<   2014年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧

第37回日本分子生物学会年会@パシフィコ横浜私的ハイライト

小安年会長の主催により、火曜日から3日の会期で第37回日本分子生物学会年会がパシフィコ横浜にて開催されました。最終的な参加者数は7600名ほどになるとのことです。以下、私的メモとして残しておきます。サイエンスの中身そのものは差し控えたいと思うので、どうしても科学コミュニケーションに関することが中心となります。
d0028322_21330212.jpg
初日の夜のセッション90分の枠で、学会主催研究倫理フォーラムを行いました(注:年会には、小安年会長が主催されるセッションと、「学会本体」が主催するセッションがあるのです)。昨年12月の研究倫理セッションは午前午後2コマX3日間というマラソン・セッションでしたが、今年は会期が3日になり、さらに小安先生のご方針である「サイエンスへの回帰」に抵触しないように、シンポジウム、ワークショップ、ポスター討論の時間帯を避ける必要があったために、1回のみの開催でした。篠原理事により、今期の学会の研究倫理への取り組みの振り返りを行い、その後、文科省研究不正ガイドライン策定に関わった中村征樹さん@大阪大学によるガイドラインのポイント説明の後にフリー・ディスカッションとなりました。その内容については後日、全文公開される予定です。
d0028322_21512003.jpg
キャリアパス委員会は2つのセッションを企画しました。今期、理事長を仰せつかった際に、男女共同参画委員会を発展的に若手キャリアパス委員会に改変し、男女を問わず研究人材のキャリアパスを支援したいと思いました。今回の企画のうちの1つ、2日目のものは「博士の多様なキャリアパスを切り開く」というランチョンセミナーでした。講演は「博士号は民間起業でも有用か?〜大学のキャリア支援を活用したPhDからの報告〜」および「博士が社会で多彩に活躍!〜大学で博士人材のキャリア支援をしてきた立場から〜」という2題。その後、携帯からの入力システムも利用してパネル討論が為されました。大学によっては、博士号取得者向けのキャリアパス支援室のような組織が設置されていないところもあるので、今後、学会などが中心となってネットワーキングしていくことが必要であると思いました。
d0028322_21540547.jpg
2日目は夕方に総会があり、通常通り、事業報告、会計報告と予算承認等の後、キャラクター・デザインの発表、さらに、会則の改正について承認されました。中でも新しい会員制度を創設したことについて記しておきたいと思います。一つは「シニア会員」であり、こちらは研究の現役を退かれた方に、学生会員と同額の会費、年会参加は無料という特典です。今後、団塊の世代の先生方が退職されていきますが、ぜひ、年会にはご参加頂いてディスカッションに参加して頂けたらと思っています。もう一つは「次世代教育会員」というもので、これは生物学の教諭のような立場の方を想定しています。会費は一般会員と同額ですが、年会の参加費は無料です。日本分子生物学会としては、ぜひ、初等中等教育に携わる先生方にも、最先端の研究現場の様子を見て頂きたいと思います。詳細は追ってHPに掲載予定です。また、今年の年会の小安年会長、来年の年会長である影山龍一郎先生@京大のご挨拶、さらに、先日理事会において互選により選出された題19期の理事長、荒木先生@遺伝研のご挨拶で幕を閉じました。
d0028322_21563006.jpg
総会後に、富澤基金による助成金の贈呈式が行われました。富澤先生には今年もご出席賜り、「科学がアートと同様に文化として定着して欲しい」などのお言葉を頂きました。
d0028322_22032832.jpg
キャリアパス委員会主催のもう一つは、3日目のランチョン時、大ホール1000人の会場が満杯になる企画でした。ジャーナリストの池上彰さんをお招きしてコーディネータ役を務めて頂いて、日本の生命科学研究の問題点についてパネリストの意見を聞くというものでした。池上さんの興味によりSTAP細胞問題も含まれていましたが、ハイライトは不正の責任を誰が取るべきなのか、ということについて、普通の企業と研究組織の違いのあたりだったでしょうか。途中メモしていたものはこちらをご参照下さい。

