<   2015年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧

利根川先生と若い方たちのふれあい

東北大学知のフォーラム脳科学もいよいよ最後のイベントです。本日は国際シンポジウムでもご講演頂く利根川進先生によるパブリックトークがありました。私も前座の3題の講演の中で海馬の発生と神経新生についてお話をしましたが、拙ブログでは利根川先生のご講演後の若い方々による質問コーナーのことを取り上げます。
d0028322_18465486.jpg


今回、仙台市内の4つの高校と、東京学芸大学附属高校の生徒さんと、東北大学の医学部生と理学部、大学院生命科学研究科の学生さん、合わせて15名(男子9名、女子6名)に登壇頂いて、利根川先生に直接質問するという趣向にしました。

研究そのものについての質問は、例えば、iPS細胞は脳科学研究にどのように役立つでしょうか、記憶の書き換えは鬱やPTSDの治療に応用可能でしょうか? などもありましたが、研究の倫理的な側面についての質問もありました。利根川先生は、ヒトへの応用については慎重に考えるべき、動物愛護の精神も必要というお答えをされていました。

質問のために登壇した若い方々は、研究者志向の強いタイプだと思うのですが、キャリアパス的な観点の質問に対しては、良い研究者になるためには、楽観的であること、良いメンターを得ること、何を研究したいかをよく考えること、などが重要と話されました。とくに「独創も真似」(座右の銘でもあり)という言葉が印象的でした。ニュートンの「巨人の肩の上」というお話も引用されつつ、先人のアプローチや戦略を真似ることは重要とのこと。確かに「真似る」と「学ぶ」は、ともに「まねぶ」という言葉から派生したものであり、絵画なら模写、文学でも好きな作家の作品をまるごと書き写す(註:コピペではなく、タイプし直す、書き写す)というやり方がありますね。

「留学すべきか、国内に残るべきか」という質問については、分野にもよるだろうが、外に出てチャレンジすることは重要というお立場のようです。先生ご自身は、大学院から米国で過ごされました。とくに「若いうちに海外を経験すべき」とアドバイスされていました。

研究者と芸術家の類似点についても話されました。どちらも「creativityが重要」であり「好きなことを追求するのが基本」という意味において近いメンタリティーがあると私も思います。

「行き詰ったときにはどうするか?」という質問に対しては「寝て忘れる!」というアドバイスを。そういう行動パターンを取れる性格かどうかが大事なのかもしれませんね。確かに、寝ることは海馬の神経新生にもつながります。

お勧めの1冊としてはダーウィンの『種の起源』を真っ先に挙げられました。その次が『DNA二重らせん』でした。おっと、コーディネータとして「東北大学には『種の起源』の初版本が図書館に所蔵されています」というコメントを入れ損ねました!



今日の利根川先生とのひとときが、参加した皆さんにとって「特別なメモリー」になってくれたらと願っています。さて、明日からはいよいよ東北大学知のフォーラム脳科学の総集編とも言うべき
d0028322_18473183.jpg

画像は、イベント終了後に関係各位の集合写真です。お疲れさまでした♬ 追って読売新聞に報告記事と特集記事が掲載される予定です。
【おまけ】
d0028322_18522362.jpg
終了後も熱心に質問する東北大学の学生さん。
d0028322_18521072.jpg
こちらは母校の後輩たち。





by osumi1128 | 2015-09-27 18:48 | 若い方々へ | Comments(0)

ガールズ・トーク

第45回日本神経精神薬理学会・第37回日本生物学的精神医学回のシンポジウム「精神疾患関連遺伝子の生理機能について」で発表してきました。
d0028322_22335237.jpg
d0028322_22190588.jpg
こちら、実は「女性シンポジウム」という企画で、演者は皆、女性でした。

今から15年以上前に、日本分子生物学会で同様に、男女共同参画企画として女性オンリーのシンポジウムに呼ばれたことがありました。終わった後、発表した女性研究者で一緒に食事をしたときに、「女性だからって集められるのって嫌!」というような意見で一致したことを思い出します。当時は今よりずっと女性PIが少なかったので、このシンポジウムでトークをした研究者の専門はかなりかけ離れていて、「寄せ集められた感」が強かったということもあります。

