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モーザー先生のご講演とノルウェー科学大学との連携

東北大学知のフォーラム脳科学は、当初7月、8月、9月に国際シンポジウムを行い、さらに関連したワークショップやセミナーを催しましたが、飛び込みで、11月25日〜27日に、ノルウェー科学技術大学(NTNU)のMenno Witter先生と東北大学の飯島敏夫先生がオーガナイズされ、Edvard Moser先生を基調講演にお呼びして、ジョイントのミーティング「Joy of Brain Science」が開催されました。
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2014年のノーベル生理学・医学賞受賞者であるMoser先生の講演には、おそらく300名ほどの教員・学生が集まったと思います。場所細胞を発見したO'Keefe先生のところに短期留学したことが一つの転機だった訳ですが、場所細胞はどこから入力を受けるのか、という疑問がグリッド細胞の発見につながりました。ちょうど奥様のMay-Britt先生の講演をシカゴで聴いたところだったので、話の中身はほどんど同じでも、異なるイントロやトピックの取り上げ方、話し方やパフォーマンスの違いが興味深いと思いました。時間の関係もあったと思うのですが、May-Brittの話したグリッド細胞の発生起源については割愛されたのが残念。
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NTNUからも20名ほどの研究者が参加していたので、懇親会で訊いてみると、「外回りの講演はEdvardが行っていて、留守中もラボを面倒見ているのはMay-Brittの方。彼女は人と人を繋げるのが上手だから」というようなコメントが返ってきました。私には、May-Brittの方が「トンでる」感じがあるように思えました。
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Witter先生やMoserご夫妻の所属されているのはKavli Institute for Systems Neuroscience/Center for Neural Computationといって、Kavli財団が冠になっています。PIが6名程度の小さな研究所ですが、Kavli財団の他にもちろん大学からも支援されており、さらに研究費は国から出ています。Kavliの神経科学関係では他に、US San Diego、Yale大学、Columbia大学に同様な冠研究所が設置されているようです。さらに拡充の計画もあるとのこと。
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Witter先生は飯島先生とたいへん懇意なため、この数年の間、毎年のように集中講義に来ていただいています。このような活動をベースに、さらに国際共同大学院のフレームワークにおける連携に進めることができればと思っています。飯島研究室の皆様は総出でジョイント・ミーティングの準備にあたられ、本当にお疲れさまでした。お世話になりありがとうございました。

画像は、懇親会の折に撮って頂いたMoser先生を囲んだグループフォト。追って全体集合写真も掲載します。
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【ノルウェー関連拙ブログ記事】
【その他】


by osumi1128 | 2015-11-28 23:16 | サイエンス | Comments(0)

大人のための最先端理科第45回:DNA修復

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by osumi1128 | 2015-11-25 12:25 | サイエンス | Comments(0)

脳と脂質:母親の偏った多価不飽和脂肪酸摂取は仔マウスの脳形成不全と過剰な不安を引き起こす

10月10日にアクセプトされた論文がStem Cell誌にオンライン掲載されるのに合わせて、大学からプレスリリースして頂きました。脂質脳科学、妊娠期の栄養の重要性などの観点から、拙ブログにも紹介しておきます。

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過日も紹介したDOHaD仮説ですが、病気の原因が胎児期に遡るということが最初に気づかれたのは、第二次世界大戦中のオランダの大飢饉の後に生まれた30万人の追跡調査によります。胎児の時期に極端な低栄養で育った方が、成人になってから肥満が多いという疫学的なデータが得られたのです。別のイギリスの結果からは、新生児死亡率の高い地域では、その数十年後の心臓病患者数が有意に多いということもわかり、これらがDevelopmental Origin of Health and Disease(DOHaD)仮説の根拠となりました。オランダのコホート研究ではさらに、胎児期に低栄養だった集団では、統合失調症の発症率が2倍程度に上昇していることが示され、同様の結果は中国の事例でも認められました。つまり、DOHaD仮説は成人病だけでなく、精神疾患にも当てはまるということになります。

脳は脂っぽい組織です。乾燥重量の約65%が脂質です。これは脳の細胞に突起が多いことや、さらに髄鞘形成などが生じているからであり、リン脂質二重層から成る細胞膜成分が多いことに起因します。中でも、ドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸(ARA)などの高度不飽和脂肪酸が多いことが知られています。私たちはこれまでより、神経幹細胞の増殖や分化に、DHAやARAが重要な働きをしていることを見出してきました。また、これらの脂肪酸と細胞内で結合する脂肪酸結合タンパク質の重要性についても報告しています。

