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大内憲明先生ご退職おめでとうございました

今年の3月は、お世話になった先生方の退職が重なりました。医学系研究科ではともに脳科学グローバルCOEの活動を行った森悦朗先生とともに、元医学系研究科長・医学部長の大内憲明先生もご退職。21世紀COEの頃からTUBEROプロジェクトや医工学研究科立ち上げで御一緒させて頂きました。年は違うのですが、東北大学の教授に同期着任ということもあり、過日のご退職祝賀会に馳せ参じました。
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出席者が270名ほどの、しかも着席という大掛かりなご宴席で、さすが、外科の先生は違う……と思いました。同門の方々の結束が硬いというのも、個人主義な基礎とは違う雰囲気ですが、それでないとチーム医療がうまく回らないということもあるのだろうと思いました。

この日は御一緒の画像を撮るような雰囲気ではなかったので、記念に退職教授記念講演会のときのショットを上げておきます。
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4月からは宮城県北部の登米市の医療管理者として従事され、新たなお立場で地域医療に貢献されるるとのこと。これからもご指導宜しくお願いします!




by osumi1128 | 2017-03-31 22:42 | 東北大学 | Comments(0)

大人のための最先端理科第110回:精子の老化は自閉症に関連? 父の高齢化と次世代への影響

今週発売された週刊ダイヤモンドに連載コラムが掲載されています。今回は現在、我々の研究室の中心テーマとして位置付けている研究に絡んだお話です。

書店で、あるいはオンラインでお読み頂ければ嬉しい限りです。
週刊ダイヤモンド「大人のための最先端理科」第110回「生命科学」:
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by osumi1128 | 2017-03-20 22:38 | サイエンス | Comments(0)

東日本大震災からの七回忌

2017年の3月10日の時点で、東日本大震災による死者は1万5893人、行方不明者は未だ2553人とのこと。生かされたことに感謝するとともに、犠牲者のご冥福をお祈りします。

昨日から本日昼過ぎまでは、第10回神経発生討論会を仙台近郊の秋保にて主催していました。セッションの途中に当たるため、追悼のための黙祷は本日の口頭発表開始前に行われました。

京都府立医科大学の野村 真さんと当研究室の吉川貴子さんが心を配って丁寧に企画してくれた甲斐があり、参加者は100名弱と大盛況かつ和やかなものとなりました。韓国からも5名の参加者があり、トークのスライドやポスターは英語、口頭発表のほとんどの方は英語での発表だったので、留学生の方たちにも十分わかりやすかったと思います。

今年の特別講演の講師は愛媛大学の村上安則さん。もはや日本では彼が脳の進化の大家です。学名がたくさん出てくるのがちょっと辛いのだけど……。脊椎動物型の脳の起源はカンブリア紀まで遡れるが、小脳、菱脳、終脳などは脊椎動物の系譜で変形していった、というお話でした。
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この研究会は大阪大学名誉教授の村上富士夫先生、生理学研究所の池中一裕先生、名古屋大学の宮田卓樹先生が発起人として作られたものです。現在、世話人は10数名。順に研究会のオーガナイズを行って回していますが、年会費の徴収などは行わず、事務局も置かないカジュアルな運営です。

何より「若手育成」を目的として設置された会なので、発表者は原則若手、10分と比較的長めの質問時間も、最初の5分は若手優先というルールです(「自称若手」は含まれませんww)。英語の口頭発表に対して、日本語での質問もOK。とにかく質問する習慣を付けるのが大事。
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何より、神経科学大会や分子生物学会のような大きな学会よりも「神経発生」に特化した研究者が一同に会しているので、質問も深くなるし共同研究の話なども盛り上がります。ちょうど「日本版ゴードン・カンファレンス短縮型」のような研究会ですね。

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夕方からは、今年度でご退職になる森悦朗先生の退職記念祝賀会に出席しました。こちらも森先生のお人柄を反映してユーモアに溢れ、なおかつ暖かい会でした。神経心理学を打ち立てられた山鳥重先生の後任として「高次脳機能障害学分野」の教授として14年務められる間に、正常圧水頭症や認知機能障害に関する数々の研究成果を挙げられました。本当にバイタリティのある先生で、東北大学脳科学グローバルCOEで御一緒できたことは幸せでした。「あの仕組みは良かったよね」と森先生も仰って下さるのが嬉しく思われます。

山鳥先生はじめ多数の方々が全国からご出席されていたことも、森先生のご人徳ならではですね。
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森先生のスピーチも、過日の最終講義の折も含め、いつものことですが、関西人らしく随所で笑いを取っておられました。本学ご退職後は大阪大学に移られるとのこと。新天地での益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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その後、神経発生討論会に招聘・参加された韓国の研究者の方々との夕食会に顔を出しました。これからも交流が続くことを祈っています。
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早目に先に失礼して、着物を片付けたり書類を作ったりした後、Facebook経由で回ってきたのが、駐日米国臨時代理大使の動画が素敵だったので、こちらに掲載しておきます。震災復興のために設置された東北メディカル・メガバンク機構を訪問された折の映像も使われています。

地域住民コホート8万人、三世代コホート7万人のリクルートが達成され、これからフォローアップと解析のフェーズになりますね。生かされた者として最善を尽くしたいと改めて感じた日でした。

by osumi1128 | 2017-03-11 23:56 | 311震災 | Comments(0)