それに比べると、今回は、言われなければ女性シンポジウムだとはわからなかったかもしれません。お互い関連のある研究で発表する側も楽しめましたし。この15年の間に少しずつではありますが、着実に女性研究者が増えてきたことは事実です。もっと裾野が広がれば、もっとトップも高いところに到達すると思います。

この打合せの夕食会を前日に行ったのですが、黒田公美先生が「女性4人のトークなんて、SATCみたいですね!」と仰って、急遽、自分の発表の際、ジョーク・スライドとして1枚加えました♬ 誰がキャリーで、誰がサマンサなのか……、は別として、ガールズ・トーク(?)で盛り上がったシンポジウムとなりました。「緑一点」だった座長の鍋島俊雄先生、ありがとうございました。
(画像はScreenCrushというサイトから借用させて頂きました♬)
d0028322_22333170.jpg
発表の後は、とんぼ返りして、学位記授与式が終わった博士課程修了学生さんと、論博を受理された共同研究者のお祝いをしました。
ラボFacebookをご笑覧あれ。

by osumi1128 | 2015-09-25 22:39 | ロールモデル | Comments(1)

サントリー美術館で曜変天目茶碗を観て

d0028322_22173122.jpg過日、東京出張の用務と用務の隙間でサントリー美術館の『藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美』を駆け足で観てきました。さすがに国宝。釉薬の美しさは鳥肌モノでした。個人的には、下さるというなら(←いつもの仮定のお楽しみ♬)、重文の大井戸茶碗「銘 蓬莱」よりも、小井戸茶碗の「銘 面影」が、ちょっと小ぶりで好きですね。繕ってある(金継)というのも、完璧でないモノにも美を見出す日本文化ならではの面白さがありますし。画像はこちらのサイトの33番めのものを御覧ください。

昔の掛け軸や屏風などを眺めながら、そういえば同じモチーフだったり、同じような構図だったりするものは多数あるなぁと思いました。琳派の「風神雷神図」は俵屋宗達→尾形光琳→酒井抱一と写されていますが、もっとマイナーなレベルで似ているものは多数あります。これは西洋美術でも同様ですね。キリスト教の宗教画で繰り返し描かれてきたエピソードは、受胎告知にせよ、聖母子像にせよ、どうしたって似てはいますが、それでもダ・ヴィンチはダ・ヴィンチだし、ボッティチェッリはボッティチェッリだし。

日本美術の「写し」という伝統で言えば、屏風絵を焼き物に写したり、あるいは着物にも写しがあります。もはや着るアートですね。たまたま見つけたこちらのHPのトップページに置いてある動画で、着物というフレームにどのように絵を描き、繕いや金泥などを施すのかが出ていたのでご参考まで。

ちなみに、サントリー美術館と同じフロアの雑貨屋さんというか、和デザインのお店は、日本通の外国人の方のお土産にお勧めです♬
d0028322_22202847.jpg
さすがミッドタウン、歩いているだけで素敵なディスプレイにインスパイアされます🎶
d0028322_22203858.jpg







by osumi1128 | 2015-09-21 22:20 | アート | Comments(0)

東北大学知のフォーラム脳科学「Memory & Mind」国際シンポジウム開催(9/28-29)

2年ほど前から準備してきた東北大学知のフォーラム脳科学Frontiers of Brain Scienceもいよいよ9月のイベント開催が迫りました。すでにご案内している市民公開講座(9/27)に続いて、28日からは国際シンポジウムが片平さくらホールにて開催されます。富山大学の井ノ口馨先生と本学の筒井健一郎先生のオーガナイズ。初日は利根川進先生、Richard Morris先生、Georg Nothhoff 先生、下條信輔先生、合原一幸先生などシニアな方が中心、2日目は若手の方を中心とした発表で、ポスター発表も予定されています。当日、聴講のための参加も可能。30日午前中は医学部第一講義室にて、元Neuronエディター(理研BSI)のCharles Yokoyama先生による論文書き方セミナーも! 皆様奮ってご参加下さい♬
d0028322_09470097.jpg
d0028322_09593216.jpg

by osumi1128 | 2015-09-19 10:00 | 東北大学 | Comments(0)

