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カフェ・モーツァルトのKlee's Coffee@川内萩ホール:カフェ化大作戦@東北大学

この3月から東北大学川内萩ホールに地元のカフェ・モーツァルトの5番めの支店、Klee's Coffeeがオープンしました!
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過日、総長お披露目の会があって、お相伴させて頂きました♬ 里見総長は病院長時代に大学病院内にタリーズ・コーヒーを入れて下さった方です。朝の7時のカンファレンスにコーヒーのポットサービスを出して頂いたり、年中無休の営業は本当に有り難いです。

萩ホールは、仙台フィルなども含めて、多数の催しが開かれるので、良いカフェがあれば……という希望はたくさんあったと思いますので、モーツァルトさんが入って下さったのは何より! 実は、オーナーさんがこの場所を一目見て気に入られたとのこと。追って図書館にもシアトルズ・ベスト・コーヒーが入る予定(4/6)。ぜひ、星陵地区にも、さらに本格的なカフェを希望します!(東北大学カフェ化委員会委員長より)
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この日頂いたのはパニーニのサンドイッチのセット。
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店内の雰囲気は例によって60年代バウハウス風。
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他のモーツァルトさんのお店よりも、ゆったりめの席になっています。モーツァルト・アトリエさんもテラスから広瀬川が見えて良いロケーションですが……
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実は、この窓の外には桜の樹が多数あって、見事な借景が期待されます。ベランダもあるようです。仙台の桜の開花予想は4月5日。お時間のある方はぜひ、訪れてみて下さい! 地下鉄東西線が開通すれば、国際センター駅からも程近いエリアです。
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【他の方のブログもご紹介しておきます】

by osumi1128 | 2015-03-29 19:23 | 東北大学 | Comments(0)

研究室の1コマ:顕微鏡とスマホ

良い解析方法を確立して、かけた時間に比例するデータが出るフェーズに入った学生さん。コンフォーカル顕微鏡でZスタックかけて1枚の画像を得るのに6分かかる。それを何十枚もひたすら繰り返すとのこと。ちょうど毎週の進捗状況報告ミーティングでそんな話になり……。


私:ところで、その6分の間、スマホとか見てないよね?ww
学生さん:(ギクッ)
助教さん:あれ? 電話かけたら繋がるよね……?ww
学生さん:あ、いや、そんなには……(ごにょごにょ)
私:どこかの大学で、授業中にスマホをいじなかったらポイントがたまる、というアプリを利用しているって聞いたことがあるけど……。
講師さん:共通機器室に行くときにスマホを大隅先生のところに置いていって、触らなかったご褒美に先生からコーヒーチケット出すっていうのはどう?
学生さん;それは嬉しいですが(笑)……いえ、そんなことをしなくても、大丈夫ですっ!
(あくまでブログネタとお考え下さいww)


私が大学院生の頃は、まだ顕微鏡撮影はディジタル化されていませんでした。暗室で蛍光顕微鏡のフィルム撮影をするのに、何種類か露光時間を変えて、長いときには10分以上、息を潜めていたことを思い出します。その間、暗い中でいろいろなことを考えました。うまく撮影できているかな、このデータの次には何を撮ろうかな……など。


19世紀の解剖学者のカハールは、生涯に260本もの論文(ほとんど単著)を書いた方ですが、当時は写真として撮影するのではなく、標本を単眼の光学顕微鏡で見ながらスケッチしたものを図として添えていました。カハールは美しい顕微鏡スケッチを何枚も描きながら、神経組織の成り立ちに思いを馳せていたことでしょう。そのときに考えたことが、そのまま論文のテキストにもなったかもしれません。


スマホは便利な道具です。私の生活は、もはやスマホ無しでは成り立ちません。スケジュール確認もすぐできないし、乗換えを調べることもできません。地図アプリを便りに訪問先までアクセスするのは日常的。Googleさんに問いかければ何でも教えてくれるし、Facebookにアクセスすれば、友人の今日の様子を垣間見ることができます。


