Twitterでやってみました:グローバルCOEとは?

仙台は大分寒くなってきました。
枯葉の絨毯が美しいです。
定禅寺通りの欅の樹の幹には、12月末の光のページェント用の電源が設置されています。
木の葉が落ちたら、枝に小さな電球を付けることになります。
神戸のルミナリエもとても綺麗ですが、自然の木の枝そのままのイルミネーションも美しいものです。

昨日、ほんとうに久しぶりにジムに行って1時間ほど汗をかきました。
軽い筋肉痛が心地よいです。
さて、本日は論文リバイス実験をしている元ポスドクさんとのディスカッションの後、第2回目のTwitter Lectureをしてみました。
以下にTwilogでまとめましたので、「グローバルCOEって何?」という方は是非お読み下さい。
Twilogから移した方にリンクは埋め込んでいませんので、URLをコピペしてお使い下さい。
<参考リンク先>
グローバルCOEホームページ
東北大学脳科学グローバルCOEホームページ



●さて、昨日お伝えしてありましたように、Twitter Lecture始めます。今週は(って毎週すると決めた訳ではないのですがー苦笑)「グローバルCOEって何?」です。
posted at 14:32:28

●まず「グローバルCOE」は文科省の事業で、今回の「仕分け」対象となっています。25日だったかと思います。
posted at 14:38:35

●「グローバルCOE」のとりまとめは日本学術振興会が行っています。http://www.jsps.go.jp/j-globalcoe/index.html
posted at 14:39:57

●グローバルCOEプログラムは、我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、国際的に卓越した研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とする事業です。
posted at 14:40:33

●1つ前のTweetはグローバルCOEのHPからの部分引用です。
posted at 14:41:10

●実は、グローバルCOE(以下GCOE)の前身の事業があり、それは「21世紀COE(以下21COE)」と呼ばれました。こちらの開始が平成14年度から。GCOE事業は平成19年度からになります。
posted at 14:43:37

●GCOEは(21COEも)大学院における教育・人材育成を強化するための教育個展形成の事業です。
posted at 14:44:54

●「え? それって大学が普通に自分でやればいいことじゃない? なぜGCOEというプログラムができたの?」はい、ごもっともです。
posted at 14:46:04

●国はより高度な学術(科学含む)の発展に対応させるために、大学院生の数を増やすことにしました。これが1990年代から始まりました。http://ja.wikipedia.org/wiki/大学院重点化
posted at 14:48:12
ところが、大学院生の数は増えたのですが、その教育・人材育成プログラムが追いついていなかった。しかも、教員の数はそのままに、大学院生を増やした訳ですから、教員にとっては大きな負担増加になりました。
posted at 14:50:26

●もう一つの背景として、大学の「法人化」という改革がありました。これは平成16年から始まりました。つまり、現在の国立大学は「国立大学法人」という組織になったのです。http://ja.wikipedia.org/wiki/国立大学法人
posted at 14:54:15

●大学の法人化は公務員の定員削減ということも背景にあります。で、「国立大学法人」はどんな組織か。
posted at 14:56:07

●個々の大学によって異なりますが、今でも大きな収入は「運営費交付金」という形で国から頂くものです。寄付を募るなどの経営努力はしていますが、自立できるだけのところはありません。
posted at 14:57:44

●さらに! この「運営費交付金」が年率1%ずつカットされることになってしまいました。ちなみに、このことは若手ポストの減少にも間接的に関係しています。
posted at 15:01:09

●で、学生定員をベースに算出される、いわば、どの大学にも一律に配分される運営費交付金ではなく、「競争的に」予算を獲得して下さい、そのために、これまでよりも良いプログラムを作って下さい、ということになりました。
posted at 15:04:38

●日本にはもちろん私立大学もあり、GCOEには私立大学も参画していますが、後でも話すつもりですが、大学院生の数や定員に対する充足率なども、GCOE採択プログラムになるかどうかの決め手になっています。
posted at 15:06:11

●では、実際にGCOEとはどんな事業なのか。まず平成19年度に生命科学系、科学・材料科学系、情報・電気・電子系、人文科学系、学際・複合・新領域という4つの領域のプログラムが募集され、それぞれ12〜13の拠点が選ばれています。 http://ow.ly/EswR
posted at 15:10:05

●今日のTwitter Lectureでは、私が拠点リーダーを務めている東北大学の脳科学GCOEを例として、どのような活動を行っているのかをお話しします。http://ja.sendaibrain.org/
posted at 15:12:04

●東北大学脳科学GCOE「脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点」は、新しい脳科学を拓く人材、脳科学のリテラシーを社会につなげる人材を輩出することを目指しています。http://ja.sendaibrain.org/
posted at 15:13:57

