7月はゲスト対応月間でした

5月末まで取り込んでいたので、今年は7月になってから外部講師によるセミナーが多くなりました。

トップバッターはフロリダ大学の染谷慎一先生。共同研究者です。創生センターの感覚器コアセンターと脳神経科学コアセンターとの共催かつ東北医学会特別講演として星陵オーディトリアムで行いました。
染谷先生は加齢性難聴研究のオーソリティーですが、さらに最近では加齢の男女差に注目されています。仙台には2日間滞在され、東北メディカル・メガバンク機構の見学などもされました。
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続いて、京都大学腎臓内科の柳田素子教授です。決して発生はご専門ではなかったのですが、無理を言って7月11日に医学部医学科2年生対象の「発生学」の特別講義をお願いしましたが、学生の評判は素晴らしいものとなりました♬ 学生さんの質問にも丁寧に答えて頂きました。心から感謝致します!
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さらに、その日の夕方からは、腎臓のコアセンターと脳コアセンターの共催でのセミナーも。
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柳田先生、ありがとうございました!

続いて、7月14日に、東大薬学の一條秀憲先生をお招きして、創生センターの第1回基礎部門合同セミナーとしてのトークをして頂きました。
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恩師にあたる宮園浩平先生と、留学先のボスCarl-Henrik Heldin先生の画像を。
そして翌日には、歯学部発生学の枠での特別講義をして頂きました。実は一條先生は大学の同級生で、まさに実習室での席も背中合わせという近い関係。歯学部の学生さんたちに、研究の面白さが伝わったものと思います。(画像の写りが悪くてごめんない)
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そして、7月最後のゲストは、元北米神経科学学会会長、コロンビア大学のCarol Mason教授でした。第39回日本神経科学大会の特別講演に招聘されていたので、厳しい日程の中、さらに東北大学まで足を伸ばして頂きました。
前日、仙台駅までお迎えした後、2時間コースで、瑞鳳殿→青葉城址→大崎八幡と回りました。
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セミナーは東北医学会特別講演として開催され、最新のunpublished dataもたくさん披露頂きました。アルビノと視神経投射との関係は、とても不思議です……。今後の展開が楽しみ。また、Cyclin D2に関する共同研究も進めたいと思います。
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# by osumi1128 | 2016-07-24 09:53 | 東北大学 | Comments(0)

ソウルに行ってきた:アウェイでの第46回日本神経精神薬理学会

ちょうど1週間ほど前、ソウル出張でした。仙台からはアシアナ航空が仁川国際空港まで、毎日1往復就航しています。インチョンはソウル市内から遠いですが、新しくて大きな国際空港です。今回は第46回日本神経精神薬理学会(JSNPソウル)でのシンポジウム講演だったのですが、大会長の池田和隆先生が、国際学会のCINP2016(International College of Neuropsychopharmacology)と続けて同じ会場での開催という大胆な試みをされ、アウェイであるにも関わらず、650名もの参加者であったとのこと。ソウルなのに、多くの知り合いと御一緒というのは、なかなか不思議な感覚でした。
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着いた日が大雨だったこともあり、翌日が発表、その翌日の朝の便で戻りというスケジュールであったので、どこも訪問できなかったばかりか、一度も韓国料理を食べない、という国内旅行のような具合……。世界は狭くなりました。大会会場はCOEXといって、国際会議場にホテルや広いショッピングモールが付随するコンプレックス。

発表したシンポジウムは精神栄養がテーマで、脂質脳科学の方の話をしました。セッションが並行して6つくらいあって、自分の発表と重なっているセッションを聴くことができなかったのが唯一残念なことでした。今回は、池田先生がかなり頑張ったのだと思いますが、基礎系、しかもゼブラフィッシュやショウジョウバエの研究者まで巻き込んだセッションがありました。翌日の指定セッション「日本における脳と心の研究の動向」も聴きたかったですが、月曜日に授業があり帰仙しなければなりませんでした。
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初日の懇親会は着席のディナーでした。池田和隆先生@東京都医学総合研究所のご挨拶。
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CINP理事長の山脇成人先生@広島大学。
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CINP2016ソウル大会長のJun-Soo Kwan先生のご挨拶。
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JSNP理事長の石郷岡純先生@東京女子医科大学から、岩本和也先生@熊本大学ほかの表彰。池田先生のところの女性研究者の方が気を利かせて浴衣でアテンド♬
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会場にいろいろなアートもあったのですが、一番印象的だったのがこちらの「書」ですね。ハングル文字の書は初めて見た気がします。日本の書のカテゴリーだと「かな」に相当するってことでしょうか……。

