<   2013年 04月 ( 6 )   > この月の画像一覧

もういちどプライス・コレクションを観に市博へ

今年のGWは前半、後半に分かれていましたが、前半最後の本日、もういちど若冲(その他)に会いに仙台市博物館に行ってきました。
入れ替えがあると聞いていたこともあり、前回、内覧会で駆け足で観たものと違う作品を観ることができて何より。

撮影禁止で展示品の画像は撮っていませんので、雰囲気は下記、フクヘンさんのブログをご参照あれ。
「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―」仙台市博物館

今回の気に入った作品の感想を備忘録として。
子ども向きのタイトルも付けられているのは「子どもたちに観てほしい」と願ったプライスご夫妻の意向が叶ったものです。

【27満開の梅の花/紅白梅図屏風】
作者不詳のこの六曲一双の大きな屏風図は、一面が紅梅白梅で埋め尽くされ、ところどころに短冊が描かれているのですが、梅の花の描かれ方は近くで観るととても3Dなのです。
モニタや印刷した写真では、そうういうところまではわかりません。
この絵を前にしながら宴会をしたら楽しそう、と思いました。

【34秋の草花/秋草図】
表装にも草花が描かれた「描表装」になっている鈴木守一のお軸です。
秋草と虫が配されているのですが、空間の取り方が絶妙。
そういえば、表装というのは、素材やスタイルを含めて日本で過剰ともいえるくらいに発達した訳ですが、現代では「プリクラ」にその名残があるという指摘は、思わず膝を打つものでした。

【78オニの〈しゅてんどうじ〉を退治するものがたり/酒呑童子図屏風】
こちらも六曲一双の屏風図で作者は不肖。
物語のシーンがいくつか描かれて、時間の推移が1枚の絵の構図の中に描かれているというのは、日本ならではのスタイルです。
ものすごく贅沢に金泥が使われており、その部分も3Dに塗り込められているのが素晴らしい。
退治されてしまう鬼の描かれ方の軽味が面白いです。

【92花や鳥、人や魚/課長人物図屏風】
若冲の筆による六曲一双の水墨屏風。
観た瞬間に「ピカソみたい!」と感じました。
とても洒脱な画風は天才だなぁと思います。
内覧会のときには、ちょうどこちらの代わりに「ツルさまざま/鶴図屏風」の六曲一双があり、同じような印象でした。

【20クリの木であそぶ手長ザル/栗樹猿猴図屏風】
二曲一隻の水墨画で作者は不肖。
こういうものをコレクションするプライスさんが素敵です。
こちらも空間の扱いがすっきりとしていて、ユーモラスな猿の顔や必要以上に長い手の雰囲気と絶妙のバランス。
たいへん不肖なことに、この手長ザルを見て連想したのは「殺せんせー」でした(苦笑)。

【100花も木も動物もみんな生きている/鳥獣花木図屏風】
若冲がもっとも有名になった六曲一双の屏風図です。
いわゆる「描目桝」というモザイクのような描き方なのですが、その桝の数は八万六千もあるとのこと。
私は、この気の遠くなるような作業を黙々とやり遂げた若冲のエネルギーを分けてもらいたいと思って、再度足を運んだようなものです。
釈迦涅槃図にたくさんの動物が集まって来るものがありますが、プライスさんは何よりもこの図を東北地方の皆さんに見て欲しいと願ったのでした。


図録の冒頭にプライスさんご夫妻および監修を務められた辻惟雄先生のインタビュー記事が掲載されており、今回のプライス・コレクションの東北三都市巡回展が企画された経緯が書かれています。
2011年の3月11日、TV Japanで地震と津波の報道を見て、自分たちも何かをしたいと思っていた頃、瓦礫の風景の中に美しい梅の花がテレビの画面に出てきたことがきっかけと悦子・プライスさんは語ります。
たんにお金を募金するのではなく、「美術品を東北に持っていきたい。とくに若冲の〈鳥獣花木図屏風〉を持って行きたい」とジョー・プライスさんに伝えて、それをすぐさま実行しようと思ったのでした。

相談された先が辻惟雄先生
これまでもプライス・コレクションの監修を務めておられた日本美術の専門家で、MIHO MUSEUMの館長、実は、東北大学にもお勤めになった方です。
また、日本経済新聞社の伊藤圭子さんも展覧会の実施に大きな力となられました。
ジョーさんにとっては、震災後に東北地方の方々が「食べ物もない、薬もないようなときに、よく暴動」を起こさずに株を上げたということも、もう一度、コレクションを里帰りさせても良いと思った理由の一つでした。

以下、悦子さんの言葉を引用します。
色と力強さ。こんな状態でも花が咲くのだという、それにすごく感動したわけです。東北の人も同じような色彩を見られたら同じような気持ちになれるのではないかというのがまずはじめで、もしすべては無理でも〈鳥獣花木図屏風〉だけでも持って帰ろうと思ったのです。というのは、私は震災後、もう心のよりどころがなくて、あの屏風を観ると、なにかお祈りができるような感じがしました。本当に不思議な屏風です。だから東北の人にあの一点だけでも見せてあげたいと思った。

「被災地というのは、いまだに〈色〉が無いのです」というのは、まさに、行きつけのギャラリーの方からも伺った言葉でした。
2年目の春を迎えて、震災復興はいよいよこれからが本番なのだと思います。

d0028322_21142191.jpgちなみに、本当は入場料すべて無料にしたかったそうなのですが、とりあえず「19歳未満が無料」です。
また、東北大学など指定の学校の教職員・学生の方は、市博や県美など、入場料(特別展も含め)半額ですよ!


