書評『予定不調和 サイエンスがひらく、もう一つの世界』(長神風二著、DIS+COVERサイエンス)【追記】
2010年 05月 09日
仙台国際ハーフマラソンには丁度良い、穏やかな春の日でした。

さて、4月15日に同時刊行されたDIS+COVERサイエンスシリーズの3冊のうちの1冊は、東北大学脳科学グローバルCOEの広報担当の長神風二氏のもので、やはり著者から謹呈頂きました。
タイトルは『予定不調和 サイエンスがひらく、もう一つの世界』。
中身に入る前に、このディスカバー・トゥエンティワンという出版社さんは、今年ちょうど25周年とのことですが、いろいろな意味で新しい取組をされているようです。
例えば、本の最後には、著者や編集者だけでなく、本を作るのに関わったとても多くの方々のお名前がクレジットとして挙がっています。
Promotion Group Staff、Operation Group Staff、Creative Group Staffそして、それぞれのAssistant Staff、Proofreader、DTPやPrintingの会社、という風に。
改めて、1冊の本ができあがるまでに、これだけ多数の方々の力が集まっているのだと認識しました。
すでに、北澤先生の御著書『科学技術は日本を救うのか 「第4の価値」を目指して』や、内田麻理香氏の『科学との正しい付き合い方 疑うことからはじめよう』についても拙ブログに書評を載せましたが、この長神氏の著書もまた一気に読んでしまいました。
第1章から終章まで12のストーリーが、「近未来」を切り取ったというスタイルで語られます。
それぞれ、種々の登場人物の会話で始まるストーリーは、著者の筆の勢い(タイピングスピード?)が感じられるもので、荒削りではありますが、むしろそこに味わいがあると思いました。
取り上げられているテーマは、スマートドラッグ、遺伝子ドーピング検査、遺伝子組換え食品、デザイナーベビー、脳画像による嘘発見器、などなど…。
今後、もしかすると私たちの生活に大きく関わってくる可能性が絶対に無いとは言えなくて、なおかつ、ちょっと「困ったことになる」かもしれないような事例。
例えば受精卵を遺伝子レベルで「増強」するのは、直感的に「それはマズイんじゃないの?」と思えても、「治療とどう違うのか? その線引きはどこにあるのか?」と追求すると、境目が曖昧になっていくような話(デザイナーベビー)。
それぞれが「生命倫理」の観点から非常に重みのある内容であって、12も話を盛り込んだことは、科学コミュニケーションのレベルにおいて個々の話が説明不足になっている感は否めないとして、興味を持たれた読者は、それぞれの章末に掲げられた参考書を読まれると良いでしょう。
70年代生まれの日本の科学コミュニケーターの著者の今後の活躍に期待したいと思います。
関連して、ちょうど昨日、キャンペーンのためのイベントが行われたようです。
会場からリアルタイムでのTwitterでのつぶやき連投が「#d21bc」のハッシュタグ付きで為されて、会場に行けなかった人たちや、イベント終わってからもつぶやきが寄せられています。
Dis+Coverサイエンスシリーズ創刊記念トークイベント「サイエンスが、日本の未来にできること」つだり #d21bc
【追記】下記はディスカバー21社さんによるTwitterまとめ。
20100508『DIS+COVERサイエンスシリーズ』創刊記念トークイベント
研究者からの科学コミュニケーションを考える身として、また、大学の広報に関わる人間として、大いに参考になりました。
科学の現場から市民まで、さまざまな人々の「つながり」(階層という言葉は使いたくありません)がある中で、どのような方に向けて、どのような媒体を使ったらよいのか、選択肢が多い時代になりました。
ちなみに、今週土曜日5月15日の大学院説明会は、初めての試みとしてリアルタイム動画配信をUstreamで行います。
動画配信サイトはこちら
大学院説明会自体には関係ない方も(笑)、是非、見て頂いて、不具合等をお知らせ頂けたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
(本件、これから何度もアナウンスします−^^)