韓国は、もっとも近い隣国なのに、漢字をあまり使わないため、むしろ遠い国のような気がします……。中国本土や台湾の方が、字体は異なっても共通の文化を感じることができるので。でも、韓国でも中学から漢字を習うように最近変わったと聞きました。10年経つとずいぶん印象が変わるかもしれませんね。





# by osumi1128 | 2016-07-09 23:21 | 旅の思い出 | Comments(0)

大人のための最先端理科第75回

今週号に拙コラム掲載中です。電子版もあります♬
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# by osumi1128 | 2016-07-06 21:34 | サイエンス | Comments(0)

新学術領域「個性」創発脳が採択されました

本日、新学術領域「多様な<個性>を創発する脳システムの統合的理解」(領域略称:「個性」創発脳)が採択されたという通知を頂きました。私たちのチャレンジングな提案が受け入れられて何よりです。関係の皆様には多大なご協力を誠にありがとうございました。

これから立ち上げで忙しくなります。追って正式なHPを立ち上げますが、研究員・技術員の募集等もあり、今年の秋には公募研究の募集も開始すると思いますので、まずは仮に拙ブログの方に掲載しておきます。とりいそぎ。

概要:
本研究領域では、多様な分野の研究者が連携し、「個性」を客観的・科学的に理解することを目指す。胎児から成人までのヒトを対象とし、行動、認知、性格等における「個性」の発現について、その脳内基盤を明らかにする。遺伝的背景がより均一である齧歯類を用い、生殖細胞形成や発達過程における遺伝・環境的な変動が動物の脳活動や行動様式に与える影響を調べることで、「個性」形成の分子脳科学的基盤を明らかにする。研究推進に必要な種々の解析システム・解析装置の開発や数理モデル構築を行う。上記を国際的なデータシェアリングプラットフォームを構築して推進するとともに、「個性」研究の孕む倫理的な問題点について整理し、社会に発信する。(申請書より)

計画研究代表者(および分担研究者):
A01:ヒトにおける「個性」創発とその基盤的研究
保前文高@首都大学東京(渡辺はま@東京大学)
若林明雄@千葉大学(瀧 靖之@東北大学)

A02:動物における「個性」創発とその基盤的研究
中島欽一@九州大学(今村拓也@九州大学)
今吉 格@京都大学
星野幹雄@神経センター(井上高良@神経センター)
大隅典子@東北大学(原 塑@東北大学)

A03:「個性」創発研究のための計測技術と数理モデル
郷 康広@自然科学研究機構
駒木文保@東京大学
冨永貴志@徳島文理大学(種村健太郎@東北大学)
柴田智広@九州工業大学

ロゴマーク案です♬ 人文・生物・理工系の融合研究であることをイメージしました。デザインは冨永先生。
(微修正してこちらが最終案です)
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【研究室HPでのご案内】チラシPDFに飛びます




# by osumi1128 | 2016-06-30 16:49 | サイエンス | Comments(0)

拙著あとがきのあと(その10):そもそもなぜ「自閉症研究」に取り組もうとしたのか

『日経サイエンス』8月号(6/25発売)に、丸山敬先生@埼玉医大が拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』(ブルーバックス)をご紹介下さいました。面識は無いのですが、ありがとうございます。丸々1ページ割いて頂いていて、とても詳しく説明して下さっています。「特集2:がんの免疫療法」という記事で本庶佑先生のPD-1の話も載っていて嬉しいです。