ちなみに、市博の常設展が、いつ新しくなったのかうっかりしていました。
展示自体がリニューアルされてモダンになったこともさることながら、説明も日英中韓で書かれているので、これだったら外国人ゲストを絶対に連れて行きます!

【リンクまとめ】
展覧会公式サイト
仙台市博物館
フクヘンさんの関連ブログ
※内覧会のときの画像をアップしていなかったので、後で挙げます。
by osumi1128 | 2013-04-29 21:18 | アート | Comments(0)

仙台生まれの高知エリカさんが2013年のTIME 100に

d0028322_18402047.jpgTIME誌は毎年4月にThe 100 Most Influential People in the Worldを発表します。
2011年は東北大学大学院医学系研究科の菅野武さんが、震災後に公立志津川病院での被災患者対応により選ばれましたが、今年は日本人としてユニクロの柳井正会長に加えて、もう一人日本人がいました。
それが、高知エリカさん。
仙台市の生まれです。
ユニセフの同僚のChristopher Fabianと共に、開発途上国でのマラリヤによる被害を防ぐために「蚊帳」を配布するというプロジェクトを展開している方です。

このプロジェクトのことはずいぶん前に聞いたのですが、継続されていてしかも栄えあるTIME 100に選ばれたのは素晴らしい!

TIMEの記事はこちら
ユニセフのマラリア対策のページ
※画像はTIMEのwebページから拝借しています。
by osumi1128 | 2013-04-27 18:42 | ロールモデル | Comments(0)

第29回日本国際賞授賞式

第29回日本国際賞授賞式に、分野検討委員会委員として出席しました。
今年は受賞対象分野の工学系の「物質、材料、精算」において、「半導体製造に革新的なプロセスをもたらした科学増幅レジスト高分子材料の開発」に対して、グラント・ウィルソン博士と、ジャン・フレシィエ博士が、生命系の「生物生産、生命環境」において「深海生物の生態と多様性の研究を通じた海洋環境保全への貢献」に対して、ジョン・フレデリック・グラッスル博士が受賞されました。

授賞式は例年通り国立劇場で行われましたが、今年は、受賞者のグラッスル博士の来日が叶わなかったために、家族ぐるみで親しいポール・スネルグローブ博士が代理で受賞記念の品々を受け取られたということになりました。
皇后陛下のご臨席が賜れなかったことが何より残念です……。
両陛下の睦まじいお姿を間近に拝見するとエネルギーを頂けるので。

ともあれ、 お天気も悪化せずに無事に行われたことは何よりでした。
d0028322_20231463.jpg

財団HPの画像より、受賞者の方々とその審査にあたられた先生方。

【関連リンク】
財団HPより:Japan Prize WEEK PHOTOS - 2013年 (第29回)
by osumi1128 | 2013-04-25 00:25 | サイエンス | Comments(0)

みんなでつくる健康な宮城:東北メディカル・メガバンク事業キックオフ・シンポジウム開催

本日はまさかの雪でびっくりしました。
4月も半ば過ぎというのに、どなたかが「桜吹雪ではなくて、<桜と吹雪>だと言ってました。

昨日の東北メディカル・メガバンク(ToMMo)事業キックオフ・シンポジウムが悪天候でなくて何よりでした。
300名ほどの参加者に恵まれたものと思います。
d0028322_22314746.jpg

(ちょうどこの時期満開の仙台の桜をイメージしたようなチラシデザインは、ToMMo広報部門のMKさんです)

最初に東北大学里見進総長が、東北大学を挙げて本事業を展開する旨、開会のご挨拶をされました。
ご来賓のご挨拶として、宮城県村井知事の代理で岡部敦保健福祉部長、ともに事業を進めるいわて東北メディカル・メガバンク機構の機構長である祖父江憲治先生(岩手医科大学副学長)、文部科学省大臣官房総括審議官田中敏様からご祝辞を頂きました。
田中審議官は、311震災後ただちに立ちあげられた対策本部に詰めておられたというエピソードをお話になり、この東北メディカル・メガバンク事業が震災復興の原動力の一つになってほしいという希望を述べられました。

その後、コホート事業の中心となる辻一郎先生、ゲノム解析の中心となる布施昇男先生から、本事業の目指すところや進捗状況が報告されました。
「コホート」という言葉は、古くはローマ時代までさかのぼります。
数百名規模の歩兵軍団が、戦争後にどうなったのかを調査する、という意味から、疫学研究において主に追跡調査およびその相関性分析研究のことを「コホート研究」と言い習わしています。
東北メディカル・メガバンク事業では、3つの疫学研究として、地域住民コホート、三世代コホート、そして長期子ども健康調査を展開することになっています。