東北大学ゆかりの女性研究者#7:青木洋子先生

8月1日付で教授になられた青木洋子先生の記念祝賀会が過日、開催されました。東北大学医学部医学科としては4人めの女性教授ですが、同窓生として教授就任という意味では初めての快挙です。しかも、これまでの3名は皆、基礎医学系でしたが、青木洋子先生は「遺伝医療学分野」(研究科としては公衆衛生学専攻)で、東北大学病院の診療科として「遺伝科」の科長も兼担されるという意味において、臨床系で初の女性教授ということになります。(註:現時点でまだ古い情報が残っているようでした)

青木洋子先生は、ヌーナン症候群やコステロ症候群などの先天奇形と癌の好発を伴う疾患の原因遺伝子として、癌遺伝子Rasに関わる遺伝子変異を次々と明らかにして、「Rasオパチー(Rasシグナル原因遺伝病)」という概念を打ち立てることに多大な貢献を果たされました。病院では、多数の遺伝カウンセリングをこなすとともに、遺伝カウンセラーの育成にも邁進されています。

東北大学は創立1907年、日本で3番目の帝国大学として誕生しましたが、1913年に我が国で初めて、女子学生の入学を認めました。東北大学大学院・医学系研究科の歴史は、同窓会としては1872年を設立の年とし、さらにその源流という意味では1736年の仙台藩明倫養賢堂まで遡れるようですが、今年はちょうど、東北大学医学部という体制になって100年目にあたります。そのような節目に青木洋子先生が本学医学部卒業生として教授になられたことの意味はたいへん大きいと思います。あ、同級生でご主人の青木正志先生も、神経内科教授としてご活躍。ご夫婦でともに教授という意味でも初めてのケースです。ぜひ、これからの100年の発展のための良いロールモデルになって欲しいと願っています。

d0028322_22253689.jpg
記念講演会後の祝宴には下瀬川透研究科長、八重樫信生病院長はじめ多数のご来賓の先生方がご列席でした。
d0028322_11173809.jpg
祝宴の最後にご挨拶をされる青木洋子先生
d0028322_11180619.jpg
d0028322_11182569.jpg
分野や診療科を率いるリーダーとして、ますますのご活躍を!

by osumi1128 | 2015-09-17 11:18 | ロールモデル | Comments(0)

夢を叶える

昨日、東日本大震災からちょうど4年半という節目で、東北地方は今度は大雨による洪水・冠水等に見舞われました。仙台市が最終的に40万人のエリアに避難勧告を出したことは、その規模がいかに大きなものであったかを如実に示しています。地球の反対側からもお見舞いメールを頂きました。幸い、自分の周囲には甚大な被害を受けた方はありませんでしたが、医学部の講義室では雨漏りが発生したようです。朝から学部生は全面休講措置となりましたが、午後には雨は上がっていたので、大学院生や教員は平常業務に戻りました。公共交通機関には、東北新幹線を別として、大小の被害がありましたので、地域によっては移動が困難なところもあると思います。より甚大な水害に襲われた鬼怒川周囲の方々が、早く日常に戻れるよう、心からお祈り申し上げます。

4年半という節目は、米国にとってはニューヨークの同時多発テロ事件から17年目という日でもありました。どのくらい経てば記憶が薄れるのか想像できないのですが、洪水の映像は津波の状況に似ていて、きっと辛い記憶を思い出してしまった方もいるのではと思います。……前を向くために、もっと昔のことを思い出してみます。

*****
先日、自分の年齢の3分の1くらいの、とても若い方とご一緒する機会があって、楽しい時間を過ごしたのですが、その折に「将来の夢」という話題になりました。

自分のことを振り返ってみると、小学生時代にはTV番組の影響で「スチュワーデス(今で言うキャビン・アテンダント)」に憧れたことがありました。「英語を使って仕事をする」ように思えたのがカッコ良かったのでしょう。でも、現在の仕事は日常的に英語を使っています。同じ頃、「アナウンサー」もやってみたかった。実際に、リトル・リーグの試合のアナウンス(「何ばーん、何々君、ピッチャー」などというあれ、ですね)もしたことがありますが、講義や講演は似ている面もありますね。放課後のお稽古事の一つに「お絵かき」がありましたが、描く才能はまったく無く、それは大学の専門課程での「組織標本スケッチ」でも嫌というほど思い知らされましたが、絵を観ること、分析するトレーニングになりました。

