Comments(0)

チキンスープあるいは、アク取りは楽しい

チキンスープを作るにはいろいろな方法がある。
いちばんいいのは、本職のシェフに頼むことだ。
そうすると、阿波鶏のガラだとか、深谷ネギだとか、高知の生姜だとか、田子町のニンニクだとか、いろいろと材料から選定し、鍋は寸胴で、煮込んで一晩置いて……などと時間がかかる。
よって、ここでは簡便な骨付き鶏肉を煮込んで作るやり方をご紹介。

合わせて1kg程度の手羽先と手羽元(各5本ずつくらい)をよく洗ってから、薄切りにした生姜と長ネギと一緒に大きな鍋に放り込む。
大雑把に、生姜は5 mm程度の厚み、長ネギは10cm程度の長さでよい。
水は骨付き鶏肉が沈んでさらにその上に水の層が十分にある程度。
これは鍋の大きさや形状によるのであるが、うちは5.5リットルの鍋だったので、おそらく3リットル程度であろう。

我が家は今、オール電化になってしまったので、鍋の中が沸騰するのにえらく時間がかかり、その間に本が読めてしまいそうな気になるが、そういうリスクは避けた方がよい。
本日は、その後、鶏肉とともに煮卵を作る計画なので、茹で卵を作る準備などをしておく。

さて、鍋からフツフツと音がしてきて蓋を取ってみると、すでに白いアクが出始めているではないか!
おお!
ここからがアク取り合戦の開始である。

鍋の火力は、表面がいい塩梅に踊るような程度に調整しておき、アク取り用の細かい網の目の漉し器で掬ってはボールなどにはった水に付けてアクを除く。
このアク取りができるだけの水量が最初に必要ということだ。
掬っては水につけ、掬っては水につけ……を気が遠くなるくらい延々に繰り返すのだが、これが案外(アマチュア料理家には)楽しい。
「美味しいスープになーれ、美味しいスープになーれ♫」と念じながら、ひたすらアク取りに没頭する。
ウェットな実験家にとっては、こういう単純作業が苦にならないのは、実験している間にマルチタスクでいろいろと思考できるからかもしれない。
ちなみに、数学科のK先生は(拙ブログの昔からの読者であればご存知かもしれないが)思索にふけるときには鍋のことはアタマから除かれるので「鍋を焦がす派」である。

アクは煮込む材料によって色も違うのだが、鶏肉の場合は比較的白い。
最初に上がってくるアクは一見、卵白を泡立てたものに見えなくもない。

そもそもアクの成分は何かというのが昔から疑問だったので、Wiki先生にお伺いしてみた。
灰汁(あく)とは、食品に含まれる、渋み・苦み・不快な臭いなどの元となる、食事には不要な成分の総称。
灰汁は多様な物質や現象の総称である。硝酸、シュウ酸、ホモゲンチジン酸などの有機酸や、アルカロイド物質、タンニンなどのポリフェノール類、肉の血や浸出液に含まれるタンパク質、遊離アミノ酸などが灰汁の成分であると考えられている。特に動物質の食品と植物質の食品の灰汁の質の差は大きい。(引用)


圧力釜で煮るとアクが出ないのだが、本当にそれで良いのか、いつも気になっている。
本来であれば、アクというのは取り除くべきものであって、それが残っていて良いのだろうか?
なので、地味なアク取り作業に没頭する。
あぁ、アク取りをしていると、良い事をしているという気になって幸せだ。
断舎離しているのと似た気持ちかもしれない。

不思議なことに、いや、不思議ではないのだが、30分も加熱していると、アクの性状が変化し、あまり盛り上がらなくなり、そのうちだんだんアクが出なくなる。
最初は、掬っても掬ってもアクが浮いてきて防戦に回っているのが、だんだんにこちらが優勢になってくるのだ。
敵の勢いが弱くなって余裕が出た時点で、煮玉子用の茹で卵の殻を剥いたりしてしてさらに加熱。

アク取り合戦をすること約40分程度で、敵はそろそろ降参だ。
そこで、鶏のスープを濾し取る。
実は、ろ過するのにキッチンの三角コーナーの水切りネットが優秀だという話なのだが、それはまだ試していない。
ザルにキッチンペーパーを置いてスープを濾す。
あまり細かいゴミも無いので、家庭用スープなら必要ない作業かもと、いつも思うのだが、習慣として濾してしまう……。

という訳で、後は適当な量の塩を入れたら、それだけでも美味しいチキンスープの出来上がり!
Bon apetite!

(以上、チャペックの『園芸家12ヶ月』風のタッチを狙ってみましたww)

【追記】
鍋を焦がす派の方の主張については、河北新報に連載して頂いていた往復書簡をご参照あれ。
ところで実はIHヒーターには自動タイマーが付いていて、加熱60分でピピっと警告音が鳴るので「鍋を焦がす派」の方でも大丈夫♫
(その間に焦げてしまった場合には役に立ちませんが……)
煮た後の鶏肉は茹で卵とともに再度、お醤油味(小泉先生風で言うところの「甘じょっぱい」味)でシャトルシェフの鍋で煮てスロークッキング。
ガラだけでスープを取るよりも、二度お得な感じがしますww
by osumi1128 | 2013-02-02 13:36 | 味わう | Comments(0)

性差医療学会

本日から第6回日本性差医学・医療学会が仙台で開催されます。
東北大学医学系研究科の下川宏明先生が現在理事長を務められているこの学会は、2004年に作られた「性差医療・性差医学研究会」が2008年に学会となったものです。
昨年、日本医師会医学賞を受賞された下川先生は循環器内科がご専門ですが、性差医療まで芸風がお広いことを知りました。
たしかに、循環器疾患の発症には男女差がありますね。

昨日、会長招宴の会には医療関係者・医学研究者だけでなく、顧問を務められておられる元千葉県知事の堂本暁子先生や理事のお一人として原ひろ子先生も参加されておられ、性差医療を医学の立場だけでなく、もっと社会的な観点から捉えようとしていることを知りました。
下川先生自らが主催される今年の学会のテーマは「男女共生と性差医学・医療」となっています。
私は土曜日に座長を務めさせて頂きます。
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by osumi1128 | 2013-02-01 08:18 | お知らせ | Comments(0)