ついで、日本ですでにナショナルセンター・バイオバンクネットワークの中心となっておられる中釜斉先生(国立がん研究センター研究所長)、オーダーメイド医療実現化プロジェクトとしてバイオバンク・ジャパンを展開されている久保充明先生(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター 副センター長)から、ToMMo事業との「連携」について発信して頂きました。
震災後2年を経てようやくこの事業がキックオフを迎えたことの意味は非常に大きいと思います。
他の事業と良い連携や協力を図って進めていってほしいと思います。

さらに、招待講演として法律の専門家である辰井聡子先生(立教大学教授)のお話は市民の方々の心を掴んだのではないかと思われます。
辰井先生は、新たな事業を展開する際には、法律が無いからといって活動を制限するのではなく、「実践」しながら法律化していくことが民主主義の世の中として必要であり、その「実践」には、事業に参画する市民も含まれるということを説かれました。
市民が参画する「正義への企て(project)」という言葉は、強く自分の心を揺さぶられました。
おそらく、この事業や、その他にも自分が関わる事柄において、辰井先生から伺ったこの言葉に折々に立ち戻ることが必要と感じました。
d0028322_22291052.jpg

d0028322_22292387.jpg

シンポジウムは、休憩後にパネル・ディスカッションとなり、事業のTVCM等にもご出演頂いたアナウンサーの岩手佳代子さんをコーディネータとして、聴衆からの質問紙から選ばれたいくつかの質問への回答から、ToMMoをより理解して頂くための説明が為されました。
d0028322_22472173.jpg

「コホートってなに?」「ゲノムって怖くないの?」など、これから事業を展開する上でたくさんの質問やコメントを頂くことになると思いますが、ToMMoは一言で言えば「東北地方のこれからの健康をみんなでつくる<企て>」なのです。
今後の展開に、どうぞ、ご支援よろしくお願いいたします。

【参考リンク】
東北大学東北メディカル・メガバンク機構HP
いわて東北メディカル・メガバンク機構HP
文部科学省東北メディカル・メガバンク計画検討会
東北メディカル・メガバンク計画検討会提言
トムソン・ロイター記事:医療復興への道!未来型の地域医療体制の確立
by osumi1128 | 2013-04-21 22:49 | 東北大学 | Comments(0)

元ポスドクさんの論文発表:心の病発症しやすさの臨界期

元ポスドクのNannan Guoさんの論文が北米神経科学学会のオフィシャル・ジャーナルJ Neurosciに発表されました。

A Sensitive Period for GABAergic Interneurons in the Dentate Gyrus in Modulating Sensorimotor Gating
Nannan Guo1, Kaichi Yoshizaki1, Ryuichi Kimura1, Fumikazu Suto1,2, Yuchio Yanagawa3, and Noriko Osumi1


本件は研究科からプレスリリースを行いました。
精神疾患発症脆弱性の臨界期を示唆 -早期の環境的介入が精神疾患の発症を予防する可能性-
d0028322_7362385.jpg


昨日、朝のNHKニュースで全国版、宮城版とも流れたために、小学校の恩師の先生から朝5時代にお電話が……(苦笑)。
有難いことです。
統合失調症「思春期までに対処」の研究成果(動画付き)
d0028322_7194895.jpg


産経ネットニュースでも取り上げて頂きました(記事としてはこちらが読みやすいかも)。
心の病、思春期までの環境が影響 東北大がマウスで証明

河北新報の4月13日付25面、科学新聞の4月19日付け一面トップに記事掲載して頂きました。
河北新報webニュース:統合失調症の発症「臨界期」 東北大がマウス実験で解明

※個別の臨床的案件についてのお問い合わせには対応できません。
by osumi1128 | 2013-04-13 07:24 | サイエンス | Comments(0)

東北大学女子学生入学百周年記念ロゴマーク制定!【追記】

お待たせしました!
解禁です。
d0028322_0171099.jpg

 本ロゴマークでは、試験管を持った女性が理学部化学科に入学した2名(黒田チカ、丹下ウメ)を象徴します。また、七曜紋は数学の空間充填問題にあたることから同数学科に入学した1名(牧田らく)を表すとともに、本学のシンボルでもある北斗七星 (北の空に輝き、人々を導く星)も意味します。メインカラーの紅は、天然色素の研究をしていた黒田が博士号を取得した折に「紅(くれない)の博士」と呼ばれたことに因みます。(東北大学HPより)

●デザインは佐藤洋子さんに作製して頂きました。
●本ロゴマークは東北大学によって正式に制定され、HPにお知らせが載りました。
東北大学女子学生入学百周年 記念ロゴマーク制定のお知らせ
●河北新報さんに取り上げて頂きました。
東北大、女性入学100周年ロゴ 試験管や七曜紋象徴
●今後、商標登録され、関連グッズも販売される予定とのことです。
by osumi1128 | 2013-04-03 00:21 | 東北大学 | Comments(0)