科学を伝える人:村松秀さん

本日午後に白衣を着てラットから採血していたら珍しがられてしまいました(苦笑)。
確かに、自分で手を下す実験は限りなく減って、ディスカッションして研究の方向性を考えたり、論文をまとめたり、という時間の方が圧倒的に多くなりましたが、それもまた研究の一部です。

その後、学会業務を委託する会社の方の表敬訪問。
2011年の秋に日本神経科学大会を横浜パシフィコで開催するのですが、この規模の学会開催になると、さすがに「手弁当」では難しく、業者さんにお願いする部分も多くなります。
この大会ではテーマを「こころの脳科学 Neuroscience of the Mind」としていて、認知科学や心理学、教育学等の研究者にも参加して頂けるようにしたいと考えています。
また、高校生やその先生方などにも見て頂けるような展示やセッションもできたら良いですね。
さらに、企業への就職のためのマッチングなども考えたいと思っています。
学会という組織が主催する大会で、学術研究における交流だけでなく、どのように会員サービスができるか、また、社会への貢献ができるか、試してみたいことがいろいろあります。



研究科の委員会がたっぷり2時間半あって、オフィスに戻っていくつか案件処理して、遅刻でしたがNHKの村松秀さんのセミナーに参加しました。
超電導の分野でノーベル賞に最も近いといわれた米国ベル研究所のヘンドリック・シェーンの捏造問題を取り上げて番組を制作し、さらにそれをもとに中公新書ラクレを上梓された方です。

ちょうど、数年前のサイエンスアゴラで、中村征樹さん@阪大がオーガナイズされたシンポジウムで発表されてたのを聴きに行ったのが最初の出会いだったということを本日改めて認識。
その後、当時デスクをされていた「ためしてガッテン!」の収録現場を見せて頂いたこともありましたね。
(志の輔師匠の、リハーサルのときのダラダラ感と、本番の絶妙なまとめ方の落差にびっくりしました。プロは流石です)

たぶん交流が続いているのは、「科学を伝える」あるいは「伝わる科学」ということに(それだけじゃないけど)情熱を傾けておられ、そこに共感を覚えるからなのだと思います。
そのためにテレビ放映という媒体をどう使えばよいか、他の媒体チャネルをどう利用するか、などにも工夫が見られます。
例えば、現在はすイエんサーという科学バラエティー?番組をレギュラーで作っていらっしゃいますが、さらにすイエんサーblogも執筆。
「すイエんサー」は科学に関心の低い中高生、とくに女子!をターゲットとするというコンセプトなので、AKB48というアイドルのギャル達が出演。
第一回目を見たときには、かなりびっくりした私……。
2回目からは馴れましたが(笑)。

セミナーの後、学生さん達も交えての交流会、その後、数名の方々とご飯を食べに行って、さらに番組作りのことや、サイエンスのこと、大学広報のこと、なんやかんやいろいろ話しました。

アートを楽しむように、サイエンスを楽しんでもらう、プロからアマチュアまでシームレスにつながっている、個人的にはそんな方向を目指したいと思っています。
その中での大学の役割は何なのか、激動の政権交代の2009年は、そういうことを考えるのに相応しい時期なのかもしれません。

まったく別の視座からの大学のあり方のご意見については、Faculty Developmentがご専門という芦田宏直さんにTwitter上で問いかけをして、いろいろと伺ったので、これについても考えてみたいと思います。
芦田宏直さんのblog
by osumi1128 | 2009-11-10 02:22 | サイエンス

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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