さらにこの日は夕方に、高校生による研究発表が展示会場のミニ・セミナー会場にて行われました。篠原理事の継続的かつ献身的な努力によって続けられている活動です。今年は会期が定期試験とバッティングしているなどあり、参加校は少なめでしたが、母校からもポスター発表が為されていました。60期の皆さんと、23期のわたし……ww
d0028322_22275501.jpg
一番最後のセッションは、市民公開講座としての学会企画でした。
分生会員でもあり、切り絵作家としても世界的に知られる岩崎秀雄さんにコーディネータをお願いし、会期中もバイオメディア・アートとサイエンス・イラストレーションの展示を行っていましたが、最終日の夜にトークセッションが行われました。新幹線の最終に間に合わせるために最後まで聴けなかったのが残念。途中までですが、「#分生サイアート」というハッシュタグ付きでTwitter配信しておきました。
d0028322_22384866.jpg
最後に、一つだけ、サイエンス面では、最新情報関係も収穫ありでしたが、一番良かったのは、共同研究者とリアルに会ってディスカッションできたことですね。
d0028322_22432532.jpg
来年は生化学会との合同年会BMB2015@神戸です。最近、ポスターがアート系が続いています♬
d0028322_22454543.jpg

by osumi1128 | 2014-11-29 22:09 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

SfN2014出張(その3);フォト・ギャラリー

思い出の画像をアップしておきます。
d0028322_10242279.jpg
今回泊まったホテルは会場近く。コンベンション・センターが良く見えました。
d0028322_10243171.jpg
数泊するときにまず先にするのはお部屋のカスタマイズ。今回のテーマカラーはオレンジだったのですが、フロリダ大学の加齢研究所で頂いたグッズ(マグカップ・握るボール)もオレンジでした♬
d0028322_10243785.jpg
毎度まいどなのですが、コンベンション・センターのスタバには、いつも長い列ができます……。
d0028322_10252499.jpg
今回の会長Current Presidentはコロンビア大学のCarol Mason先生。これは何かの賞の授賞式のもの。ツーショット撮りそこねたのが残念……。
d0028322_10250507.jpg
学会にはアート・ショップも出店しています。思わずフレーム1つお買い上げ……(苦笑)。ラボを引っ越したら架けるつもりですのでお披露目は後で。
d0028322_10253392.jpg
こちらは、Presidential Lectureを行ったNey York UniversityのGord Fishellが、講演後に皆から祝福を受けているところ。2012年の洪水でマウス施設が浸水して大変な状態だったところから回復したということは、トークの一番最後に触れていました。神経発生の研究から精神疾患発症に関する介在ニューロンの役割に繋がっていったのは、私自身が歩んできた方向と重なるところがあって、とても嬉しい気持ちで聴きました。
d0028322_10255189.jpg
学会はreunionの場でもあります。元ラボメンバーだったNannan Guoさん、学生のTさんとともに。
d0028322_10261997.jpg
学会そのものの画像撮影は禁止なので、どうしても他のアクティビティの画像が多いですね……。こちらは顕微鏡メーカーCarl ZeissさんのイベントがNational Portrait Galleryで開催され、助教のSさんと学生Tさんと参加したときのもの。
d0028322_10270418.jpg
Facebookの方でも先に上げていましたが、青色発光ダイオード満載なのは、Zeissさんのテーマカラーが青だから。
d0028322_10471161.jpg
マカロンの色も……ww
d0028322_10273170.jpg
Presidential Receptionの一コマ。伊佐先生の奥様が高校の1年先輩だった……。岡野先生の奥様は後輩。
d0028322_10344289.jpg
学生Tさんの発表は最終日の朝8時から。Nano-symposiumの演者に選ばれて何より。
d0028322_10302692.jpg
NIHで研究を行っている女性たちとの夕食会(通称DC女子会)@トルコ料理のお店。皆さん、それぞれの人生を楽しんで下さいね!
d0028322_10360201.png
……それにしても、東海岸はこの冬一番の寒さが襲ってきたタイミングでした。もう少し滞在していたら暖かくなったのかも。次はSfNのGlobal Membership Committeeがまた3月にあるので戻って来ます♬

by osumi1128 | 2014-11-23 10:54 | 旅の思い出 | Comments(0)

