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2014年の振り返り……(やっぱり研究不正問題で終わり)

2014年もあと1時間あまり。今年は通常業務に加えて、研究不正関連の仕事が多くなりました。昨年以前から折込済みであった東大分生研の方の問題も、1月末から新たに浮上したSTAP関係も、先週金曜日に同時記者会見が開催され、ある種の到達点に達しました(「解決」という意味ではありません)。

STAP関係は、桂勲先生を委員長とする「研究論文に関する調査委員会」からの33頁にわたる報告書が出ました。詳細な分析を元に、新たに2点の論文不正が認定され、種々のデータの照合からES細胞を元にして出されたデータで構成されていたことがわかりました。後から記者会見の動画を拝見しましたが、生命科学者の立場からのクリアな説明であったと思います。このこと自体は、当初から予測されていたことではありますが、細かい遺伝子解析や聞き取り調査に基づいて専門家が4ヶ月で15回の会議を開いてお墨付きとなりました。ただし、報告書を読むと、何度も「オリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった」という記載があり、その結果、分析結果との「不一致の認定を行うことはできず、<研究不正>とは認められない」という結論が書かれている箇所があり、生命科学研究に携わる身としてたいへん残念に思いました。

ここで言う<研究不正>とは、文科省ガイドラインに沿った「捏造、改ざん、盗用」のことです。これに抵触したと認定された点が2つあったと報告書には書かれています。しかしながら、本来、研究の記録をきちんと残しておくべきなのは、生命科学研究では基本的な「お作法」「常識」といえることです(註:時代や研究分野によって、具体的にどのように記録するのかについては異なるかもしれません)。それが守られていないことについては、狭義の<不正>とは別の次元のことになります。報告書の「まとめ」においては、そのあたり、詳しく書かれています。

一部、抜粋して転記しておきます。

……本調査委員会の調査の基盤になった膨大な科学的検証データは、理研の研究者の熱意と努力によって収集されたものである。これを、STAP 問題が生じた理研の内部から自浄作用が現れたと評価することもできる。また、理研だけでなく全ての研究者は、STAP 問題を自分の研究室にも起こり得る問題と考え、今までよりいっそう思慮深い教育と研究室運営を行うべきだろう。不正防止が大きな流れになるためには、「捏造、改ざん、盗用」を重大な違反と考えるのは当然だが、それだけでなく「研究における責任ある行動」ないし「研究における公正さ」という観点から、より広い視野で研究者倫理を考え、教育を行う必要がある。そこで基礎となるのは、論文のインパクトファクターでも、獲得研究費の額でも、ノーベル賞の獲得数でもなく、自然の謎を解き明かす喜びと社会に対する貢献である。
 STAP 問題は科学者コミュニティに突き刺さった1本の矢である。それを抜いた後も、傷跡を癒し健康を取り戻すために、科学者コミュニティ全体の対応と努力が求められている。

STAP騒動は、一般国民まで巻き込んだという意味において、多くの人々の記憶に残る事件であったと思いますが、東京大学で起きた事件は、不正行為があると認定された論文が33報(もともと調査された論文数は165報)、不正行為に関わった教員4名、筆頭著者7名(調査された著者は193名)という大規模なものでした。すでに、昨年の12月26日に論文の疑義に関する調査に関する中間発表を行っていましたが、関係各位に対する聞き取り調査などは、すでに東大から離れている方も多いと考えられ、困難であったことと思います。また逆に、俎上に載っていた方には、一刻も早く結果を出してほしいと願った方もおられるでしょう。

以下、覚書として東大の調査報告(最終)から「発生要因」の項の一部を転記します。

……これほど多くの不正行為等が発生した要因・背景としては、……国際的に著名な学術雑誌への論文掲載を過度に重視し、そのためのストーリーに合った実験結果を求める姿勢に甚だしい行き過ぎが生じたことが挙げられる。……杜撰なデータ確認、実験データの取扱い等に関する不適切な指導、画像の「仮置き」をはじめとする特異な作業慣行、実施困難なスケジュールの設定、学生等への強圧的な指示・指導が長期にわたって常態化していた。このような特異な研究慣行が、不正行為の発生要因を形成したものであると判断する。

