違う物差し、あるいは重いコンダラ

ノーベル平和賞にオバマ大統領が!
まだ実質的なことはほとんどしていない段階なのではと思いますが、いろいろな期待もこめてのことなのでしょう。

本日は国際シンポジウム最後の晩なのでBanquet(というか、懇親会ですね)がありました。
ポスター発表の時間も兼ねていたので、じっくりディスカッションができたと思います。

さて先日、研究者の秘書業務を経験した方とご飯をご一緒した折のこと。
「最近は先生方も大変ですね。うちの先生は<恋愛相談まで持ち込まれるんだから、困るよ……>って話していらっしゃいました」
「うーん、研究室で学生さんの指導をするのなら、それって普通じゃない?」
「先生が女性だからではありませんか?」
「あー、確かに、そうなのかも。巨大な研究室の教授なんて、顔と名前が一致していないというし……(笑)」(以下略)




うちのラボメンバーは現在25名程度で推移していますが、最初の立ち上げはスタッフ2名、博士課程大学院生2名でした。
そこから徐々に成長していった訳ですが、個々の方を把握するには、そろそろ限界かなぁと思っています。
欧米の研究室の単位は、普通はもっと小さくて、PI一人に対して技術員1名、秘書さん1名、学生さん2名、ポスドクさん2名……などという10名くらいまでのところが一番多いパターンでしょう。

「日本の男性のPIは…」と一括りにすべきではありませんが、50名を超えるような研究室を持てるのであれば持ちたいという意志・希望・熱意を持つ方は、圧倒的に男性の方が多いでしょうね。
女性は、メンバー一人一人との触れ合いを大切にするせいか、単に大きな研究費を持つ方が少ないからかは区別が付きにくいですが、部下の数は少ないというアンケート結果が出ています。
「数の力」というのは、さらに年数を経て掛け算になっていくので、弟子が多ければ業績も増え……というポジティブフィードバックが生まれます。
その結果は、いろいろなところに影響していきますね。

先日、柳田先生のブログの引用から「35歳問題」を取り上げました。
ちなみに、女性は厄年が33歳と37歳だったかと思いますが、前厄後厄含め、この数年の間というのは、昔ならお産で命を落とす方も少なくはなかった訳ですし、出産・子育てで大変な時期とモロに重なります。
この時期に業績が伸びていないと、例えば科研費の若手枠なら年齢制限が39歳(←一応、引き上げられたようですね)なので、かなり辛いことになります。
ですから、「同じルール・基準で客観的に評価すべき」という大義名分は、一見平等で正しいように見えて、実は、ある特定の集団を排除することにつながる可能性もあるのです。

違う物差し、あるいは重いコンダラ_d0028322_1191987.gif
ところで、この手の話題を考えるときに、いつも頭に浮かぶのが「コンダラ」です。
小学生?の頃、「♪おーもーいーこんだーら、試練のーみーちーをー(巨人の星主題歌)」という歌詞を聴くと、どうしても「コンダラ」という重たいモノを引っ張ってトレーニングする星飛雄馬のイメージが沸いてしまい、どうしてもそこから抜け出せなく……。
後年、自分と同じ聞き取りをした方は決して少なくないことを知って、嬉しくなりました(笑)。

そもそも、日本の男性の家事参加、育児参加が極端に低レベルなことも大きな問題であり、でも、日本型家庭(お父さんがもっぱら稼いで、お母さんがお家の中を切り盛りする)のモデルは、そろそろ成り立たなくなっているのでは?

子供基金でお金を配るのも良いですが、待機児童を無くすこと、子供は社会で育てるということを、さらに進めて下さい>民主党さん!!!
多様な物差し、価値観が共存できることが平和な世の中だと思います。
by osumi1128 | 2009-10-10 01:12 | 雑感

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