研究ビッグデータのオープンソース化:RIKEN BSIマーモセット脳アトラス

ノーベル生理学医学賞の受賞が決まった大隅良典先生は、あちこちでのご発言で「基礎研究の重要性」訴えておられます。ノーベル賞だけが科学の重要な賞ではありませんし、賞を取ることが研究の目的となってはならないのですが、次のノーベル賞受賞のような成果に繋がるための研究環境は、研究費をどのように配分するかという問題以外にも、種々の環境整備が必要です。

昨日、学部生相手のゼミで、良典先生のオートファジー論文として見なされている最初の論文を取りあげました。1992年のJournal of Cell Biologyという雑誌に掲載されたもので、発表されたのは担当の医学部医学科の5年生が生まれる前とのこと……。彼曰く、「図が拡大できなかったんです! 画質が悪くてすみません……」と驚いていました。「あぁ、印刷されたものをPDFしているだけだからね。今の雑誌のように、テキストはテキストとして埋め込まれていたり、図は別々にオリジナルサイズに拡大したりはできないのよね……」ということで四半世紀の間のディジタル化、IT化を改めて感じました。

論文の図は8つ。といっても、現在、いわゆる「ハイ・インパクト・ジャーナル」に載っているように、Figure 1がaからmまで細かく分かれている、ということはなく、いたってシンプルです。この四半世紀の間には、1つの論文で扱われるデータ量も、膨大になりました。「ビッグデータ」の時代です。

ビッグデータを得るには、もちろんそれなりの研究費が使われています。また、ビッグデータはそれを得た研究者だけで十分に解析できないものも含まれています。したがって、データ・シェアリングや、データのオープンソース化は、研究費の有効活用という意味で、より重要になっています。とくに、研究費のほとんどをまだ国の予算に頼っている我が国では、税金の有効活用という意味でも、データはオープンなカタチで再利用できることが望ましい。

もちろん、最初からそういう目的でアーカイブされるデータもあります。本日ご紹介するのは理化学研究所、脳科学総合研究センター(BSI)の「マーモセット脳遺伝子発現アトラス」です。こちらは、下郡智美シニアチームリーダーが中心となって、小型霊長類であるマーモセットの脳の切片を作製し、染色したものを高画質の画像として取り込んでデータベース化しています。研究者がマーモセットの脳の構造を理解する太助になるだけでなく、ある遺伝子はマーモセットの脳のどこで働いているか、などを調べるのに役に立ちます。
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たいへん質の高いデータベースとなっていて、下郡チームの素晴らしい技術と多大なエフォートに敬服します。ぜひいちど、ご覧になってみて下さい🎶

なお、BSIは今年、設立20周年を迎え、関連行事を行っています。利根川進先生、山中伸弥先生の2名のノーベル賞受賞者をはじめ、豪華キャストで下記のように市民公開シンポジウムが開催されます(不肖ながら末席に登壇します♬)。興味のある方はどうぞお申込みを!



# by osumi1128 | 2016-10-29 11:15 | サイエンス | Comments(0)

週刊ダイヤモンド連載コラム#90:祝! 大隅良典先生ノーベル賞 単独受賞の快挙の背景は?

週刊ダイヤモンド誌に連載しているコラム「大人のための最先端理科 生命科学」の第90回は、大隅良典先生のノーベル賞関連記事を書きました。今週発売号(10/29日号)なので是非ご覧あれ!
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ウェブ記事はこちらからリンクされます。

実は、昨年すでに予想記事を同コラムに書いていました。

タイミングよく、今日のGoogleの検索デザインはアントニ・ファン・レーウェンフックですね♬
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単眼の顕微鏡を開発して、いろいろな微生物などを観察した方で、ヨハネス・フェルメールの「天文学者」や「地理学者」のモデルとも言われています。

「観る」という行為は科学の基本です。大隅良典先生のオートファジーの研究も、光学顕微鏡で酵母菌を観察して、うごめく粒を見出し「これは何だろう?」と不思議に思ったことが原点です。

その粒が二重膜で包まれた構造であることがわかったのは、光学顕微鏡よりもさらに小さなものまで観ることができる透過電子顕微鏡を用いた観察がなされたからです。実は、その決定的な写真を撮影したのは馬場美鈴博士という方で、日本女子大学の家政学部(当時)の卒業生でした。
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この図で大きな丸(液胞, V)の中のいくつかの小さな丸い構造が、autophacig body(AB)です。オートファジック・ボディはその後、オートファゴソームという名前に落ち着きました。(画像は、フリーで公開されているJ Cell Biol, 1992より転載しています)

その後、走査電子顕微鏡を用いたフリーズ・レプリカ観察という手法により、ちょうどオートファゴソームが液胞に融合する様子も立体的に捉えられています。無数の酵母菌の像の中から、こういう決定的な瞬間を見つけることができるかどうかは、観察者の目に委ねられていると言えるでしょう。(画像は、フリーで公開されているCell Structure and Function, 1995より転載しています)

観ることは信じること。美しい画像には真実が宿る。
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Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction.