でもきっと、スマホが利用できない、利用しない時間も大事にしなければならないのでしょうね。一日は誰にとっても24時間しかないので。




by osumi1128 | 2015-03-27 22:23 | サイエンス | Comments(0)

知の館、もうすぐ竣工(追記:竣工プレスリリース)

本日は学位伝達式、つまり学部の卒業式、大学院の修了式でした。式典には参加しませんでしたが、その動画がリアルタイムにはUSTREAM配信され、夕方には大学のHPに編集されてアップされていました。

今年、学部を卒業する学生さんの多くは、ちょうど4年前の東日本大震災のために入学式が中止されたり、学歴が始まるのが連休明けになったり、授業のための建物がプレハブだったりしました。そのことにも触れつつ、科学と社会の関係について、里見総長の告辞がとても良かったので、後で、テキストについてもリンクしておきます。卒業生、修了生の答辞も心に響くものがありました。もしお時間があれば、ぜひ、動画をご覧になって頂けると有り難いです。東北大学生がどのような気持ちでこの日を迎え、これからを生きていきたいと思っているかの一例と思います。

動画はこちら

あまりに人数が多いので、学位伝達式は代表の学生さんに学位記が渡され、その後、午後にそれぞれ、学位記授与式が開かれます。その間、こちらはラボセミナーやら会議やらがありましたが、片平キャンパスに新しく立てられた「知の館 House for Creativity」が竣工間近ということで内覧させて頂きました。
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ロビーは黒と赤が基調色。写っていませんが、コーヒーテーブルはイサム・ノグチのガラスのものでした。
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こちらはメインの講義室。70名ほどの座席数。小さめの会議に適していますね。
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ここは、ちょっとスペシャルな会議室。絨毯は東北大学のテーマカラーの紫でフカフカ(笑)。もっと調度品が入るのだと思いますが、この部屋は、ちょっとクラシックにしてあって、イメージとしては、オックスフォードやケンブリッジのカレッジ内の部屋でしょうか……。K先生の好みが反映されているかなと思いました。長期滞在頂く研究者のためのオフィスなども用意されています。宿泊は、道路を挟んだところにあるユニバーシティー・ハウス片平になります。

7月、8月、9月に、東北大学知のフォーラム「脳科学最前線 Frontiers of Brain Science」を開催しますが、その準備に追われている中、今日は、元学生さんの論文と、今学生さんのものと、2つ同時に受理されるという嬉しい日でした(毎日がこういう日ではありません……)。節目の年に、卒業する学生さんとともに祝うことになったことは何よりでした。

【追記】
4月8日付プレスリリース:

東北大学知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity)が竣工しました


by osumi1128 | 2015-03-26 00:20 | 東北大学 | Comments(0)

江戸時代の木製顕微鏡から最先端イメージングまで:GTCカバーアートより

先のエントリーで国立科学博物館(かはく)の企画展のことを取り上げましたが、関連情報をクリップしておきます。

インターネットミュージアム:

国産顕微鏡100年展 ~世界一に向けた国産顕微鏡のあゆみ~

江戸時代の木製顕微鏡は、間近で見ると本当に丁寧な細工がしてあって素敵だなと思っていたのですが……。
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それが使われていたカバーアートを思い出しました(正確には、本日参加していた研究発表会でリマインドされましたww)。日本分子生物学会のオフィシャル・ジャーナルであるGenes to Cellsの2014年12月号の表紙がこちら。
表紙:透明化試薬で目指す『続・解体新書』?
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こちらのカバーアートでは、杉田玄白先生の前に顕微鏡が置かれていますが、実は最先端の「透明化」技術の論文の内容がデザインされているのです。4匹のネズミのうち2匹が透明化されていて、その試薬が酒瓶のような器の中に入っています。玄白先生の衣装には透明化試薬の化学式(亀の子ですね)が描かれていたのには、指摘されるまで気づきませんでした!