グンナー・エクイスト先生の講演:How to make scientific research more transformative

2月27〜3月2日に第9回HOPEミーティングが東京国際フォーラムにて開催され、5名のノーベル賞受賞者とウメオ大学名誉教授であるGunnar Öqvist(グンナー・エクイスト)先生の講演とともに、世界22カ国からの約100名の学生および若手研究者のポスター発表、グループディスカッションが為されました。その前日には「ノーベル・プライズ・ダイアログ2017」も行われ、充実した1週間になったことと思います。(大学入試と重なって、ダイアログの方に出席できなかったのは個人的には残念でした。人工知能のテーマで盛り上がったと聞いています。)どちらも主催は日本学術振興会現在の理事長は元慶應義塾大学塾長の安西祐一郎先生)。

個人的には、2015年の東北大学知のフォーラム脳科学国際シンポジウムにもお招きしたEdvard Moser先生のご講演で、グリッド細胞発見のその後の最新の研究成果を伺うことができ、現役の研究者としてさらに研究に邁進する様子が見られたのがもっとも刺激になりました。

また元スウェーデン王立科学アカデミー事務総長を務められたグンナー・エクイスト先生のお話は初めてだったのですが(今、探しましたら、ちょうど昨年、本学にもご訪問されておられました)、ノーベル賞の委員会はどんな研究を受賞対象として求めているのかについての内容が興味深かったので、拙ブログに載せて皆さんとシェアしたいと思います。(ご発表に使われたPPTファイルを許可を得て入手させて頂きました。画像はウメオ大学のHPから拝借)
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How to make scientific research more transformative

エクイスト先生によれば、研究には2種あるといいます。
Dual nature of research:
●Incremental research: research formulated within the conceptual frame of long-standing hypotheses and theories.
●Transformative research: challenges long-standing hypotheses and theories.
例えばノーベル委員会のような組織では、この2つのうち「transformative research」を求めています。いわば「世界を変える研究」です。
Drivers for excellence in research:
●A Nobel Laureate has on average had 7.4 other Nobel Laureates as colleagues during a career
●On average a Nobel Laureate has worked in 4.6 environments (universities or institutes) before receiving the Nobel Prize
The environment seems to be contagious
このデータは面白いですね。研究において「エクセレント」であるには何が必要か、ということについて、ノーベル賞受賞者のデータを振り返ると、平均7.4名のノーベル賞受賞者と同僚や共同研究者であり、受賞までに4、5箇所の異なる大学・研究所で仕事をした、ということから、良い刺激のある「研究環境」を渡り歩くことが大きな影響を与えると導いています。「contagious」という英語は元の意味は「感染性のある」ということですので、周囲の環境からの「良い影響」が伝染る、ということですね。確かに、ケンブリッジ大学、ロックフェラー大学、マサチューセッツ工科大学、ベル研究所などでは、これまでに多数のノーベル賞受賞者が輩出されています。

(もっとも、7、8名のノーベル賞受賞者と同僚にならないと、あるいはいくつもの研究室を体験した後ではないとノーベル賞に繋がらないということではなく、例えば東北大学工学部卒の田中耕一先生は、なんと学部時代の発見が2002年のノーベル化学賞受賞対象(質量分析法)となっています。田中先生は2015年に御一緒したノーベル・プライズ・ダイアログで、日本独自のユニークさを追求することも大事なのではないか、というご発言をされていました。大事な視点だと思います。詳しくは拙ブログ参照。)

また、そのような研究環境を作るのに何が求められているかについては、以下を引用されていました。
The EU Aarhus Declaration 2012:
(www.excellence2012.dk)
●Recognising and nurturing talents
●Trust and freedom
●Long-term perspectives
●Creative and dynamic research environments
●Beyond and across disciplines
同様の提言はスゥエーデン王立アカデミーからも為されています。その中で挙げられていたのは以下。
The Academy report highlights:
●better support of individuals with new ideas
●better career opportunities for young scientists
●more focus on international recruitment
●the role of the academic leadership
●money was not the issue
最後の部分、「お金の問題ではない」といいう点は、再度認識した方が良いかもしれませんね。実際には若い研究者にキャリアの機会を与えるには、国としてのお金はかかるのですが、高い給与が必要なのではなくて、エクセレントな研究を行うことができる国際的な環境を整える、そのためにアカデミアがリーダーシップを発揮するということなのでしょう。ここしばらくの間、選択と集中が続きましたが、もう少し裾野を広げる施策に切り替えた方がサステナブルに人材育成できるのではないかと考えます。
Organizational concepts facilitating the making of major discoveries:
●Scientific diversity
●Communication and integration
●Leadership capacity
●Adaptiveness
●Organizational flexibility
そのような組織に何が必要なのかをまとめると、サイエンスの多様性、コミュニケーションと連携、リーダーシップ、寛容性、組織の柔軟性が大事とのことです。
Organizational concepts hampering the making of major discoveries:
●Differentiation
●Hierarchical authority
●Bureaucratic coordination
●Hyper diversity
逆に、重要な発見が生み出されるような組織構築を阻害するものとして、差別化、階層的権威主義、事務系の調整力(事務仕事が過剰になる、というようなことでしょうか)、多様性が大きすぎること挙げられていました(ちょっと和訳が難しいですね……)。最後のメッセージとして……
Take home message:
People with novel ideas, exchange of knowledge and ideas in an environment with complementary skills, are key elements for shaping creative environments that are brave enough to address important, ground breaking questions also having a fair chance to make transformative discoveries, innovations and improvements that may merit for a Nobel Prize. People with novel ideas are the strongest drivers for excellence in research.
ちょうど、日本でこのような組織を目指して作られたのが「世界トップレベル研究拠点」(World Premier Institute, WPI)だと思います。
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第一期の拠点形成から10年経ち、新たな拠点の公募が始まるようです。







by osumi1128 | 2017-03-05 21:19 | サイエンス | Comments(1)