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名古屋大学の女性研究者育成に学ぶ

過日、学内の多元物質研究所の男女共同参画セミナーがあり、パネリストとして招かれたのでお邪魔してきた。基調講演の講師は、名古屋大学大学院理学研究科の森郁恵先生で、名大が「女性限定公募」を行ったことにより、良い効果があったこと、リーディング大学院プログラムの中に「女性リーダー育成」を位置づけ、毎年「女性が9割、男性1割」の合宿を行ったこと、学童保育、単身赴任等の問題が次々と浮かび上がり、それを1つずつ解決していったこと、などを語られた。現時点で、名大理学部の女性教員は18名、29%とのこと(まぁ、欧米なら普通か、まだ少ないくらいです)。「逆差別ではないか」とよく言われる「女性限定公募」について、良い面の方が多かったと言い切っておられた。
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名古屋大学は、工学部よりも理学部が強い大学だからこそ、という面もあると思われる。森先生曰く、「女性が入って来たことによって、変革が進んだ」とのこと。(世の中には、「変革を望まないから、女性に入ってきてほしくない」という組織も多いだろう) 合宿は子連れOKにしているので、女子大学院生にとって、子どもを持つことのの疑似体験になったり、男性が「マイノリティ」としての気持ちを味わって、理解を深めるなどの効果があるとのこと。
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最後は、森先生の後に採用された女性神経科学者とともに、「世界拠点」の概算要求を通したというお話。名古屋大学ゆかりの郷通子先生のところに相談しに行った際、「女性でこういう相談に来たのは初めて」と言われたという。
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パネル・ディスカッションは、所長の村松淳司先生が司会役となり、森先生に加えて、本学生命科学研究科の杉本亜砂子先生と大隅が加わった。生命科学研究科では、昨年の人事で2名の公募を女性限定にはしなかったが、結果としてどちらも女性が選ばれ、現在、ようやく3名の女性教授となった。

フロアとのディスカッションでは、女性教員からの仕事との両立やキャリアパスの現状についての不安や、女子大学院生を抱える男性教授の悩みなどが語られ、かなり本音の突っ込んだ議論ができた。

ともあれ、国大協の目標である「2020年までに女性教員比率を20%に!(トリプル20)」がオリンピックとともに迫ってきている現状にどのように対応するか、それぞれの大学、それぞれの部局における対応が求められている。

【参考リンク】

by osumi1128 | 2016-02-27 23:49 | ロールモデル | Comments(0)

第5回東北脳科学若手の会ウィンタースクールに行ってきた

今年で5回目となる「東北脳科学若手の会ウィンタースクール」に参加して来ました。主催は脳科学若手の会東北部会なので、まぁ、監督というかお目付け役というか、そんな立場です。2月に合宿形式で基調講演を2〜3題、若手自身による口頭発表とポスター発表を行うのですが、手作り感に溢れた勉強会で、今年の参加者は40名余。遠く沖縄、岐阜、京都などからも。また、元スタッフのOBの方たちも集まりました。今朝は4時頃まで、基調講演者の一人、上田泰己先生と語り合ったとのこと。佐々木拓哉さんは脳科学若手の会立上げに尽力された方。3人めの基調講演者は臨床心理士の資格も有する袴田優子先生。
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1日目の終了時の集合写真。
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袴田先生のご講演タイトルは「心理介入アプローチに関連する神経基盤」。脳科学はカバーする範囲が広いです。
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佐々木先生は元東北大学薬学の出身。現在は東大薬学池谷研で助教。直近の論文発表は過日、Sci Reportsの発表で話題になりましたね(下記のリンク先が日テレの報道です)。
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上田先生の表紙スライドがスーラだったのですが、途中でその謎解きがありました。組織を透明化して全細胞カウントするのが、あたかも点描のように、という意味でした。
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ポスターが剥がれる事件(数年前にもありましたが……ww)にもめげず、座敷でのポスター発表は大盛り上がり。
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合宿ならではの雰囲気ですね。
これからの研究のエネルギーやヒントになったことと思います。皆さん、お疲れさまでした。若手の会東北部会代表の五十嵐さん、実行委員長の榊さんはじめ、スタッフの皆さん、ご苦労様でした!
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by osumi1128 | 2016-02-21 21:08 | 東北大学 | Comments(0)

「グローバル・ヘルスR&Dと日本の未来」について考えた

先週火曜日は「グローバル・ヘルスR&Dと日本の未来」というセミナーに登壇しました。折しも新たに「ジカ熱」問題が浮上しつつあるタイミングで、微生物学分野の押谷仁先生のグローバル感染症対策についてのお話の後、自分のトークでは東北大学医学系研究科を中心としたグローバル化に向けた取組みについてご紹介しました。
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医学部学生さんなども参加していたので、NPO法人日本医療政策機構(HGPI)エグゼクティブ・ディレクターの宮田俊男先生のお話は刺激になったことでしょう。HGPIは日本学術会議会長も努められた黒川清先生が立ち上げられた医療政策のシンクタンクです。
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宮田先生は、早稲田大学理工学部で人工心臓を作る研究をされた後に、大阪大学の医学部に入り直して心臓外科医となり、さらに厚労省の医系技官として国の政策に関わり、2013年からNPO法人を本務としつつ、内閣官房戦略推進補佐官や京都大学、大阪大学、東北大学で客員教授もされています(各種の立場の名刺の入った箱がインパクトありました……)。