論文はこちら。
Susaki EA et al., Cell, 2014

Whole-Brain Imaging with Single-Cell Resolution Using Chemical Cocktails and Computational Analysis


by osumi1128 | 2015-03-24 19:00 | サイエンス | Comments(0)

大アマゾン展&国産顕微鏡100年展@国立科学博物館

学会2つ(神経発生討論会@九大と解剖・生理合同大会@神戸)をハシゴして仙台に戻る前にも一つ東京で研究発表聞きますが(インプット過多は体に良くない……><)、その話の前に、先日、見てきた国立科学博物館の特別展と企画展のご紹介。

国立科学博物館(愛称:かはく)の評議員を仰せつかっているため、過日の会議の後に現在開催中の展示を拝見する機会を得ました。

大アマゾン展(特別展)
アマゾンに生息する種々の生き物の剥製、標本やビデオなどが展示されています。
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中には、水槽にリアルなお魚たちも……。
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生き物系のみならず、文化的な展示もあり。
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こちらは、酋長の飾り。アマゾンの派手な鳥の羽毛を活かした芸術品ですね。
思ったよりも女性の来場者が多い印象でした。
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圧巻だったのは、最後の方にある4Kの巨大モニタでのビデオ上映。たしか10分くらいかかるものでしたが、見応えたっぷり。4Kは凄いですね! 女優さんには辛いでしょうが(苦笑)、自然界の生き物や風景を鑑賞していると、そのリアルさ、というより、もしかすると、リアルよりも多い情報に圧倒されます……。
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公式サポーターは「さかなクン」です(笑)。とある場所で、さかなクンと2ショットも撮影できます!?
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とても、とてもお勧めです! 6月14日までです。

国産顕微鏡100年展(企画展)〜世界一に向けた国産顕微鏡のあゆみ〜

もう一つは、ちょっとマニアックかもしれませんが、昨年のノーベル化学賞が「超解像顕微鏡」であったこともあり、顕微鏡の常設展に加えての企画展が開催中。

かはくの建物は昭和初期くらいでしょうか、重厚で木の彫刻やステンドグラスが素敵なのですが、シンメトリーな建物中央の吹き抜けを活かして、初めての国産顕微鏡の拡大模型がどーんと展示されていました。
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古い木製の顕微鏡などの展示も常設部分にあります。自分が使ったことのある国産顕微鏡も展示されていて、懐かしく思いました。

それから、現在「地球館」がリニューアル工事中であるために、なんと皆さん大好きな恐竜の骨の展示などは、普段の場所から移して展示されており、むしろ近くで見られるというお得感!(笑)。
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最後は、外の鯨の大きな模型を眺めて下さいね〜♬ 記念撮影スポットでもあります。
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かはくはボランティアさんも活躍しています。広報誌は「milsil(ミルシル)」という名前。PDFは下記から落とせます。

Facebookページもあるので、是非フォローを♬(ちょうど表紙画像がクジラですね)

by osumi1128 | 2015-03-23 22:38 | サイエンス | Comments(0)

Farewell Party@拙宅150318

過日、本当に久しぶりに(正確に言うと、2011年の秋以来)ホームパーティーをしました。集まったのは、3月末でダブルディグリー・プログラムの1年を終えて帰国予定の大学院生Amandaさん、同じく修士課程を終える学生の植田さん、学振PDを終える酒寄さん、その他のラボメンバーやAmandaさんの友人の東北大学の外国人学生さんたち総勢15名くらい。男女比は6:4くらい。もちろん自宅に入りきる人数ではないので、建物内にある「オーナーズ・ルーム」を借りました。

記録のために、メニューは以下のとおり。
1)カリフラワーのマリネ
2)ブロッコリーのマンゴーソース合え
3)プチトマトのイタリアン
4)いかくんとセロリのサラダ
5)帆立と大根のサラダ
5)蓮根とシメジの梅合え
6)緑の野菜のオイル蒸し
7)菜の花のお寿司
8)真鯛の中華風刺し身
9)蒸鶏と胡瓜の胡麻風味
10)牛タン塩蒸し
11)豚のソテー柚子胡椒風味
12)バニラ・アイスクリームのベリー・ソース添え
その他:購入したスナック類以外に
13)お持たせのチーズ各種(桐生さんより)とパウンドケーキ(Amanda作)
14)泡、白ワイン、赤ワイン合計6本くらい(お持たせの日本酒に手を付けられず……)
15)コーヒー(スタバより調達)