●人材育成の理念として、1)アウトカム指向の教育、2)国際的教育研究プログラム、3)若手研究者の育成支援、ということを掲げています。http://ja.sendaibrain.org/ikusei.html
posted at 15:16:27

●教育・人材育成のための具体的なプログラムですが、どのGCOEもベースになっているのはリサーチ・アシスタント(RA)制度だと思います。こちらは、拠点に所属する大学院生をRAとして雇用し、経済的な支援を与えることにより、より研究に専念して教育効果を上げるための制度です。
posted at 15:18:44

●GCOEで博士研究員(ポスドク)を雇用するということも行われています。博士課程大学院生やポスドクには研究奨励費という形で、自律的に研究し、情報収集や成果発表のための旅費に充てるための支援があります(審査の上。運用形態は拠点ごとで異なる)。
posted at 15:22:39

●また、国際的に活躍する人材を育成するために、「支倉フェローシップ」という制度を設けています。これは、伊達政宗の時代にローマ法王に拝謁した支倉常長の名前を冠にしています。支倉常長のように、世界にチャレンジしてほしいという我々の願いです。
posted at 15:24:49

●支倉フェローシップの援助を受けて、毎年、数十名の若手研究者が国外での学会発表を行ったり、短期留学して研究技術を習得したりしています。あ、もちろん、厳選な審査の上に旅費を支給し、帰国後には報告書を提出してもらいます。
posted at 15:27:08

●外国から仙台で脳科学を学びたいとして来る若者にも、支倉フェローシップ制度によって旅費等を支援しています。国際交流は科学を推進する上で、非常に大事な活動です。
posted at 15:28:18

●さて、東北大学脳科学GCOEにおけるユニークな取組についてもご紹介しましょう。まず1つめは「若手フォーラム」という取組です。http://ja.sendaibrain.org/forum/index.html
posted at 15:29:30

●拠点に所属する大学院生や博士研究員、助教(若手教員)が中心となって組織される「若手フォーラム」では、ほぼ毎月セミナー等の活動を行っています。これは研究室の壁を越えて異分野交流するための仕掛けです。いわば、脱蛸壺化、です。
posted at 15:31:30

●研究者はどうしても自分の研究対象にのみ意識が向きがちですが、若手フォーラムによる異分野交流セミナー、後でお話しする「脳カフェ」などのアウトリーチ活動を行うことを通じて、視野を広げ、人脈を作り、世界にはばたいていく人材となってほしいと考えています。
posted at 15:33:36

●若手フォーラムでは、例えば外部講師の依頼なども、大学院生などが行います。ビジネスレターの書き方もon the job trainingできるという訳です。
posted at 15:36:20

●次回セミナーは第20回! 日時: 11月27日(金)16:30〜18:00(懇親会は18:00〜20:00を予定) この懇親会の費用はGCOEからは支出されませんが(念のため!)、交流のためには重要な活動です。http://ow.ly/EsW2
posted at 15:38:23

●うちでのもう一つユニークな取組は「オープンラボ」です。各研究室が、実際の実験内容などを公開し、互いの研究室に伝えあうイベントを行っています。 http://ow.ly/EsZd http://ow.ly/EsZu
posted at 15:39:59

●「脳科学」といっても、うちのように遺伝子、マウスなどを対象とする研究室もあれば、サルを使った研究を行っているところ、ヒトの脳イメージングを行うところなど幅広いため、お互いの実験系をリアルに知ることは、非常に大切なのです。
posted at 15:41:51

●「オープンラボ」は、近い将来に、市民に公開し、教育的なアウトリーチ活動として利用する計画もあります。こちらについてはまだ詳細未定。
posted at 15:42:37

●という訳で、GCOEというのは、単に研究費が配られる、大学院生に=RA経費が付く、国際シンポジウムが開催される、というような簡単なものではないのです。大学院生やポスドクを手塩にかけて育てましょう、そのためにある程度のお金を使わせて下さい、ということです。
posted at 15:44:52

●そろそろ1時間を超過しましたので、本日のTwitter Lecture「グローバルCOEとは何か?」を修了したいと思います。フォローして下さった皆さん、有り難うございました。いくつかご質問を頂いていますので、お答えしたいと思います。
posted at 15:47:42

<以下質疑応答(?)>
●はい、付けようかと思ったのですが面倒なので止めました。忘れたり間違ったりするので。後でまとめをブログにアップ予定。RT @yujiii: @sendaitribune Twitter Lecture にハッシュタグを付けてみてはいかがですか?面白い取り組みだと思います.
posted at 15:49:14

●私立大学における大学院生確保については聞こえてきています。RT @makosimon: @sendaitribune 私立大学では、むしろ大学院生を集める事が大変で、中国人を始めとした外国人に頼っているのが現状です。このままでは大学院教育のレベル低下もしくは縮小の危険さえあります
posted at 15:50:28