Takeshige K, Baba M, Tsuboi S, Noda T, Ohsumi Y.

J Cell Biol. 1992 Oct;119(2):301-11.

この論文はノーベル賞の受賞論文4つのうち一番古いもの。オートファジーの実態を端的に捉えた証拠と考えられたからですね。


Analysis of the membrane structures involved in autophagy in yeast by freeze-replica method.

Baba M, Osumi M, Ohsumi Y.

Cell Struct Funct. 1995 Dec;20(6):465-71.

この雑誌は日本の細胞生物学会のオフィシャル・ジャーナルです。ちなみに著者3人のうちの真ん中がうちの母、大隅正子です。馬場美鈴博士は母の卒業研究生であり、その後も日本女子大学の電子顕微鏡室に所属されていたこともありました。あまり出回っていない情報なので、こっそりアップしておきます♬





# by osumi1128 | 2016-10-24 22:18 | サイエンス | Comments(0)

頑張れ! 未来のリケジョたち♬

先日の土日は合宿イベントに参加しました。(正式な集合写真は末尾のイベント報告サイトに載っています♬)
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東北大学知のフォーラム特別企画として、東北大学知の創出センターが主催し、男女共同参画推進センター(TUMUG)と東京エレクトロン株式会社が共催でした。東京エレクトロンさんから「女性研究者を支援するようなイベントを支援したい」というお申し越しを頂き企画を始め、本学の女性教授、准教授によるご講演と、東北大学サイエンス・エンジェル(SA)のファシリテーションによるグループワークを行うというプログラムでwebで募集を行い、北は岩手県、南は愛媛県まで、23名の女子高校生が「知の館」に集まりました。私は司会進行役として参加。
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研究担当の伊藤理事による力強いメッセージと、東京エレクトロンの先端半導体技術部門開発企画部長の瀬川澄江様によるご来賓のご挨拶の後、医工学研究科教授の田中真美先生による「触覚メカニズムの解明と触覚センサシステムの開発」について、その後、薬学研究科准教授の矢野環先生による「昆虫というモデル動物からのヒトの病気の解明」についての講演が為されました。さらに、5名のSAが自己紹介をし、その後、仙台市郊外の秋保へバスで移動。場所を変えて「高校において、リケジョ・理系進学者の数を拡大するための具体的取り組みについて」というお題で、5つのグループに分かれて意見を出してもらいました。その内容は翌日にそれぞれのグループからの発表となったのですが、皆、的確な現状分析と、とても具体的な提言をしてくれました。以下にいくつか記しておきます。

現状の問題点:
・そもそも理系・文系に分けるのが問題、またその時期が早い
・理系は(実際はそうでもないのに)科目数が多いなどの思い込みがある
・実験が楽しくなさそうなイメージがある、男子に任せる風潮がある
・理系の仕事のイメージがわかない
・高校の数学で挫折する
・奨学金制度が足らない
・出産の年齢を考えた場合の大学院進学のハンディ
解決策:
・文理を分けないコースや入試の導入
・理系の良いイメージがわくようなロールモデル(TVヒロイン、アニメキャラ含む)
・ファッション誌で理系職業(医師・看護師・薬剤師以外の)を取り上げる
・「科学の甲子園」などをTV放映
・OGの母校訪問でキャリアの紹介
・理系の先生の教え方の改善
・研究室の見学ツアー、理系研究者による講演会
・小さな子どもへの理科教室

すでに私たちがSA制度により行っている「オープンキャンパスfor女子高校生」、「高校への出張セミナー」や「科学イベント」や、JSTの支援による理科教員を対象とした「サイエンスキャンプ」等は確かにニーズに応えるものであることを確認しつつも、まだまだ全国的にみれば足りていないのだと実感しました。また、理系のキャリアの「見える化」はとても大事だと、改めて実感しました。
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こちらは前日のグループワーク最中の様子。SAがファシリテーターとして意見が出やすいようにリード。
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各グループ5分のプレゼンは、交代交代で行っていました。これも「平等」を大事にする女子の特徴。
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質問は2分で、田中先生、矢野先生、瀬川様、SAさんから頂きました。
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発表終わってグループ写真をパチリ。お疲れ様でした♬