とにかく、日頃、野菜が不足しがちと思しき学生さんに、野菜をたっぷり食べて頂くことが趣旨(笑)。だいたい、人数分くらいの品数を、普通のパーティーの倍量作ればよいかな、というラフな段取りで、一部は前日(1,9、12)、当日の午後(2〜5、7)、ゲストの横で作る(6,8、10、11)という進行でした。ホムパは久しぶりだし、大人数の会はなおのこと、うまくいくか緊張しましたが、ゲストが多数いる方がシェフに徹することができますね。
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思いの外、牛タン塩蒸し美味しかったので、レシピをお裾分け。
1)冷凍牛タン1本(今回は2 kgくらい)を冷蔵庫にて解凍(前日に済ませる)
2)肉汁を拭きとってから、粗塩と粗挽き胡椒を全面に馴染ませる。粗塩はゲランド産をお勧めします♬ だいたい2kgくらいは必要。牛タンの大きさと鍋の大きさによります。
3)牛タンが入る大きさで、直火可能な鍋(今回はル・クルーゼ)の底面に粗塩を敷き、その上に2)の牛タンを載せ、さらに全体を粗塩で覆う。塩の厚みがどの部分も最低1cmくらいになるように。
4)鍋を火にかけ、最初は強火、蒸気が出てきたら弱火にして約90分ほど加熱(牛タンの大きさによる)。
5)粗熱が取れたら牛タンを取り出し、さらに少し俎板の上に置いて、上からボールを被せて休ませる。
6)7-8 mm程度のスライスにしてお皿に盛り付ける。Bon Apetit!
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粗塩は、別に卵白などと混ぜあわせなくても加熱している間に、上の画像のように固まります。火を切ってしばらくおいている間に、牛タンが縮んで蓋が盛り上がってきた段階で取り出しました。味の決め手が粗塩なので、くれぐれも普通の精製塩を使わないように(笑)。カルシウム、マグネシウムの含有量の多い塩でないと旨味が感じられないでしょう。

オーナーズ・ルームは夜10時までなのですが、撤収に時間がかかってご迷惑をおかけしました……orz。このあたりのマニュアルを改善しないといけませんね。
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by osumi1128 | 2015-03-20 18:00 | 味わう | Comments(2)

ラボニュースレター3月号発行

先週、震災から4年めの節目を迎えましたが、週末からは国連防災世界会議で仙台市内は賑わっています。今回、天皇皇后両陛下はなんと、2泊3日の旅程で被災地ご訪問をなされました。国連事務総長のパン・ギムン氏が訪れたことも大きな話題でした。市内に青い「外」ナンバーの車を多数見かけたのは、16年前に仙台に来て初めてのことでした。

うちの研究室は今年1月半ばに同じ建物の9階から4階に引越をし、過日に同じフロアの方々をお招きしてLab Warming Partyを開きました。これから宜しくお願いします。

今年から研究室の折々のことをニュースレターにしてラボ内と元ラボメンバーに回しています。A4に表裏2ページの短いものですが、1月の間にどんなことがあったのかを振り返りつつ、向かう方向を見失わないようにしたいと思っています。「前へ!」というのは伝統ある明治大学ラグビー部のモットーだと、先日、同大学の男女共同参画シンポジウムで基調講演をさせて頂いた折に知りましたが、これからさらに「前へ!」行きたいという気持ちを新たにしました。巻頭言のようなメッセージを毎回、日本語・英語で載せていますが、そちらはラボのHPに掲載しています。
(今月分は追って掲載)
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by osumi1128 | 2015-03-16 22:36 | 雑感 | Comments(0)