今回は、特定の脂肪酸の効果という観点ではなく、DHAの元になるオメガ3系とARAの元になるオメガ6系の脂肪酸の「バランス」に着目し、マウス胎仔の脳の発生発達や、その後、成体になってからの不安行動について調べることになりました。というのは、現在、オメガ3系の脂質を含む青魚などの摂取がどんどん低下し、一方でオメガ6系の植物油を使うことの多い揚げ物やマヨネーズなどの摂取は増加しているために、オメガ6過多/オメガ3不足の状態が懸念されるからです。

母マウスの妊娠1週間前から、普通餌もしくはオメガ6過多/オメガ3不足餌を与え、仔マウスの脳構築を調べると、ニューロンの産生が盛んな胎生中期からグリア細胞の産生が前倒しに始まってしまい、結果としてニューロンの産生が減少してしまうことがわかりました。この効果は、確かにオメガ6とオメガ3脂肪酸のバランスによるものであることを、オメガ6系の脂肪酸をオメガ3系の脂肪酸に変換できるFat-1トランスジェニックマウスを用いて確認しました。ニューロンの中でもとくに、精緻な神経機能に重要と考えられる、遅生まれの浅層ニューロン数が減っていました。

この原因について、理化学研究所の有田誠先生との共同研究によりリピドミクス解析をして頂き、オメガ6系のエポキシ代謝物が増加し、逆にオメガ3系のエポキシ代謝物が減少していることがわかったので、in vitroで神経幹細胞を用いて、これらのエポキシ代謝物の影響を調べると、確かに、増加していたオメガ6系のエポキシ代謝物はグリア細胞の分化を誘導し、減少していたオメガ3系のエポキシ代謝物はニューロンの分化を誘導することがわかりました。

このような脳構築期の脂質栄養のアンバランスが、その後どのような影響をもたらすかについて、生後10日目以降は普通の餌で飼育して成体になってから解析を行うと、オメガ6過多/オメガ3不足餌で飼育された母獣から生まれた仔マウスでは、不安行動が増加していることが認められました。この結果は、胎児期の脂質栄養の偏りが情動に影響を与えるという点において、DOHaD仮説に合致したものと言えます。

かつて、動物性の脂はコレステロールが多いので良くないのに対して、植物性の油は健康に良いと見なされてきた時代があったと思いますが、揚げ物やマヨネーズに使われるコーン油、大豆油などは実はオメガ6系の脂質を多く含みます。三食、からあげクンとフライドポテトを食べる方はいないかもしれませんが、妊娠期には良い脂質を摂取することが子どものこころの発達にも大事であると思われます。

本研究には、上記に挙げたリピドミクスの有田先生以外にも、餌の供給に関して、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のSheila Innis先生、Fat-1マウスの提供として米国ハーバード大学のJing Kang先生、代謝状態の解析に東北大学糖尿病代謝科の片桐秀樹先生、脂肪酸分析に関してサントリーウエルネス(株)健康科学研究所の柴田浩志様など、国内外の多数の研究者にご協力を頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。そして、何より、本研究の考案から遂行まで数年にわたって研究を続けてきた筆頭著者の酒寄信幸さん(現福島医科大学)、投稿先に合わせて何度も書き換えたり、リバイスのための実験も含め、大変な困難をよく乗り越えたと思います。おめでとう! また、協力して支えて下さったラボメンバーの皆さんと、本研究のために犠牲になった合計612匹のマウスに心から感謝致します。

【メディア記事】
2NN:

【神経発生学】妊娠マウスの偏った多価不飽和脂肪酸摂取は仔マウスの脳形成不全とと過剰な不安を引き起こす/東北大など[11/19]





by osumi1128 | 2015-11-21 10:26 | サイエンス | Comments(0)

霧島に行ってきました

過日、第37回神経組織培養研究会に呼ばれて講演しに霧島まで行きました。なにせ名前が「大隅」ですから、鹿児島にはご縁があります。

こういう研究会は土日に行われることも多く、裁量労働制の身としては休日が無いことになりますが、お座敷のお声がかかる間は有難く出かけさせて頂いています。今回も、ずっと以前に参加していた研究会で、世話人の武田泰生先生@鹿児島大学からのご依頼で、研究会代表の水澤英洋先生@国立精神・神経医療研究センターや、世話人の渡部和彦先生@東京都医学研、岡澤均先生@医科歯科、竹居光太郎先生@横浜市大、武内恒成先生@愛知医大などにもお目にかかれて懐かしい限りでした。武田先生のご所属先の鹿児島大学薬剤部の皆様には大変にお世話になりありがとうございました。
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霧島は霧と温泉からの湯煙に森が島のように浮かぶことから付けられた名前とのこと。
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晴れると桜島が望めます。