本書執筆のきっかけの一つは東日本大震災でした。

 あの日のことは、被災者であってもなくても、誰でも語るべきことがたくさんある。あるいは、5年経ったいまでもまだ語る気持ちになれないという方もいるだろう。地震発生時刻の14時46分、私はオフィスでパックス6変異ラットの研究データについて大学院生と議論中だった。突然の大きな揺れを感じて、私たちはテーブルの下に身を隠した。本棚からはあらゆる書籍とファイルが降ってきた。大学院生はデータの入った大事なPCを抱えて震えていた。「ここなら大丈夫だから!」と彼女に呼びかけ続けた200病は、永遠に続くのではと思うほど長く感じた。(本書あとがきの一部)

この体験をしていなかったら、たぶん研究の方向性や軸足は違ったものになっていたでしょう。今から思えば、空回りでしかなかったプロジェクトもありました。私自身が躍起になっているほどには、付いてこれなかったメンバーもいました。ライフラインが復旧しても、一人ひとり、生きているだけで必死な部分があったと思います。意識に上らない部分で、皆、傷を負っていました。もちろん、それは津波で亡くなられた方々やそのご家族に比べたら、まったく取るに足らないレベルの心の傷ですから、口に出すことも憚られるものでした。

マウスの超音波発声の実験系を立ち上げたのも震災後でした。生後1週間程度の間、お母さんマウスから引き離された仔マウスが超音波の音域で発する声(ultrasonic vocalization, USV)は、赤ちゃんの泣き声に対応するような音声コミュニケーションと考えられます。遮音された装置の中に仔マウスを入れて計測するので、人為的な操作が加わらず、数値化しやすい指標だと思いました。

そして、Pax6変異マウスの父と野生型の母を交配して得られた仔マウスのUSVをデータを見ていたとき、気づいたことがありました。

「うーん、これ、バラつき多いよね……」
「そうですね……」
「なんでかなぁ……。うーーん、そうだ! もしかして、雄が加齢しているってこと、ないかしら?」

交配実験を行う際、妊孕性のある雄は、何度も交配に使い回すことがあります。そこで、大学院生が父マウスの月齢で分けてみると、なんとなく、老齢父マウス由来の仔マウスのUSVコール数が少ない傾向が見えたのです! このときに、単にバラつきが大きいから、もっと例数を稼ごうとしか考えなかったり、あるいは、過度のプレッシャーを大学院生に与えてしまっていたら、現在行っている研究には繋がらなかったでしょう。

拙著の中でも少しだけ触れていますが、父が加齢した場合に、子の自閉症の頻度が高くなる傾向、つまり相関性のデータは論文化されていましたので、じゃぁ、本当にそうなのか、動物実験で因果関係を見てみよう! というプロジェクトを開始し、学会発表にまでこぎつけたのが2013年。雄マウスの加齢が交絡因子になるということは、各種のマウスを使った実験を行っている方々への警鐘でもあり、またちょうど「卵子の老化」の問題が報道されていた頃でもあったので、「ちょっと待って! 加齢は母側だけの問題ではないのです」ということを伝えたく、学会からのプレス・リリースを出して頂きました。


その後もデータは蓄積し続けており、再現性はきちんと取れています。また、スピンアウト的な研究成果として、Pax6が精巣の中で精母細胞などの雄性生殖系列の細胞に局在していることも見出しました(拙ブログ参照)。現在は、どのようにして父加齢の影響が仔マウスに伝わるのか、精子エピゲノムから仔マウス脳の遺伝子発現を繋げることができないか苦心しているところです。仔マウスの行動における「個性」がどんな風にして作られていくのか、さらに理解を進めることによって、人間の「個性」の問題にも迫ることができたらと願っています。
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# by osumi1128 | 2016-06-29 23:58 | 自閉症 | Comments(0)

横浜市立大学で講義

横浜市立大学大学院生命医科学研究科、生体医科学部門、生体機能医科学研究室の竹居光太郎先生のお招きで、初めて同大学の鶴見キャンパスに行ってきました。
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90分X2コマ=3時間の集中講義で、「基礎医学研究の喜び」「神経発生を駆け足で」「次世代継承エピゲノム」の3つの話題についてお話しました。実際は均等割の時間配分ではなく、真ん中の神経発生講義部分が一番長かったのですが、今回改めてスライドをKeynoteバージョンで作りなおして臨みました。本当は、神経発生だけで15コマくらい話ができるのですが、まぁ、90分くらいに収めるには、ということで構成しましたが、樹状突起刈り込みと神経細胞死は割愛となりました。あと、誘導因子のところで、せっかくなので、竹居先生の発見されたLOTUSのことなども盛り込めばよかったと反省……。