ちなみに、理系のキャリア情報については、決して女性だけに足りていない訳ではありません。『13歳のハローワーク』という本が2003年に出たときに、パティシェやとび職など、けっこうレアな職業が挙がっているのに対して、いわゆる理系の職業がほとんど無いことに愕然としたことを思い出します。このブログを書くにあたり、検索してみたら、「13歳のハローワーク公式サイト」というwebサイトがあることに気づきました。ところがやっぱり、”「分野」で調べる”というリンク先の「科学技術・ものづくり」に関する分野は、「機械・電気・化学」と「コンピュータ・IT」の2ジャンルしかなく、その中身は結構、偏っているように思われます……(例えば「モデルガンの製造」「武器・兵器評論家」などが載っているなど)。

大学の理学部や農学部に進学したら、どういうキャリアに繋がるのかが知りたい場合には、「自然」というカテゴリーが近そうです。でもそのリンク先を開いてみると、我々のような大学の研究者にとって身近なキャリアは挙がってきません。あるいは、「医療・福祉ー保険・薬」というカテゴリーの中に薬剤師やMRという職業はあっても、「創薬研究者」などは見当たらないのです……。

広告満載のこのサイトがどのように運営されているのかは不明なので、国としては、もっと現状に即した中高生向けのキャリア選択支援サイトを構築しても良いのではないでしょうか? 何度となく主張していますが、資源に乏しい我が国では「人財」こそが礎です。文系よりも少ない理系で、さらにマイノリティである女性がもっと増えることが、この分野の活性化に繋がると信じます。

将来的に文理の壁を取り払っていくことは重要ですが、直近では理系のキャリアパスを若い方々に示すことが求められていると思います。女子高校生の言葉を借りれば「理系バリアフリーを目指す!」のが大切でしょう。今回参加してくれた女子高校生たちが、未来のリケジョとして活躍することを期待しています。

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ちなみに、2日めの発表の後は、バスで「せんだい3.11メモリアル交流館」と閖上の朝市を見学して、仙台駅にて解散。遠くから参加された生徒さんにインパクトを残したようでした。
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東北大学知のフォーラムサポーターサイト:

東北大学知のフォーラム特別企画「明日をソウゾウするあなたへ ~女性科学者への道案内~」を開催しました










# by osumi1128 | 2016-10-18 22:34 | 若い方々へ | Comments(0)

2016イタリア旅の風景

ローマとエリーチェの旅の風景より。
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サン・ピエトロ大聖堂は、迫力満点でした。ここを見ずしてカトリックの教会を語るなかれ。大きさ半端なくて、このドームの内側の文字の縦が2mもあるとのこと……。ちょっとだけ人が見えるの、わかりますかね……。
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システィーナ礼拝堂は撮影禁止。有名なミケランジェロの天井画を3Dで眺めました。礼拝堂なので、観光客が少しでもうるさくなると「お静かに!」という注意が飛んできます……。画像は無いのでこちらのWikiリンク先を付けておきます(Exciteの新しいリンクのやり方は、ちょっと好きではありませんが……)。一番感動したのはピエタですね……。これを大理石から掘り出せるというのは天才以外の何物でもありません。残念ながらガラスの向こうで、しかも窓からの光が入るので画像はダメダメですが、備忘録として。実際に見る人にとっては後光がさしている感じになります。
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あと、サン・ピエトロ大聖堂の前の広場のお土産物屋さんに、カトリックの信者らしき方々が大量にお買い物をしているのが印象的でした。やっぱりここで求めたクロスはご利益が大きいのでしょうね……。
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ローマは日本で言えば京都のように、犬も歩けば旧所名跡に当たる街で、最低でも1週間は必要ですね。今回は、バチカンとトレビの泉で、あとはただ、通りを歩いて時間切れ……。コロッセウムも真実の口も見られなかったので、いつか「ローマの休日」を巡る旅をしたいです。

エリーチェで参加したのはこちらの学会。
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エリーチェは、とにかく学会のあった建物からの眺めが絶景。
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この通りの石畳は独特なパターンでした。表面がつるつるになった石で覆われているので、下りは革底の靴だと怖かった。画像はランチの後に戻るところ。Robert Feil先生@モンペリエ、佐々木裕之先生@九大と小林さん@東京農大の後ろ姿とともに。
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ポスター会場にて、一番右がValter Tucci先生@イタリア技術研究所。今回の実質のオーガナイザーでした。
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ランチのたびに外に出るので、walking distanceにあるお城なども外から眺めました。
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シシリア島は「スイーツが豊富ですよ!」とローマの先生に言われて来てみたら、たしかに、本当にいろいろな種類があります。フェニキア、ギリシア、ローマ、ペルシア、ノルマンディ……などなど、種々の文化が交錯した土地ならではのことなのでしょう。塩田も有名とのことで、天塩を自分へのお土産にしました。
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午前中にエクスカーションという日が一日あって、参加者でバスツアー。セジェスタという街に行き、ギリシア時代の神殿や劇場跡を見ました。
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ガイドさんの話に「これこれは2700年前、こちらは2400年前……などと普通に出てくるのが、さすが古代史の舞台。私の海外体験の最初は北米だったので、どんどん前に遡っているところですね。もっと若い時に古い欧州の歴史遺産を見ておくべきだったかもしれません。