中学生くらいの憧れの職業としては「建築家」というのもあったのですが、これは構想計算をするのは嫌い、と思って消滅。でも、建築を観るのは今でもとても大好きです。1年生から生徒会の書記をしていたことは、議事録を作るスキルに活かされました。生徒会の会長選挙にも2回立候補し、2回目で当選。最初のスローガンが「生徒の、生徒による、生徒のための生徒会」で、次のが「トランスペアレントな生徒会」でした。標語を作ったりすることは、今なら新しい組織の名称やロゴマーク作成に当たりますね。

高校では「料亭の女将」が面白いと思ったのですが、今は研究室の女将を務めています。ちなみに、文化祭委員をしていましたが、学会やシンポジウムの企画・運営などにそのスキルが繋がっています。かなり好きだったのは「雑誌の編集者」。これはまさに、論文原稿作成と重なるセンスやテクニックがあるのではと思っていますし、広報室用務には役立ちました。「お絵かき」と結びつく面もありますね。

なので、若い方は「何になりたいのか、決められない!」と迷って構わないのだと思います。そのために集めた情報や努力したことが、後になって活かされることも多い。また、惹かれるものは、その方の性格を形作り、どんな職業に就いていたとしても、それがその方の「個性」になります。ただし、どんなことでも「仕事」として行うには、子ども時代のレベルでは勤まらないし、毎日積み重ねる努力が必要。

もう一度、その歳に戻れたら、私は何をしたいのか想像するのも楽しいですね。そんな若い方が夢を持てるような社会を作らなければならないと改めて思います。



by osumi1128 | 2015-09-12 13:22 | 若い方々へ | Comments(0)

映画『Inside Out』を観て考えた科学リテラシー

気温16℃のロンドンから直行便で26℃の羽田へ、そして仙台は20℃。今回の出張は、東北大学とリヨン大学他との連携によるELyT Schoolでの講義に他の訪問を合わせて、5泊7日でパリ、リヨン、ロンドンの3都市を周るというものだった。ロンドンはUniversity College Londonの先生方と、国際共同大学院のための打合せを行って、比較的感触は良かったのだけど、まだ何か公表できる段階ではない(興味のある方は、どうぞ個別にお問合せ下さい)。

帰路はロンドン―羽田の直行の夜便。同行の国際交流支援室の先生はANA便で、同じ時刻に出発だったので、お互いに同じ便だと思いこんでいたら、私の方はJALでターミナルが違っていた(苦笑)。ともあれ、「今公開されているInside Out(邦題はインサイド・ヘッド)という映画が面白いから、ぜひ観て下さい」と言われていたので、帰路の機上で2回観た(笑)。なぜ2回かというと、字幕日本語の英語バージョンと日本語バージョン。その違いも含め、内容がとても興味深かったので記しておく。(画像はGigazineの2014年10月3日付記事にあったものを転載させて頂きます)
d0028322_20282104.png
ディズニーとピクサーによるアニメーション映画であるInside Outの主人公は、ライリーという11歳の女の子、というよりは、彼女の頭の中にある「感情」を擬人化したキャラクターたち。中でもJoy(字幕や日本語版ではヨロコビ)がいわば裏ヒロインなのだが、その他にSadness(カナシミ)、Fear(ビビリ)、Disgust(ムカムカ)、Anger(イカリ)というキャラクターがいる。物語は、ライリーの生まれたばかりの頃、まだ、JoyとSadnessしかいなかった時代から始まる。徐々に感情が複雑に分化し、思春期を迎えたライリーが、ミネソタからサンフランシスコへの一家の引越しに伴って、落ち込んだり複雑な気持ちになったところから回復する過程が描かれている。一見、ネガティブな役割しか無いように思えるSadnessが、ナイスプレーをするところが盛り上がる最大ポイント。

