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岡部繁雄先生のセミナー:「観察」は科学の基本

医学系研究科共通機器室主催、ニコン仙台支店の共催により、東大の岡部繁雄先生のセミナーが開催されました。
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最新の顕微鏡技術として以下について、ご自身のシナプス(神経細胞の結合部)に関するデータを中心にしてご発表。
1. In vivo二光子顕微鏡
2. 透明化
3. 三次元電子顕微鏡
4. 超解像顕微鏡
「観察する」ことは科学の基本です。よく観ること、細かく観ること、違いを見出すこと、それが新しい発見に繋がります。そのために、人類はレンズを作って望遠鏡や光学顕微鏡を生み出し、細かい方向では電子顕微鏡を作りました。上記の新しいイメージング技術は、さらに新しい発見を生み出すことでしょう。To see is to believeです。

岡部先生は最後に1枚のスライドを示されて、新しい技術の創出がさらに新しい発見を生み出し、それが次のニーズを生み出すという循環になれば良いと話されました。
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ちょうど、昨年のノーベル化学賞が超解像顕微鏡技術に関するものでもあり、新しいイメージング技術は大きな注目を集めている分野です。研究科の共通機器室にもN-SIM/A1Rという超解像顕微鏡が整備され、やや遅れていた形態系機器も充実していくものと思われます。司会を務められた権田先生、大盛会のセミナーお疲れ様でした!
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by osumi1128 | 2015-02-24 17:27 | サイエンス | Comments(0)

春が待ち遠しい……

週末、とある研究費の報告会のために大阪出張。
仙台よりも5℃以上暖かかったようです。

確実に季節は春に向かっていると思うのですが、北国は花の咲き方が遅いので焦らされます……。
東京にいたときは、梅、桃、そして桜という順番がありましたが、こちらでは3種いちどに咲くような感じになります……。

個人的には梅がもっとも好きですが、もちろん桜を愛でる気持ちも忘れたくないし、雛祭りには桃でしょう。
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画像は、過日、オークラで見た雛飾り。
この夏に本館が建替えとか……。
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いっしょに飾られていた桃の花。
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独特の雰囲気のロビー。
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正面に飾ってあったゴージャスな桃。
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備忘録として、ここに。

by osumi1128 | 2015-02-23 00:27 | 雑感 | Comments(0)

「アート・イン・ホスピタル」ってイイね!

主治医のいる東京都済生会中央病院を訪れましたら、あれ? これまでよりも飾ってある絵が多い?
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こちらのマティスは複製のリトグラフですが、この他にも多数、患者さんが順番を待っているエリアから見えるところに掛けられています。

ふぅん、と思って、会計を待つ間に、ふと病院の発行する冊子『Tokyo SAISEIKAI Chuo』No. 69(2013秋)を手にとって見ましたら、「”アート・イン・ホスピタル”のご紹介」という記事がありました。平成23年度から「院内に所蔵する絵画をはじめとした美術院を有効活用し、環境面でのホスピタリティーを高めること」(同冊子より)を目的として委員会が発足し、5カ年計画ビジョン2016が進行中とのこと。

『Tokyo SAISEIKAI Chuo』No. 69(2013秋)(PDF):記事は2ページ目に書かれています
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「患者さんのお孫さんが描かれた可愛らしいクレヨン画から著名な作家の作品まで様々な収蔵品」(同冊子より)を、慶応義塾大学(地元の利ですね!)の学生さんの協力も得て整理し、画像をアーカイブ化した後に、種々展示しているそうです。

素敵な試みだなぁと思いました。

東北大学病院も、1階の外来棟から南北に繋がる「ホスピタルモール」というエリアを中心に、寄贈された絵画や、院内学級(正確には木町通小学校の院内分校)の生徒さんたちの作品などが折々に飾られています。通りかかるお見舞いの方々や医療従事者の方々が、ときどき立ち止まって眺めておられるのを目にします。病院広報室が担当されているFacebookでもよく画像がアップされていて和みます(下記も数日前の記事より拝借♬)。
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ちなみに、上記の済生会中央病院の冊子で気づいたのですが、現在、秋篠宮殿下を総裁とする同病院は、2015年に100周年を迎えるとのこと。東北大学病院もちょうど今年が100周年なので、種々の行事が予定されています。不肖ながら私も6月のシンポジウム末席に登壇予定。