食べ物系は、今回、こだわりのある方が側にいなかったことや、時差でディナーを抜くことが多かったために、あまり充実していません。イタリアの定食は、いつも2品で、プリモ・ピアットがパスタなど二択、セコンド・ピアットが肉か魚、という感じでした。
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鮪を筒切りにしてグリルしただけ、っていうのは、案外日本人向きかもしれません。素朴です。

こんな機会が無ければ訪れなかったかもしれないところでした。会場の入り口。元は教会です。
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宿泊先は元の修道院。
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このマットのファブリックもこのあたりの特産のようです。買えば良かったとちと後悔……。
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# by osumi1128 | 2016-10-10 14:58 | 旅の思い出 | Comments(0)

エリーチェに行ってきた:シチリアから世界平和へのメッセージ

初めてイタリアのシチリア島に行きました。アリタリア航空を乗り継いでローマからパレルモへ。そして国際会議の方で用意されたシャトルで1時間半、西北の
エリーチェという古い街にある教会や修道院が、現在はEttore Majorana Foundation and Center for Scientific Culture(EMFCSC)
という財団の所有として会議場や宿泊施設になっていて、毎週のように国際会議やセミナーが開催されています。今回参加したのは、Genomic Imprinting, Epigenetics and Physical Functionsというミーティングで、共同研究者のValter Tucci先生(ジェノバにあるイタリア技術研究所に所属)に招待されました。




この財団を設立に関わったのはAntonio Zichichi先生という物理学の研究者。50年以上前の1963年にエリーチェで初めてSubnuclear Physicsのワークショップのようなもの(School)を開催したようです。財団の冠となっているEttore Majoranaは、1906年生まれのイタリアの理論物理学者のお名前。1982年には二度と世界大戦が起こらないために科学者が為すべきこととして、The Erice Statement(エリーチェ宣言)を発表しています。一部を抜粋しておきます。

It is of vital importance to identify the basic factors needed to start an effective process to protect human life and culture from a third and unprecedented catastrophic war. To accomplish this it is necessary to change the peace movement from a unilateral action to a truly international one involving proposals based on mutual and true understanding.

The scientists---in the East and in the West --- who agree with this “Erice Statement”, engage themselves morally to do everything possible in order to make the new trend, outlined in the present document, become effective all the world over and as soon as possible.

標高751メートルに位置するエリーチェの、さらにもっとも高いと思われる建物の最上階がポスター会場となっていて、コーヒーブレイクのたびに、美しい地中海が眺められます。なんて平和な景色でしょう! 会議のスタイルも一人あたりの発表時間が30分から45分という長さでゆったり。さらに昼食と夕食は近くの7ヵ所の指定レストランに、それぞれグループで出向いて頂くスタイルで(地域の経済活性化という目的もあり)、ランチブレイクが2時間。さすがイタリアです……。石畳の通りは坂が多く、会議で頭を使った後のエクササイズにもなります。この4日の間、日本にいるときとは異なる時間の流れの中に身を置くことができました。といっても、科研費申請書書きのシーズンでもあって、インターネットに繋がって日本時間に合わせて行動していましたが(苦笑)。
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今回の会議の中心テーマであったゲノム・インプリンティングという現象は、父方、母方から受け継ぐ染色体の「対立遺伝子」のうち、片方のスイッチが入らないような目印が付いている(インプリントされている)ということで、例えば、胎盤の形成に必要な遺伝子は母方がインプリントされていて父方のみがオンになり、胎仔の形成に必要な遺伝子は逆に父方がインプリントされていて母方がオンになる、という仕組みがおそらく最初に見つかったものだったと思います。発生学の教科書にも書かれているくらい有名な事象なので、もしかするといつかインプリンティングの研究がノーベル賞の対象になるということもあるかもしれません。

ノーベル賞と言えば、月曜日の初日の発表が大隅良典先生の生理学医学賞の単独受賞だったので、自分の発表のジョークスライドとして使わせて頂きました。

さらに偶然、2002年のノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊先生が書かれた手記を見つけました。昭和60年4月30日の日付となっています。上記のエリーチェ宣言から3年後ですね。イタリア中部のラキラというところで物理学の会議が開かれた折に、前述のEMFCSCを設立されたズィキキ先生が、参加者に「平和について何か書いて下さい」とお願いしたためと冒頭に書かれています。最後の部分を引用します。