もちろん、ディズニー映画であるから、困難の末のハッピーエンドが待っているし、家族愛など外せないテーマが通奏低音になっているので、子どもたちだけでなく、どんな世代の方でも安心して観られる作品だ。ピクサーのアニメーションのさらなる進化を堪能することも可能(ライリーの髪の毛、ライリーの想像上の生き物Bing Bongの体などの質感や、微妙な動作の人間らしさが際立っていた)。脳科学を研究対象とする私にとっては、さらに興味深い内容だった。

物語の中で、「記憶」は一つ一つが小さなボールとして表され、楽しい記憶には黄色、悲しい記憶は青、怒りは赤などの色が付いている。その記憶は眠りの間に整理されて、headquarter(司令部)からlong-term memory(長期記憶)に運ばれるモノとそうでないものに選り分けられる。中でもcore memory(大事な記憶)のパワーでfamily island、friendship island、hockey island(ライリーはホッケーのチームに入っている)などの「島」が活性化し、それらの「島」の集合がライリーのパーソナリティーを形成している、という設定になっている。ストーリでは、引越し後のトラブルでライリーと家族や友達との絆の危機が訪れ、「島」が崩れていく様子は、非常に心を揺さぶられるものであった。

また、長期記憶として貯蔵されたボールの中で、必要ないものは記憶の捨て場所に捨てられる(電話番号は携帯に登録したから大丈夫、米国の大統領はワシントンとリンカーンだけ覚えて入れば良いなど)。今までの経験で怖かったモノなどは「潜在意識」のエリアに格納されている、寝ている間は「思考」の列車が走らない、「夢」の作られ方、「抽象化」の表し方など、とても興味深いものだった。概ね、現在の脳科学で合意されている捉え方に則っており、アニメーションとしての具現化に際してツッコミ処はあるにせよ、子どもたちがこういう映画で、心をかたち作る脳の働きや、それがどんな風にしてできているのか、できてきたのかなどに興味を持ってくれたらいいなと思った。

残念だったのは、英語バージョンと日本語バージョンを比較すると、英語ではlong-term memoryなど、専門用語をそのまま使っているのに、日本語では「記憶の貯蔵庫」などの非専門用語に言い換えているケースが多かったこと。とくに、字幕よりも台詞の方にその傾向が著しかったのは、耳にしてすぐに理解できないと良くないと思われたのだろう。だが、こういう「科学」の入り口になるような内容の場合には、あえて専門用語を残すことも考えてもらえたらと思った。子どもが「長期記憶って何?」と訊かれた親が答えてあげたり、「一緒に調べてみようか?」とインターネットで検索することに繋がる方が、次世代の科学リテラシー向上のためにはずっと素晴らしいように思える。逆の言い方をすれば、このような点でも、英語圏の子どもたちと、日本語で育つ子どもたちの間に、科学リテラシーのギャップが生じてしまうのだ。子どもは面白いと思えば、ミクロパキュケファロサウルスのような難しい恐竜の名前だって簡単に記憶できる。しばらく使わなくて忘れてしまった言葉も、後で呼び起こすことも可能だ。大人になってから新しく覚えるよりも飲み込みが早いだろう。

ちなみに、原題のInside Outには、もともと「裏返し・あべこべ」という意味があるのだが(これはこれで、思春期の子どもの混乱した感情を表す)、邦題の「インサイド・ヘッド」のように「脳の内側でどんなことが行われているのか外に表してみた」という意味も持たせている。さらに、一言も触れられてはいないが、原題にはちょっとした洒落が入れてある(と、筆者は思う)。実は、長期記憶が貯蔵されているとされる大脳皮質の発生過程におけるでき方は、脳の内側から順に外側に神経細胞が積み上がっていくのでInside-out patternと呼ばれるのだ。これは、大学学部か大学院レベルの専門用語だが、この映画を子どものときに観た方が大人になって、神経発生の基礎を学んだときに「あ! あの昔、観た映画のタイトルと同じだ!」と気づいたりしたら、どんなに素敵なことだろう。ともあれ、この映画、9月末の市民公開講座(下記参照)のネタとして使わせてもらいます♬ 