どちらの事件も、多数の研究者が専門家として調査に加わり、大変なことであったと拝察します(今年、問題になったのは、上記2件だけではありませんが下記も参照、自分自身で十分に情報を整理できていないと判断しますので、ここでは割愛します)。今後のプロセスは懲罰委員会による処分の決定と、もしかすると(かなりありうる確率で)舞台は司法の場に移されるのかもしれません。新しい年の幕開けに、研究の公正性、健全性を保つためのアクションが、いっそう求められていると思います。
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(白磁の羊の置物は、中学の同級生、佐々木まどかさんの作品です。干支で2周り前の頃だったかもしれません……)

【追記】
The Scientistsの記事(12/24)より抜粋
9. Stem cell research popped up on Retraction Watch a number of times this year. In one significant case, Circulation retracted a 2012 study by a group of Harvard heart specialists over concerns of corrupt data, and the university is investigating. There has also been an expression of concern in The Lancet. The group was led by Piero Anversa, a leading cardiologist, who along with a colleague filed suit against the institution on the grounds that the inquiry was damaging to his career prospects.


by osumi1128 | 2014-12-31 23:05 | 雑感 | Comments(0)

天野先生の講演会:「何になりたいか」ではなく「何をしたいか」が大事

御用納めの金曜日、2014年のノーベル物理学賞を受賞された天野浩先生の講演会が、東北大学多元物質研究所と、東北大学「知のフォーラム」の事務局である知の創出センターの共同主催により、仙台市民会館で開催されました。開場は高校生を中心とした市民で満員御礼。(画像は上記専用HPのものを拝借しました)
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まず、東北大学金属材料研究所教授 松岡 隆志 先生が「白色LED光源の発光原理、開発経緯、そして、その意義」という講演を前座でなされたました。松岡先生ご自身も、青色発光LEDの開発の一翼を担った方でもあります。

続いて、天野先生の登場! お話の前半は「10月7日から12月16日まで」に怒った出来事を画像とともに紹介されました。曰く「あなたがもしノーベル賞を受賞したら、どんなことが待ち構えているのかの予備知識として」とのこと。何度も「講演や王室主催晩餐会では英語で話さなければならないので、英語の勉強は大事」と繰り返されました。また、大学生の企画がいろいろあって素晴らしいと思ったこと、ストックホルムの高校を訪れた際に、数学の授業でグループワークをしていたのが印象的だった、とも。

後半のご自身の研究についての部分では、「高校時代から<社会に貢献したい、社会を変えるようなことがしたい>という気持ちが強かった」ことから始まり、卒業研究から修士課程の間に「1500回失敗した」というエピソード、それを克服するきっかけとなった「偶然」と「先輩の話」について話されました。

その後、東北地方の10名の高校生(うち女子は4名)とのトークセッションとなりました。高校生たちは皆、「将来、研究者になりたい」、「素粒子物理学に興味がある」、「SSH校で科学部所属」など、アカデミック意識の高い生徒さん。天野先生への質問では「実験を失敗したときに、どうやったらモチベーションを保てるのですか?」、「研究者になるためにはどうしたら良いですか?」など。

天野先生からの答えとしては、「<何になりたいか>よりも、<何を成し遂げたいか>が大事」とのことでした。以下、天野語録です。
「自分は研究者だと思ったことはない。ただ、青色発光LEDを作れば世界を変えられると思ってやってきた」
「失敗を恐れるのではなく、条件を変えたらどんな結果が得られるのかを楽しめばよい」
「目の前のことに集中すること、そうすると<アンテナ>が立って敏感になり、<ひらめき>を得ることができる」
「何よりも<完成した・成功したイメージ>を描くのが大事」
「<不可能>はうまくいかない人の<言い訳>だったりする。まだ試していない条件は何か粘って探せばよい」

集まった多数の高校生たちは、きっとそれぞれ何かを掴んでもらえたのではと思います。講演会終わって外に出ると、市民会館目の前の定禅寺通りは光のページェント。60万個のLED電球がケヤキ並木に輝いていました。

by osumi1128 | 2014-12-27 23:40 | ロールモデル | Comments(0)

「女性研究者のためのメディア対応セミナー」メモ

過日、東北大学男女共同参画推進センター(TUMUG)が主催した「女性研究者のためのメディア対応セミナー」につきまして、お話を聞きながら取りまくったメモ(中学時代に生徒会の書記などしてました)を残しておきます。