……私の子供たちは20才をとうに過ぎていますが、「平和」の中に育ってどのくらい「平和」が有難い事なのかを十分に感じているとは思いません。おそらく空気と同じ様にそれがなくなって始めて(ママ)、如何に大切なものであったかを知り、失ったものに戻れと涙を流すのでしょう。物理学者の一人として今戦争が始まったら前大戦とは比べものにならない地獄が出現する事は他の職業の人々よりはっきりと予感出来ます。もう一度「平和」を改めて感じなほしましょう。(旧仮名遣い、旧字体など変換できず……)
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イタリアという国は不思議です。気候が穏やかで食べ物に困らず、古い遺跡と最先端のデザインやファッションが並立しつつも、なぜか人々のやり方は効率の悪いことおびただしい。今回、マドリッドからの参加者は、日曜日到着で荷物が着いたのが木曜日だったり、私の帰路のパレルモからローマの便は2時間遅れ(ローマ空港の天候によって、パレルモからの機体到着が遅れたからということでしたが)、フミチーノ・ダ・ヴィンチ空港から飛び立ったのも45分遅れという、噂通りのアリタリア・クオリティ(でも新しい制服はめちゃくちゃお洒落♬)。会議の間でエクスカーションに出かけたセジェステというギリシア時代の神殿や劇場のある街では、入場のためのチケットを買うのにだらだらと30分以上かかったり(日本だったら、グループツアーなら参加者全員分をまとめて買っておいて配ったりするでしょう)。

ところが一方で、なぜか、世界平和など国を越えて大所高所から考えたアクションする人たちも多いように思います。知名度は高く無いかもしれませんが、TWAS(第三国科学アカデミー)という、発展途上国の科学技術の発展を支援するための組織の本拠地も、イタリアのトリエステというところにあります。欧州最古の「大学」はボローニャ大学です(世界初の大学としては、紀元前7世紀総説のタキシラの僧院。世界最古の医学部はモンペリエ大学のものとのこと)。ギリシアの次に欧州から中東を巨大なローマ帝国としてまとめ上げ、ルネッサンスの中心となった人々のDNAが脈々と続いているのかもしれません。





# by osumi1128 | 2016-10-09 09:32 | 旅の思い出 | Comments(0)

祝!大隅良典先生ノーベル賞受賞

今年のノーベル賞受賞ニュースはシチリア島のエリーチェというところで聞きました。日本だと夕方からそわそわだったのでうっかりしていましたが、こちらでは発表はお昼間なのですね。日本の友人からのダイレクトメールで知った次第。

受賞理由はとてもシンプルに「自食作用(オートファジー)のメカニズムの発見」。素敵です。しかも、大隅良典先生の、なんと単独受賞! 本当におめでとうございます!!! 奥様の萬里子先生もどれだけ喜ばれたことでしょう。長年、御一緒に研究に携われてこられましたので。また、吉森保先生、水島昇先生をはじめとした共同研究者の方々も、この分野にノーベル賞が与えられたことを、どれほど誇りに思っておられるかと思います。

追ってまたブログにも書きたいと思いますが、ただいま学会出席中でもあり、まずは昨年、週刊ダイヤモンドの連載コラムで取りあげていた記事をリンクしておきます。
大人のための最先端理科第35回:
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# by osumi1128 | 2016-10-04 02:50 | サイエンス | Comments(0)

神経科学分野における日中韓の連携

韓国の神経科学学会Korean Society for Brain & Neural Science (KSBNS)にご招待を受けてソウルに行ってきました。といっても、会場はソウル郊外のKINTEXという新しいコンベンションセンターで、隣接のホテルに前泊し、朝から夕方まで一日のみの参加で、またもや韓国料理をほとんど食べる機会が無く……。仙台から直行便で2時間という距離感も、なんとなくパスポートを忘れそうになるくらいの近さです。

登壇したセッションはChina-Japan-Korea Joint Colloquiumという枠で、それぞれの国の神経科学学会の会長が揃い踏みで座長をし、3時間の間に各国2名ずつが発表するというもので、内容も多岐にわたるものでした。韓国の学会の会長であるBong-Kiun Kaang先生が冒頭で、今後この3国が世界の中で北米、欧州に次ぐ第三の拠点になるべきというスピーチをされました。

神経科学分野では、Society for Neuroscience(SfN、北米神経科学学会)が毎年、3万人規模の学会を開催し、日本からの参加者も1000名を超えています。欧州にはFederation of European Neuroscience (FENS、欧州神経科学連合)の開催する学会が隔年で開催され、こちらの参加者はたぶん5000人程度だったかと思います。日本は毎年開催される神経科学大会の学会員が5500名程度、学会の参加者が3000人くらいです。韓国、中国と日本を合わせると学会員として12000人程度になるので、2年に一度、East Asia Neuroscience Meetingを開催してはどうか、ということを提案されていました。確かに、日本からSfNやFENSに参加するのは、旅費も時間もかかりますし、何しろ時差のあるところで戦わなければならないというのが不利な点です。これらの学会に替わる国際学会として日中韓の学会で済むなら、こんな有り難いことはありません。