SfN2014出張(その2);Non-profit organizationの存在感

毎年、土曜日から翌週の水曜日まで開催される北米神経科学大会SfNに参加しました。参加者が3万人を超える大きな大会なので、開催地が限られていて、昨年はサン・ディエゴ、今年がワシントンDC、来年はシカゴと、だいたいこの3ヵ所を回ります。そういう意味では、面白そうな土地に行くという楽しみはまったく無く、ひたすらサイエンス面でのメリットを追求することが目的です。このあたり、参加者6000人くらいの欧州神経科学連合(FENS)の2年おきの大会はヨーロッパ各地を周り、一昨年はバルセロナ、今年はミラノ、再来年はコペンハーゲンという楽しみが加わります。
d0028322_23241700.jpg
参加者3万人の学会というのは、いろいろな意味でスケールメリットがあります。例えば、機器展示の充実度は素晴らしくて、関係する企業がこぞって立派なブース展示を行い、多数の社員を派遣して営業活動を行います。また、SfNはとくにキャリア・ディベロップメントのためのセミナーを充実させていて、毎日何らかのセミナーが開催されていますし、今年はさらに、多数の脳科学教育コースの展示がHall Eで為されていました。もちろん、何も宣伝しなくても学生が集まる有名どころの大学院は別ですが、優秀な学生さんを集めたいという大学院がブースを出して、パンフレットを置いたり、直接、訪れた志望者の質問に答えたりしていました。ちなみに、日本の大学院で出展していたのは沖縄科学技術大学院大学(OIST)だけでした。今後、日本の大学院がグローバル化を図るのであれば、こういうところにも打って出ないといけないのですが、いかんせん、日本の大学院は奨学金が充実していないので、見劣りがしますね。今年、東北大学も「スーパーグローバル大学(SGU)」に選定されましたが、その資金はインフラ整備用なので、直接学生さんの支援には使えません。かつてのグローバルCOEでは、リサーチ・アシスタント(RA)経費として大学院生の経済的支援も行っていたのですが、事業仕分けのあおりを食って、このプログラムは続きませんでした(注:「リーディング大学院」という後継プログラムもあるのですが、こちらは研究者育成より産業界との連携を重視しているように思います)。

スケール・メリットに加えて、SfNのannual meetingが日本の学会の年会と異なるのは、non-profit organizationの参画がとても大きいということです。展示会場には、米国の科学研究を支援する国立衛生研究所(NIH)や米国科学アカデミー(NSF)が圧倒的な大きさのブース展示を行っていましたし、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症等、各種の患者団体も出展しており、それらの病気の認知を高める活動を行っていました。そのような患者団体の一つであるAutism Speaksのブースを覗いたら、研究費支援のパンフレットがありました。見てみると、なんと、$100,000(つまり11/21のレートで1,184万円!)の研究費を配分しているというのにびっくりでした。「採択率は低いですが、画期的な研究を支援しています」という説明でした。米国においては、富裕層が多額の寄付を行ってこのようなNPOを支えるという文化があり、患者さんやそのご家族と研究者がいかに近い関係にあるのかを象徴していると思います。
d0028322_23251724.jpg
今回、最終日の午後という最悪のスロット(泣)でポスター発表をしたのですが、初日の活気が薄れた中で訪れて下さった方の一人は自閉症関係のサイモン財団が運営しているSimon Foundation Autism Research Initiative, SFARIのプレス担当の方でした。患者団体にプレス担当があるというのも、その規模の大きさを想像させますが、その方から頂いた名刺を見るとPhD(博士)の肩書がありました。つまり、博士号取得者の方のキャリア・パスとして患者団体に就職するという道があるということですね。確かに、年会でその団体の関係者に意味がある発表を探して、その場で取材をし、その内容をまとめて財団のweb pageに掲載する原稿に起こす、という仕事は、研究経験が活かされる仕事だと思います。ちなみに、掲載された記事はこちらです。


SfNの学会本体には80名ほどの方々が、財務、企画、分析など種々の立場で働いているのですが、もちろんその中にも多数のPhDの方がおられます(正確な数字は不明)。学会の執行部(Council)や委員会(Committee)に所属する現役研究者とともに、学会事務局の方々が一緒になって作戦を練り、種々の資料等の作成を行って、例えばNIHやNSFにその分野の研究費を増やすように訴えるとともに、市民へのアウトリーチを行うなどのアドボカシー活動を展開しているのです。その他、子どもたち、生徒たち、その教育に携わる方々への啓発活動なども行っており、次世代の神経科学者をどのように育てるか、神経科学の重要性を広く伝える努力が為されています。戦後60年の間に、日本の研究レベルが上がって欧米に追いついたというのは、少なくとも生命科学分野においては、私は幻想だと思っています。表面的には、高額な機器を備えたビッグ・ラボも多数誕生し、山中さんが2012年のノーベル生理学医学賞を受賞したというような象徴的な成果も挙がりました。でも、生命科学をサステナブルに支える体制が構築されてきたかというと、決してそうではありません。いわば、見掛け倒しの張りぼて状態です。アカデミアと社会をどのように繋ぐか、そのための仕組みや人材育成、キャリア形成まで考えないと、国際的な環境の中で良い研究体制を支えることができない……そんなことを感じながら帰国の途につきました。