休憩時間に面白い質問をしに来てくれた学生さんもいましたし、授業感想を竹居先生提出分とは別に、講師分も書いてもらったので、とても良いフィードバックになりました。かなり盛り込み過ぎくらいに内容を詰め込んだのですが、しっかり付いてきてもらえたようで、それぞれの方で面白いと思ったポイントが異なっているのが印象的でした。そのような多様性が大事だと思っています。

講義の後、竹居先生と卒研生、大学院生とイタリアンでディナー。その折に、RNA結合タンパク質の解析をされている佐々木幸生先生にご紹介頂き、共同研究にも繋がったことが嬉しいです。研究においても出会いが大事。
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さて、今頃はあちこちの生命科学系の修士・博士の大学院入試の応募時期となっています。東北大学大学院医学系研究科は、7月15日から募集開始となります。こちらを参照下さい。


# by osumi1128 | 2016-06-26 15:01 | 若い方々へ | Comments(0)

ブリュッセルにまた行ってきた

3月の出張の関連で、先週、またブリュッセルに行ってきました(用務については今は言えません……)。

4日続きの会議の後、現地の日本人の方にご案内頂いて、有名なGrand Palaceあたりを散策できました。RX100を持って行かなかったことが悔やまれます……。iPhone6で撮影した画像をアップしておきます。
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世界で一番最初にできたというアーケードは、雨模様でも濡れなくて便利。ベルギーチョコのお店などがずらっと並んでいました。
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そのうちの1つ。今回、お土産にしたのはこちらのチョコ♬
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でもなぜかこちらのお店に心惹かれて、購入したのはこちらのお店でした(笑)。いろいろと面白い調味料などがありました。
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広いスクエアになっている市庁舎エリア。
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とにかく、天気の悪い1週間だったのが残念……。せっかくの欧州の夏なのに。
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撫でるとご利益があるという……。
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今回ようやく「世界三大がっかり」の1つを拝むことができました。たしかに小さい……(笑)。稀に衣装をまとっている時があるとのこと。その衣装が結構面白いらしい。
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やはり肉食のお国柄。圧倒的な肉々しさ(笑)。でも実は水運が発達していたおかげで、ムール貝やオマール海老も豊富です。今回は残念ながらムール貝はシーズンを外していました……残念。
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テロの後、献花が為されていたという証券取引所の前の階段。
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王立美術館のOld Mastersの方だけ観てきました。
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圧倒的に多かったのはルーベンスとブリューゲル親子のもの(そんなに好みではないけど、一応、観ておかないとね)。
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誰の作だったかメモしそこねた受胎告知。このモチーフ、いろいろな構図があって面白いと思うのです。大天使ガブリエルとマリアの表情や仕草など。
やっぱり次はマグリット美術館かなぁ……。
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いちおう、毎日、異なるビールを飲むという目標はほぼクリアできました。Lambicは駄目だったのだけど。



# by osumi1128 | 2016-06-22 23:53 | 旅の思い出 | Comments(0)

拙著あとがきのあと(その9):パターン思考とモレスキンの方眼ノート

医学部1年生相手の講義「医学研究紹介」を6月末に担当しています。正味45分程度しか使えないので、毎年、何を話題にするか悩みます。135名くらいの学生さん相手にあまり細かいデータを示しても、その価値まで理解してもらえるとは思えず、でも自分であれば「基礎研究も大事」とか「脳科学って面白い!」と思ってもらえたらいいなぁ……と欲張りたくなる訳です。

大学院生相手には、毎年「研究倫理ゼミ」という枠で、プレゼンテーションの基本を伝える講義も担当していますから、「伝わるプレゼンテーション」にならないと恥という自負もあります。(ちなみに、本も書いています……)