【メディアが好きなこと】
・新しい:新発見、新情報
・事実:数字、発表内容の正確さ
・価値:ステークホルダーにとっての有益な情報か

最近では「ニュース・報道」と「バラエティー」の間の「カルチャー・エンターテイメント」として「研究」が取り上げられることが増えてきた。
その場合に
研究者の思い≠メディアの興味
であることをよく認識することが大事。
メディアの側には「狙い」や「想定シナリオ」がある。

【身だしなみ】
・基本は「自分らしい」こと(トレードマークは徹底する)
・(東北大学の代表者として相応しい)「研究者に見える」ように
・ワンピース、セーター、トレーナーは避ける(ピンマイクなど付けにくい)
・胸元開きすぎないように
・スカートは座って膝が隠れるくらい
・パンツは座って足首が見えすぎないように長め
・すぐわかるブランドは避ける(視聴者がそこに注目してしまう)
・派手なアクセサリー・ネイル等は控える(自分も視聴者も気になる。腕時計は外しても良い)
・スタジオ撮影の場合には、過去の映像で背景チェック
・ゲスト複数の場合などは、カブらないように2着持っていくなどの準備あれば万全
・もこもこブーツはNG

【ヘア】
・髪型も普段通りで良いが、なるべく顔を出すべき
・前日のカットは避ける
・美容院で軽くセットしてもらうと良い
・室外での撮影の場合には風対策を(髪を束ねる、スプレーなど)
・横からも撮影されるので、耳は出す

【メイク】
・スタジオではメイクしてくれる
・メイクサービスなど利用するのも良い
・コンシーラ(←メモったのだけど、どうするのか記憶漏れ……orz)
・汗対策

【撮影場所】
・「らしい」場所:例えば実験室
・「らしい」演出:例えば「白衣」
・視聴者は机の後ろの小物に目がいくので注意
・背景に窓・書棚のガラス扉はNG

【撮られ方】
・リラックスがだいじ
・背筋を伸ばす、そっくり返らない
・足は組まない、踵は床に、キャスター座りはあまり感じが良いものではない
・テーブル前なら手は軽く握って机の上
・資料は机の上、体の正面に準備しておく
・記者会見等でテーブル下の脚が見える場合には注意
・回転椅子は無意識に回さないように

【話し方】
・マイクを意識しない、近づき過ぎない
・口ははっきり開けて、でも声は大きすぎない
・カメラの先の視聴者に語りかけるつもりで(プロンプタならその先のレンズの先に)
・目を動かさない
・結論→理由→補足の順に話す
・適切な比喩を用いる
・中学2〜3年生が理解できるように(専門用語はNG)
・わかりやすいスピード、語尾を意識
・何度も聞かれるポイントは実際に使われる部分と心得る:コンパクトに答える
・間違えたら自分でNG出して、再収録を

【もっと取り上げられるには】
・メディアが取り上げたくなるようなニュース・リリースを出す、宣伝材料を見せる
近畿大学の「コメンテーターガイド」などは、メディアにとって有り難い

……という訳で、「研究者の思いとメディアの思惑が一致していない」ことは、かねがね了解済みではありますが(苦笑)、撮影のためにヘアセットやメイクするところまでお願いするかどうか(そこで勝負している訳じゃないからね)。最後の部分も、研究者としてはうーーん……というところですね。でも、大学のブランド力を上げるには、そこのところをうまく広報担当者が間を取り持つことが必要なのでしょう。

ちなみに、「東北大学女性研究者カタログ」の撮影はお墨付きを頂きました。曰く「カメラマンさんの愛がある♡」とのことなので、もっと活用しましょう♬

by osumi1128 | 2014-12-23 23:36 | 科学 コミュニケーション | Comments(0)

Sunset @Onnason

先日OISTを訪れたときの画像です。初日、移動日でディナーの前にiPhoneで撮影しました。
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by osumi1128 | 2014-12-22 23:32 | 旅の思い出 | Comments(0)

STAP狂奏曲のエピローグ

昨日(12月19日)、STAP細胞検証実験の結果についての発表が為された。論文の疑義等について3月3日、11日と7月4日に日本分子生物学会理事長としての声明を発し、8月26日付で文科省から「研究不正に関するガイドライン」が出された時点で、後は見守るしか無いと思ってきたので、1600個以上の細胞塊を移植してもキメラ胚ができなかったと知っても、特別な感覚は無い。自分の中で、STAP細胞は存在しないと納得したのは、もうずいぶんと前のことのような気がする。公表されている資料を見る限り、厳密なやり方で丁寧な実験が組まれ、きちんとその結果の記録が取られており、科学的な検証としては問題無いものと思う。監視体制の元で本人に実験を行わせたことも、今回のケースではやむを得なかっただろう。