by osumi1128 | 2014-11-22 23:26 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

SfN2014出張(その1):フロリダ大学に行ってきた

数年前から毎年、参加することになった北米神経科学大会(Society for Neuroscience, SfN)ですが、今回は学会の前にフロリダ大学の共同研究者のところに寄って来ました。
d0028322_21104934.jpg

数年前からAssistant Professorとしてフロリダ大学に研究室を構えておられる染谷慎一先生に、2つのセミナーとその間の訪問先をアレンジしていただき、充実した一日を過ごすことができました。


一番印象的だったのは、Institute on AgingのDirectorであるMarco Pahor先生との面談でした。一面ガラス張りの窓に向かって「トレッドミル」が置いてあり、さらにハイ・デスクが……。伺ってみると「ゆっくり歩きながら、PCのモニタをブラウジングしたり、簡単なメールの返事くらいなら打てますよ!」とのこと。

大隅(O):素晴らしい! 腰にも良さそうですね♬
Pahor先生(P):やってみましょうか。ほら、こんな具合です。ええと、昨日は会議が多かったから、20分くらいしか使っていませんね。こんなふうに記録も取れます。……貴女もどうぞ!
確かに、なんとかなりそうでした。さすが、加齢研究を総合的に行う研究所所長だけのことはあります。
P:PIにもstanding desk(後述)やトレッドミルを購入しても良いと言ってあります(←太っ腹! いえ、先生はとてもbody conciousですが……ww)

O:建物自体も素晴らしいデザインですね!
P:この建物は、NIHから建築の予算を獲得し、さらに大学の資金も合わせて建てました。エコ基準(ecologically concious)の新しい建物とするために、業者の選定からデザインまで1年かかりましたが、その後、竣工までは比較的早く進みました。
P:どんなところが「エコ」なんですか?
P:屋根にはソーラーパネル、この絨毯の素材はリサイクルで、他にも環境に不可をかけない部材を多く使っています。庭の植物もこの地域のものです。
O:素晴らしいですね! 
P:そのほか、研究者同士がなるべく交流できるようなオープンなスペースになるよう心がけました。
d0028322_21073032.jpg

その後、研究所の中を自らご案内頂きましたが、臨床研究の被験者の方が廊下で歩く早さや階段を昇る早さを測ったりするスペースがあったり、採血室やMRI等各種測定装置の設備も充実しています。この建物の中には、染谷先生のように基礎研究を行う研究者もオフィスを構えているのですが、常時訪れる患者さんとすれ違うことも多いことでしょう。そんな環境そのものが基礎研究者の心理にも影響を与えていると思います。

実は上の画像を見て頂くと、染谷先生のオフィスにも高さを変えられるstanding deskが! これ、今度ぜったいに買います。もしかしたらラボにトレッドミルも買います(笑)。運動による神経新生向上は、研究にもポジティブに働くはず!ww

セミナーでは、染谷先生との共同研究になっている加齢性難聴のアンチエイジングな表現形を示すマウスの話を中心として、脂肪酸結合タンパク質の機能に関して、その研究に至った経緯から、精神疾患との関係についても触れ、最後に進化医学的な考察を加えました。

ちなみに、日本以外でセミナーをする場合、ほとんど時間帯はランチ前後。これは夕方は子どものピックアップなどに絡むので出席率が下がるからです。育児の共同参画が進んでいるからですね。



d0028322_21094550.pngランチは女性PIの方々と。Department of NeuroscienceのChairをしているLucia Notterpek先生(向かって左側の方)によれば、「バイオロジーでは女性は半数いますが、Assistant Professorの女性は半数ということはないですね。テニュアの女性はとても少ない。まだ、white menが圧倒的です」と話されました。もう一人のChristy Carter先生はDivision of Career Development and EducationのAssistant Professorという肩書も持っていますが、ラットを使った実験もしている方です。