d0028322_00594958.jpg【加筆】
ディズニームービーブックも出ています!
映画を見てから読んでも、読んでから観ても、さらに感動できます♬

d0028322_20504353.jpg
【追記】
この「思い出ボールmemory spheres」のアイディアって、Brainbowの画像を観て思いついたのではないかしらん? という閃き?を得ました。これはマウスの海馬(短期記憶が蓄えられるところ)にBrainbowというテクニックを応用したもの。隣同士の細胞がほぼ異なる色で標識されるので、1つ1つの神経細胞を区別できるというのが味噌。ハーバード大学のJeff Lichtman先生のところで開発されました。Jeffのジョークは「実際に研究役立つよりも、PCの壁紙に使われることが多いww」
詳しくはWikipedia先生を参照。
d0028322_09364168.jpg

by osumi1128 | 2015-09-06 20:52 | 科学 コミュニケーション | Comments(1)

旅は科学に似ている(+初めてのユーロスター)

旅は科学に似ている
とくに、知らない土地で、馴染みのない言葉が溢れているとき
進むべきルートを探索しなければならないとき
多数の情報の中からルールを見出し、それを演繹して解を見出すとき
タスクが困難であればあるほど、達成感も大きい
科学する営みが旅に似ているのかもしれない

*****
念願だったユーロスターでの移動を達成しました。本当はリヨンからはもっと乗り換えの楽なルートがあったのですが、それに気づいたのはRail Europeのオンライン予約をした後。パリとリヨンの往復を予約してしまってから、パリーロンドンのユーロスター予約を入れたというのが間違いでした。ユーロスターの始発は同じパリといってもGare de Nord(北駅)であり、リヨンからのTGVが到着する駅はGare de Lyonという駅で、地下鉄のDラインで2駅離れているのです。

ネットで検索すると、乗り換えには多めに時間を見越すべき、北駅ではフランスの出国審査、英国の入国審査、セキュリティーチェックがあって、ヘタすると間に合わない! などの情報があって心配になり、Rail Europeにメールで問合せてみたのですが、TGVの方が変更不可のチケットで予約をしてしまっていたので、現地に着いてからユーロスターの時間変更を勧められました(日本人の方がメールでやりとりして下さいました)。でも、パリからリヨンに行くときに、パリのリヨン駅(←ややこしいww リヨンの駅はGare de Lyon Part Dieu)で訊いてみると「普通なら十分間に合いますね」とのことだったので、とりあえず、リヨンに行く前にパリのリヨン駅を探索して、TGV降りてから地下鉄へのルートを通って回りの景色などをインプット。方向感覚が悪いので「景色」で覚えるタイプです。ここは「見た、通過した」か「見てない、通ってない」という、時間軸に画像が並んで記憶が焼き付けられる感覚。とにかく、フランスはまだまだ英語表記は少ないし、通行人に英語で質問しても仏語で返答されてわからなかったりするし、種々アドベンチャーです。

でもって2日後の本日、記憶が残っているか試すチャンスとなりました。リヨンを10:04に出て、パリのリヨン駅に12:07に到着。記憶は残っており、ほぼ無駄な動きはせずに地下鉄の乗り換えも行えて、北駅には12:30前に到着。そこからは未知の世界で、見つけたインフォーメーションのブースで「ユーロスターでロンドンに行きたいのですが……」と訊いて「そこから出て、まっすぐ行くと改札があります」という言葉を頼りに、無事にユーロスターの駅に移動。出国審査の後、すぐに入国審査があり(これから出発なのに入国審査なのが、不思議な感覚)、オフィサーからのお決まりの質問(何日いるのか、目的は、どこに行くのか、などなど……)に答えて、簡単なセキュリティー・チェックを受けて、出発ロビーに移動。乗車は30分前くらいから開始され、無事に13:13発のユーロスターに乗りました!

いつ頃、トンネルに入るのかな……と楽しみにしている間に寝落ちしてしまい、ドーバー海峡の下をくぐっているという感動に浸ることができなかったのが、ちと残念。次回再チャレンジします! ともあれ、巨大なヒースロー空港を避けて、直接、ロンドンのパンクラス駅まで到着するのは、やってみると本当に便利で有難いです。ちなみに、ユーロスターはベルギーにも繋がっているので、来年のブリュッセル出張のときも利用するかもしれません。
d0028322_01390559.jpg


by osumi1128 | 2015-09-04 01:40 | 旅の思い出 | Comments(1)