発端となったNature誌2本の論文は7月4日の時点ですでに取下げられているが、では、どのような実験を元に(あるいは元にせずに)データが集められたのかについては、また追って年度内に各種細胞の遺伝子解析等についての発表があると聞く。それはそれで粛々とやって頂くしか無いが、今後のことは科学の世界で扱えない部分が多いのではないかと思う。

今回のSTAP狂奏曲を聴いていて一番強く感じたのは、人それぞれの受け取り方の違いが大きいということだ。研究者と非研究者では大きく異なるし、文系・理系でも違う(例えば、こちらの芦田宏直氏のFacebook記事など、私にはとても違和感がある)。理系の中でも数学や物理の専門の方々と生命科学系ではかなり感覚が違っていた。化学系、材料系もしかり。これらは、専門的に扱う対象が違い、お作法が違うからだと思うが、さらに、生命科学系でも理学系の方と医学系の方には、微妙な感覚の違いがあった。それは、真正ではないと思われるやり方で「STAP細胞を得た」と主張した人物に対する感覚においてである。この事件の受け取られ方の違いは、もちろん関係者にどれほど近いかによっても異なっていたが、世代によっても大きく違っていた。とくに、今よりも研究人口が少なかった世代と、大学院重点化以降の世代では温度差が大きかったように思う。「このような研究不正は稀なことであり、また、不正論文は再現性が無ければ引用されなくなり忘れ去られる」という考え方は、「でも不正論文を出すことによってポストや研究費で得をすることになるのはおかしい」と思う世代の研究者には受け入れがたいものがある。

STAP事件は重大だが、研究不正の問題はそれだけでは無い。「ハインリッヒの法則」によれば、大きな1つの事故の背景には29の小さな事故があり、さらに300の「ヒヤリハット」が存在するという。大きな事故を防ぐには、多数存在すると思われる「ヒヤリハット」を無くさなければならない。「最後の理事長メッセージ」にも書かせて頂いたが、研究不正対応は、現場ではすでにアクション体制に入りつつあると思う。平成18年度に出された日本学術会議の「科学者の行動規範」(その後、平成23年1月25日改訂)や文科省ガイドラインでは研究不正を防ぐことができなかったという歴史的事実に対する反省をもとに、今夏に決定された「ガイドライン」では、研究者本人の責任のみならず、研究機関の責任が強く打ち出されている。そのため、本学でも検討の委員会が作られ、今後の体制整備についての準備が進んでいる。科学者は自由な発想に基づく真理の探求という研究行為を社会から負託されている存在である。その自由を守るためには自らの行動を律することが必須であり、そうでなければ社会からの信頼を得ることができない。自由な精神を守りつつ、どのような「ルール」を示していくのか、知恵を絞ることが喫緊に求められている。

第5期科学技術基本計画の策定も視野に入って来ているが、研究環境をどのように良くしていくかは、短期的な資金の配分だけの問題ではなく、持続的な教育や人材育成の観点も重要である。科学を行うのは、イノベーションを生み出すのは、機械ではなく人なのだ。天然資源に乏しく「科学技術立国」を提唱する我が国においては、それを支える人材を大切に育てていくことが必要である。また、そういう人材が搾取されない社会でなければならない。

【追記】
この1週間後に、9月3日付で設置された調査委員会の報告が発表され、STAP細胞とされたものの実体はES細胞(もしくはES細胞とTS細胞の混合物)であることがわかりました。3月の時点で専門家が予測していたことが証明されました。

by osumi1128 | 2014-12-20 23:53 | 科学技術政策 | Comments(1)

オリヴァー・スミティーズ先生の「ひらめきのヒント」

過日、東北大学をご訪問下さったオリヴァー・スミティーズ(以下OS)先生に、東北大学サイエンス・エンジェル(以下SA)がお尋ねしました。
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SA:どうしたら素晴らしいアイディアがひらめくのですか?
OS:それはね、とにかくよく眠ることだよ! 昼間、いろいろな経験をするよね。眠っている間に、脳の中でそれらがとても面白い結びつき方をするんだ。起きている間には思ってもみなかったようなこと同士がくっつくと、魅力的な仮説が出来上がっていたりするね。起きたらすぐに書き留めたりしないと忘れてしまうけど……。とにかく、ただ長時間働いて疲れてしまったら、けっして良いアイディアなんて出ないよ。