しかしながら、いくつかの問題が実際にはあります。

まず一つ目は、現実問題として、日本の神経科学大会は5年先まで会場が押さえられていて、今から日中韓の国際学会を組み込むとなると2021年よりも先のことになるでしょう。仮に日中韓学会を2年に一度行うとして、日本に回ってくるのが6年に一度だとしても、かなり前もって予定しておく必要があります。

二つ目は、それぞれの学会の運営体制が非常に異なる可能性があり、それらが一緒になって行うというのは、かなりのエネルギーが必要だということがあります。日本の中でもいくつかの学会が合同大会を行うことがよくありますが、日本語で交渉することができてさえ、「合同大会は大変だ」という声はよく耳にします。

そして三つ目で、これがもっとも重要かもしれませんが、学会のレベルの問題です。日中韓の個々の学会が比較してどうか、ということは置いておくとして、日中韓学会がSfNに匹敵するレベルになるのであれば、遠くにいくより楽だし理想的ではあるのですが、現実にはそこまでにはならないように思われます。となると、どれだけの参加者となるのか、日本からの参加者を考えた場合には、国内学会にさらに「加えて」行くだけのメリットがあると思えるか、という点が問題になるでしょう。国内学会の「代わりに」行くという気軽さになれば別ですが、学生さんにとってはハードルが高いかもしれません。

いずれこのような日中韓問題は、どのような学会でも考えることが必要なのかもしれません。ただし、日本でどのくらいの人々がこういうポリティカルな問題を深く考えられるかというところも心配な点があります。例えば、Kaang先生はMolecular Brainという雑誌の創設編集者なのですが、この新興の雑誌を立派な国際誌に育て上げました。日本では、生命科学系のどの学会の雑誌も良い論文を集めるのに苦労している現状があります。研究以外のことに割かれる労力が多すぎるということが一番大きな問題だと思うのですが……。

ともあれ、塩野七生先生の『ギリシア人の物語』を読みながら、ギリシアの都市国家(ポリス)がペロポネソス同盟によってペルシアからの侵略を食い止めたことなどを頭の中で反芻しました。本日はローマの知人のところでセミナーです。
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画像は最後の集合写真(ただし、ご講演の後にすぐにサンフランシスコに向かった尾藤先生が入っていないのと、私の握手が逆向きだったのが……)。

# by osumi1128 | 2016-09-30 14:58 | 科学技術政策 | Comments(0)

和食を科学する

先週は一般向けの講演が2つありました。一つは、理事として関わっている「NPO法人 脳の世紀推進会議」というところが毎年主催している「脳の世紀シンポジウム」という催し。ここ最近は「運動と脳」「音楽と脳」というようなテーマになっていて、今年は「食と脳」。特別講演は京料理「木乃婦」の三代目、高橋拓児様でした。身近なテーマかつ「きょうの料理」の講師などでも有名な講師をお呼びしているためもあってか、8月末でウェブ登録は締切、当日も歩留まりよく多数の方々にお集まり頂きました。
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仙台で他の用務があってご講演伺えず残念……。そこで、さっそくご著書をゲットしました。
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美しいお料理の写真とともに、高橋氏の和食の捉え方が記されています。例えば「料理人は研究者でお客様は被験者?」「歴史・経験、そしてこれからはデータ」など……。そして、この手の本で「グラフ」が出て来るのを見たのは、初めてかもしれません。「昆布出汁」と「一番出汁」のアミノ酸成分を、チキンブイヨンと上湯と比較しているのです。確かに、和食の基本である「出汁」はスッキリとしていることが、実際の成分からも(視覚認知的に)わかります。

(ちなみに、ちょうど、4人目の講演者である都甲 潔先生@九大が、ご自身が開発された味覚や嗅覚のセンサを紹介されていましたが、味をどのように構築していくのかは、このようなデータを元にして科学的にも進められるのでしょうね。ただし、受けて側のヒトの味覚受容体や嗅覚受容体には多様性があるので、万人が同じように感じる訳ではない、ということもありますが……。)

京料理の楽しみは味そのものだけでなく、器との調和や、さらにはお部屋の設えなど、本当に総合文化だと思います。木乃婦はミシュランの星も付いている人気店とのことですが、いつか訪れてみたいと思います。





# by osumi1128 | 2016-09-24 09:53 | 味わう | Comments(0)

学会備忘録&新シリーズ「自閉症研究最前線その1:九大中山研ほかNature論文」

先週、第38回日本生物学的精神医学会と第59回日本神経化学大会の合同大会が福岡国際会議場にて開催されました。初日に東京医科歯科大学の西川徹先生(←実は高校の先輩でもあります……)とともに合同シンポジウム「発症とは何か」の座長をさせて頂き、発達障害、統合失調症、うつ病など、精神疾患の発症時期の違いからメカニズムに迫るという切り口での議論を深めることができました。