●プログラム採択にあたっては、もちろん拠点が世界的に卓越した研究を推進することによって教育・人材育成できるかどうかという点も大きなポイントです。RT @gnue: 論文の質とかは評価されないのかな?
posted at 15:52:08

●GCOEの話題とは離れますが、大学のTLOの運営はそれぞれいろいろだと思います。NPOで大学の産学連携本部と連携していたり。RT @Sho_K: 国立大学法人では、国からの交付金が毎年減額されていますが、各大学に設けられているTLOは大学の収入に寄与しているのでしょうか・・
posted at 15:55:04

●うちの拠点は小さめなので、院生・ポスドク合わせて100名あまり。フォーラム参加はそのときどきで変動もあって30-80名くらいの幅。RT @showjinx: @sendaitribune そのような取り組みの院生の参加者数と参加者の反応はどうですか?
posted at 15:58:33

●.@showjinx 参加者の意見も毎回アンケート取っていますが、最初は「面倒だな〜」と思っていたのが、だんだん「為になる!」という方向にシフトしてきています。GCOEの取組で作られた若手のネットワークが、将来に活かされてほしいと願っています。
posted at 16:00:33

●はい、あとでまとめTwilogをブログにアップして、そちらをつぶやいてタグ付けておきます。RT @shige1226: # f_o_s を付けた方が良いのでは?
posted at 16:01:36

●え? そうですか? 平均40-50は来ていると思いますが。私も毎回ではないですが参加して、冒頭挨拶や懇親会乾杯音頭などして見てますが。RT @motoshit: @sendaitribune すごい出席率ですね.
posted at 16:02:53

●有り難うございます! これからも宜しく御願いします。RT @showV3: @sendaitribune Lectureありがとうございました。ただの主婦ですが、興味深く拝読いたしました。
posted at 16:03:29

●生命系の13のCOEでは来年2月に合同イベントを行います。さらに広がったネットワークができると良いと想っています。RT @motoshit: 私もGCOEにいますが,専攻を超えた若手のネットワークって貴重だなって思います
posted at 16:04:29

●あ、書き忘れた! 若手フォーラムからのボトムアップの提案で「異分野融合研究奨励費」を今年度から開始したのでした! RT @motoshit: うちはまだ2年目ですが,若手ネットワーク発のプロジェクトが2つくらいはじまろうとしています.
posted at 16:05:49

●最初はそれでも仕方ないかも。あと、うちの若手フォーラムのセミナーには、GCOE以外の参加者も来ている模様。見た目には区別付かないので(笑)。RT @motoshit: うちは「RAは原則的に出席」としないとそこまでは…
posted at 16:06:52

●国際的にご活躍素晴らしいです。RT @kenjikatsu: 私は国立定年後私学に大学院を立ち上げ成功(主マーケットは中国留学生)。地方国立大学院修士は周りの大学卒で学部から進学ない。
posted at 16:08:22

●有り難うございます。RT @shige1226: ブログが良いですね、リアルタイムだと良いのですが、大抵のクライアントは逆順に表示されるので、分かれた文章をたどるのは辛いです。 RT @sendaitribune: はい、あとでまとめTwilogをブログにアップして、
posted at 16:09:02

●ブログにもまとめてアップ予定です。RT @ulto: @sendaitribune 様、貴重なレクチャー有難うございます。のちほど、TLを遡り、熟読させていただきます。
posted at 16:09:35

●是非「やってみたい!」と声を上げたらよいのでは? 東北大も入ってますね。RT @motoshit: へえ,それはすごいですね.環境系の4つのCOEの若手も,何かできないかという話はしてます
posted at 16:10:17

●と言うわけで、本日のTwitter Lecture「グローバルCOEって何?」を終わります。東北大学の取組の一つはこちら。http://ja.sendaibrain.org/ 
posted at 16:11:34

●それから最後に、東北大学脳科学GCOEのTwitter始めました。@tohoku_brainをフォロー御願いします! 英語版では今週の論文もつぶやきます。http://bit.ly/7is5nH
posted at 16:13:32

●こちらのみお答えしておきます。今年から予算を付けたので、まだ分かりません。でも、一緒に申請書を書くという作業は良い経験になったのでは。RT @OrgChemMuse: @sendaitribune: 「異分野融合研究奨励費」 は、具体的な効果は上がってますか?
posted at 16:14:45

●頑張って下さい! これでひとまず終わりなう! RT @motoshit: ひとまずRA発のワークショップを東北大・北大でやろうという計画があります RT @sendaitribune: 是非「やってみたい!」と声を上げたらよいのでは? 東北大も入ってますね。
posted at 16:15:28
by osumi1128 | 2009-11-22 20:56 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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