奥様の前田信代先生(NM)が補足されます。
NM:人に話すっていうのも大事じゃないかしら?
OS:そうだね、君にいろいろと話している間に、間違っていることに気づいたり、さらに面白いことがわかったりするね。

なるほど、スミティーズ先生が2007年のノーベル生理学医学賞に繋がる研究成果を上げられた背景には、「よく眠り、よく話す」ということがあったのですね……。身近にご自身も研究者である奥様がいらしたことを心から感謝している様子が感じられる、優しさ溢れるスミティーズ先生でした。ご訪問ありがとうございました!
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【大隅補足】
私自身、「ひらめき」は圧倒的に朝目が覚めてまだぼうっとしているときに感じます。文章を書いていて神が降臨するのは夜中だったりもするのですが。「ひらめき」が生まれる前提としては、結び付けられるべき「記憶」が脳の中に残っていないといけません。何も無い脳の中に「ひらめき」は生まれません。記憶をしっかりと定着させて、面白い結びつきを生じさせるためには「タグ(ラベル)」が必要だと思っています。つまり、記憶に「タグ」を付けるのです。いつ、どこで、誰とした会話なのか、誰がセミナーで話したのか、どのジャーナルに書いてあったのか、そういうことを無意識レベルでもタグ付けできるかどうかが、ひらめきの前提にあるように思います。セミナーのときに、私はかなりメモを取る方なのですが、その場合には、PCにタイプするよりも、MOLESKINEの方眼ノート(スクエア)にLAMYのカートリッジ万年筆でアナログに記録します。絵やグラフも簡単に描けますし、関連付けられる情報に→を引くのも簡単です。そうやっていろんなタグが付く気がするからです。あと、そのノートを折に触れ見なおして、さらに4色ボールペンでさらに思ったことなど書き留めます。必要に応じて、ノートの頁をiPhoneで撮影してEvernoteに放り込んでおいたりもします。



by osumi1128 | 2014-12-13 22:29 | サイエンス | Comments(0)

前田信代先生&オリバー・スミティーズ先生X東北大学サイエンス・エンジェル

東北大学知のフォーラム関連で、2007年のノーベル生理学医学賞受賞者であるオリヴァー・スミティーズ先生が再び本学を訪問されました。奥様であり、ご自身も研究者である前田信代先生(ノースキャロライナ州立大学教授)にとって、東北大学は母校であり、仙台は生誕地で妹さんもお住まいであるため、今回もスミティーズ先生とともに帰国され、薬学研究科や医学系研究科でご講演をされました。

さらにせっかくの機会なので、直前になって前田先生にご連絡申し上げ、東北大学男女共同参画推進センター(愛称TUMUG)をご訪問頂けることになり、もれなくスミティーズ先生もご一緒されました。東北大学サイエンス・エンジェル(SA)や女性研究者のMLを使ってお声がけしたところ、急な連絡にも関わらず10名ほどが集まりました。

気の張らない会でしたので、前田先生もスミティーズ先生もリラックスされた雰囲気で、いろいろなお話をして下さいました。修士のSAたちには、いきなり英語での自己紹介となって、ハードルが高かったかもしれませんが、それはスミティーズ先生がもれなく付いて来られ、前田先生が基本的に英語モードだったので仕方ありません(笑)。コミュニケーションは相手に合わせることが必要なので。もちろん「日本語でもOKですよ」と伝えましたが。

前田先生は、実はお父様が本学の第14代総長、前田四郎先生であり、お母様も薬学を勉強されたのですが、ご結婚によりキャリアは続けず、3人のお嬢さんを育て上げられました。前田信代先生は理学部に入学され、化学を専攻されましたが、大学院進学を希望することをお父上に伝えたときに、実は難色を示されたといいます。さらに学位取得後、恩師の先生のご紹介でウィスコンシン大学での研究員のポスト(当時は国内には職が無かったとのこと)に就きたいことを話すと、「2日間、口をきいてくれませんでした。2日後に父は<私は娘たちにDo your best!と説いてきたが、それは間違いだった>という言葉とともに許してくれたのです」と笑って私たちにお話しになりました。