研究業界を取り巻く過当競争の行方

本日のクローズアップ現代「論文不正は止められるのか〜始まった防止への取り組み〜」では、浅島誠先生がコメンテーターでした。ちょうど理事を務められる日本学術振興会の『科学の健全な発展のために』編集委員会の委員長をされ、昨年11月28日に暫定版が公表され、4月から文科省の新しいガイドラインの運用が開始するということを受けてのことと思います。

ハフポスト記事(2014.12.4付)
番組の中で浅島先生が「競争が厳しくなり、研究者にとって十分なポストが無い」ことを論文不正が生まれる背景として述べられていました。

種々の異論はあるかもしれませんが、競争が激しくなってきたことには実感があります。例えば、過日、研究科の外部評価の会が開かれたのですが、そのときに準備された資料の中に「ハイ・インパクト論文リスト」がありました。2年前の外部評価の際には、「インパクト・ファクター(IF)5以上」で100本くらいの論文を挙げていたものが、今回はIF=10で切ってリストを作った、という説明が為されていました。つまり、この2年の間でも、「よりハイ・インパクトな雑誌に論文を出そう」という機運が高まっているのだと思います。

繰り返し指摘されていることですが、本来、IFは「雑誌」の評価であって「論文」そのものの評価とは異なります。しかしながら、IFに代わる「簡単で研究に携わらない方でも調べられる客観的な指標」が出されないので(H指数や、ResearchGateのHGスコアなどもありますが)、高IF雑誌を目指す傾向には歯止めがかかりません……。

一方、世界の研究者人口は中国等の台頭もあり、急激に増加しているため、新たに刊行される雑誌の数も非常に増えています。もう、毎週、複数の新しい雑誌から、論文投稿しませんか、とか、Editorial Boardに入りませんか、というようなメールが(タダなので無差別に)わんさか届くのです……。そういう新しい低IF雑誌に掲載される多数の論文で高IF雑誌の論文が引用されることは間違いないので、ますます勝ち組の雑誌のIFは高くなり、そうでない雑誌はlong tailになっていく訳です。

今週号の週刊ダイヤモンド連載コラムで取り上げた「ES細胞」を作ったという報告は、1981年にNature誌に発表されましたが、たった3ページの論文でした。もちろん、紙媒体しか無い時代ですから、Extended Dataもありません。そこから30年の間に、Nature誌はLetterでもメインの図(1つが昔の4〜6個分!)が4つ、Extended Dataが10を超えることも珍しくありません(データが増えたことの背景には、図の作成がIT化して、簡単に図を組み合わせることができるようになったこともあります)。

生命科学の実験の多くは、手間暇かかるので、この分野はどうしても労働集約型になる傾向があります。世界中だれでも一日は24時間しかありませんから、一人の研究者が一定期間の間に得られるデータには限りがあり、競争に打ち勝ちながらハイインパクトの雑誌に論文を出そうとすると、人数が必要になります。また、解析手法にも多角的なものが求められますから、複数の研究室が協力しあう共同研究の必然性が生まれます。著者が2名の論文でも20名の論文でも、筆頭著者は原則1名なので、残りの研究者は(equally contributedという扱いもありますが)筆頭ではないことになります。

こういう環境になったことの影響は様々なところに表れていますが、ここではあまり多くの方が触れていないこととして、研究のビギナーが「論文を書く経験が圧倒的に足りなくなる」ことを指摘しておきたいと思います。論文はデータを紙芝居のように見せれば良いのではなく、「ストーリー」なので、やっぱり誰かが最初から最後まで書き通すことが一貫性を保つという意味で理想です。ビギナーが筆頭著者になる場合には(そうでなくても?)責任著者もストーリーを作ることに大きな貢献をします。メインデータ以外に貢献した研究者は、ライティングの際にどうしても補助的な役回りになることが多いのが実情でしょう。となると、1本の論文の著者が多くなるということは、本当の意味で研究者になる訓練を受けられる人が減ることを意味するのです。