それから、さらに2名の日本人PIの方とも面談の時間を取って頂いたのですが、そのうちのお一人、笠原秀子先生は、なんと母校の1期上の先輩であることが判明! 世の中狭いです……。笠原先生は名古屋大学の医学部のご卒業ですが、当時生理研にいらした故月田承一郎先生のところで学位を取られ、その後、ポスドクとして留学してこちらで独立されたとのこと。月田研の昔の業績集の中に、何人もの知り合いの研究者の若い頃の顔写真があって懐かしく思いました。

d0028322_21092989.png

もうお一人の寺田直弘先生は(あ、画像を撮りそこねました……)、阪大のご出身で、当医学系研究科の堀井先生と同期ということから、うちの医学部学生さんも何人か、基礎修練の期間に研修させて頂いているそうです。お世話になっています……m(__)m 

さらに、McKnight Brain InstituteのExective Directorである芦澤哲男先生という方もいらっしゃるのですが、生憎、ご出張と重なりお目にかかれませんでした。ぜひ次の機会があればと思っています。

所長秘書のLaura Ponsさんにそれぞれの訪問先へのエスコートをして頂いて(感謝!)怒涛の面談を追えてから、夜はフロリダ大学日本人勉強会という組織の主催でセミナーをさせて頂きました。ちなみに、海外の日本人研究者コミュニティーの団体は、下記の全世界日本人研究者ネットワークにまとめられています。


こちらでは25名くらいの参加者を前にキャリア・ディベロップメント系のセミナーを行い、最後、お昼のセミナーとは別の話題(父親加齢による自閉症発症リスク増加のメカニズム解析)もしましたが、生命科学系以外の方も多数来られていたのに、ついつい、専門用語が多くなってしまっていてすみません……。それからここでもなんと、母校の後輩!(四半世紀年下)が! 世の中はさらに狭いです……。

染谷先生には空港との送り迎えなどもして頂いて、本当にありがとうございました。次回、日本に来られるときにセミナーをして頂くことをお約束して頂きました。
d0028322_21074804.jpg


by osumi1128 | 2014-11-16 21:17 | 旅の思い出 | Comments(0)

日本女医会での講演覚え書き+第11回東北大学男女共同参画シンポジウム告知

先日、公益社団法人日本女医会の第8回キャリア・シンポジウムで講演、パネルなど行って来ました。
d0028322_21474744.jpg
私は歯学部出身ですので、このお話を頂いた際に、どなたか医学部の先生の方が、と躊躇したのですが、「東北大学の<サイエンス・エンジェル>などの紹介をして下さい」とのことでお引き受けすることになった次第。

イントロでは、東北大学に日本で初めて女子学生が入学したのが、ちょうど101年前の1913年であったというエピソードから始めましたが、その年というのは、日本で初めて医師の国家試験(医術開業試験)の合格者である荻野吟子先生がお亡くなりになった年でした。また、その前年の1912年に、吉岡彌生先生が設立した東京女医学校が東京女子医学専門学校に昇格しました。ちなみに、シンポジウムの終わりに知ったことですが、日本女医会の設立は1902年とされており(日本医師会よりも古い!)、110年を超える歴史があるとのことです。女性のキャリアとして古くから高い意識があったということですね。女医会には吉岡先生、荻野先生のお名前を冠した賞を出しています。

講演を行った5人のうち、男女は3:2と男性も参画。日本医師会常任理事(男女共同参画担当)の笠井英夫先生は、医師会全体の取組みを、東京大学小児外科学教授の岩中督先生は、医局や病院におけるワークシェア(24時間フレックスタイム制)の取組みをご紹介。日本大学医学部泌尿器科教授の高橋悟先生は泌尿器学会の活動について話されました。10年前からは想像できないくらい進歩した気がしています。

ただし、東京女子医科大学の冨澤靖子先生は、医学系の各種組織の理事・評議員等にはまだまだ女性率は数%にも達しておらず、意思決定機関への女性参画には、課題も大きいことを指摘されていました。