2日目は、午前中に神経化学会側の大会長、和田圭司先生自らが座長を務められた教育講演で我が国のグリア研究の立役者の、工藤佳久先生がアストロサイトについて、池中一裕先生がオリゴデンドロサイトについてお話され、その後、本来は高坂新一先生がミクログリアについてお話されるはずのところ、ダブルブッキングにより代役となったのが佐柳友規さん@国立精神神経医療研究センターでした。40分ほどの長いトークを立派に務められていました。
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午後は、当研究室の助教である吉崎嘉一さんが企画シンポジウムにお声がけ頂き、未発表データ(父加齢による仔マウスの行動異常とその背景として想定される次世代継承エピジェネティクス)について披露させて頂きました。なるべく早く論文にまとめないと……。30代の若手の方のセッションで、裏番組に大物の先生方のシンポジウムがある中で、多数の聴衆に恵まれて何よりでした。
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ちょうどこの週、おそらく最近の自閉症の基礎研究の中でもエポック・メイキングになるであろう一つの基礎研究論文がNatureに掲載されました(抄録は末尾にcopy & pasteしておきます)。

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10年ほど前から、自閉症の遺伝学的解析が全ゲノムレベルで為されるようになってきたのですが、数年前に行われたエクソーム・シークエンスという解析から、浮かび上がった因子の一つがCHD8という遺伝子でした。この遺伝子はchromatin helicase DNA binding protein 8という名前のタンパク質を規定(コード)しています。この他にも関連する、染色体の構造を変える(リモデリング)因子をコードする遺伝子についていくつか自閉症との関連が示唆され、シナプス形成などに直接関係する分子をコードするものではないのに、いったいどうやって自閉症の病態に関係するのだろうと疑問が持たれていました。

おそらく、世界中で他にもこのCHD8の遺伝子をゲノム編集技術で改変したマウスを作っているような研究室は存在するのではないかと思うのですが、実は、九州大学の中山敬一教授のグループは、すでに別の経緯でこのCHD8に着目し、ノックアウト・マウスを作っていたのです。そこに、「どうやら自閉症に関係するらしい」という論文が舞い込んできた訳ですから、じゃぁ、調べてみましょうか、ということで、2009年に自閉症マウス論文でCell誌の表紙を飾った理化学研究所脳科学総合研究センター(BSI)の内匠透チームリーダー(当時は広島大学教授)のところにコンサルトをお願いしました。(ちなみに、さらにその背景には、不肖、大隅が取りまとめ役だった某グループグラントの申請があったかもしれません。そのグラントはボツになりましたが、こんな風に繋がったの無なぁ…と勝手に思うことにします♬)
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さらに、マウスの行動解析を網羅的・統一的に行うシステムを構築していたのが、藤田保健衛生大学の宮川剛教授。この共同研究により、CHD8の遺伝子の片方が欠損した「ヘテロ接合」のマウスの行動解析が一気に進んで、確かに不安の亢進、常同行動、社会行動の異常など、自閉症様の行動異常が認められました。

しかしながら、データがここまでではNatureには載りません。さらにその分子メカニズムを追求するために、マウスの脳の中で働く遺伝子を調べてみると、何か特定の遺伝子の発現のみが非常に変化しているというよりも、もう少し全体的な変化のように見受けられました。この中で、発現が上昇している、すなわち、強く働いていると思われた遺伝子が浮かび上がりました。それは、RE-1 silencing transcription factor (REST)という名前のタンパク質をコードする遺伝子でした。CHD8は、タンパク質になった場合の機能としてDHAに結合するのですが、確かにCHD8がRESTの遺伝子(つまりDNA)に結合することもわかりました。

REST遺伝子から作られるRESTタンパク質は、神経分化に重要な働きをすることが知られているのですが、実は、その名前のように「抑制的」に働く分子です。つまり、他のさまざまな遺伝子のスイッチをOFFにする働きがあります。したがって、
CHD8がヘテロになって減少する→RESTが上昇する→RESTによって制御される遺伝子の働きが悪くなる
というシナリオが書けることになるのです。このことが「神経発達障害」というカテゴリーに分類される自閉症スペクトラム障害の発症機序を説明できると考えられます。

もちろん、自閉症と診断される方でも、CHD8遺伝子の変異を持たない方もおられます(というよりも、その方が多いことは間違いありません)。しかしながら、CHD8やRESTなどのような、他の複数の遺伝子の働きに影響を与えうる分子は、確かに「多遺伝子疾患」と想定されるような病気(自閉症だけではなく、代謝病なども含まれます)を説明する上でぴったりです。今後、なぜ多様な病態が生じるかについては、RESTの標的となる遺伝子のスイッチ部分の違いというようなメカニズムが解き明かされていくと期待されます。