もちろん、そのウィスコンシン大学でスミティーズ先生に出会う訳です。その経緯はというと、最初のボスのところの研究費が切れて、さらにNIHに行くという話も出たのですが、結局、近くのラボで独立したてのスミティーズ先生のところの研究員として受け入れられたのでした。「信代先生に、どんな印象を持たれましたか?」とスミティーズ先生に伺うと、「Nobuyoは素晴らしい研究者で、私には無い才能を持っていた。私はどちらかと言えば大雑把だが、彼女はとてもこまやかだ」と仰っておられました。「Nobuyoのもっとも有名な仕事は動脈硬化のモデルマウス作製なのだけど、その論文に私の名前が入っていないということが私の誇りです」とも。
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さらに、ノッてきたスミティーズ先生からは、若いSAたちに「将来のパートナーを誰にするのかはとても重要」とのアドバイスを。「貴女のやりたいことを制限する人はダメ」と言われると横から前田先生が「あのエピソードを話すといいんじゃない?」と間の手を。「実は、以前に<私の成績評価を変更して下さい>と言ってきた女子学生がいた。<A評価をB評価にしてほしい>というんだ。<私のボーイフレンドがB評価なので……>という理由で! もちろん却下したけどね」

これは実に「ありがち」な話であると思います。たぶん日本中にも、同様に自分の才能をスポイルしてしまっている女性はたくさんいて、それは本当にもったいないことです。

前田先生からは「母のアドバイスなのですが<最初になんでもできると言わない方が良い>ですね。お料理も上手、お掃除も得意……と言ってしまうと、<じゃぁ、やってね>になるから。母はそれで失敗したと言ってました(笑)」と。

助教をされている方から「主人も研究者なのですが、とてもハードワーカーで、帰宅するのは夜中です。必然的に家事は私がしなければなりません」というお話が出ると、スミティーズ先生は「<良いアイディアのためには睡眠が重要! 疲れてしまっては良い研究はできない>ってことをわかってもらった方が良いのでは?」とアドバイス。「僕は朝食を用意するのと、皿洗いを担当しているよ!」とも。前田先生からも「次回こういう機会があれば、男性も一緒に話をしましょう」と提案されました。来年10月くらいに機会が巡ってくるはずです!
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(スミティーズ先生の「ひらめきのヒント」は、改めて別エントリーにします♬)

by osumi1128 | 2014-12-11 23:57 | 若い方々へ | Comments(0)

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の非日本的世界

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2005年に研究所として立ち上がり、3年前からは大学院生を受け入れて本格的に動き始めました。何人も知り合いの研究者が所属されているのですが、これまでご縁が無く、今回はじめての訪問となりました。
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那覇空港から車で約1時間ほど北の恩納村の斜面に位置するOISTでは、メイン・ビルディング、ラボ1、ラボ2に加えて、ラボ3がまだ建築途中です。正面ゲートからメイン・ビル玄関前までは長いカーブした通路を通っていくので、何か異次元空間に辿り着くような気持ちになりますね。MIHO Museumポーラ美術館を思い出します。凹凸の多い建物外壁には濃い色の石(この地方のものと聞きました)が使われており、廊下もカーブしているところが多く、見慣れた日本の大学の建物とはまったく異なります。種々環境にも配慮が為された建築としても認定されているようです。ファカルティ・ハウスや学生寮の建物も、明るい茶色の瓦が沖縄の伝統的な建物をイメージさせます。
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建物内部のインテリアは、世界のいくつかの有名な研究所の内装を手がけたケン・コーンバーグの手によるものです。彼が研究所の内装を得意とするのは、そのがノーベル生理学医学賞受賞者であることも影響しているのでしょう。普通の国立大学のような無機質な壁や実験台はここにはありません。木の質感豊かな扉、人造大理石のテーブル・トップなど、もし日本メーカーの実験機器が置いてなければ、外国の高等教育機関と見まごうばかり。廊下においてあるフリーザーも、予めそのスペースを確保されているので、乱雑な印象がありません。すべて「非日本的」な空間となっているのです。
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教員・研究員、スタッフの外国人率が高いことはもちろん、日本人の職員でも英語で応対可能な方々が多数。首都から離れていながら、人口の割に英語を使える人材を確保できるのは、沖縄という地理と歴史が背景にあるのでしょう。実際、国内線直行便で3時間余という仙台よりも、国際線で上海や香港の方が近いということに、今回、改めて衝撃を受けました。

