クジラ問題

先日、英語のトレーニングに英語のテレビドラマをDVDで見ているという話をしたが、初対面の外国人との話のきっかけ用の話題を持っていると便利である。
その人のパーソナリティーにもよるが、ジョークやユーモアのあるものだと、相手との緊張感をお互いに減らすことができるからだ。

私の場合には、以下のような話題を使っている(これはlong version)。
Noriko:...Both of my parents are biologists.
Dr. X: Oh, what do they do?
Noriko: Well, my father is working on whales.
Dr. X: A whale?
Noriko: Yeah, that huge sea mammal. He studies something like ecology of whales.
Dr. X: Oh, I see.
Noriko: And my mother is a researcher of yeast.
Dr. X: Yeast cells?
Noriko: Yes, she is a morphologist, one of the Japanese pioneers of electron microscopy.
Dr. X: Ahah.
Noriko: And that's why I am working on eukaryotes in the middle, say, dealing with mice and rats!
Dr. X: Ha-ha!

ただし、この話題はここまでにとどめることにしている。
鯨に関する意見や感情は、多くの西洋人とは異なるからだ。

たぶん私の世代くらいまでは学校給食で「鯨の竜田揚げ」などを食べた経験があるだろう。
私はあまり美味しいとは思わなかったが、仙台では冷凍ではない鯨の刺身を食べさせる店があり、これは本当に美味しい。
やはり海にはいても哺乳類なので、赤味と肉の中間のような味というおうか、馬刺しに近いと思って頂けばよいだろう。
だが、「鯨はとっても美味しいですよ」とは、アングロサクソン系の人達に対してはなかなか言い出せない。
そんなことをしたら眉を吊り上げられてしまうかもしれないからだ。

キリスト教では人間に与えられた動物(家畜)とそうでないものが明確に区別されており、牛でも豚でも鶏でも、どんなに殺しても構わないのだが、家畜以外は「殺すなんて非人道的」という対象になる。
イギリス貴族の狐狩りはまた別なのだろうし、最近でこそ「フォアグラを作るのにガチョウの胃袋に餌を詰め込むのは酷い!」という批判が起きているが、フランス人は絶対にやめないだろう。
だから、要は文化の違いなのだが、これがなかなか・・・
とくにアメリカは捕鯨をジャパン・バッシングの格好の対象にしており(もうすぐ牛肉輸入問題も同じようなことになるのかも)、「鯨やイルカはとても頭がいい高等哺乳類。それを殺すなんてかわいそう」というキャンペーンを張ってきた。
かつて下田に黒船が寄航し、鎖国を解くように迫ったのは、脂を燃料などにするために捕鯨をしていたから、給油の基地が必要だったためなのに、そういう歴史は一切お構いなし。
エスキモーがアザラシを食べるために捕獲するのは認められるというのに。

私も、韓国では「犬肉」が滋養強壮に良いとみなされているとしても、あまり自分では食べたいとは思わない(あ、また苦手なものが見つかりましたね・・・汗)。
でも、それを食べるのは韓国の人の勝手であると思う。

ただ、犬と違うのは、鯨の場合、日本近海だけではなく、南氷洋まで出かけていくので、国際的な会議でどのくらい採ってもよいかが決められる。
今年は6月から韓国の蔚山(ウルサン)で国際捕鯨会議が開かれていたのだが、その内容は日本ではあまり報道されていない。

かろうじて鯨ポータルサイトというところからリンクしている下記のレポートに乗っているくらいだ。
http://blog.e-kujira.or.jp/
(CNNには載ったという話を聞いたが、今アクセスしてみたが記事は見つからなかった)

日本はこの会議において、簡単に言えば、この10数年で過去の乱獲時代から回復して、鯨の頭数はかなり増えたので、食物連鎖の上位に立つ鯨を適切に間引くことは、他の海産資源の有効利用のためにもリーズナブルだ、ということを主張し、これまでの保護案撤廃を求めた。
これは否決されたのだが、今回は25対30、棄権2と大健闘であった。
(でも負けは負け)

今後日本の捕鯨はどのようになっていくのだろうか。
私にとっては美味しい鯨が食べられなくなってしまうのは非常に悲しいが、若い世代の人達は鯨といえば「ホエールウォッチング」と思っていて、食べるなんて知らない人も多いかもしれない。
伝承する人、守る人がいなければ文化は廃れていくだろう。



明日は朝から東京で会議なのでブログはお休み。
お昼も夜も会議弁当という食生活はとても悲しい・・・(涙)
by osumi1128 | 2005-06-23 00:09 | Comments(0)

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