研究所ならそれも致し方ないかもしれませんが、大学は人を育てる機関です。私自身は小さくてもしっかりとした論文をきちんと書き上げてもらうことが、研究キャリアの第一歩だと思っています。最初の1本の論文を出して学位を取るときに、ちゃんと論文を書いた経験の無い方が指導する側に回るということは、我々のコミュニティーの足元を危うくする可能性があるのではないでしょうか(もちろん、最初の論文は指導教授がほとんど書いても、それを横目で見ながら習得できる方も少数ながらおられるとは思います)。

この過当競争の行方はどうなるのか、根本的なところを変えないと、マニュアルを作って、処罰を作って、論文不正対策は、はい、おしまい、にはならないと危惧します。


by osumi1128 | 2015-03-10 23:40 | 科学技術政策 | Comments(0)

創造性のために:ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2015に登壇して

先々週末にノーベル・プライズ・ダイアログ東京2015という催しにパネリストとして参加しました。日本学術振興会とノーベル財団(正確にはノーベル・メディアABという組織)との共同主催によるもので、スゥエーデン国外では初めて東京で開催されました。(以下、文科省発表より)

本イベントは、2012年より毎年スウェーデンにおいてノーベル賞授賞式の時期に開催されている一般向けの公開シンポジウムである「Nobel Week Dialogue」をスウェーデン国外で初めて開催するものです。本イベントでは、学術に対する社会の関心・理解度を高め、学術の振興に寄与することを目的とし、国内外から招いたノーベル賞受賞者を含む著名な研究者や有識者が一堂に会し、学生や研究者を含む広く一般を対象として開催します。


山中先生は、iPS細胞研究のこれまでとこれから、について話されましたが、全体のテーマとしては生命科学、とくに「ゲノム科学」をどのように捉えるかというのが中心でした。
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自分の登壇したのは午後のパネル・ディスカッションで、これまた、3セッション同時進行、全6コマという盛りだくさんメニューの中で、「アジアにおける研究インターフェースの進展」というテーマで、田中耕一先生(「Dr.ではなくMr. Tanakaと読んで欲しい」としきりに仰っておられましたが)、浅島誠先生とご一緒でした。他のパネリストは、欧州研究会議の理事長を務められたHelga Nowotny博士と、現在東大准教授のBeate Heissig博士でした。Nowotny先生は午前中に科学と社会との関わりについてのトークもされました。
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田中先生から口火を切られて「これからは融合研究が大事。そのためには人材の多様性が重要」という趣旨のご発言をされ、さらに「私は漫画が好きなのですが……」と、日本独特の直感的な視点が、西洋科学と融合すべきというようなご意見を述べられていました。私はそれを受けて「どこまで<アジアの>ことについて話せるかは難しいのですが、女性の参画も多様性という意味で重要」ということと、「多様性のために皆がコミュニケーション手段として<英語>を使うが、そのことによって実は多様性が失われる危険がある」という指摘をしました。言語は思考を規定します。田中先生も「どうしても英語に翻訳できない日本語もある。そのような文化も大事」とのご意見。興味のある方は、どうぞ以下のサイトから、それぞれの動画を御覧ください。


ともあれ、思いの外、センスの良い全体ディレクションだったのは、ノーベル・メディアのノウハウも得てのことだったのでしょうか? 全体の司会をされたアダム・スミス博士の仕切りはさすがでした。彼は、ロンドン出身でオックスフォードで学んで、ポスドク後に自分のラボも持たれた方ですが、Nature Publishingを経て、ノーベル・メディアでの仕事にやりがいを感じて転身したという経歴の持ち主。こういう人材もノーベル賞を支えているのだと実感しました。

ちなみに、前日のレセプションのディナーで席が隣だったので、「とても有名な方と同じお名前ですよね?(微笑)」と訊いてみると、「あー、毎年、受賞者が決まって発表された直後に電話をかけて、HP掲載のためのインタビューのお願いをするのだけど、まぁ、生理学・医学賞の受賞者は普通に応対してくれるんだけど、経済学賞の受賞者のときは、私が名乗ると嘘だろうと思って電話を切られることがありましたね(笑)」とのことでした。そりゃー、アダム・スミスだものね……。
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前日にスゥエーデン大使館で開かれた関係者レセプションには、高窓宮妃もご出席でしたが、お言葉が無かったのはちょっと残念。ともあれ、国内外から合計7名ものノーベル賞受賞者を招いて気合の入ったイベントでした。ノーベル生理学・医学賞の発表でお顔は何度も拝見しているヨーラン・ハンソン博士に会えたのも感激。
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画像は本イベントの立役者でもある東大の宮園浩平先生、山中先生との記念の3ショット。