【豆知識】
「CHD8の遺伝子の機能とタンパク質の機能はどう違うのですか?」というような質問を、他の分子についても受けることがよくあります。これは生命科学研究常識の「基本のキ」、「一丁目一番地」といえることなのですが、遺伝子(実体としてはDNA)は、それ自身では「機能」することができません。実際には「遺伝子に書き込まれた情報をもとに作られるタンパク質」が、その機能の実体を担います。したがって、研究者は「CHD8遺伝子の機能」と話しているときも、頭の中では「CHD遺伝子から作られたCHDタンパク質の機能」と読み替えて話をしています。これが不慣れな方には混乱を招くようです。

ちなみに、分子によっては遺伝子名とタンパク質名が異なる場合があります。例えば、自閉症関連で言うと、脆弱性X症候群という、精神遅滞や自閉症的症状を示す疾患の原因遺伝子の1つにはFmr1(Fragile X Mental Retardation syndrome 1)という名前が付いていますが、タンパク質はFMRP(Fragile X Mentarl Retardation Protein)という名前で呼ばれます。

分子レベルで語る生命科学研究では、多数の役者を区別する必要があるので、それぞれの遺伝子やタンパク質、その他の物質にも、固有の名前が付いています(実体がわからず、まだカタログ番号のみの遺伝子もあり)。不慣れな方々には固有名詞が多数出てくるのはわかりにくいですが、名付けた研究者にとっては自分の子どものように愛情のこもったものなのです……。

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おかげさまで拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』は3刷になりました。自閉症と脳、その発生や遺伝子の働きなどに興味のある方はぜひどうぞ! また、今週は脳の発生と栄養についての一般向け講演を行います。

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Nature論文の抄録です。
Autism spectrum disorder (ASD) comprises a range of neurodevelopmental disorders characterized by deficits in social interaction and communication as well as by restricted and repetitive behaviours. ASD has a strong genetic component with high heritability. Exome sequencing analysis has recently identified many de novo mutations in a variety of genes in individuals with ASD, with CHD8, a gene encoding a chromatin remodeller, being most frequently affected. Whether CHD8 mutations are causative for ASD and how they might establish ASD traits have remained unknown. Here we show that mice heterozygous for Chd8 mutations manifest ASD-like behavioural characteristics including increased anxiety, repetitive behaviour, and altered social behaviour. CHD8 haploinsufficiency did not result in prominent changes in the expression of a few specific genes but instead gave rise to small but global changes in gene expression in the mouse brain, reminiscent of those in the brains of patients with ASD. Gene set enrichment analysis revealed that neurodevelopment was delayed in the mutant mouse embryos. Furthermore, reduced expression of CHD8 was associated with abnormal activation of RE-1 silencing transcription factor (REST), which suppresses the transcription of many neuronal genes. REST activation was also observed in the brains of humans with ASD, and CHD8 was found to interact physically with REST in the mouse brain. Our results are thus consistent with the notion that CHD8 haploinsufficiency is a highly penetrant risk factor for ASD, with disease pathogenesis probably resulting from a delay in neurodevelopment.

# by osumi1128 | 2016-09-11 23:06 | 自閉症 | Comments(0)

参加者募集!:明日をソウゾウするあなたへ〜女性科学者への道案内〜」

前のエントリーに関連して合宿イベントへの参加者募集のお知らせです♬ 医工学研究科の田中真美先生と、薬学研究科の矢野環先生がご登壇。大隅はナビゲータとして参加します。参加のための交通費等は支給されます。周囲に理系進学を考えるJKの方がおられましたら、ぜひ応募を勧めて下さい!

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 東北大学では、「明日をソウゾウするあなたへ ~女性科学者への道案内~」に参加する全国からの女子高校生を募集しています。
 このイベントは、東北大学への進学に興味・関心があり、研究者としての将来を考えている女子高校生(1,2年)で、短期的・長期的な視野で物事を捉え(明日を想像)、日々その諸課題を解決すべく行動(豊かな社会を創造)している方を対象としています。本イベントでは、本学で活躍する女性研究者、東北大学サイエンス・エンジェルなどによる講演会、参加者によるグループ討議等を通じて、遠い存在として捉えられがちな現代の科学や女性科学者としての職業を身近に感じてもらい、次世代のリーダーとして明日を想像し、豊かな社会を創造する女性を育成すること目指しています。また東日本大震災の被災地を巡り、震災及び震災からの復興を体験していただきます。
 皆さんの応募をお待ちしております。

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# by osumi1128 | 2016-09-04 08:16 | Comments(1)