女医会会長の山本纊子先生、理事の前田佳子先生はじめご関係の皆様、大変にお世話になりました。私にとっても勉強になるひと時でした。

*****
d0028322_21570367.jpg
今月末に、第11回目になる東北大学の男女共同参画シンポジウムが開催されます。

東北大学の卒業生である奥山恵美子仙台市長、森まさこ全国務大臣(女性活力・子育て支援担当)にもご来賓ご挨拶、特別講演をそれぞれ頂く予定です。また、第1回澤柳記念賞の授賞式や男女共同参画推進センターのロゴマークと愛称お披露目もあり、パネルディスカッションでは、本学工学研究科出身男性である劉磊さんも交えて、現役、OGのサイエンス・エンジェルや法学研究科の女子大学院生とともに、若い方々で未来の男女共同参画のあり方について語って頂きます。どうぞ奮ってご参加下さい。


by osumi1128 | 2014-11-08 21:59 | ロールモデル | Comments(0)

第41回神経内分泌学会にて講演:改めて「神経堤細胞の魅力☆」

高知大学医学部の岩崎泰正先生が大会長を務められた第41回神経内分泌学会にて、ランチョンの時間帯、井村裕夫先生の特別講演の前に講演を行いました。頂いたお題が『神経内分泌細胞のルーツ:神経堤細胞の魅力』だったのですが、私自身も自分の研究ルーツを振り返る良いきっかけになりました。
d0028322_09094678.jpg


神経堤細胞は、ヒトの発生であれば受精後第3週に現れます。神経管形成というダイナミックなイベントに伴い、神経上皮と外表上皮との境界部に形成される「神経堤」という領域から這い出した神経堤細胞は、わらわらと体内を移動しつつ増殖し、移動先で多様な細胞に分化します。

(右の画像は、神経堤に由来する細胞が緑色蛍光タンパク(GFP)で標識された発生途中(受精後13日目)のマウス胎仔です。)



神経堤細胞から派生する細胞・組織
●末梢神経系(脊髄神経・自律神経)のニューロン
●末梢神経系(脊髄神経・自律神経)のグリア(シュワン細胞)
●ホルモンを産生する神経内分泌細胞の一部
●皮膚のメラノサイト
●顔面と顎の骨・軟骨・象牙質を作る細胞
●脳を包む膜(硬膜・くも膜・軟膜)
●眼の虹彩・角膜の一部(内皮と実質)
●鼻の嗅上皮の一部(幹細胞含む)
●内耳の感覚細胞
脊椎動物の進化とともに八面六臂の活躍をするようになった細胞です。詳しくは「脳科学辞典:神経堤細胞」を御覧ください。さらに興味のある方は拙共著『神経堤細胞:脊椎動物のボディプランを支えるもの』(倉谷滋・大隅典子著、東大出版会)をご笑覧下さい(ただし絶版)。
d0028322_08382658.jpg


講演では、神経堤細胞に関係すると思われる神経芽腫のような腫瘍を取り上げ、もしかするとより普遍的に、腫瘍発生の「タネ」としての捉え方ができるのではないか、というような展望についても言及しました。

200名ほどの会場に立ち見が出たのも嬉しかったですが、講演後に懇談室で仕事をしていたら、何人もの若い方々が「もう少し伺って良いですか?」「別の講演と重なっていたので聞けなかったので教えて下さい」などと声をかけて下さいました。学会(meeting)は「興味のある研究者が直接会って、アイディアを交換する」ことこそが、その機能なのですから、このようなインタラクションはもっとも有意義なことです。

今回の学会は参加者300名ほどで、いわゆる「学会屋」さんが関与せず、また昨今のCOIの問題もあって製薬企業さんの関与も少なくなって、大会長の岩崎先生が心を砕かれて手作りされたことが伝わってきました。懇談室には高知のお菓子(ミレービスケット細切り芋けんぴなど)が置いてあったり(美味しかったです! あ、細切り芋けんぴパッケージに描かれているのは、高知ゆかりのやなせたかしさんのイラスト♬)。またご招待頂いた理事会の食事会は、土佐料理のお店「祢保希」で行われました。

上記の拙共著『神経堤細胞:脊椎動物のボディプランを支えるもの』(倉谷滋・大隅典子著、東大出版会)、そういえば1997年発刊なので、もう一度、私個人の視点で書きなおしてみたいと思いました。


by osumi1128 | 2014-11-02 09:31 | サイエンス | Comments(0)