日曜日のお昼までの会でしたので、その後、みなさんと霧島神宮などに参拝して、さらに是非行きたいと思っていた霧島アートの森に、武田先生のところの池田准教授に連れて行って頂きました♬
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屋外アートの現代美術館です。誰が見てもすぐわかる草間彌生氏の作品は、こちらの他に、室内にも。
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ちょうど屋内では藤浩志氏の特別展が開催中でした。「ちゅ〜 超藝術學校 あしたかえるつもり」というタイトル。
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この一番上に載っている(見えない?)ネズミが校長先生という設定。ポスターにも使われていた下の作品は、捨てられたおもちゃなどを集めて作られたもの。「持って帰ってもいい」らしい。こちらのプロジェクト「かえっこ」の一貫のようです。


数年前に1トン(!)のお米を炊いて作った数万匹?のカエルの「再利用」のアートなどもありました。
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外の広い庭園は子どもが遊ぶのには持ってこい。
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現代アートは馴染みがないという池田先生に、「なんでも大きくすると現代アートになったりするんですよ!」とフクヘンこと鈴木芳雄さんの受け売りで伝えました♬

霧島アートの森は、ちょうどこちらのフクヘンさんが対談しているサイトがわかりやすいでしょう。
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さらに、近くの会場で開催されていた「チェーンソーアート」なども見てきました。
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さらに、空港まで送って頂く間に、日本名水百選にも選ばれている丸池湧水にも寄って下さいました。水が本当に澄んでいました!
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霧島、素敵でした。次回は天孫降臨の地を訪れないと。

by osumi1128 | 2015-11-15 20:15 | 旅の思い出 | Comments(0)

お知らせ:11月25日にモーザー先生(2014年ノーベル賞授賞)のご講演があります。

速報です! 東北大学知のフォーラム脳科学の追加イベントが今月末に開催。追って詳細お知らせ致します。
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by osumi1128 | 2015-11-05 09:19 | 東北大学 | Comments(0)

奈良女子大、ATR、サントリー・ワールド・リサーチ・センター訪問

先週は関西出張でした。奈良女子大学の井上裕康先生のお招きにより、「分子食品学特論」の枠で時間にして90分X5コマ分の集中講義をさせて頂きました。奈良女子大は初めてキャンパスに入りましたが、歴史と伝統のある女子大で、正門から正面の建物は重要文化財とのこと。映画のロケにも使われたらしい。集中講義は女子大学院生が対象でしたので、普段、男性の多い環境にいる身として最初はちょっと緊張しました(笑)。「脳の発生発達・神経新生と脂質」についての研究紹介に加えて、キャリアパス談義的なものも入れました。
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お土産に、奈良女子大創立百周年記念のワインとスイーツを頂きました♬
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2日目、午前中に講義を終えた後、正倉院展に後ろ髪を引かれつつ、タクシー飛ばしてATR脳情報通信総合研究所へ。ちょうどオープンハウスのご連絡を頂いていたので、所長の川人光男先生のところを表敬訪問しました。過日の学術会議市民公開講座でもお話を伺ったばかりですが、Decorded NeuroFeadback(DecNef)法の精神疾患等への応用について期待が持たれます。
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そのあとERATO研究総括の佐藤匠徳先生のラボに伺いました。ご友人の方がインテリアデザインをされたとのことで、「普通ではない」オフィススペースに感動。佐藤Tom先生はPhDから米国で過ごされたことも雰囲気に影響しているのでしょう。壁が特殊な仕上げになっていて、直にホワイトボード用のマーカーが使えるのも良い(確か、喜連川先生のオフィスもそうでした)。ラボスペースも、表面が木になっていて暖かみがありました。
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Tom先生とはリアルにお目にかかるの初めてだと思っていたら、実は故梅園和彦さんの十回忌のときにお会いしていたらしい……(ごめんなさい……orz)。
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書を習っておられるとのことで、自作の前でパチリ。私もかつてはお習字得意で、高校時代に書道選択だったのですが……ww

さらにその後、大きく言えば3ブロック?くらいの距離にあるサントリー・ワールド・リサーチ・センターにも伺いました。サントリーウエルネス健康科学研究所さんとはこの10年ほど、共同研究をさせて頂いているのですが、この6月に研究所がこの学研都市のエリアに移ってこられたのでした。
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そういえば、折しも大阪バイオサイエンス研究所からサントリー生命科学財団生物有機科学研究所の所長になられた中西重忠先生が、文化勲章を授与されたところでした。おめでたさに弾みがついた感じですね。

という訳で、駆け足での訪問でしたが、皆様、益々のご発展を!

by osumi1128 | 2015-11-04 19:16 | サイエンス | Comments(0)