【追記】
本日、2回めの週刊ダイヤモンド連載記事が出ました!d0028322_21310861.jpg

by osumi1128 | 2015-03-09 20:32 | 科学技術政策 | Comments(0)

明治大学男女共同参画推進事業キックオフシンポジウム

本日は「国際女性デー」とのことで、Googleロゴマークもスペシャル版です。
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ちょうどその日に、文科省の支援を受けた明治大学の男女共同参画推進事業のキックオフシンポジウム「前へ! 明治大学における男女共同参画」(明治大学らしい!)で基調講演をするようにお声がけ頂きました。東北大学の男女共同参画をこれまで10年以上にわたって牽引されてこられた辻村みよ子先生からのご依頼ですので、これは断れません……。学長自らの開会のご挨拶、ご来賓としてJST執行取締役の渡辺美代子様、森まさこ前特命担当大臣のご来賓ご挨拶の後、私自身は東北大学の「3女子大学生入学」に始まる歴史と現状をお話させて頂きましたが、もう一人、文京区長の成澤廣修様からの基調講演が興味深かったので、こちらに残しておきます。
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成澤様は「初めて育休を取得した首長」というユニークな経歴をお持ちです。ご結婚後、ようやく授かったお子さんのために育休を取得したことが、結果として「首長が率先して男性の育児休暇を促進する」ことに繋がったと話されていましたが、「女性が<現状の>男性と同じ働き方をすることを目指した男女共同参画では、けっして社会は良くならない」という主張をされました。まったくそのとおりです。かつて「24時間働けますか?」というキャッチコピーがありましたが、今でも日本の残業時間数は世界一です。ようやく「片働き」が標準な家庭ではないように税制改革も為されるのでしょうが、まだまだ男女の給与格差も大きく、それは、主たる働き手は職場にすべてを捧げることを前提としているように見えます。
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また、パネルディスカッションの折に、人口学がご専門の明治大学附属明治高等学校・明治中学校校長の安蔵伸治先生は、現在日本で急激に進んでいる少子化を防ぐには、20代で第一子を出産するようになるべきと話されていました。現在の30代前半の給与が男性が420万円、女性が290万円であり、社会として子育てを支援する仕組みが必要なのだと思われます。実際、若手男性教員として登壇された農学部助教の出崎能丈さんは、「ポスドクを続けたり、任期制の教員などの不安定さが、結婚や子どもを持つことを阻んでいる」と話していました。

社会の意識を変えるというのは、そんなに簡単ではありません。でも、現実に、諸外国では「今日はボクが子どもをピックアップする日なので、じゃあね」と言って5時に帰る男性のAssistant/Associate/Full Professorは「普通」ですし、私よりも年上の年代の方でもそうでした。日本の方々が「働くのが好き」な割には効率が悪いのは、合理的な判断をしないからなのでしょうか……。

ともあれ、附属中学校・高等学校(しかも偏差値74という難関)を持つ大きな私立大学の明治大学さんは、種々の高大連携の仕組みも持っておられるようですから、そのような意味でも大学が推進する男女共同参画がうまくいくことを心からお祈りしています。世界には極端な父性的宗教に基づく国もあります。生物学的レベルでは、男女のゲノムは0.3%程度異なりますが、法の下の平等の精神と、異なることが素晴らしいというダイバーシティーの理念がうまく融合してほしいと思います。

【追記】
ちょうど、3月5日付でOECDからの報告書も出ていました。

by osumi1128 | 2015-03-08 18:47 | ロールモデル | Comments(0)