ゴッホと北斗七星
2010年 06月 19日
6月10日の時点で入場者10万人突破ということで、混んでいるかと思いましたが、なんとかなりました。
絵画は画集やモニタで観るのも好きですが、リアルなものを観るのに越したことはありません。
筆遣いは二次元になったものではわかりづらいですが、生は立体的で、その勢いが感じられますし。
今回、改めてびっくりしたのは、スーラが何点かあったのですが、どれも可愛らしい小品だったこと。
斜め右後ろからのポーズの裸婦だったら好きだし、家に飾れる大きさかも(微笑—例によって「もし下さるなら」)。
オルセー美術館展2010は後期印象派から始まっていますが、一つの盛り上がりはセザンヌの辺りかと思います。
小学校低学年の時代に「お絵かき教室」に通っていましたが、その頃に教わっていたのは、きっとこういう影響を受けた先生だったのだろうなぁと、改めて思い至りました。
当時、何を描いたか、ほとんど覚えていませんが、油彩の静物や風景画というのは、自分の中でとても古い記憶として分類されていて、私にとってセザンヌはその象徴のような作風なのですね。
母はモネが好きですが、もっと典型的な睡蓮シリーズの方が好みだったかも。
今回出ていた睡蓮は初期のもの。
私は「ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光」が今回のモネ中では一番好き。
「日傘を差す女性」はいくつかのヴァージョンがありますが、いかにも「夏のお嬢さん」的印象ですね。
日傘、白いドレス、そよぐ風、夏の日……(かつて少年だった方達の憧憬の対象)。
もう一つ、一番楽しみにしていたのがゴッホ、中でも「自画像」よりも「星降る夜」という作品。
展示されていたエリアが比較的天井高くて開放的だったのが有り難かったです。
ゆっくり眺めることができましたので。
夜空の星の黄色と、それよりもオレンジに近い街灯が、群青の空とローヌ川に映えて、手前には恋人同士らしい男女の小さな姿が。
で、じっと観ていたら、夜空の星は「大熊座」、すなわち「北斗七星」なのですね!
ちょうど柄杓が反対向きだったのでなかなか気付かなかった!
北斗七星は東北大学、とくに医学部等のロゴマークとして長く愛されてきたものだったので、今では私にとっても大切な星座です。
ちなみに、北斗七星は北の空で北極星を指し示す星座なので、解説によれば、アルルの街を西に望むこの方角には見えないであろうとのこと。
ゴッホの心象風景でもあるのでしょう。
フィンセントがこの絵を描いたのは1888年の夏のこと。
120年余の時間と、南仏アルルと仙台という時空がつながった気がしました。
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こんど7月3日(土)に東北大学脳科学GCOE主催の「脳カフェ」にお呼びしている元BRUTUS副編集長の鈴木芳雄さんが、ちょうど6/15号「印象派特集」の編集をされており、雑誌の取材などのお話で関連ブログを書いておられます。
画像はこちらをご参照頂ければ。
ゴッホのiPhoneカバー
オルセー美術館展2010「ポスト印象派」
セザンヌが居た場所
ここはカーニュ=シュル=メール。ルノワールのアトリエ
ゴッホ。彼こそ画家なり。アルルとサンレミ
ゴッホとテオ、ここに眠る
BRUTUS「印象派、わかってる?」本日発売
BRUTUS「印象派、わかってる?」ゴッホBOOK
ちなみにBRUTUS-ブルータス-2010年-15号の印象派特集はまだAmazonでも買えるようです。
2010年は印象派関係の展覧会が秋までありますので、お役立ち指南書になりそうです。