まだ一部残っている古い門が記念事業のロゴマークにあしらわれていて素敵。オレンジ色は病院のテーマカラーですね。
あと146日とカウントダウンされています。
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by osumi1128 | 2015-02-17 12:45 | アート | Comments(0)

内田君教授就任祝賀会にて

あまりにプライベートな話題でもあるし、ブログネタにするか逡巡しましたが、ブログの記事が後から検索する上でもっとも便利ということから、やっぱり載せてしまいます。

東京医科歯科大学テニス部同期の内田信一君が、昨年の8月付で母校の腎臓内科の教授に就任し、数カ月後になりましたが、その祝賀会が昨晩、たいそう立派に執り行われました。
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どんなところが「たいそう立派」かというと、奥様の啓子さん(私にとっては旧姓の長澤さんの方が、かつての女子医テニス部キャプテンとして馴染みがあるのですが……)も同じ腎臓内科が専門と業界が他校でかつ重なっているため、お祝辞が、医科歯科の学長から始まって、5〜6名だったか、前任の教授である佐々木成先生の乾杯のご発生に辿り着いたときには、すでにたっぷり1時間かかっていた、というあたりに集約されるでしょうか。

同級生を代表してというより、もしかすると男女共同参画的観点から(笑)、「ご歓談」の後の時間帯でお祝いの言葉を述べさせて頂きました。事前にメールで頼まれたときに「もう、誰も聞いていない時間かもしれないけど……」ということは折込済みで、さて、何かインパクトのあることを言えないかとも考えましたが、相手のことに気を使う内田くんなので、こんな感じで始めました。

「内田君、啓子さん、このたびは教授ご就任おめでとうございます。いつ教授になってもおかしくないと思っていましたが、お知らせを聞いたときは、ようやく! という気持ちがしました。……えぇと、内田君と同じで、元テニス部だったので、本日はさきほど美容院で<お蝶夫人>をイメージした髪型にして参りました。」というプチ・ジョークで、年齢層高めの方々に笑って頂くくらいが精一杯のエンターテイメント。

内田君は基礎研究でも素晴らしい業績があり、腎臓で水吸収の調節に重要な分子であるアクアポリン(Nature, 1993)やイオンチャネル(J Clin Invest, 1995)の話など、業績のことについてはすでに多数のお祝辞でも触れられていたということもあり、だいたい、皆さん聞いてないから短いにこしたことはない、ということで、締めくくりに次のようなことを話しました。

「……資源に乏しい日本では、人を育てること、人材育成がもっとも重要であると思っています。先ほどのご祝辞で、内田先生は多数の若い方々の指導をされていると聞きました。実は、先日、同級生の東大薬学の一條君、神戸の医学部の南君とともに、内田君のプチお祝い会を本郷で行ったのですが、お開きになったのが11時くらいだったか、内田君は、じゃぁ、大学に戻るから、といって湯島に戻って行きました。こういう気持ちのある内田君なら、きっとこれから多数の若手を育ててくれると信じています。教授になるとさらに重責でたいへんかもしれませんが、体に気を付けて頑張ってください。応援しています!」

祝賀会最後の内田君自身のご挨拶でも、後進の育成について触れておられたので、あぁ、良かったなと思いました。祝賀会が行われたホテル・オークラは、こんど本館が建替えということで話題になっていますが、内田君ご夫妻にとっては結婚式を行った縁の場所でもあるとのこと。これから10年余、母校でのさらなるご活躍を!

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by osumi1128 | 2015-02-15 17:44 | 雑感 | Comments(0)

医療倫理から学ぶこと

昨年来、講演依頼のバリエーションが増えましたが、本日は第50回医学系大学倫理委員会連絡会議に呼ばれて、研究不正防止についての講演をしました。自分の講演については、過日、自治医大で行ったものとほとんど趣旨は変わらないので割愛しますが、今回の聴衆は医学系の大学で「医療倫理」に関わる種々の立場の方(教員、事務系職員、コーディネータ等)でしたので、「基礎研究の立場から」というつもりで行いました。

