艮陵の謂われ

仕事前に投稿しようと思ったのだが、朝から医学部1年生の学生さん(アドバイザーをしているうちの一人)がラボを見たいというので案内したり、会議が今までかかって遅くなってしまった。

(一昨日のブログについて、追伸を書いてますので、お読みでない方は一応チェックして下さい。)

また同じブログ中の「艮陵」の由来についてコメントがあったので、手元にあるのは東北大学医学部名誉教授、桜井実先生による『艮陵の教授たち−東北大学における医学教育の源流』(金原出版)という本にあたってみた。

この本の中身に触れる前に、何故これが手元にあるかについて説明しておこう。
7年前に東北大学に赴任した際、12月の教授会忘年会というものに初めて出席したのだが、場所は先だって廃業になった「八百粂」(やおくめ)という仙台で一番由緒のあると言われた料亭。
大広間に50名以上の教授が御膳を前に座るのだが、上座には名誉教授の席があり、現役教授は「くじ引き」で席順を決めるのがルールだった。
当時、私は医学部初めての女性教授であったため、当然「万緑草中紅一点」となるはずが、さにあらず。
その理由は、なんと、この宴会の席には芸者さんが(確か5人くらい)いたのだ!
後にも先にも初めて間近で見る芸者さんだったのだが、残念、佳つ代さん(古い?)みたいな方だったら是非是非私もお近づきになりたいが、そうではなくてかなりお年上の方々ばかり(スミマセン。芸は確かでいらっしゃいましたが・・・)。
仙台ではなかなか修行を続けられるような若い女の子が来ないのだろう。
(重要無形文化財か天然記念物か?)

さて、その席で、名誉教授の桜井先生という方(整形外科)が、新任の私と名刺交換され、その後送ってきて下さったのが本書である。
その序文は東北大学の元学長であった石田名香雄先生が書かれている。

(以下抜粋)
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序 
 艮陵(ごんりょう)という言葉は東北の丘という意味である。大正五年、第二代総長北条時敬によって医学部学友会に対し名付けられたものである。
 艮の字は元々は目を光らし身を背けて戻るという意味が転じて、止まる、という義である。また方角を表す文字として用いられ、うしとら、東北方、鬼門を指す。従って艮陵は首都東京から東北地方にある学問の聖地として堅固なる丘を示すものなのである。
 この随筆集は東北大学医学部発足以来、主として戦前までに本学の伝統と基礎を築き上げた教授達の逸話集でもある。
 しかし事実をそのままに記録した写真のようなものではない。著者は自らカンバスに向かって筆を運ぶ粋人でもあるが実際に見えた映像を取捨選択して美しい芸術作品として風景がに仕上げた趣がある。
 聞き流されたまま消えていこうかとする伝承の中には、真実に迫る哲学や貴重な思想が潜んでいるものである。過去を余り知らない学徒にとって必読の書といえよう。
 昭和六十一年六月
東北大学学長
石田名香雄
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という訳で、本学出身ではない「過去を余り知らない学徒」はこうして指南書を手にするに至った次第。

ちなみに、結構面白い逸話が満載で、写真も多い。
中でも「糖尿病患者の尿は甘いか」という逸話は秀逸。
残念ながらAmazonでは売っていない。
(もしリクエストがあれば、今度掲載しますが・・・)

あ、それから忘年会のかつての風習はすでになくなっています。
八百粂が廃業したからではなく、それ以前に「時代に合わない」ということで、もっと簡単なパーティー形式になりました。
(毎年楽しみにしておられた名誉教授の先生にはお気の毒・・・)
もしその制度が続いていたら、自分が忘年会幹事のときには、コンパニオンとしてホストクラブのイケメンのお兄ちゃんとかニューハーフのお姉さんを連れてこようかな、と思っていたのですが(冗談です)。
by osumi1128 | 2005-06-22 12:43

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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