札幌:第1日あるいは『1Q84』

一人っ子だったからか、空想の世界で遊ぶのは得意です。
例えば、千歳空港からの快速エアポートで札幌に向かう際に隣になった20代前半くらいの男性は、ちょうど夏休みで幼馴染みの彼女に会いに行くところかな、などと。
無意識のうちに仕草など観察してしまいます。
ましてや、何を読んでいるか、など。

ふと見ると『1Q84』の上巻でした。
つい先日、東京出張の際に会議と会議の間に入れたアポがキャンセルになってしまい、近くの書店で物色して買ってしまったのが(しかも、重たいのに上下)村上春樹のこの本。
隣にあった新訳『さようなら、愛しい人』にしようかと迷った挙げ句、上巻が11刷、下巻が10刷というアンバランス(上巻読んで下巻は読まない人がいるということ?)に、ちと気に入らない感もあったのですが、結局ゲットして、スタバでメール処理その他した後に読み始めました。
予想よりもずっと面白かったのは、主人公の男性のほうとからむ登場人物の女子高校生「ふかえり」の設定が読字障害となっていて、独特の言葉遣いをするからだったと思います。

話を戻すと、千歳空港が親子連れやらバックパッカーやらでごった返しているのを見て、あぁ、世間は夏休みだと実感したのでした。
男性の作家さんやらライターさんやらの書く小説やコラムの中で(陽水の「少年時代」でもいいのですが)、夏休みというのは典型的に、青い空、白い雲、蝉の声、麦藁帽子、白いワンピースの少女……などのモチーフが登場するように思いますが(ちょっとベタですか?)、私にとって夏休みは学校が休みで(←当たり前)ネガティブなイメージなのですね。
家には遊び相手がいないから。

で、夏休みで思い出すのは、中学のときに仲良しの同級生の女の子と行っていた「文通」です。
まったく、この数十年の間の通信手段の進歩というか変化というか、大きいものがありますが、当時は、好きなモチーフの付いた便箋に手書きで文字をしたため、封筒に入れて住所を書いて切手を貼って投函する、そうすると、ほぼ3日後に彼女からの返信が届く、という悠長なことを延々繰り返していたのでした。
もちろん、電話という通信手段はすでに一家に一台ベースではありましたが、子供が自分の楽しみのために使う、なんて雰囲気は、少なくともうちの家にはなく。
当時のワタシが携帯メールを使えたら、一日に何度もやりとりしてしまっただろうことは、容易に想像できますね。
携帯電話、ではなく、文字のやりとりで。

交換日記というのもありましたね〜。
こちらの場合は、学校がある期間に行うのですが。
その延長線上にあるのは、やはり中学時代、授業中に一番前の席で紙片に何か書いて隣だったか、少し離れた席だったかの子とやりとりしているのがバレて、「後で職員室に来い」と言われて行くと(案の定)横面を張り倒された、なんていう思い出。
それがきっかけで眼鏡をかけて、後ろの席でも黒板が見えるようにした(&リスク回避)、んじゃなかったかな?

……話が逸れました。
『1Q84』を読んでいた隣のオニイチャンは、電車の中で携帯ゲームをしていたのではないという点で「ほー」と思って印象に残った訳ですが、もしかすると「この時期」と「北海道」の組み合わせとしては、読書な気持ちになるのかもしれません。

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さて、これから数日間、科研費の班会議です。
by osumi1128 | 2009-08-09 14:11 | 旅の思い出

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