年2回のペースで開催されているこの連絡会議は、25年前に医学系の大学に倫理委員会が置かれるようになったときに、その情報交換の場としてボトムアップに立ち上がったのですが、参加者はどんどん増えて、今回は300名超えとのこと。実務者の方々が多数参加され、2日目午後には倫理審査に関する研修会も開催されます。

1日目のご講演は聞けなかったのですが(高橋政代さんの90分の基調講演もありました。CITI関係の市川家國先生なども拝聴したかったです)、本日は厚生労働省医生局研究開発振興課治験推進室、室長補佐の福光剣氏による「臨床研究法制化」に関するお話を伺い、さらに「治療不同意への対応」についてのシンポジウムを聞くことができました。

「治療不同意への対応」というのは、末期がんの患者さん等の延命措置を中止してほしいと訴えるご家族にどのように対応するか、宗教上の理由により輸血を受けたくない方にはどのように説明すべきか、などの問題の取り扱いになります。

パネリストのお一人、宮崎大学医学部生命・医療倫理学分野教授の板井孝壱郎先生は、上記の対応のために、いわば「医療倫理コンサルタント」のチームが必要であると述べられ、宮崎大学の事例として病院内の「臨床倫理部」をご紹介になりました。

また、東京医科歯科大学生命倫理研究センター教授の吉田雅幸先生のご発表の中には、同病院HPにおいて、「宗教的要因による輸血拒否に対する当院の方針」が掲載されているというお話がありました。

(……こうやって、他の大学病院のHPを拝見すると、それぞれ個性があるなぁと思います。ちなみに、最近リニューアルされた東北大学病院のHPはこちら。「人にやさしく 未来をみつめる」がキャッチコピーです)

自分の講演の中で、今後の研究不正対応のための仕組みとしてNetwork of Research Integrity (NRI)のような組織があったら良いのでは、とお話しましたが、医療系ではすでに倫理委員会関係者の連携した組織があったのでした。研究不正は広い学術分野を扱うことになりますので、医療倫理以外を対象として同様の組織を立ち上げるのが良いのではないかと改めて強く思いました。また、その中で早急に扱うべき問題として、生データの保管の仕方やその期間、電子カルテのような生データ保管のシステムづくりなどがあると思います。

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by osumi1128 | 2015-02-14 15:38 | 科学技術政策 | Comments(0)

私たちは気が短くなっているのか?

研究者は論文を書くことが仕事です。大学院に進学したいといって訪問してくれる学生さんに、「<研究者>って何をする職業だと思う?」と聞くと、「えっと、実験をする人」という答えが返ってくることが圧倒的多数です。訪問者は大学の学部4年生だったり、修士1年生だったりするので、なんとなく「研究室」という職場を見て、ラボメンバーが実験しているから、そういう印象を持つのかもしれません。あるいは、理系の実習が実験を主体とすることが多いから、「大学で理系の先生=実験する人」と思っているのかもしれません。

でも、私は「研究者=論文を書く人」だと思っています。私たちが実験をするのは、「想像で論文を書く」のではなく、実データに基いて考察し、それを文字や図として発信するために行っているのであって、「実験のために実験をする」のではなく、「論文を書くために実験をしている」のです。

ですので、高校の出前授業などでは、「研究者は英語で論文を書くのですよ!」とお話します。すると、かなり聴衆がどよめきます(本当です。毎年、そういう経験をしています)。「理系だからといって、国語や英語を疎かにして良い訳ではありません」としっかり、生徒さんにも先生方にも伝えるようにしています。

理系の研究者は「編集者」に似ているなぁと思うこともあります。文字だけでなく、データをどのように図に表すかなとも必要な能力だからです。ちなみに、最近少なくなったかもしれませんが、「学者=本を書く人」だと思っています。本を書くためには、専門外まで含めて広く論文を読みこなして、より俯瞰的な文章にまとめあげることが大切ですね。

さて、研究者である私にとって、今年の年明け最初の論文投稿は1月12日でした。それが、予想より早く、昨晩、戻って来ました。より正確には、査読結果が電子メールで通知されて来ました。

最近の論文投稿はオンラインで行うプロセスです。かつては、ハードコピーの原稿を入れた国際郵便を出すために、24時間開いている中央郵便局に走ったものですが、今はオフィスから「クリック一発!」なので、若干味気ない気もします。