その「伝わるプレゼンテーション」の講義では、「PowerPoint(PPT)ファイルを立ち上げる前に、構想をノートに書いて・描いてみましょう」ということを、この数年、必ず言うようにしています。PPTというアプリケーションは(そこそこ)便利なので、つい、表紙から順に作っていきたくなるものですが、先に全体を見渡した方がバランスの良いプレゼンになると思います。Keynoteを使う場合でも同様です。

今朝、目が覚めたときに、思いついたアイディアをいくつか方眼ノート(Moleskineを愛用♬)に描き出してみたのがこちら。
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たぶん、他人が見ても何のことやら……だと思いますが、自分用のアイディアノートとしては、これで十分です。細部は脳の中にストアされていて、実際にプレゼン用のアプリケーションを立ち上げての作業で詰めていくので。

でもって、改めてこの図を見なおして、自分が「パターン思考」であることがよく表れていると認識しました。

拙著『脳からみた自閉症 「障害と「個性」のあいだ』(ブルーバックス)で取り上げているテンプル・グランディン博士は、ご自身が自閉症であることを「個性」と捉えている方ですが、動物学者であり、家畜施設の細かい設計図を描くことが得意とのこと。いくつか著作があり、和訳もされていますが、『自閉症の脳を読み解く―どのように考え、感じているのか』(NHK出版)という著書の中に出てくるのが、「3種類の思考様式」という仮説です。

一般的には、「言語優位な思考」と、それに対比される「視覚優位な思考」の2つに分類されると見なされることが多いかもしれませんが、グランディン博士はそれに加えて「パターン優位な思考」を挙げています。私自身、この本を読むまでは、なんてったってビジュアル系、つまり「視覚優位」だと思っていたのですが(←ここ、クスっと笑うところです、念のため)、一度見た絵画の記憶はしっかり残っていても、自分で描く方はまったく駄目で、組織学のスケッチは大の苦手でした。したがって感覚的には繊細でも、出力系が悪いためであろうと長らく思っていたのですが、そうではなくて、全体(視覚映像)の中に「パターン」を見出すことが得意、パターンとして記憶するという脳の使い方なのだとわかりました。

そういう意味で言えば、「パターン」を見出したり記憶するのは視覚的な入力だけでなく、音楽や電車の音、音声言語などの音刺激もパターン化して記憶しているような気がします。

方眼ノートを使うようになったのは、大学院時代に実験ノートで方眼のものを使うようになったのが最初ですが、モレスキンに出会うまでは、セミナー等のノートを取るのは普通の罫線のものでした。モレスキンには、ブランク(無地)、罫線に加えて方眼のノートがあります。この方眼ノートを使うと、メモを取るときに棒グラフや折れ線グラフなどが描きやすいということに気づいてから、もっぱら、「すべての手描きメモ」を中型のモレスキン方眼ノートに記しています。

今回のようなプレゼンのアイディアも、きっと人によっては罫線で文字として記した方が合っている方もいるでしょうし、無地のノートに自由に描きたい方もいるでしょう。パターン思考の方なら、方眼がお勧めです♬ もしかしたら、そういう「個性」に合った異なる需要が知られていて、モレスキンのノートの種類が決まっていたのかもしれません。

いずれにせよ、それぞれの方の脳の個性に合ったメモの取り方に出会えると良いですね。

あ、ちなみに、方眼でハードカバーが好みです。(NO COI)
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【追記】モレスキンファンサイト管理人の方にツイートして頂きました♬ ファンとしてとてもうれしい^ ^

# by osumi1128 | 2016-06-12 22:44 | 自閉症 | Comments(0)

拙著あとがきのあと(その8):盛り込めなかった洞窟壁画の話

拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』のウラ話です。

セサミ・ストリートの新しいキャラクターとして「ジュリア」という名前の女の子が登場したことをご存知の方はどのくらいいるでしょうか? このジュリアは自閉症という設定になっています。