実は、OISTは国の予算により設立されていますが、やや特殊な学校法人、むしろ私学と考えた方が妥当かもしれません。我が国の高等教育のグローバル化を先導する目的で設置されているので、種々の点において「非日本的」なのです。実際、現在入学している70余名の学生は世界25カ国ほどから来ており、日本人は約1割。大学院入試もすべてアドミッション・オフィス主導で行っていて、書面審査を経た候補者は、1週間程度OISTに滞在する間に多数の教員による長時間の面接を受けて選抜されます。その倍率は現在、10倍程度。少子化により定員確保に難渋する各大学院にはありえない競争率を誇ります。高倍率なのは、大学院生に手厚い経済的支援があることも大きな理由です。そうでなければ世界各国の大学院と互角に争うことはほとんど難しいといえます。

研究面で言えば、現在の研究室(ユニット)主催者(PI)は50名ほど。各々のユニットは大きくなく、伝統的なDepartment制ではなく、緩やかな集まりとしてのDomainとしてNeuroscience 、Environmental & Ecological Science、Molecular, Cellular, & Developmental Biology、Mathematical & Computational Science、Physics & Chemistryの5つのドメインに括られています。5年間一貫教育を受ける学生は、所属予定ユニットを含め3つのユニットでのローテーションを経験するなど、学際的な人材育成を目指しています。初代のPresidentは2002年にノーベル生理学医学賞を受賞したSydney Brennerでしたが、現在はJonathan Dorfanという素粒子物理学者がPresident/CEOです。Provost/Vice-CEOのGeorge Iwamaは海洋生物学者の方。教員(かつPI)は2023年までの間に倍増予定と聞いています。

人材育成に関わる大学や研究所は、入れ物を造れば終わりではありません。建物の建築に多額の国費が注ぎ込まれるフェーズが終わってから、どのようにサステナブルに運営されていくのか、そして、研究と教育において世界的なreputationを獲得できるか、これからの勝負と思われます。
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おまけの画像は海が眺められるカフェテリアの様子。なんと、バゲットもこちらのオーブンで焼いているとのこと♬

by osumi1128 | 2014-12-09 21:52 | 科学技術政策 | Comments(0)

「マッサン」ゆかりのニッカウヰスキー工場@仙台

今期のNHK連続テレビ小説「マッサン」は、ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝とその妻リタをモデルにしたものですが、余市の工場の次に造られたのが実は仙台工場です。
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正確には「仙台市青葉区ニッカ1」という住所(!)なのですが、仙台駅から市営バスで60分ほどの距離、山形県との県境にある作並温泉より少し手前、広瀬川と新川という川が交わるあたりにあります。やはり良い水が得られ、スコットランドに似た気候がスコッチウイスキー作りに適していたからこの地が選ばれたのでしょう。
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宮城峡蒸溜所の見学ができることは以前から知っており、友人も訪れていたのですが、私自身はこれまでなぜか機会が無く……。来年のイベントでゲストが多数来仙の予定なので、いつもいつも松島・塩竈じゃぁね……、もう少しバリエーションを、と思って参加してみたら、これがとっても良かったのです! 「マッサン」ブームで混んでいました。蒸留装置に注連縄というのがスコットランドとは違いますね。
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無料のウイスキー試飲が3種ほどできますが、足りない方は、よりグレードの高いレア物を有料でお楽しみ下さい♬ 画像はシングルカスクの香りをテイストするコーナー。ちゃんと、シャトルバスも運行しているので安心です。 
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こちらで生産されているのは「シングルカスク宮城峡」や「シングルモルト宮城峡(かつてはシングルモルト仙台があった)」というブランド。それらは県外でも買えますが……
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こちら↓の「伊達」は宮城県限定販売です♬
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詳しいレポートは以下の方がまとめていますのでご参照あれ。
(ウイスキーがなぜウヰスキーなのか、なども説明されています……ww)

ちなみに、その他のお土産も充実していました! ここはイベント・エクスカーションの候補地に入れておきましょう。


by osumi1128 | 2014-12-07 22:31 | 味わう | Comments(0)

Rico's Comic #2: Rico's Delivery Service

Ricoと相棒のネズミのGingerです。

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by osumi1128 | 2014-12-06 21:59 | 雑感 | Comments(0)