専門的な科学雑誌に投稿された論文は、編集サイドで不備が無いかどうか確認された後に、専門家(つまり、同じ分野の研究者)による「査読=評価」に回ります(商業誌の場合には編集サイドでの却下もありますが)。現在、生命科学系では、査読を引き受けた場合に与えられる猶予(査読期間)は、2週間というのが標準だと思います。なので、投稿から1ヶ月未満で査読結果が戻ってきてもおかしくないのですが、昨晩、感じたのは「昔よりずいぶん早くなったなぁ……」ということでした。

査読はお互いに「ボランティア」で行う(つまり報酬を得る訳ではない)ので、私自身も毎月数本の論文を査読します。査読者として「ここを改善すべき」などのコメントを戻したり(もちろん英語)、handling editorとして査読者を決めたり、お願いしたりするのですが、最近では(困ったことに)査読期間前にリマインドメールが届くは、締切過ぎたら催促が届くは、ということになっているのです。これらはシステム化されているので、自動的にメールが送られてくる設定になっている訳です。

この傾向の元になったのは、「競争が激しいから、少しでも早く論文発表したい」という研究者側の意向だったと思います。日本では年末から1月くらいまでの間は、学位申請にも関係して「駆け込み」の論文も多々あります。また、雑誌の側も「うちは査読期間が平均1.7週間です(エヘン!)」というように、査読期間が短いのはいいことだ、と宣伝に使います。なので、査読プロセスを早く早く……という傾向は止められない状態になっています。

しかしながらこのような「スピード・アップ」や「オート・リマインド」は、実は危険な要素も孕んでいます。短い期間で査読を行うことによって、細かいチェックが疎かになるかもしれません。きちんと読みこなさずに表面的に評価するために、論文の萌芽的な面白さや重要性が見落とされる可能性もあるでしょう。早く査読コメントを出して下さい、という編集サイドからのプレッシャーの元で査読を行うと、ネガティブな気持ちが評価に反映されてしまうことが無いでしょうか?

過日、学内で研究不正防止に関するセミナーを行った際に、生命科学系の査読期間が2週間〜4週間くらい(締切踏み倒したとして)と話したところ、数学分野の参加者が、「数学の査読は1年くらいかかりますね……」と言い放って、同じ理系でも遥かに異なる文化を持っていることに愕然としました。数学科のK先生にも確認しましたが、「へたすれば2年とかかかっちゃうことありますね。仕方ないじゃない」ということだったので、N=2ですが、たぶん本当なのだと思います。

「紙と鉛筆があればできる」数学と異なり、お金のかかるウェットな実験を主体とする生命科学分野では、1回の査読に1年もかかったら、それはそれで困ることになりますが、現在の状況は、ちょっと「追いまくられている感」が強いような気がします。

おそらく、いろいろなところで社会の動きは加速しているのだと思います。コンピュータの処理速度も早くなってくると、私たちはますます、ちょっとでもダウンロードが遅いと「イラっと」してしまいがちです。それを待っている間に、スマホに手を出して、何かの情報にアクセスしたいという気持ちになります。皆、気が短くなっているのです。

このような「気の短さ」は、もしかすると人間の「許容力」を下げているのではないでしょうか? 立ち止まって、ゆっくり考えてから判断せずに、反射的に気分で反応することが多くなってはいないでしょうか? 進化の過程でヒトが発達させたはずの前頭葉を駆使するのではなく、情動をもとに行動しがちな傾向に陥ってはいないでしょうか? 私たちが創りだした環境自体によって、私たちの思考パターンや行動様式が変化していくのに、私たち自身が追いついていないことが種々のストレスの元になっているように思われます。


……ていうようなブログを書いている間に、査読対応!!!

by osumi1128 | 2015-02-07 11:09 | 雑感 | Comments(2)

週刊ダイヤモンドにコラム連載開始です

今年から『週刊ダイヤモンド』誌にコラムを連載することになりました。『大人のための最先端理科』というコーナーで、宇宙、地球、脳科学、数学、生命科学について5名の執筆者が交代で担当します。

大人のための最先端理科

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私の担当は「生命科学」です。
初回は(2月になってしまいましたが)年が改まって最初なので、「初期化」のお話。

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by osumi1128 | 2015-02-01 13:32 | サイエンス | Comments(0)