拙著第1章では、自閉症スペクトラム障害の特徴を表すのに、このジュリアの話を使いました。ジュリアはちょっと「普通」とは異なるところがあって、一つのことに夢中になったり、問いかけられてオウム返しで答えたり、大きな音が苦手だったり、という様子が描かれています。また、ジュリアの方がお友達のアビーよりも、たくさんの歌を知っているというような側面もあります。

「発達障害」というカテゴリーの中には、典型的な「カナー型」の自閉症だけでなく、「アスペルガー症候群」や「サヴァン症候群」も含まれます。1988年に公開された映画『レインマン』の主人公の兄レイモンドは、キム・ピークという実在のモデルをもとにサヴァン症候群として描かれています。床に散らばったマッチの数を瞬時に読み取れたり、数年後の何月何日は何曜日かを言い当てられたりという特異な才能があります。

本当は本書の中で他にも取り上げたい事例がありました。それは、必ずしも発達障害という意味ではなく、優れた視覚記憶を持つアーティストのことでした。例えば、スティーブン・ウィルシャーという方は、ヘリコプターで上空から20分ほど眺めた街の様子を緻密な絵として再現することで知られています。例えば、東京の街はこちらのブログに引用されています。他にもパトリック・ヴェールという方、あるいは、色鉛筆だけで極めて写実的な絵を描く方なども。こちらの動画では水の入ったガラスのコップを描いているのですが、なぜか底の方から、しかも上下反対向きに描いていくのです……。「地図では北半球は上」というような刷り込みの無い頭の使い方をしているとしか思えません。

実は、数年前に読んだ書籍『喪失と獲得―進化心理学から見た心と体』には、人類最古の壁画についてのユニークな解釈がありました。3万2000年前のものとされるフランス南部のショーヴェの洞窟には様々な動物の絵が描かれていますが(画像はWikipediaより引用)、それはきわめて写実的で今にも動き出しそうに見えます。そんな優れた絵が描けたのは、ごく特殊な専門家というよりも、もしかしたら当時のクロマニヨン人にはそれが「普通」だったのではないか、という解釈です。人類がまだ文字も持たず、もしかしたら言葉も未発達だった時代には、極めて写実的な絵が描けるのは、特殊な才能というよりも普遍的だったのではないか、人類が言葉を使うようになって、脳の使われ方が変わっていったのではないか、そのようなことが書かれていました。そして、言葉が話せない自閉症の女の子の描いた写実的な絵が取りあげられていたのでした。
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見たままのウマに「馬」という言葉でラベルを付けることは、視覚的な脳の使い方をせずに、テキストを記憶することになりますから、おそらく脳のメモリの使い方としては、相当にお得というか、省エネになっているように思います。そうすることによって、人類は、より抽象的な事象を扱えるような脳の使い方になっていったのでしょう。

本当は、こんな話題も本書の中に入れたかったのですが、ページ数制限のために断念したのでした……。




# by osumi1128 | 2016-06-08 23:24 | 自閉症 | Comments(0)

拙著あとがきのあと(その7):トヨクラタケルさんの原画を頂きました♬

過日、ブルーバックス編集部の山岸さんと、拙著執筆のきかっけとなった石井正先生(本学同僚かつ『石巻災害医療の全記録』の著者)と、拙著上梓の打ち上げを行いました。しかも、「重版出来!」が決まってのタイミング。有り難いことです。

しかも、なんとサプライズで、表紙のイラスト原画の額装をプレゼント頂きました!
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この作品は、トヨクラタケルさんというアーティストのもので(許可を得て掲載させて頂いています)、子どもはフェルトのアップリケ、紙のニューロンを繋ぐ突起は糸なのです! ブルーバックスではちょっとわかりにくいかもしれませんが、この画像で少し3Dの雰囲気、伝わるでしょうか?

来週、研究室に飾りたいと思います♬

ちなみに、多くの新書は表紙は一律のデザインですが、ブルーバックスさんは、それぞれ独自の表紙が作られます。文字のフォントなどもそれぞれ異なるのです。編集部の思いがこもっていると感じました。

トヨクラタケルさんのブログでのご紹介:脳からみた自閉症



# by osumi1128 | 2016-06-04 12:03 | 自閉症 | Comments(0)