冒頭のジカ熱のような新興再興感染症の問題は、「グローバル・ヘルス」としてわかりやすい事例だと思いますが、グローバル・ヘルスは「国際保健」という従来の日本語を超えた概念として捉えられることが多いと思います。地球上の格差問題をどのように捉えるか、開発と自然保護のトレードオフなど、いろいろな観点が考えられます。例えば、iPS細胞を用いた移植医療ができれば、患者さん自身の細胞を使えるので、組織適合性の問題は無くなります。しかしながら、このような医療は一人あたり数百万円のコストがかかる、「超贅沢」な医療となってしまいます。相当のコストダウンを検討していく必要があるでしょう。

思えば、昨年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象はまさに、グローバル・ヘルスの考え方に基づいたものであったとも言えます。グローバル・ヘルスに関わる人々の多様性も、単なる「保健」ではない時代になっていることを認識させます。ちょうど、UCLAのグローバルヘルスについての会議のポスターデザインが象徴的でとてもわかりやすかったので載せておきます。
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講演の後、短い時間ではありましたが、HGPIフェローの乗竹亮治氏をモデレータとしてパネル討論を行い、フロアからも質疑応答を受けました。このような分野に興味を持つ学生さんが増えてくれたらいいなと思いました。HGPIではインターンシップなども受け付けているそうです。

【参考リンク】

by osumi1128 | 2016-02-07 22:59 | 東北大学 | Comments(0)

農学部FDにて男女共同参画講演

先の月曜日、農学部のファカルティ・ディベロップメント(FD)に呼ばれました。お題は「男女共同参画」。かれこれ10年になる持ちネタの一つになっています。

農学部はあと1年くらいで、雨宮キャンパスから新青葉山キャンパスに移転予定。おそらくこちらの大講義室で講演するのは最後かもしれません。かつては「生化学大学院合同講義」でオムニバス講義の1コマを担当していました。60分の持ち時間、荒川静香さんと羽生結弦君のスライドも入れつつ、80枚くらいを話しきりました。

下記のイラストはOECDのGender Equalityに関するパンフレットから取ったもの。「業績主義」といっても、重荷が違う状態で同じトラックを走れ、というのは、それでいいのでしょうか?という問題提起の図。
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男女共同参画の問題は、女性にばかりこれ以上フォーカスしても変えようが無いように思います。今回、プレゼン準備をしていて見つけた資料がこちら。
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日本の女性は男性の4.82倍も家事労働の負担が大きいことを示したものです。「すくらむブログ」というところから拝借しました。
こうなる理由はというと、男性の働き方に問題があるからです。

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上記は休日も含むのですが、日本の男性は週43.75時間勤務していることになります。え?普通? ですよね……。という日本が世界から見ると大きくかけ離れているのがわかると思います。フランスの男性の倍以上働いているのですね。
週5日勤務として数字を出すと、平日に8.75時間勤務していて、さらに通勤時間がかかると……そりゃー、家事する時間は無いですね。

でもって、女性の場合には、このような男性と同様に働いて、なおかつ家事も行うべきという社会的なプレッシャーがあったとしたら、「女性活躍推進法」は、超パワフルな女性しか活躍できないことになってしまうでしょう。

それにしても改めて見直すと、やっぱりフランスがダントツに短いのは、バカンスが長いからなのでしょうね……。それでも国として成り立っているのだとしたら、日本も皆で合理的な働き方になるように考えた方が特でしょうね。

確かOECDの会計も2年に1度の決算と聞いたことがあります。そうすると、年度末のシメをしないで済む年が2年に1度はあるってことだから、「今年は楽ね」というほっとする年回りに少しリラックスすることができるのでしょう。



by osumi1128 | 2016-02-06 22:40 | 東北大学 | Comments(0)

兵庫医科大学にて研究倫理講演ほか

過日、兵庫医科大学に研究不正に関するファカルティ・ディベロップメント(FD)の講師として呼ばれて、「科学への愛と誇り:誠実な研究活動を進めるには?」というタイトルで講演をしてきました。

FDということは、全員参加的な義務感で皆さん来られていると思うので、なるべく柔らかい話や、自分ならどうするかを考えてもらうような構成を心がけました。そのときのスライドのうちの1枚がこちら。
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直接お声がけ頂いた池田啓子先生、ありがとうございました。セミナーの前に寄らせて頂いて、講師の菅原文昭先生の直近の研究成果として、円口類のヌタウナギの脳の領域化に関するお話を伺えたのも何よりでした。菅原先生がCDBの倉谷滋先生のところで行った研究で、近々Natureに掲載とのことです♬ 

倉谷研の大石博士らが飼育繁殖が難しかったヌタウナギの胚を得られるようにしたというのも大きなドラマですが(その成果としては、すでに2013年のNature誌に掲載)、菅原さんは高校教師を数年努められた後に、思うところあって神戸大学で博士号を取得して、倉谷研に参画したという方。つまり、ストレートに学部、修士、博士と進んだキャリアではないのです。

「超ローテクです」と菅原さんは謙遜されていましたが、とにかく貴重なヌタウナギの胚を用いて、どのような指標を見るのか、いつでも実験できるマウスのようなサンプルではないからこそ、よくよく考えて論文にするときの状態までイメージしてデータを得ていたのだなぁと良くわかりました。ますますのご活躍を!
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セミナー後には、学長先生、時期学長先生らも交えてお話させて頂きました。ありがとうございました。

by osumi1128 | 2016-02-06 22:05 | 科学技術政策 | Comments(0)

大人の最先端理科(生命科学)第55回記事が出ます

発売です。
今回はお正月体制だったので、少し間が空きました。
ちょうど2/8は周期表のメンデレーエフの生誕日でした!(ただしグレゴリオ暦)
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by osumi1128 | 2016-02-06 21:47 | サイエンス | Comments(0)